ラブライブリスタートシリーズ ラブライブカーニバル   作:しゅみタロス

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第12話 不確定性感情論

合宿から約4日、俺は頭を抱えつつ悩んでいた。

南さんに対して返す言葉も無かった俺自身をむしろ罵倒したいぐらいだった。

ダメ男の烙印を自分で押した感じであやふやになってる。

今の自分はただ悔やむしかなかった。

 

そんな時、突然インターホンが鳴り響いた。

 

「心咲君、私だよ」

 

扉を開けると穂むらの紙袋を持った高坂さんが立っていた。

 

「高坂さんか、珍しいな、訪ねて来るなんて」

「実は新作の和菓子何個か持ってきたんだ。心咲君の意見が聞きたくて」

「ありがとう、丁度甘い物が欲しかったんだ」

「あ、心咲君、後ろに……」

 

振り向けば母さんが物凄い微笑みでこちらを見ている。

 

「場所を変えよう、喫茶店にでも行く?」

「いや、べ、別に迷惑じゃないけど……」

 

すると少し照れつつ心咲に呟いた。

 

「心咲君の家、あがってみたいな……」

 

その言葉を聞いた俺は少し驚いたが母さんがガッツポーズしてた。

そして高坂さんを俺の部屋へ案内した、まさか自分の部屋に幼馴染が入る事になるとは。

 

「凄くカッコイイポスターの貼ってある部屋だね、何ていうバンドかな?」

「東京サディスティッククラブっていうロックバンドだよ。1994年から活動してるんだ、それなりに有名だよ」

「確か心咲君の部活って」

「バンド部だよ、ギタリスト。」

「心咲君が通学時に背負ってる大きなカバンってもしかしてギターだったの?」

「そうそう、一週間の終わりに持って帰ってるんだ」

 

そう言いつつ持ってきたようかんを口にした。高坂さんはニコニコしながら俺を見る。

 

「流石は高坂家、良い物を作るね、おいしいよ」

 

その言葉を聞いた高坂さんは顔を赤くしつつ、喜んだ。

 

「心咲君、さっきの笑顔可愛いよ」

「えっ?」

 

すると高坂さんは俺の目の前でこう言った。

 

「キスとハグ、どっちがいい?」

 

俺はその言葉を聞いた瞬間自分の中の何かが壊れた気がした。思考回路が停止して手が伸びる。

高坂さんの身体を抱き寄せると高坂さんは少し喘ぐ声を出した。

 

(俺にとって今、何が正しいのか分からない、高坂さんは俺にとって……)

 

すると俺は我に返り高坂さんの身体から手を離した。

 

「ごめん、高坂さん。こういうのはやめた方がいいと思う」

「そっか・・・心咲君はまだ答えが見つかってないんだね」

 

高坂さんも我に返り俺から少し離れた。

 

「少し飲み物を持ってくる、ここで待ってて」

 

そして俺は逃げるようにコーヒー缶を取りに行った。

一方で高坂さんは部屋の本棚を探っていた。

 

「ほとんどバンド関係の雑誌だ、ちゃんとナンバリングもされてる」

 

すると高坂さんは雑誌の横に一冊だけ置いてある写真アルバムに目を付けた。

 

「心咲君の昔の写真かな、大分開いてないみたいだけど」

 

開くとそこには俺の写真がたくさんあると同時に高坂さんと出会った頃の写真が残っていた。

だが高坂さんはその写真に数枚くらい覚えのない女性が映っていた。

 

「この人、誰だろう?凄く綺麗な人だ」

「その写真、誰にも見せた事ないんだ」

 

少し寂し気な様子を見せつつコーヒー缶を高坂さんに手渡した。

 

「ご、ごめんね、勝手に見て……」

「いいよ、怒る事の程じゃないし」

 

お互いの沈黙、俺は少し考え高坂さんに話す事にした。

 

「知ったのであれば、話す以外無いみたいだな」

「何か隠してるの?」

「全て話すよ、3年前、俺の身に起きた事件を」

 

俺はコーヒーを渡しつつ高坂さんの隣に座った。

 

「その写真に写ってるのは、心咲楓、俺の姉さんだ」

「えっ、お姉さんって、心咲君一人っ子のはずじゃ」

「それは今の話、本当は姉がいた」

 

唐突すぎる話に状況がいまいち分からない状況になっている。

高坂さんは凄く驚いてる。

 

「俺はいつも姉さんの後ろに隠れてるような人見知りだったから自分には安心できる数少ない人だったよ。自分にとって高坂さんと同じぐらい大切だった」

「そのお姉さん……今はどうしてるの?」

 

高坂さんは何か嫌な予感を感じてるみたいだった、俺は真剣な顔で口を割った。

 

「3年前、姉さんはストーカーに殺された」

「!」

「3年前の10月辺りから黒服の男が俺と姉さんの後をつけてた。薄々気が付いていたけど、気のせいだと思って知らないフリしてた。でも10月の終わりの頃、姉さんはコンビニでバイトをしていた。丁度俺も買い物をしていたんだけどこの日が自分の全てが狂った日だったんだ。黒服の男が押し入ってきて姉さんをナイフで殺した、俺は死んでゆく姉さんを抱きしめながら泣いた。黒服の男もその後死体で見つかり、この事件は闇の中に消えた」

 

高坂さんは話を全部聞くと辛そうな顔をして俺の手を握った。

 

「そんな酷い事件に、心咲君が……」

「自分はそのストーカーの事に気づいていた。でもそれを伝えなかったから姉さんは死んだ、自分の嘘が姉さんを狂わせた、ずっと後悔してるよ。今の自分も」

「まさか……心咲君が嘘を嫌う理由って……」

「自分がそう言う境遇の人間だからさ」

 

「……」

 

不安の募る会話でお互い返す言葉も無かった。そんな時部屋の扉が開き……

 

「驚いたわ、護が楓の事他人に話すなんて」

「全部聞いてたのか」

「ずっとね、それよりこれ、穂乃果ちゃんに私からロールケーキよ」

「ありがとうございます」

「じゃあ、俺はそろそろスクールアイドルの仕事に戻るよ」

「無理しないで頑張ってね。じゃあ私はこれで」

「ありがとう、高坂さん」

 

そう言いつつ高坂さんは手を振って帰っていった。

 

それから数日

 

「よし、ダンスの構成は出来た、後は彼女たち次第」

 

ペンを止め、乾燥野菜チップスを食べつつスマホに手をかけた。すると……

 

「何だ、このメール誰だ」

 

メールを開くとそこに書かれていたのは。

「秋葉原駅前喫茶店で会いたい、話したいことがある」

 

その言葉を見た俺はメールの主に会う事にした。

 

秋葉原駅前

 

「この喫茶店か、メールの主はどこに?」

 

すると一人の若者が声をかけてきた。

 

「あなたが心咲さんですね。」

「メールの送り主か。」

「はい、木原トウジといいます。楓さんの弟の護さんですよね」

「姉さんを知っているのか?」

 

椅子に座りつつブラックコーヒーを頼む。

 

「はい、姉さんを殺したのは僕の兄ですから」

「木原さん、あのストーカー男の弟なのか」

「はい、3年前の事件で自分も辛い人生を送りましたから。事件当時楓さんの死体を抱いて泣くあなたを見ていました。兄のせいであなたに酷い苦しみを背負わせてしまいました。僕はあの事件以降学校にまともに通えず、メンタルケアを受けながら生活しています。今日あなたに出会うのも少し躊躇してました。きっと傷ついてるだろうと」

「つまり木原さんも俺と同じ3年前の事件で、狂った人間って事か」

「あなたにメールを送れたのは兄の手帳にあなたのメールアドレスが書かれていたからなんです。自分も過去に触れるような事は避けてきましたけど、あなたには話すべき真実がある。だから呼んだんです」

 

コーヒーを飲み込むと心咲は木原に尋ねた。

 

「姉さんとあんたの兄さんはどんなつながりがあったんだ」

 

木原さんは頭を抱え語り始めた。

 

「3年前、兄貴と楓さんは恋人だった。学年は兄貴の方が上だったけどそれでも兄貴は楓さんを大事にしてた、とても微笑ましかった。でもある夏の日、当時美術部だった兄貴は高校最後のコンクールに出す絵画に力を出していた、でもある時その絵画を何者かに台無しされてコンクールに出展できなくなった。そこから兄貴は自分を責め続ける毎日を送りそんな兄貴を支えたのは楓さんだった。でも兄貴の一言が原因で兄貴は楓さんを失った。すべてに絶望した兄貴は自分で全てを終わらせるためにストーカーになって楓さんを付け狙ってた。ただ兄貴はナイフを取り出す度泣いてたのを見た。本当はこんな事したくなかったんでしょう。そして10月の終わり、あの事件は起きて楓さんを殺した後自分で首を切って自害した」

 

すると木原さんは俺に対して頭を下げた。

 

「兄貴がしたことは本当に迷惑に思ってる、止められなかった俺のせいでお前に悪い事をした。本当に・・・本当にすまなかった!!」

 

俺は何も言えなかった。ただ残ったのは心に住み着いてた闇が自分の中で大きく蝕んでいく感覚だけだった。

 

 

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