ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
そして早朝、俺は伸びをするとシャワーを浴びた。
ったく。個室にも風呂があるのは好都合だが、それはそれで小さい奴だな、オイ。
八畳一間に二人で寝る。これ、高級ホテルの生活じゃねえだろ。どう考えても安い旅館のそれだ。
これも普段高級な豪邸で暮らしている反動かねぇ? いや、ゼノヴィア達女性陣は普通に高級な部屋に泊まってるんだけどな。
第一あそこはイッセーの家なんだから、イッセーは高級な部屋に泊まらせてやれよ。何がこいつをそこまで不憫な目に合わせる?
……っていまだに覗きの常習犯だった。それも、この京都ですら覗きを敢行しようとしてたしな。俺はともかくイッセーに関しちゃ当然の対応な気がしてきたぞ?
とはいえ、そのイッセーは朝からトレーニングの真っ最中だ。
いつものことだが元気なもんだ。たまには完全休養日を入れてもいいだろうによ。
……ま、俺は俺でいろいろやることがあるけどな。
俺はマスドライバースティンガーやコイルガンの研究のために、最先端技術の研究を行い始める。
俺の紫に輝く双腕の電磁王は知識が肝だからな。その辺の精密動作こそが真骨頂。勉強もまた必要なのさ。
……ペルティエ効果? なんかすごそうだな、少し調べてみるか。
と思っていたら、とんとんとノックが聞こえる。
「ハイどうぞー?」
「どうもっスー」
と、入ってきたのはペトだった。
「どうしたよ、ペト」
「いやぁ、ヒロイの勉強に触発されて、自分ももっと狙撃の勉強をしようと思ってッス」
というと、俺が持っていたパソコンを指さした。
「ついては感覚でやってた距離計算とか勉強したいんで、ネット貸してくれないっすか?」
ほほう。ペトもやはり、まだまだ精進するつもりだということか。
いいことじゃねえか。俺たち激戦続きだからな。やっぱり強くなるための特訓は大事だな。
「いいぜ。あと、俺もマスドライバースティンガーの研究があるから、良さそうなページはお気に入りに登録しといてくれ」
「OKっす!」
そして、俺たちは朝ごはんに呼ばれるまで、思い思いに勉強を続けていた。
……あとで男女が朝っぱらから一緒の部屋にいたことで、先生方に怪しまれたが。
ほら、ペトは色々いかがわしいことしまくりじゃん? 変なことしてると勘違いされてもおかしくねえじゃん?
逆に全くそういうことをしてなかったので、変な心配の視線が向けられたけどな。
そんなこんなで観光タイム!
修学旅行~修学旅行~♪ 古都の京都で観光だ~っと!
「因みに、こっちから行くと近道っす! 前に友達に教えてもらったッス!!」
「おお! ペトがすごく頼りになる!!」
「いつもお世話になります!! 下半身も!!」
松田と元浜に感心されながら、ペトがスピーディに抜け道を教えてくれるおかげで、あっさり清水寺についた。
流石は元京都府在住。田舎の方に住んでたと聞いてたけど、時々京都に来てたみたいだな。
「知ってるアーシア? 三年坂で転ぶと、ホントに三年で死ぬらしいわよ~?」
「はぅう! 転びたくありません!!」
と、桐生にからかわれたアーシアがイッセーに抱き着いた。
もろとも転びそうだからやめときなさい。あと、そんな呪いみたいなものは俺が聖槍で弾き飛ばすから。
と思ったら、ゼノヴィアまでイッセーに抱きついていた。
「日本は恐ろしい術式を仕込むんだね」
「恐るべし日本。私、生まれ故郷だけど怖くなってきたわ」
イリナまで抱き着きやがった。
「ま、まってくれ三人とも。歩きづらくて俺が転ぶ……いや最高ですけど」
「「「お前だけ転んで死ね!!」」」
思わず松田や元浜と一緒に悪態ついたぜ。
「いや、自分五年前に転んだッスけど全然大丈夫ッスよ」
ペト。お前転んだんかい。
などとやっていたら、清水寺に到着した。
意外と低いな。これなら落ちても別に死にゃしないと思うけどよ。
「因みに、落ちたけど生きてるって人は結構多いわよ」
マジか桐生。物知りだな。
「前に小犬が落ちたけど、あっさり着地してたっす。おひねりもらってたっす」
いらん情報ありがとよ、ペト。
まあ、あいつなら普通に三回転半ひねりとかして着地しそうだよな。身体能力抜群だし。
「おお! 俺とアーシアの相性は抜群だってさ!!」
「はい! 最高です! 最高の気分です!!」
なるほど、アーシアとイッセーはおみくじで相性を占ってたんだな。
お嬢が後で嫉妬で狂いそうだぜ。いや、アーシアには甘いし大丈夫か?
「さて、俺もおみくじでもするかねぇ」
これぐらいなら主の遺したシステムもお目こぼしするだろ。
と、思っておみくじを開くと凶だった。
あれ? 駄目っすか清水寺の仏様?
いろいろと微妙な評価だったが、何より気になるのは恋愛だった。
―想い人に、試練来る。乗り越えれるかはあなた次第。
……想い人? 俺、恋愛的な意味で惚れてる人なんていねえぞ?
やっぱおみくじ何てこんなもんか。当たるも八卦当たらぬも八卦……と。
「金閣寺は金で、良かったぁ」
「はい、良かったですねゼノヴィアさん」
「これで金じゃなかったら、ゼノヴィアは倒れてたわね……。主よ、お慈悲をありがとうございます」
「寺に聖書の神の遺志が関わるわけないっすよ?」
ほっとするゼノヴィアに対するアーシアに続いたイリナに、ペトがツッコミを入れた。
割とボケキャラのイメージがあるが、周りの方がボケだよな、うちのメンツ。
ゼノヴィアの奴、歴史の教科書見てたはずなのに、銀閣寺に銀が使われてると思ってたからな。
事前にそういうのは調べとけよ。画像あるだろうに。
しっかし、生で見るとすごく輝いてるな、金閣寺。すげえ。
「金……金色……」
茶屋で休憩しているときもゼノヴィアはそんな事ばかりだった。
「キャー! 痴漢よー!」
「おっぱい、おっぱいをちょうだいぃいいいい!!!」
と、またも痴漢騒ぎ。しかも今度の下手人は女っぽいな。
同性愛者の痴漢とか、珍しいな。同性愛者自体が結構珍しいから痴漢なんてもっと少ないからな。
「なんか、京都じゃ痴漢が多いな」
「そうね。もっと平和なところだと思ったんだけど」
と、元浜と桐生がちょっとうんざり気にぼやく。
確かに多いな。昨日の夜も、泊まりに来ていた観光客が「痴漢を見かけた」とか言ってたし。
「そういや、俺もなんか無性におっぱい揉みたくなったんだよなぁ」
松田もそうだったな。かくいう俺もそうだ。
俺がそんな暴走をするわけねえし、これはやっぱりヴィクター経済連合による精神攻撃か?
いや、こんなあほなことするメリットがわからねえ。犯罪を起こさせて治安を悪化させる作戦なら、もっとやるべき犯罪があるはずだからな。
しっかし、だとしたらなんだこれ? いくらなんでも痴漢多すぎないか?
「……え? 狐?」
ん? イッセーが電話で誰かと話してるぞ?
それも何やら警戒心が出てきてる。どういうこった?
気になったんで俺が聞こうとしたその時だ。
「あれ? なんか……眠……」
と、桐生が急に眠りこけた。
それだけなら昨日寝れなかったのかと思ったが、そうじゃない。
松田と元浜もまた、気づいたら眠っている。
それどころじゃない。ほかのお客さんたちもまた、眠りこけていた。
……チッ! また攻撃か?
そう思って警戒態勢を取る俺たちの前に、人影が出てくる。
とっさに戦闘準備をとった俺たちだが、その姿を見て警戒心が緩んだ。
「ペッちゃん、やっほー♪」
「小犬ちゃん?」
あ、神代小犬とか言ったっけ?
以前オーディンの護衛で出てきた、小犬が姿を現していた。
ど、どういうことだ?
疑問に思う俺たちの前で、ロスヴァイセさんもまた姿を現した。
「皆さん。すいませんがちょっとお時間を取らせてください」
ん? どゆこと?
首をかしげる俺たちの前で、小犬が勢いよく頭を下げた。
「こっちゃんが本当にゴメン! ちゃんとわかってくれたから、ちょっとあってくれないかな?」
……これは、状況に変化があったとみていいのかねぇ?
はい、観光編終了です。
そういうわけで、次は状況説明会ですね。