ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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第三章 28

 

 そして京都に着いたが、しっかし何なんだろうな。

 

 京都駅の中で、俺達は痴漢に遭遇した。

 

 すでに地元の有志達が取り押さえていたけど、明らかに正気じゃなかった。

 

「おっぱいを……おっぱいをくれ……」

 

 痴漢にしても限度がある。あれは常軌を逸していやがった。

 

 しかも、俺がおっぱいを強烈に求めたそのちょっと前に松田もまたおっぱいを求めて暴走していたらしい。

 

 まさか、これは禍の団による無差別テロか?

 

 とにかく、そんなわけで俺達はホテルに到着した。

 

 京都サーゼクスホテル。

 

 きょうとさーぜくすほてる。

 

 冥界は、日本にどんだけ影響力有るんだ。近くには京都セラフォルーホテルとかあったしよ。

 

 東京アジュカホテルとか、神戸ミカエルホテルとか北海道アザゼルホテルとかもありそうだな。

 

 ま、だからこそこんだけ豪華なホテルに泊まれるんだろう。サーゼクス様の粋な計らいってやつだ。そう言うことにしておこう。

 

 部屋に荷物を置こうかとしたその時、アザゼルから鍵を渡される。

 

「ほら、これがお前らのカギだ」

 

 ……凄まじい嫌な予感を感じたんだが。

 

 俺はそれをぶん捕ると、即座に走り出した。

 

 他の生徒とは階からして違う。この時点で嫌な予感しかしねえ。

 

 くそ、なんか部屋の感じも全然違うぞ!!

 

「な、なんじゃこりゃぁああああ!!!」

 

 俺は愕然となった。

 

 なんかぼろい和室だ。しかも六畳一間。

 

 こんな高級ホテルに、なんでこんなもんがある。まずそこからツッコミを入れてえんだがよ。

 

 ……なるほど、これは嫌がらせだな?

 

「ヒロイ! いきなり走ってどうしたんだ……ってなんじゃこりゃぁ!!」

 

「ぶはは! なんだこれ、和室じゃねえか!」

 

「まさか修学旅行の資金面が足りなかった……とかか?」

 

 三人組の言葉を無視し、俺は深呼吸を一つ。

 

 よし、殴り込みだ。

 

「俺は元凶を殴り倒してくる。なに、たぶんアザゼルだろうから大丈夫だ」

 

「「「いやいやちょっと待て!!」」」

 

 とっさに三人同時に止められるが、しかしこれ許せるか!!

 

 高級ホテルに泊まるなんて、実はちょっと期待してたんだぞ? それがこれだぞ!!

 

 聖槍をこの場に展開してないだけでも我慢してる方だよ。槍王の型を使うこともいとわねえぞ!!

 

「とりあえず落ち着いてください、二人とも……というよりはヒロイ君」

 

 と、ロスヴァイセさんがため息をつきながらこっちに来た。

 

 なんだと? まさかあんたも一枚かんでるのか!!

 

「……ここは万が一のための集合場所として確保したものです」

 

 万が一? ……ああ、ヴィクターとかの。

 

 にしてもこれはねえだろうに。

 

「言ってくれれば自腹でスイート取りましたよ?」

 

「学生が修学旅行でスイートルーム何て駄目です。風紀が乱れます」

 

 くそ、お堅い人だ。

 

「ええい。帰ったら姐さんとお嬢に告げ口してやる。どうせアザゼルが面白半分でこんな部屋にしたんだろうからな」

 

 俺は心底腹が立ったが、しかし反論しづらいのでそういうことにする。

 

 ため息をつきながらいったん集合すれば、そこで班に分かれて護衛役との挨拶回りだ。

 

 さて、俺らの護衛はいったい誰になることやらと思ったが、そこでゼノヴィアとイリナが頷くと立ち上がった。

 

「先生。私達の分の護衛は、全体の統括に回してくれ」

 

 と、ゼノヴィアが言い切った。

 

 まあ、下手な護衛より俺達の方が強いからな。神滅具使いが二人もいるし。

 

 だったらそういうのがいない他のクラスの警護の方に意識を向けた方が有効だろう。そうすれば安全も確保しやすくなる。

 

 つっても、そういうことはこっそりアザゼル先生やロスヴァイセさん辺りに言えよ。一般教師は俺達の正体知らないんだぞ?

 

 ほら、一般教師がそれに怪訝な表情を浮かべてやがる。

 

「何言ってるんだ? 万が一の保険とは言え、それでは危険だと―」

 

「実は私達、ネロ君達とは元同僚なんです」

 

 そのイリナの言葉に、クラスメイト達の視線が集まった。

 

 でもってお護衛の悪魔祓い達は今言うかという顔になる。

 

 確かに同感。後々やりづらくなるんじゃねえか?

 

 と、思ったんだが、ゼノヴィアはすらすらと言葉を紡いだ。

 

「……諸事情あって私はクビになってしまったんだがイリナは現役でな。ほら、駒王町で三大勢力の和平会談があったのは宣言されていただろう? そのあたりでトラブルが発生する可能性を考慮して、前から三代勢力は人を送っていたんだ」

 

「私は年齢が合っているということで、駒王学園の担当なの! 主の代行足るミカエル様直々の判断よ」

 

「ま、マジなのイリナっち?」

 

 流石に度肝抜かれた桐生が、イリナに確認を取る。

 

「おう。ゼノヴィアとは同じ師に指導を受けたこともある同期ってやつだ」

 

 と、そこでネロがさらに念押しした。

 

 おぉ……と注目が集まる中、ゼノヴィアは笑みを浮かべると胸を張る。

 

「まあ、今は武器を持ってないからイリナに任せることになるだろう。それに、今の立場の都合から時々学業を休むこともあるかもしれない。……事前に知ってもらっていた方が心配されないと思ってね」

 

 な、なるほどそういうことか。

 

 確かに、こうやって前もってある程度の来歴を説明おけば、有事の際に動きやすくなる。

 

 しかもゼノヴィアとイリナが元悪魔祓いである事を教えた事で、悪魔絡みのトラブルが起き後期の対処も楽になるだろう。

 

 なるほど。信徒らしい自己犠牲精神だ。どうせいつかはばらすんだし、少しぐらい言っても罰は当たらない―

 

「因みにヒロイ君も同期だったわ」

 

「ああ。かなりの凄腕だな」

 

「ついでに言うと、私が首になったのはこいつの所為だ」

 

 三連コンボでとばっちりぃいいいいい!?

 

「お前ら! 俺を巻き込むな!!」

 

「黙れ。お前は大金をもらって警護役として駒王町に配属されたんだろう。だったら1番、動かなければならないのだから、理解を得てもらった方がいい」

 

 ゼノヴィアはそう言うが、目には「ざまぁ」という感情が浮かんでいた。

 

 この野郎、いらんこと言って追放のきっかけを作ったのをまだ根に持ってやがるな!?

 

「ぜ、ゼノヴィアさん! 前職っていったい何をしてたの!?」

 

「っていうか紫藤さんって現職? 仕事しながら学校通ってるんだ!!」

 

 と、生徒達はちょっとおどおどしながらも、二人に質問をしまくった。

 

 おいおい。結構距離をおいてもいいだろうに、平気でこういう方向に持ってくんだな。

 

 この学園の生徒達、意外と民度が高いっていうか度胸があるっていうか……。

 

 ああ、俺、この高校は言ってほんとに良かったぜ。

 

「皆さん! とりあえず静かに!! あとゼノヴィアさんとイリナさんは修学旅行が終わったらお説教ですからね!!」

 

 と、ロスヴァイセさんが大声を張り上げて空気を塗り替える。

 

 そして、其のままの勢いで駅の方向に指をさした。

 

「とりあえず! 必要なものがあったら京都駅地下にある百円均一で買いなさい! こういうところでお金を無駄遣いするのはいけませんよ!!」

 

 ………それ、今言う事?

 

 

 

 

 

 

 

 

 やっぱり、護衛は用意しておくべきだったかねぇ。

 

 俺は内心で愚痴りながら、回し蹴りを天狗に叩き込んだ。

 

 ちょっとドタバタしたが、結果としてフットワークが軽くなった俺達は、京都の観光を楽しんでいた。

 

 そして山登りをしながら京都巡りをしていたんだが、いきなりイッセーが妖怪らしき連中に襲われて今この状況になる。

 

 動きは結構訓練されているな。こういう連中はフィジカルスペックだよりが多いんだが、俺達ほどじゃないが鍛錬を積んでいる。

 

 率いてる狐娘が偉そうというか高貴さを感じさせているし、どっかのお偉いさんの私兵か何かか?

 

 一応今、桐生達はゼノヴィアとイリナが護衛してる。そしてこいつら程度の戦闘能力なら、しのぐ程度の事は十分できる。

 

 旧魔王派の強化兵士や、神の作り出し魔獣軍団相手にしのいだ実績舐めんな。この程度ならせめて十倍は出して犠牲覚悟の波状攻撃をかまされなけりゃあ、やられたりはしねえよ。

 

 つっても、状況が全く分からねえから消滅させるわけにもいかねえわな。これでうっかりただの手違いだとしたら、まず間違いなく問題になる。

 

「ちょっとタンマ! ホントに俺達は何も知らないんだってば!!」

 

「何も知らんじゃと!? ならばなぜ、悪魔がこの京の街を堂々とうろついておるのじゃ!!」

 

 イッセーの静止の声にも耳を貸さないガキンチョだが。しっかしちょっと待てよ?

 

 これ、駒王学園生徒(俺ら)が来るって事を知らされてねえだけか?

 

 なら……。

 

「ほら、これ見てくれ!!」

 

 俺は、制服に入れていたフリーパスを見せる。

 

 その瞬間、仕掛けようとしていた妖怪達の動きが止まった。

 

 イッセーもすぐに俺に倣ってフリーパスを見せる。

 

 ……よし、これが偽物ってことはなさそうだな。

 

「ほら、証拠だ! 賊がこんなもん持ってるわけねえだろ? 俺達は駒王学園ってところの修学旅行で来てて、京都サーゼクスホテルにいるから……さ?」

 

 俺がそう言うと、狐娘がむぐぐと不満げな表情を浮かべてたが、やがて何かに納得したのは距離を置く。

 

「嘘偽りじゃったら許さんからな!! 皆の者、引くぞ!!」

 

 どっちにしても状況不利と思ったのか、妖怪たちはその声に一斉に引いていった。

 

 さて、とりあえず問題の一つはどうにかなったか。

 

 しっかし、これ流石にまずくねえか?

 

 事前に話が通っていたはずなのに襲撃されるとか、明らかに京都側に問題が起きてるだろ。

 

 ……マジで護衛が役に立つ事態になりそうで怖いな、オイ。

 

「イッセー。とりあえず先ゼノヴィア達と合流してろ。俺はお嬢に連絡する」

 

「え? いいのかよ、アザゼル先生に黙ってそんなことして」

 

「緊急事態だ。眷属の危機をお嬢が知らねえってわけにもいかねえだろ」

 

 イッセーにそう返しながら、俺はお嬢に連絡した。

 

 こういうのはメールじゃなくて電話でするのが基本ってやつだ。

 

『……ヒロイ、どうしたの?』

 

「お嬢。京都観光をしてたら、妖怪の集団に襲われました。それもはぐれ者じゃなく、正式な訓練を積んでいると思しき戦闘集団のようで……」

 

 俺はそう説明しながら、嫌な予感を覚えまくっていた。

 

 これ、確実に大騒ぎになるだろ。

 

 浮浪児生活と教会の施設生活の二つのコンボで、修学旅行なんて一度も経験したことがないってのによぉ。

 

 俺の唯一の修学旅行が、激戦で潰れるとかマジで勘弁してくれぇ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんでもってホテルに足早に戻ると、アザゼル先生達にもきちんと報告した。

 

 俺がお嬢に連絡した事を告げると、アザゼルは何やってんだお前って顔をしやがったが、その辺に関してはスルーだ。

 

 トラブルが発生した事を何も教えられてない方が、向こうとしても気にするだろうしな。何かあったらすぐにでも助けに来てもらわねえと困るしよ。

 

「しかし、京都の許可はちゃんととってたはずだ。それが何でイッセー達を襲撃するんだ?」

 

「気になりますね。どうも現地についてから京都の方々と連絡が取れなくなってますし、何かあったんじゃないでしょうか?」

 

 アザゼルとロスヴァイセさんはそう言って首をひねる。

 

 ……まさか、また禍の団か? またヴィクター経済連合か?

 

 あいつ等、あの連続襲撃以外で組織全体としての大規模な戦闘は行ってなかったくせに、一体どういうつもりだ?

 

 京都とくれば、妖怪達の重要拠点の一つだ。更に陰陽師などの日本古来の術者達も数多い。

 

 とどめに、日本は世界でも有数の異形及び神話の受け入れ先だ。今迂闊に日本で事に及べば、返り討ちにあう可能性はでかいってのに。

 

 何がそんなに日本を引き付ける……?

 

「いや、なんか色々と大変な事になってるみたいだね」

 

 と、そこに軽そうな男が現れた。

 

 だが、そいつを舐めてかかることなんて誰にもできねぇだろう。こと人間で、こいつを舐めてかかれる奴なんていないだろう。

 

 それほどまでに、目の前の男はシャレにならねえ実力者だ。

 

「よ、デュリオ。久しぶりだな」

 

「お久ーヒロイきゅん。いや、俺が京料理を食べてる間に大変な事になってるみたいだね」

 

 そう言って苦笑するのは、教会でも最強クラスの実力者。若手で言うならナンバーワン。そんな男、デュリオ・ジュズアルド。

 

 移植した姐さんとは違い、先天的に煌天雷獄《ゼニス・テンペスト》を保有している生粋の神滅具使いだ。

 

 そして、そんなデュリオの後ろから現れたのは姐さんだった。

 

「いきなり大変なことになってるようね。あなたも」

 

 姐さん!? 京都にいるらしいのは分かってたけど、なんで姐さんがここに!?

 

「お姉様~♪」

 

「ペトはいつも可愛いわねぇ。でも、今は結構真剣な時よ?」

 

 そう言ってなだめながら、姐さんはとなりのデュリオに視線を向けると、苦笑した。

 

「お汁粉を食べてたら隣に座ってきてね。どうも私は英雄らしく有名人だから」

 

「いや、俺と同じ煌天雷獄の使い手だってことで写真見せてもらってたからね。美味しそうな甘味処に入ったら出くわしたんで、つい声を掛けちゃったよ」

 

 ナンパか!? 姐さんに!? 仮にも悪魔祓いが!?

 

 ゆ、許さんぞ! 俺の目の黒いうちは姐さんにナンパしようなんて!!

 

 いや、姐さんは行きずりの男を一夜を楽しむタイプだ。だったら別に構わねえのか?

 

 いや、相手は仮にも教会の悪魔祓いだぞ? そんなことになったら問題だらけだ。むしろ姐さんにこそ釘をさすべきじゃねえだろうか?

 

「お姉様。この人イケメンですけど、食べたいですか」

 

「残念だけど今日はお汁粉でおなか一杯よ」

 

「いや、俺転生天使だからね? そんなことしたら堕ちちゃうからね?」

 

 あ、そんな心配はいらないみたいだな、うん。

 

 つか、やっぱりデュリオも転生天使か。スートの相当のレベルのになってそうだな。

 

「……それで、アザゼル先生。これから私達はどうすればいいんだ?」

 

 ゼノヴィアが話を進めるが、アザゼル先生は苦笑するとその頭をなでる。

 

「とりあえず、その辺のところは俺達がやっとくさ。お前らはもう休んどけ」

 

「いいんですか? 学校の皆にまで危害が加えられたら……」

 

 イッセーが不安げな声を出すが、しかしアザゼル先生は肩をすくめる。

 

「大打撃を受けたとはいえ、世界最大宗教に迂闊に喧嘩売るほど奴らも馬鹿じゃないさ。フリーパスを確認したら引いたんだろ? それ位の頭は残ってるよ」

 

 確かにな。ホントに馬鹿だったら、フリーパスを見ても「そんなの知るか!」とか言い出しかねねえな。

 

「そうそう。そう言うのは俺らの仕事だからね。もっと食べたかったけど、護衛の仕事で来たんだし、頑張りますか」

 

「私もこのホテルに部屋を取ってるから、全体的な監視位はさせてもらうわ。ペトはお友達と一緒に楽しんできなさい」

 

 と、デュリオと姐さんもそう言ってくれている。

 

 これはお言葉に甘えないといけないだろ。大人の人たちが俺たち子どもに気を使ってくれてるんだからな。

 

 でも、何かあったらすぐに呼んでくれよな?

 

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