ラブライブリスタートシリーズ ラブライブカーニバル 作:しゅみタロス
遂に迎えた本戦当日。
楽屋のテレビで他の学校の演技を見ながらポップコーンを口にしていた。
最終調整を終え、俺はただ信じるだけだ
ミューズを、すると俺の元へ一人のスーツ姿の男性がやってきて声をかけた。
「君が心咲護君だね、話は聞いてるよ。」
「えっと……あなたは……」
男は名刺を取り出し、俺に渡した。
「ラブライブ運営委員会人材発掘部門、赤峰浩太」
「僕はラブライブで優秀な人材を見つけて将来活躍する歌手やプロデューサーを育てる仕事をしているんだ。君は17歳の身でありながらラブライブに出場するアイドルを指導して予選を2位で通過した。まさしく奇跡の逸材。実に興味深いよ」
「ありがとうございます。自分でもここまで来たのは本当に辛かったけど。そう言ってもらえると嬉しいです。正直……」
「実に謙虚だ、若者は純粋とはよく言った物だよ。果たして君は、7冠王のアライズを超えられるか楽しみだよ。期待してるから頑張り給え」
そしてテレビに目を向けると……
「来たか、アライズ」
研ぎ澄ました感覚をテレビに向ける。
「その実力、見せてもらいますよ」
静かな始まりと同時に赤と黒の衣装、テーマはハリウッドとプログラムに書かれており、思い切った歌唱力と大胆なパフォーマンスを見せる。
だが自分はそれを見ながら衝撃を受け呟いた。
「真っ黒だ、これは……誰かの為のパフォーマンスじゃない!!」
席を立ち、拳を握りしめた。
「こんなの……ただ自分の存在を見せつけてるだけじゃないか!!」
俺は席に戻ると同時に頭を抱えた。
「俺の知ってるアライズは……もういない……」
今のアライズの本質を見た俺は意を消して叫んだ。
「許さない、あの歪んだ自己顕示のようなスクールアイドルが1位とか、俺は認めない!!」
初めて知ったアライズの闇、俺は正直失望した。
だが引きずっている訳にはいかない。
俺はミューズの出番の10分前にミューズにメッセージを送った。
ミューズの楽屋
「心咲君からメッセージだ。アライズの事は忘れろ、彼女たちは俺たちの知ってるアライズじゃない。本番、必ず成功させろ」
そのメッセージと同時にミューズもステージに上がっていった。
そして本番直前。
集まった俺たちはミューズに最後の言葉を残した。
「皆、ここまで来たのは全て皆の頑張りがあってこそだ、優勝して音ノ木坂の名前を伝えよう、全力を期待する」
そして俺はライブ開始の合図を出した。
「ミューズ」
「ミュージックスタート!!」
そして始まった、ミューズのステージ。
俺は彼女たちの歌声と振り付けをノートでどれだけ書き記したことか。
バラバラだったものが一つになった時の美しさ、自分が求めたアイドルが今、目の前で歌ってる。
華やかな彼女たちを見届けると同時に、演技が終わった。
大歓声とサイリウムが広がる会場を後にした。
その後もライブは続き、俺はそれを見ていた時楽屋の外から声が聞こえた。
赤峰さんと綺羅さんだ。その会話を聞いてみたら……
「何故、何故私がランキング40位なのよ!!」
「理由はわかってるはずだ、君はスクールアイドルの栄誉を手にしたと同時に自分中心のパフォーマンスを行った。その上傲慢な目で他のスクールアイドルにモラルに反した言葉を言いつけたと。数名のスクールアイドルから報告があったぞ」
「私はスクールアイドル頂点よ。あんたなんかに何と言われようと私がトップである事に変わりはない」
「君には期待していたが、残念だよ。ここまで堕落したスクールアイドルになるとは」
そして俺はその会話に割って入った。
「人の頑張りを否定する事はその人の人生を否定するのと同じです。あなたは何かの為に頑張る事をしませんでしたか。努力をしないで手に入れた功績と栄誉に意味なんてない。俺だったらあなたに言うべき言葉は一つ。他人を否定すればするほど、いずれ訪れる残酷な結末から逃げる事すらできなくなっていくんですから」
綺羅さんは何も言い返せない状況に陥っていた。そして俺は追い打ちをかけた。
「負けを認めてください、もう分かっているはずだ。これ以上反論も嘘も通じない事も。それでも認められないなら……いくら女でも、許すつもりは無い」
綺羅さんはその場にしゃがみ込む。そして俺に告げた。
「私の負けよ……自分以外のスクールアイドルを認められなかった。このライブ後、UTXで全て謝るわ」
その様子を見た赤峰さんは俺に少し苦笑いで聞いた。
「心咲君は結構静かに見えてはっきり言っちゃうタイプなんだね」
「言っときますけど間違いを正す事が出来る人がいなかったら俺もミューズもここには居ませんから」
すると赤峰さんは満足気にこう言った。
「そろそろ結果発表だ。ステージに行こう」
赤峰さんの後ろ姿を見届けながら俺はしゃがみ込む綺羅さんに手を出した。
「一緒に結果を見に行きませんか」
「この私を……」
「以前の綺羅さんはもういない、そう気づいてるので」
俺は綺羅さんの手を繋ぎ、結果発表の場に向かった。
そして結果発表、ラブライブの赤峰さんが会場の前に立つと俺は額に少し汗を感じた。
「それでは、今年のラブライブのランキング結果、40位から2位までの順位を発表します。」
そしてモニターに映し出されたのは約40にも及ぶ学校にスクールアイドル部の監督の名前、だがここで気づいた。
「俺たちミューズの名前が……無い!!」
すると赤峰さんは指を鳴らすと、ミューズに照明が当たった。
「今年の優勝チームは、ミューズ!!今ここに新しい伝説が刻まれた瞬間である!!」
すると会場が湧きあがり、ミューズに声援が送られた。
「それでは、ミューズの監督である心咲護君とミューズのリーダーである高坂穂乃果の二人に優勝旗とトロフィーが贈られます。そして監督である心咲護君からの優勝の言葉を」
俺は優勝旗を天に掲げて翻し、マイクに向かって想いを伝えた。
「今自分がここにいる事は、奇跡だと思っています。ここまで来るのに様々な困難を経験し、ミューズの皆が支えあって俺に夢を見せてくれた。そのおかげで何も無かった自分に光をくれたミューズは俺にとって大切な仲間、そして友達です。そしてこの会場にいる皆に伝えたい。ありがとう!!」
会場に歓声が響き、それと同時に赤峰さんが俺の横に立つと会場に一つの言葉が響いた。
「心咲護はこのラブライブの大会において、若き者が9人の女神を導いた。心咲護はこれまでのラブライブにおいて17歳の高校生がチームを優勝に導いた稀代の高校生。僕は彼をラブライブにおけるスクールアイドルの王として今後の彼に期待するとしよう。正に今、王の名を持つ心咲護が完成した。王に祝福を!!」
すると会場は俺とミューズに声援の祝福で広まった。すると赤峰さんは俺に笑顔で答えた。
「これから君の影響でラブライブは更に進化する。これからもよろしく頼むよ」
俺はそれに対して……
「ラブライブの王、悪くない気がするな」
そしてライブが終わったその後……
お台場公園
「本当に優勝できた。こんなに嬉しい事他に無いよ、ねえ心咲君」
はしゃぐ高坂さんに俺は少し実感がわかない顔で
「正直驚いたよ。俺達が優勝したことに、夢じゃないと思うと鳥肌が止まんないや」
「心咲君も早く受け入れなよ。ホントの事なんだからさ。」
「そうだな、俺達は優勝したんだ。目指した舞台で……」
「あ、それと約束のデート、楽しみだね」
「そうだな、俺も楽しみだ」
一つの夢が叶い、そして冬がやってくる。