ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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さて、修学旅行で温泉。









……覗きを敢行する馬鹿がいるのはデフォルトです。


第三章 29

 

 そして京料理に舌鼓を打った晩飯も終わって風呂の時間だ。

 

 京料理、うまかったなぁ……。

 

 そんなことを思いながら、俺は階段を上っていた。

 

 なんでかって? 決まってんだろ。

 

 イッセーを監視するためだよ。

 

 あのやろう、早々に姿をくらましたからな。間違いなく覗きに動いてやがる。

 

 駒王学園なら後でボコられたり説教されたりすれば済むかもしれねえが、ここは京都だ。

 

 うっかり一般客に発見されて、警察を呼ばれたりしたら大打撃だ。さすがにイッセーも停学じゃ済まねえだろう。

 

 このトラブルが予想されまくりの状況下でそれはまずい。なんとしても阻止しねえとな。

 

 ツーわけで、俺は両手をバチバチ鳴らして階段を上り―

 

「いっけぇ!! 洋服崩壊(ドレス・ブレイク)ぅうううう!!!」

 

 その声に、俺は出遅れたことを察した。

 

 慌てて階段を急いで登り、俺はイッセーの後頭部を見つけたとたんに飛び蹴りを放つ。

 

 体内電流の操作によって敏捷性を増した俺の蹴りがイッセーを襲う!!

 

「はうぁ!? いきなり何すんだ!」

 

「こんなところで何してやがる!!」

 

 俺は速攻で怒鳴ると、さてどうしたもんかとあたりを見渡す。

 

 そこには、ビリビリに敗れたジャージの残骸。そして、そのジャージを着ていた裸のロスヴァイセさんの姿があった。

 

 あーあーあーあー。味方にまで使いやがったの、この馬鹿。

 

「お前なあ。ここは駒王学園じゃねえんだぞ。マジで警察が来たらどうするつもりなんだ、ああ?」

 

「かまわない。俺は、女子の裸が見られるなら捕まってもいい!!」

 

 ホントに警察呼ぶぞ、この馬鹿野郎。

 

 だがお前が捕まると後がややこしいんだよ。マジで自重しろ。

 

「ロスヴァイセさん。説教をどうぞ」

 

「もちろんです!! せっかくセールで購入したジャージをどうしてくれるんですか! あんなに安く買えるチャンスなんて、もうないですよ!!」

 

「「そっちですか!?」」

 

 俺とイッセーのツッコミがはもった。

 

 いや、全裸に剥かれてまずすることが服の心配ってなんでだよ?

 

 っていうか、そのジャージセールで見たぞ。確か二千円もしてなかったはずだけどよ?

 

 なんで高給取りのお嬢の眷属がそんなことを気にしてんだよ。あんた仕事してんだからもっと高いの買えるだろうが!! 次期当主の眷属だろぉ!?

 

 いや、どうもイッセーたちはグレイフィアさんに管理されてるみたいだけどな。俺も悪魔側の報酬は管理されていたが、堕天使側と教会側の報酬は何とか死守した。

 

 金を使える時に使うことの大切さがわかってるから譲れなかった。金は天下の回り物というが、回すのは金持ちの務めなんだ。

 

 って違う、話を戻せ。

 

 っていうかそれより先に気にすることあんだろ。

 

「そんな安物よりも裸にされたことを気にしてくださいな!!」

 

「はっ! まだ誰にも見せたことなかったのに!!」

 

「今更ぁ!?」

 

 イッセーすらツッコミに回ったよ。

 

 だが、ロスヴァイセさんは顔を真っ赤にしながらも何言ってんだお前らって顔をする。

 

 いや、それ俺らがしたい顔なんですけど。

 

「いいですか? 衣服というものは貴重な資源です。高級品なんです。大事にしないといけないんです」

 

「確かにそれはもっともっすけど……」

 

 服を何着も持てるってのは、意外と立派なことだからな。俺は同意するしかない。

 

 俺も浮浪児の時は、捨てられた服を時々拾う程度のことしかできなかった。マジで大変だったぜ。

 

 そういう意味じゃあ確かに大事なんだろうが……。

 

 なんだろう。どうしてもツッコミどころとしか認識できなくて、どう反応すりゃぁいいのかわからねえと気がある。

 

 少なくとも、今は女の尊厳の方が大事じゃねえか?

 

 二千円足らずの服より安い価値じゃねえだろ?

 

「……お楽しみのところ悪いんだけどよ、ちょっといいか?」

 

 と、そのタイミングでアザゼルが姿を現しやがった。

 

 ……なんだなんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺たちが連れてこられたのは、京都の料亭だった。

 

 そして、一見すると気づかねえがかなりの人数が警備にあたってやがる。

 

 なんだ、この警戒網。昼に仕掛けてきた連中よりも練度が高いぞ?

 

「……お待ちしておりました、総督殿」

 

 と、そこに朱乃さんと雰囲気が似た女性が現れて敬礼する。

 

 見れば自衛隊の制服だ。

 

 と、その人は俺たちの方に少しずれながらも敬礼をした。

 

「お初にお目にかかります、グレモリー眷属の方々。私は、異能自衛官を務めております姫島鈴女一尉であります」

 

 い、異能自衛官ってーと、確か最近公表された自衛隊の特殊組織だったよな。

 

 ウツセミ以外の対異形装備を中心に運用する、極秘裏に設立されていた、自衛隊の特殊部隊。それも精鋭だ。

 

 そんな人物がいるってことは、結構やばい問題が起きてるってことか?

 

「……あの、姫島って名乗ってましたけど……朱乃さんの知り合いか何かですか?」

 

 と、案内されながらイッセーがそう質問する。

 

 ああ、確かにイッセーとしては気になるか。

 

 敬愛する二大お姉さまの1人と同じ苗字だもんな。気になるのは当然ってところだろう。

 

 それに対しては、鈴女さんは前を向いて案内しながらも朗らかに答えた。

 

「ええ。姫島は分家も含めるとかなりの数になりますので。……もっとも、私は追放された身ですが」

 

 追放か。

 

「何かしたのか? いや、そういう人物が自衛隊に所属できるとは思えないが……」

 

 ゼノヴィアが首をひねるが、それに鈴女は苦笑した。

 

「自分は姫島の血に反する異能を宿したもので。当時の総理に拾われなければ、今頃空蝉機関の一員としてヴィクターに所属していたかもしれません」

 

 そんな物騒なことを言いながら鈴女さんが案内したのは、料亭の一室だった。

 

 そして、そこには生徒会とセラフォルーさまが先にいた。

 

 おお、セラフォルーさまは着物姿だ。ツインテールじゃなくて髪をまとめているのもいいな。こっちの方が大人っぽくて俺は好みだ。

 

 そして、そんなセラフォルー様のとなりには総理がいた。

 

「よ、グレモリー眷属の諸君。久しぶりだな!」

 

「総理大臣? なんでこんなとこに!?」

 

 イッセーが真っ先に驚く中、総理はお茶を一口飲むとため息をついた。

 

「須弥山の帝釈天が、京都の妖怪との会談に一枚かまねえかって言ってきてよ。そう言うわけでちょっと来てみたんだが……」

 

 そこまで言うと、もう一回総理はため息。

 

 それに苦笑しながら、セラフォルー様もまた頬に手を当てると暗い顔をする。

 

「それがねん。その京都のトップの人が、行方不明なのよん」

 

 はい?

 

「九尾の狐の八坂っていう子持ちの姉ちゃんがどっかに消えちまったんだとさ。そのせいで京都の妖怪陣営は大混乱だ。俺も待ちぼうけで、一回帰ろうかと思ったぜ」

 

 と、総理はため息をついた。

 

 なるほど。それで混乱して暴走した一部の連中が、こっちを勘違いして攻撃を仕掛けてきた……と。

 

「あの子も狐でしたけど、もしかして?」

 

「そうでしょうね。九尾の娘さんだと思うわん」

 

 イッセーが何かに気づき、レヴィアたんがそれにうなづく。

 

 なるほど。お袋さんがいなくなって、パニック起こしてたってわけか。

 

 っていうかお付きが止めろよ。諫言もまた忠臣の役目と思うけどな。

 

 つか、そんなことをこのタイミングでぶちかますってことは―

 

「十中八九禍の団が関わっているだろうさ」

 

 アザゼル先生の言葉に、俺たちは息をのんだ。

 

 なるほどね。ヴィクター経済連合はそろそろ活動を本格的にするってわけか。

 

 休息期間はこれにて終了。そろそろ本腰を入れようって感じかねぇ。

 

「お前ら、また厄介なことに首突っ込んでんのか?」

 

 匙がちょっとドンビキしてるんだが、俺らに言われても困る。

 

 トラブルの方がこっちに向かってやってきてるんだよ、基本的に。

 

 俺たちが意図的にトラブルに首突っ込んでるわけじゃない。ましてやトラブルを起こしてるわけでもねえ。

 

 そこはしっかり認識してくれや。

 

「ったく。こちとら修学旅行で学生の面倒みるだけで精いっぱいなんだよ。やってくれるぜ」

 

 アザゼル先生がすっごいいやそうな表情を浮かべる。

 

 いや、アンタ舞妓と遊ぶとか言ってなかったか、オイ?

 

 どっちかというと観光気分じゃねえか。遊び半分じゃねえか。

 

 絶対そっちの方で切れかけてるな。このオッサンはもう少し痛い目見せていいですぜ、ヴィクター経済連合の方々。

 

「この国に侵入しすぎだろ、どいつもこいつも」

 

「まあまあ。転移が使えると潜入そのものは楽なのよん」

 

 頭を抱えている総理を、レヴィアたんが肩に手を置いて慰めた。

 

 そのまま酒を注ごうとするけど、総理は仕事中だからと断った。

 

「ま、今そんなこと言ったら余計にパニックになっちまうがな」

 

「そうなのよん。まずは私達と協力してくださる妖怪の人たちと一緒に事の収集を図るつもりなの」

 

「俺もまあ、仕方ねえから独自に動くぜ。すでに部下を動かしてる」

 

 トップ陣営が本腰入れてるなら、意外と早く事が終わりそうだな。

 

 旅行初日から大変だけどよ、俺たちもこれは動くべきかねぇ。

 

「先生! 俺たちは何をすればいいですか?」

 

 と、イッセーが気合を入れてアザゼル先生に聞く。

 

 こういう時のイッセーは本当に行動力があるな。さすがは正義のヒーロー、乳龍帝おっぱいドラゴンだな。

 

 だけど、アザゼル先生は苦笑するとその頭に手を置いた。

 

「いや、先ずは俺たちで何とかするさ。いざとなったらちゃんと言うから、今のところは旅行を楽しみな」

 

 そう言ってから、俺たちを見渡すアザゼル先生。

 

 その顔は、まるで子供を見る親のようだった。……いや、俺はそういうのよくわからねえけどさ。

 

「こういう青春ってのはガキの頃しか体験できねえもんだ。大人ができるだけ何とかするから、その時が来るまで楽しんでろ」

 

「僭越ながらその通りです」

 

 と、今まで黙っていた鈴女さんもそういって俺たちに微笑んだ。

 

「子どもはちゃんと楽しみながら成長するのが義務です。基本的に世界をめぐる面倒ごとは、大人に任せてください。本格的に関わるのは、大人になってからで十分です」

 

 おお、なんというか大人の意見。

 

 この人も結構いろいろあったっぽいけど、やっぱりちゃんとした教育うけてる大人なんだなぁ。

 

 実力主義の俺らの社会じゃ、あまり見られない光景だ。やっぱり表の世界に深く関わってるから、そういう意見を言えるんだろう。

 

 ……割と煩わしい時もあるけど、表の世界も表の世界でちゃんとした言い分や理があるもんだな。

 

「よく言った姫島一尉! そうさ、子供を積極的に苦労に巻き込んじゃあ、大人のメンツが立たねえってもんよ!」

 

 と総理が鈴女さんを褒めると、鈴女さんは顔を紅くして慌て始める。

 

 あ、ああいう立場だと首脳陣の会話とかには迂闊に関われないか。ちょっと僭越な立場って感じか?

 

「か、勝手な発言失礼しました!」

 

「いんや、立派な大人の発言だった。総理大臣として褒めてやる! ほら、お前も腹減ってるだろ、一口食っとけ」

 

 と、総理は鈴女さんにも食事を勧める。

 

「お前らも、面倒ごとに巻き込んだ詫びに食っちまいな。どうせ俺たちだけじゃ食いきれないしよ」

 

 アザゼル先生も進めるけど、俺たち晩飯きちんと食いましたぜ?

 

「よし! 外の警備の連中にもなんか包んでやるか! 総理大臣としてそれ位のチップは弾んでやらねえとな!!」

 

「良いこと言ったわ大尽ちゃん! お金はレヴィアたんが出してあげる!!」

 

 首脳陣の大盤振る舞いっぷりがすげえな、オイ。

 

 ……しかし、禍の団による誘拐事件か。

 

 いったい、何を考えてやがる?

 




日本政府も動く一大事。大尽総理またも登場。

今回の一件、英雄派はかなり本腰を入れて動いております。……多少ですが魔改造がぶちかまされますのでお楽しみに。
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