世界チャンピオンになれるはずだった男の孫(休載中)   作:無理やー

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もう一人の怪物

一がジムに来て一月がたった。練習はスパー中心でやっているが他にもちゃんとロードワークやミット打ち等もちゃんとやっているだが誰も一の練習量にはついていけてなかった。一はじいちゃんとずっと二人で練習していた為じいちゃんの現役時代と大差ない練習していた。

 

 

じいちゃん達の時代は一日おき、もしくは連日、伝説のボクサーピストン堀口は一日4試合したという。そういう時代で生きてきた為この時代の人間にとって厳しい練習なのだろうが、じいちゃん達にとってはそれが当たり前の感覚なのだ。

 

 

一もそんな感覚で練習してきたので周りからは試合前の選手じゃないんだからみたいな目を向けられている。

 

 

ただし一人だけ一と張り合っている人間がいる。それは宮田一朗。しかし彼ですら一の相手にはならない。歳が13歳中1だからと言われればそれまでだが、彼とて子どもの時から始めているボクシングのエリート。決して弱くはない。ここ最近スパーではほとんど負けたことがなかったにもかかわらず、一と出会ってからいつも負けている。

 

 

「はぁ~  」

 

 

俺は会長からいいスパーリング相手がいると言われ楽しみにしていた分少しガッカリしていた。溜め息もつきたくなるものだ。

 

 

 

 

 

  宮田side

 

 

「(何なんだアイツは?スパーリングもやったことがないと言われてやってみれば、いつもタコ殴りにされる。しかも最近はかなり軽いパンチをしていたぶりやがって)」

 

 

本人いわくすぐに倒したら『すぐに倒したら練習にならないだろう』とのことだ。プライドの高い宮田にとってこれ以上の屈辱があるだろうか?

 

 

しかも一は万能のボクサータイプ、さらにスイッチヒッターなのだ。カウンターパンチャーの宮田にとって相性は最悪だ。

 

 

「(でも……面白い……)」

 

 

宮田にとって一は最高の相手だった。宮田がボクシングを始めたキッカケは父がプロボクサーで子どもの頃その姿に憧れていたからだ。その父は東洋太平洋タイトルマッチで最終round相手のたった一発のラッキーパンチを受けて負けてしまった。そして引退した。

 

 

だが後になり気付いた。カウンターを打ちにいった刹那相手はスイッチをしカウンター返しをしてきたのだ。

 

 

「(初めてスパーをやったとき、まさか親父と同じパンチを受けるとは思わなかったな。だが、だからこそ俺は負けられない。いつか超える。)」

 

 

そんなことを考えていた。すると猫田がロードワークに出掛けた。

 

 

「ちっ、行くなら声かけろよ(ボソッ)」

 

 

 

 

  猫田side

 

 

俺がロードワークに出掛けた。走っていると案の定宮田が何も言わずについてきた。

 

 

「おいおい!別に俺について来なくてもいいんだぜ」

 

「別に…たまたま俺もロードの時間だったからさ…」

 

「ふ~ん。そうかい……じゃあ自分のペースで走りな 」

 

 

そう言い俺はペースを上げた

 

「おおおおおおおおお」

 

どんどん宮田との距離が開いていく。

 

「(くっ、この体力バカが!!)」

 

宮田も張り合うようについてくる。

 

「虚弱のわりにはよくついてくるな?」

 

「誰が虚弱だ。」

 

宮田がスピードを上げ俺と並んだ。

 

「おっ、小癪な❗」

 

しかし、坂道ダッシュを何度も往復をし、やはり徐々に距離が開いていく。ジムに着いた頃には、宮田は既にバテバテだった。宮田は少し休んでから練習に入るのにたいし、俺はすぐにミット打ちに入った。

 

「どうだ一朗。アイツがこのジムに来るようになってずいぶん練習に身が入るようになったな」

 

「そんなんじゃないさ。ただ猫田さんに敗けっぱなしっていうのが嫌なだけさ。」

 

「ふふっ、(猫田には感謝せねばならんな。これでまた一回りボクサーとして成長できる)」

 

 

リングの外で何やら宮田親子が会話していたが、俺は練習に没頭していた。

 

ミット打ちが終わりサンドバックを叩いているとき会長が帰ってきた。だが、会長の後ろにもう一人でかい男がいた。一目見てわかった。こいつは強いと…

 

「おお、帰ったぞい。八木ちゃん。」

 

「お疲れ様です会長!!ところで彼は?」

 

「今日からこのジムに入ることになった。鷹村じゃ。ほれ、どうした?」

 

「けっ、俺はただ殴らせてもらえるって言うからきてやったんだ❗」

 

「気にせんでええ 八木ちゃん‼ん?猫田ちょうどいい。ちょっとこい」

 

「何だよ!じいさん」

 

「今日からこのジムに入ることになった鷹村じゃ。お前も入ったばっかだからのう。張り合える相手を連れてきたぞい」

 

「ふ~ん。宜しく」

 

「けっ。」

 

「それでは早速スパーじゃ。猫田相手をしてやれ。」

 

「はああああ?何いってんだ。どう見てもそいつ重量級だろ?Jr.フェザー級の俺とじゃ階級が違いすぎんだろうが!!俺を殺すきか?クソジジイ!!」

 

「当たらなければいい話じゃろう。それとも、こんなずぶの素人に負けるほどお前はよわっちぃのかのう……」

 

「ちっ、わぁったよ!やるよ」

 

「うむ!鷹村準備ができしだいリングにあがれ。」

 

「おっしゃ、ひとあばれしてやるぜ」

 

 

これが猫田一と鷹村守。このジムに二人の世界チャンピオンが現れようとはこの誰も知るよしもなかっただろう。

 

 

 




鷹村がこのジムにやってきた。だがいきなり階級差を無視してのスパーリング。一ははたしてこのあと無事なのだろうか……
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