ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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第三章 33

 

 この世界における、本当の聖槍の担い手。

 

 それが目の前の男、曹操だ。

 

 ヴィクター経済連合実働部隊、禍の団の有力派閥、英雄派の最高幹部という、ヴィクターでも有数の地位に立つ男。

 

 絶霧が出てきた時点でその可能性はわかっていたが、ここで出てくるか!!

 

「母上をさらったのはお主たちか!! 母上を返せ!!」

 

「くっちゃん! 危ないから下がってて!!」

 

 小犬に抑えられながらも、九重は怒りの表情で曹操に怒鳴る。

 

 当然だ。こんな小さい子が母親を誘拐されてるんだ。思うところがあって当然だ。

 

 それに対して、曹操は慇懃無礼な態度で返答する。

 

「申し訳ありませんが、もう少しお待ちください。お母上には我々の実験にお付き合いいただいておりますので」

 

 実験……だと?

 

 この京都から逃げてねぇのも、その実験に必要だからってことか?

 

 勢力図から遠く離れたところに何日もこもりっぱなしとは、いい度胸だな、オイ。

 

「だがその前に、最近メキメキ実力をつけている赤龍帝たちと手合わせしたいと思いましてね」

 

「そいつはかまわねえぜ」

 

 アザゼルはそういうと、速攻で龍の鎧を身に纏う。

 

 そして、光の槍を構えると曹操をにらみつけた。

 

「だが、九尾の姫君は返させてもらう!」

 

「できるのなら、どうぞご自由に」

 

 そういいながら、曹操は指を鳴らした。

 

 そして、一人の子供が前に出る。

 

「レオナルド。D型とE型を4対1の割合で頼む」

 

「ん」

 

 そう頷いた、レオナルドとかいうガキが力を籠めると同時に、黒い靄が生まれる。

 

 それらは一気に百体近くのドーインジャーを生み出した。

 

「やはり、ドーインジャーは魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)で作られた魔獣だったか!」

 

 アザゼル先生が舌打ちするのも分かる。

 

 ……魔獣創造。それは想像系神器の中でも最高峰に属する神滅具。

 

 使用者がイメージした魔獣をそのまま生み出し、自由に操ることのできる神滅具だ。

 

 なるほどな。大量生産できているとは思っていたが、ドーインジャーは最初から魔獣創造で作られた魔獣ってことか!!

 

「その通り。リムヴァン曰く、規格を同じにすることで誰もが魔獣創造を高い性能で発揮させる……ということを狙っているようでね」

 

 なるほどな。リムヴァンの奴は本気で世界征服でもする気ってことか。いやだねぇ、マジで。

 

 しっかしあっという間に百体以上作りやがったな。こりゃ、さすがに厄介か?

 

 しかし、アザゼル先生はこの厄介な数の差には警戒心を抱いていないようだ。

 

「……各勢力の超大型魔獣を送り込まないところを見ると、まだどの使い手もそこまで習熟してるわけじゃないようだな」

 

 その言葉に、曹操は答えない。

 

 ただ、静かにほほ笑みを浮かべるだけ。それが逆に気持ち悪い。

 

 そして、アザゼル先生は光の槍を大量に形成すると、一斉に放つ。

 

 その瞬間、ドーインジャーのに十体近くが一斉に立ちはだかる。

 

 そしてその光の槍を無造作に受け止め―

 

「―チッ! 光力対策万全の、対天使堕天使用のアンチモンスターか!!」

 

 半分近く生き残りやがった。

 

 仮にも最上級堕天使のアザゼル先生の攻撃を耐えるだと? マジかオイ!!

 

「御明察。レオナルドは特にアンチモンスターの生成に特化していてね。ちなみにそれがドーインジャーE型で、大半のD型は―」

 

 その瞬間、残ったドーインジャーの大半が一斉に両手から光弾を放つ。

 

 ……って、この感覚は!?

 

「下がりなさい!!」

 

 とっさに姐さんが氷の壁を作り、その光弾を防ぐ。

 

 間違いない。これ、エネルギー弾とかじゃなくてマジで光力の弾丸だ!!

 

「―悪魔用さ。どっちも中級クラスの戦闘能力はあるから気を付けるといい」

 

 そして、曹操は空いた手で指示を出すと、ドーインジャーが一斉に襲い掛かった。

 

 ちぃ! 対天使堕天使やら、悪魔やら、マジで戦力だしまくりだろ!!

 

「チッ! 俺は曹操を相手にする、お前らは九尾の娘を守れ!!」

 

「英雄らしい闘いで何よりね!!」

 

 そういいながら、姐さんは天候を操作しようとする。

 

 なるほど。相手が天使や悪魔の対策を考慮したモンスターなら、暴れるのは俺や姐さんが適任か!

 

 そう思った次の瞬間―

 

「リセスぅうううう!!!」

 

 霧を突き破って、白髪の男が突進する。

 

 奴はジーク!! あの野郎も来てやがったのか!!

 

「させるか!」

 

「このぉ!!」

 

 木場とイリナがとっさに迎撃するが、ジークは全力疾走でそれをやり過ごす。

 

「雑魚に用はない!!」

 

「チィッ!!」

 

 姐さんは天候操作をあきらめ、龍殺しのオーラを展開してその一撃をやり過ごす。

 

 同時にめちゃくちゃでかいトンファーを呼び出して、返す刀のグラムを受け止めた。

 

 それの余波で、渡月橋がぶっ飛びかけてやがる。なんツー威力だ!!

 

 っていうか、それを捌いている姐さんは姐さんで何なんだオイ!

 

「会いたかったよリセス。さあ、強くなった僕を見て、僕に切られてくれ」

 

「あの、あの時の発言は悪かったから落ち着いてくれない?」

 

 姐さんは正直引きつっているが、然しジークはまったく気にしない。

 

 顔をほんのりと赤く染めて、姐さんをうっとりと見て舌なめずりをする。

 

 一言言おう。キモイ。

 

「つれないことを言わないでくれよ。さあ、楽しもう……!」

 

 そしてさらに連続で攻撃を叩き込む。

 

 それを姐さんは全て捌くが、そのせいで完全にかかりきりになっている。とても他の奴の相手をしている暇がない。

 

 チッ! これは俺たちでやるしかねえだろうが!どうすんだ、オイ!

 

 さて、こういう時はどうすれば―

 

「木場! おまえの神器で光を喰う魔剣が作れたよな!? それを人数分作ってくれ!!」

 

 真っ先に、イッセーが声を張り上げる。

 

 ほうぅ、そんなことまでできんのか、やるな。

 

 なら、さらに重要なアーシアと九重のディフェンスは―

 

「―イリナ! アーシアと九重のディフェンスを頼む!! おまえなら光力のダメージは低いし、対天使型はディフェンス重視だから防戦に回れば天使でもやり合えるはずだ!!」

 

「普通にダメージ喰らうんだけど!? っていうかヒロイ君は!?」

 

 俺か? 俺は―

 

「オフェンスやるにきまってんだろ!!」

 

 そして喰らうがいい、新技!!

 

 大量に魔剣を展開し、そしてそれらに磁性を付与。そして一気に反発する磁力で吹っ飛ばす!!

 

「串刺しになれ、ヘッジホッグストライク!!」

 

 放たれる多方面魔剣投射に、ドーインジャーの多くが串刺しになる。

 

 そしてそれで空いた穴をついて、俺は勢いよく突撃した。

 

 あの手の使役するタイプの攻略法は本体狙い!大抵の場合は使役される側の方が戦闘能力が高いというのがこの手の常道!!

 

 ましてや相手はガキンチョ。本人の戦闘能力はそこまで高くないと見た!!

 

「させるかぁ!! 猛き炎の一撃(キャノン・オブ・プロミネンス)!!」

 

 横合いから禁手の一撃が襲い掛かるが、しかしそんなもんな大したことがねえ。

 

 魔剣をのばして足場にして、飛び上がって回避。

 

 そのまま一気に聖槍でレオナルドとやらを突きかかる。

 

 そこに、割って入る影があった。

 

「おぉっと。そうはいかねえなぁ」

 

 と、その言葉とともに聖槍がはじかれる。

 

 ……な、馬鹿な!?

 

「なかなかいい突きだが、まだまだ未熟だな、ガキンチョ」

 

 そう言い放つのは、三十手前の男。

 

 無精ひげを伸ばしたそのオッサンは、片手でよく見覚えのある槍を構えていた。

 

 見間違えるはずがねえ。あれは……黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)!!

 

 リムヴァンの奴、移植者を増やしやがったのか! 味なまねを!!

 

「上等だこの野郎!!」

 

 俺は足に魔剣を形成して、即座に回し蹴りを放つ。

 

 しかしそのオッサンは一歩前に踏み込むと、その足をつかんで俺を投げ飛ばす。

 

「五点。この程度じゃ意味がねえな」

 

 そして落下地点に回り込むと、そのまま聖槍を突き出した。

 

 ……なめんな!!

 

 俺は磁力操作の応用で無理やり身をひねり回避。そして着地と同時に槍を振り回す。

 

 それをオッサンはバックステップでかわすと、聖槍をのばして攻撃を叩き込む。

 

 チッ! このオッサンも俺より聖槍との相性がいいのかよ!!

 

「……ヒロイ下がれ! そいつはまずい!!」

 

 と、アザゼルが強引に割って入った。

 

 無理やり強引に割って入ったことで、曹操からの攻撃を喰らうが気にせずに牽制を叩き込む。

 

 それを素早く聖槍ではじくと、オッサンは不敵に笑う。

 

「おーおーアザゼルのオッサンじゃねえか! 久しぶりだなぁ、オイ!」

 

「……手前、なんで生きてやがる!!」

 

「いや死んだよ。俺が生きてたのが何百年前だと思ってんだぁ? 死んだよとっくの昔によぉ」

 

 くっくっくと笑いながら、そのオッサンはニヤニヤ笑う。

 

 え、なに? 知り合い?

 

「……おやおや総督殿。せっかく楽しんでいたのに、水を差すような真似はよしてくれよ」

 

 さらに曹操までやってきやがった。……面倒だな、コレ。

 

 ……つか、黄昏の聖槍三本とかどういう状況だよ。何がどうしてこうなった。

 

「……まさか、ここでお前と会うことになるたぁな。地獄でせんと一緒に暴れてると思ってたんだがよぉ」

 

「くっくっく。もしかしたら、せんも来るかもしれねえなぁ。リムヴァンには戦果次第で呼ぶように頼んでるからよぉ」

 

 アザゼルとよくわからん話をするオッサンは、聖槍の石突を橋に置くと、声を張り上げる。

 

「……遠からん者は音に聞け!! 近くば寄って目にも見よ!!」

 

 豪快に声を放ち、その場にいる者たちに知しめる。

 

「やあやあ我こそは、戦国乱世に生き抜いて、戦の中で死んだ者!! 我こそは、ああ我こそは―」

 

 聖槍のオーラを増大化させる。それこそが、あの男が一流の使い手であることの証明。

 

「……森長可なり!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『後ろからの不意打ちと見せかけて、えんきょりしゃげきでたおすのだー』

 

「なら無視して離れたところの奴から洋服崩壊(ドレス・ブレイク)!」

 

 ふっ! 乳語翻訳と洋服崩壊のコンボは無敵だ!!

 

 すでにこの戦法で、女の英雄派メンバーを十人は撃破したぜ!!

 

 おっぱいが教えてくれる限り、俺には不意打ちは通用しない。そして洋服崩壊がある限り、オンナは一撃で戦闘不能だ!! 

 

 フハハハハ! これが無敵ってやつだ。俺は、女相手なら無敵だ! 鼻血がとまらねえぜ!!

 

「……なら男ならどうだ!!」

 

 あ、男は無理です!!

 

 いかん、後ろから男の不意打ちはさすがにキツイ―

 

「えいや!」

 

「へぶぁ!?」

 

 と、思ったら勢いよく殴り飛ばされて吹っ飛んだ。

 

 あ、小犬ちゃん!

 

「大丈夫?」

 

「もちろんさ! ありがとな!」

 

 俺は指を立てて返事をする。

 

 すげえな小犬ちゃん。洋服崩壊と乳語翻訳なしじゃ、俺ともまともに渡り合えるんじゃねえか?

 

 まさかそこまで強いだなんて思わなかった。さすがはペトの友達だ。

 

 そう思ったその時、大きな音が響いた。

 

「遠からん者は音に聞け、近くば寄って目にも見よ!!」

 

 振り返ると、そこには曹操と一緒に先生やヒロイと向き合ってるオッサンが一人。

 

「やあやあ我こそは、戦国乱世を生き抜いて、戦の中で死んだ者!! 我こそは、ああ我こそは―」

 

 若い奴らだらけの英雄派の中で、一人だけ異彩を放ってる。

 

 しかも、先生がマジで警戒している。……なんて奴だ、あいつ!!

 

「……森長可なり!!」

 

 ……森、長可!?

 

 って確か、織田信長に仕えていた、戦国武将ぅうううう!?

 

 英雄の末裔って聞いてたけど、オッサンも参加してんのかよ!!

 

 と思ってたけど、先生が大声を放って俺のそんな考えを吹きとばす。

 

「全員気をつけろ! こいつはマジモンの森長可だ!!」

 

 え? マジモン?

 

 でも、森長可って何百年も前の人ですよね!? 生きてるわけないですよね!?

 

 あ、もしかして転生悪魔だったの!?

 

「いや、こいつが生きてるわけがねえ。当時のグリゴリ(俺たち)が危険視して、暗殺した筈だ! そもそも悪魔側も警戒してたしな」

 

 え? じゃあなんで生きてんの!?

 

「ま、種晴らしはまた機会があったらな……ツーまでもなく、お前さんたちなら知ってるだろうけどなぁ?」

 

「聖杯か……! リムヴァンの野郎、そんなもん迄確保してんのかよっ!!」

 

 アザゼル先生だけが何かに気づいたけど、まったくよくわからねえ。

 

 っていうかどうすんだこれ? なんか、思った以上に敵の戦力が多いっていうか……

 

 そう思ったその時、轟音ともに着地する人影が二人。

 

「ストーカー被害で訴えるわよ、ホント!!」

 

「それは仕方がないね。人は皆、愛をもとめるストーカーなのさ」

 

 あ、リセスさんとジークだ。

 

 っていうかジークキモイ。血まみれで頬を染めてるとかマジで怖い。

 

「やれやれ。これはまた仕切り直し……といったところかな?」

 

 と、曹操の奴が苦笑を浮かべる。

 

 なんかわからないけど、英雄派の連中も本気ってことか。

 

 こりゃ厄介だな。ホント俺の周りには強い奴がどんどん集まってきやがるぜ。

 

「………曹操!! お前らは言った何のつもりでこんなことをした!! 何を目的としてヴィクター経済連合に憑着いた!! ……ま、答えるわけがねえか」

 

 思わぬ展開にアザゼル先生も焦ってるけど、それをあえて飲み込んで曹操を問いただす。

 

 た、確かに。

 

 ヴィクター経済連合は確かに大義名分があるけど、上の連中は独自の思惑がある。

 

 利益目当てだったり、冥界の主権確保だったり、赤龍神帝を倒したかったり、アースガルズに復讐したかったり。

 

 だったら、英雄派の目的って何なんだ?

 

 それに対して、曹操はふっと笑った。

 

「総督殿。我々の目的はシンプルだ。……人間がどこまで行けるのかを知りたい」

 

 ……人間が、どこまで?

 

「登山家の言葉、そこに山があるからだ。そして数々のギネス記録。それらが証明する通り、人間というものは己の限界を知りたがり、そして超えたがる生き物だ」

 

 槍と天へと突き上げ、曹操はさらにそれを上へと伸ばそうとする。

 

「もっと高く。もっと強く。もっと遠く。もっと凄く。そう、この国の作品で例えるのなら、あの山の向こう側へと行きたい。……そういうロマンを追求する組織が、英雄派だと思ってくれればいい」

 

 い、言いたいことはなんとなくわかる。

 

 俺もおっぱいは追及したい。そのために何度も覗きを繰り返したし、ハーレムを作ってもそれをよりよくしたいという願望はある。

 

 それと同じものを英雄派は持っているのか。そして、其のためならば世界大戦すら辞さないってか?

 

 は、はた迷惑すぎる!! やるなら人に迷惑をかけない範囲で……あれ? 俺人のこと言えなくね?

 

「……どうやら、俺たちは同類らしいな」

 

『『『『『『『『『『一緒にするな、変態!!』』』』』』』』』』

 

 集中砲火で反論されたよ。ひどい!!

 

 そんなにエッチなことはいけないことですか! 生きとし生ける動物は、エッチなことしなけりゃ増えたりできないんだぞ!! 必要なことなんだぞ!! 本能なんだぞ!!

 

 くそぅ。俺の方から歩み寄ってみれば、なんだこの展開は!!

 

 是じゃあ、まるで俺が……。

 

「お前らより悪い奴じゃねえかよ!!」

 

「いや、仮にも大義を掲げている俺たちヴィクター経済連合と、純粋な覗き魔じゃあ、比べるのが変じゃないかな?」

 

 マジ返しすんな、曹操!!

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Out

 




ロマンで戦争する組織、英雄派。

そしてそんな連中からもツッコミが出てくるイッセー。でもある意味正論なので反論がしづらいという罠。
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