ラブライブリスタートシリーズ ラブライブカーニバル 作:しゅみタロス
冬休みが終わり、気付けば2月。
俺は歳と智樹の3人でバーガーショップで放課後を謳歌していた。
実は音ノ木坂は現在卒業式に向けての準備があり、ミューズのメンバーはしばらくの間俺と関わる事が少なくなる訳で久しぶりに神城寺の友人と集まっていた。
俺は注文したタルタルフィッシュバーガーを食べつつ無言を貫いていた。
俺の中で頭を悩ませるのは勿論南さんの言っていた自分を大切にしてくれる人。
一年経った今でもそれは分からないまま、それが明確にならない限り俺は高坂さんに気持ちを伝える事すら出来ない。
今年の春に必ず伝えたい。高校最後の年を後悔の無い一年にする為に。
今の自分に残された時間は少ない。必ず俺が……
「護先輩、さっきから真剣に何を考えてるんですか?」
智樹のその言葉に今の自分に気が付くと俺は少しはぐらかす様に答えた。
「大切な人について……かな」
すると歳は物凄く悪意の満ちた笑顔をして俺を弄り始めた。
「心咲にも恋多き季節がやってきたのか、心咲の事だからミューズのメンバー9人とお付き合いしてたり……」
「誤解があるけど俺はそういう事しないし不純にも程があるよ!!」
それに続き智樹も歳と同じポジションに入り、追い打ちをかける。
「つまり護先輩はミューズの誰かの事を考えながら悶えたりしてるって事ですね。一体何を妄想してるのか見ものですよ。歳先輩も気になりますよねぇ」
「教えてもらおうか、どんな妄想に浸ってる?」
もはや見る影も無くやましさと男の本性が見えてしまってるが俺はその勘違いに関して真剣に訂正した。
「歳や智樹にとっては面白いかもしれないけど状況は深刻極まりないんだ。言っとくけど俺には高坂さんと言う心に決めた相手もいるんだから他の女子に手を出したりしないよ」
「だったら、早く告白すればいいのになんでしないんだよ」
心の中では言わないようにしていた言葉を言う事になる。
それを察した俺は流石に嘘をつきたくない為に話す事にした。
「誰かは分からないけど、俺に想いを寄せてる人がいる。ミューズの誰かだと思うけど、俺にはその存在が足枷になってるんだ。その子が誰か分からない限り、俺は前には進めない、そう思ってる」
「つまり三角関係の恋愛って事か。まるで深夜の恋愛ドラマみたいなシチュエーションだな」
「護先輩は性格や体つきから考えて女性にモテますからね」
「今年の俺達は多分負け組だな。心咲はぶっちぎりの優勝確定だ」
「は?」
歳の言葉を理解できなかった俺は歳に何の事を言ってるのか聞いた。
「負け組って何の負け組の事を言ってるんですか?」
「2月のビッグイベント、バレンタインデーまで後3日なのにお前知らなかったのかよ」
「バレンタインデーって明後日だったっけ?」
すると智樹は呆れたため息をつき、俺に腹部に無言のツッコミを入れた。
「ぐっ!!」
「護先輩、大事な日だけはちゃんと覚えていないと命取りですよ。時には日付を確認してください。」
「おーい心咲、生きてるか~」
「いくら何でも腹を殴る事無いだろ……」
そして帰宅後……
ザアアアアアア
風呂場でシャワーを浴び水を止める。
風呂場から出ると俺は保湿クリームを腕に塗るとパジャマに着替えて自室へ戻り、恋愛雑誌のラブチューンズに手を伸ばす。
雑誌には当然バレンタインの特集が組まれ、読んでるうちに思ってしまうのが……
「読んでいて恥ずかしくなってくる……」
本来ならこの雑誌は自分が読み始めた訳じゃなく、南さんに紹介されて読んでいる雑誌であり、リア充専門の雑誌と言える代物である。
俺はあくまでこの雑誌を参考書として読んでるので別にこういうのを求めてる訳じゃない。
俺は雑誌を閉じて眠りについた。だが布団に潜った際、ふと思い出した言葉が……
「助けられてた……思えば俺が友達を優先するようになったのって高坂さんに会えなくなった後だったっけ?」
翌日の朝 スクールアイドル部の部室
「明日はいよいよバレンタインデーニコ☆」
「年に一度の想いを伝える赤いリボンの1日」
「そして私たちがここまで導いてくれた心咲君にありがとうを伝える日」
「まさに絶好のチャーンス!!」
「今日は一段と元気やね」
「この元気さがもう少しいい方向に行くと私は苦労しないんですが……」
「それよりも穂乃果ちゃんが若干ソワソワしてるニャー」
「い、言わないでよ凛ちゃん。こっちだってその……」
「心咲君の本妻やからね。未来の」
「の、希ちゃんそれ言わないでぇ!!」
小さくなる高坂さんに対して希はフォローを入れた。
「皆は心咲君の事を友達として大事にしてるんよ。ただ穂乃果ちゃんだけ心咲君と結ばれる事が許されたんよ。皆も穂乃果ちゃんの事応援してるんよ」
「もちろん私は心咲さんにチョコを渡しますよ。友達として」
「じゃあ心咲君にチョコ渡す人、手を挙げて」
その結果は……
「全会一致ですね」
「そう言えばことりは心咲君の家の場所知ってたわね?」
「皆で行くの迷惑じゃ……」
「じゃあ、伝えたい事メッセージカードに書いてチョコをまとめて穂乃果ちゃんに届けてもらおうよ!!」
「私が届けていいの?ことりちゃん」
「二人きりになってチョコを渡したいんですよね、私たちに構わず穂乃果は伝えたい事をちゃんと伝えてください」
「皆、ありがとう」
そして翌日 バレンタイン当日
「歳先輩良かったですね、チョコレート貰えて。しかも3つ」
「いやー危なかったよ。負け組になるところだった」
「僕も2つ貰えましたからね。満足です」
「ただ一番の大物を抱えてるのは心咲だな」
「今頃チョコレートを大量に手にしてると思います」
その頃心咲の自室では……
ピンポーン!!
インターホンに反応し俺は玄関へと向かう。
目の前にいたのは高坂さんだった。
「心咲君、これ、ミューズの皆から心咲君に」
「ありがとう、すごく嬉しい……よ……」
突然高坂さんは俺を押し倒し、高坂さんは淫靡な顔で胸元のボタンを外す。
まるで俺を誘惑する様に息が荒くなる。
俺はこの状況を止めるために高坂さんを抱き寄せた。
「高坂さんが俺に対してどんな感情を持ってるのか分からない、でも、高坂さんが俺にこんな事するのは、まだ早いと思う。だからやめてくれるかな?」
「ごめん、心咲君に触れたくて……いきなり……」
俺はもう決めてる、高坂さんを選ぶと、だけどまだ伝えるべきじゃないと思ってる。
「家にあがってよ、少し高坂さんと離れたくなくなった」
いつか伝えるまで、高坂さんと……