ラブライブリスタートシリーズ ラブライブカーニバル 作:しゅみタロス
歳「今週はちゃんとした話にするからご安心を、作者も十分遊んだので気合入ってます。」
智樹「それでは第19話をご覧ください。」
心咲「駄作にならなきゃいいけど。」
寒さが本格的になり、俺は最近ジャケットにこだわるようになってきた。
あの後絢瀬先輩はちゃんと帰れたけど俺は寒さを堪えながら帰る事になった。
唯一の救いは絢瀬先輩は風邪を引かなかったことだろう。
正直俺は絢瀬先輩に期待している、ツイッターのアンケート調査で絢瀬先輩が人気の高いミューズメンバーだから今後の活動では絢瀬先輩のビデオを作る予定なのだがテーマはまだ決まってない。
でも同時に自分からあまり話す事が出来ない。理由は当然、
(美人過ぎて滅茶苦茶話ずらい……)
この一択である。
純情系殺しの身体と美貌には俺自身にとってもストライクなのだ。
普通の男子だったらウインク一つでやられるのは当たり前。
そう思いつつ着替え終わった後に財布とスマホを胸ポケットに入れた。
朝食とコーヒーを楽しみつつジャズ音楽を聴き流していたら突然インターホンが鳴り響いた。
「こんな朝から誰だ?」
扉を開けるとそこには……
「心咲君、おはよう」
制服姿の南さんだった。朝から俺に会いに来るなんて一体どうしたんだろうか。
「あら~ことりちゃんが護に会いに来るなんて~どうしたの急に?」
南さんは手に持っていた紙袋を俺に渡す。中に入っていたのは……
「お弁当?」
「以前心咲君が私の家に泊まった時に私の料理をおいしいって言ってくれたから、後心咲君お昼ごはんはサンドイッチしか食べないでしょ。だから作ってあげたの。心咲君が喜ぶ顔が見たくて……」
俺は南さんの心遣いに感謝しつつこう答えた。
「ありがとう、南さんが作ってくれたのなら、絶対おいしいよ」
「護、良いお嫁さんを持ったわね~この罪な男め~♡」
「誤解招く様な事言うな!」
「心咲君はちゃんと好きな人がいるから私は別に愛人ポジションですけど」
そんなこんなで登校後
「……」
スクールアイドル部の部室でストーブに当たりながら上の空の絢瀬先輩。
部室の入り口で何が起きてるのか分かってない東條先輩に矢澤先輩は鋭い目つきで言った。
「なんか物凄いピンク色の気配を感じるんだけどどうしたんだろう」
「ウチの占いも面白い結果が出とるんよ、えりちがこの様子やと……」
「十中八九男の可能性って事ね」
すると矢澤先輩は何にもなかったような顔をして部室に入った。
「エリー、入るわよ」
「おはよう、寒かったでしょ」
「まあね、それより昨日は傘持ってなかったみたいだけど帰れたの?」
「何とか帰れt……」
その瞬間脳裏に昨日の出来事がフラッシュバックした。
無意識に顔が赤くなるとそれを隠す様に視線を逸らす。
「ははーんその様子だと昨日何かあったわね」
「えりち、乙女の顔になっとる。かわええなあ」
「希、何言ってるの!!」
「恥ずかしがらずに話してくれへん、昨日誰に惚れたんや?」
逃げ場の無くなった絢瀬先輩は昨日起きた事を全て話した。
その惚れた相手が俺である事を知った東條先輩は頭を抱えてこう思うのだった。
(心咲君からしてみればまた本人の悩みが出来てる事になるんやな。でも引き下がる事は今回出来んかもしれん。まあこれはこれで面白いんやけど)
すると矢澤先輩は下心を含んだ笑みを浮かべ絢瀬先輩にこう伝えた。
「言っとくけど心咲君は強敵だよ、それなりに準備が必要になるの」
そう言って矢澤先輩はある場所のパンフレットを突きつけた。
そのパンフレットの中身を見た絢瀬先輩は……
「これは……どういう事?」
「週末にジャケットを返す名目でデートしてきなさい」
「デ、デートーーーー!!」
その日の夕方の俺の家では……
ガチャ
「学校帰りのシャワーは最高だな。この後は今週のラブチューンズでも読んで……」
ピローン
ラインの通知を受け取った俺はスマホを見ると……
「え……」
一瞬全てが吹き飛んだように思えた、絢瀬先輩からのラインなのだがその内容は……
『昨日ジャケット貸してくれてありがとう。もし迷惑じゃなかったら今週末に渋谷へデートに行きませんか?』
「俺が……あの……あの絢瀬先輩とデートって……」
思考が追い付かない、渋谷へデートってあの絢瀬先輩が俺を誘うなんて。
とりあえず断る事も思いつかなかった、ラインに返信を出す。
『絢瀬先輩のお誘いであれば一緒に行きましょう。楽しみにしてます』
俺はその後終始手が震えていた。あの絢瀬先輩とデートに行こうなんて夢じゃないかと思いつつ眠りについた。そして迎えた土曜日。
秋葉原駅の前で俺は缶コーヒーを片手に絢瀬先輩を待っていた。
そして聞こえてくるあの声が……
「お待たせ、寒くない?」
「いや、全然。このエリアは比較的あったかいので」
「じゃあ渋谷まで行くけどどの電車か分かるかな?」
「ばっちり調べましたよ。こっちです」
だがここで気づいた、俺が絢瀬先輩の手を掴んでるのを。
「心咲君、結構大胆なんだね」
「す、すみません」
そして背後には
「この初々しい感じ、たまらへんなあ」
「序盤からリア充全開ね、後を追うわよ、行こう」
秋葉原から渋谷まで20分電車に乗り目的地に着く。
「かなり人が多いな、流石は渋谷」
「ここから5分歩いた場所に行きたい場所があるの」
「じゃあはぐれないように、俺に掴まってて」
すると絢瀬先輩は腕に掴まり歩いていた。
至近距離で絢瀬先輩の香りがダイレクトに。
街行く人からしてみれば俺たちカップルだと思われている。
調子が狂うがここは空気を読んであえて無言を貫いた。その一方で……
「この後の心咲君の反応が楽しみやな~」
「ここまではスムーズに進んだけど心咲君どんな顔するかな。ヒヒヒ」
俺と絢瀬先輩がやって来たのは渋谷のとある学生街。だがここの看板を見た瞬間……
「ここって……カップルストリート……じゃないですか?」
その看板の名前通り、周りは恋人だらけであり俺が到底入る事の出来ないヘブンだった。
俺は絢瀬先輩に顔を赤くしながら確認する。
「絢瀬先輩の行きたい場所って、ここなんですか。何かの間違いじゃ……」
「何言ってるの、心咲君と私はここに行くのよ、一日ぐらい付き合ってよ」
俺は頭の中で理解に苦しんでいた、ただ俺は理性を保つ事に精一杯で街を歩きながら辺りを見回していた。
すると絢瀬先輩は俺の服の袖を引っ張った。
「あのアクセサリーショップ行ってみようよ」
俺はとりあえずキャラメルで脳をリセットして入店する。
ショーケースに入った指輪やネックレスを見ながら呟いた。
「ペアルック前提にアクセサリーが大半だな、しかも値段もそこそこする」
そして俺は店を出ると……
「心咲君、それカッコイイね」
俺の指にはアメジストに翼の意匠の指輪を購入した。
絢瀬先輩はガーネットの髪飾り、俺は絢瀬先輩に笑顔で髪を撫でた。
「すごく可愛い、俺好みだ」
「あ、ありがとう」
顔を赤くして照れる絢瀬先輩を見て思った。
(俺って誰が好きなんだっけ?)
途中で分からなくなった。
俺の本命の相手、ていうかしれっと俺とんでもない事してるような、俺ってここまで女癖悪かったっけ。
クソッなんだこのジレンマは。
「心咲君?」
「な……なんでございましゅか」
「あの店ガーデンサンドのお店なんだけど、行ってみない?」
とりあえず何か食べて考え直すことにした。
俺はオニオンシュリンプサンドとコーヒーを口にしつつ今の状況について考察したが何の確証も無い。
店を後にして入口の噴水広場にある事を聞くために向かった。
「少し話でもしますか?」
俺は絢瀬先輩にコーンポタージュの缶を渡して話を切り出した。
「どうしたの急に?」
「絢瀬先輩には、俺がどう見えてますか?」
「え……」
「友達としての俺か、それとも異性としての俺か」
その瞬間絢瀬先輩はドンピシャだったのか物凄く真っ赤になっていた。
「その様子だと、俺は異性として見られていた訳か。参ったな」
近くで傍観していた東條先輩が頭を抱える。
「このパターンはもう駄目やん、心咲君の洞察力が発動した時点でこれはもう……」
「マズイ……」
正直言うべきか迷ったが、わかってもらうには少々残酷だ。
それでも現実を突きつけないとこっちも気楽に終われない。
俺は絢瀬先輩に自分の本心をを伝えた。
「結果的には……すみませんでした」
絢瀬先輩はその言葉で結果を察した。
「俺、好きな人がいるんです。ずっと近くに居てくれて……自分の存在意義を教えてくれた、幼馴染が好きなんです」
「そっか……心咲君、穂乃果の事が……」
「はい、今の自分にとって高坂さんは大切な存在なんです。全てが終わったら……高坂さんに想いを伝えようと思います。本当にすみませんでした」
その言葉を聞いた絢瀬先輩は沈む夕焼けを見ながら俺に呟いた。
「近くに居るだけでも……」
「いいよ、俺の近くならいつでも」
絢瀬先輩の涙に俺は少し心を痛めていた。
しゅみタロス「心咲、責任持って一夫多妻だ。どうもありがとうございました。」