第一管理世界ミッドチルダ。
そこはリンカーコアを持つ魔力保持者及び魔導士が多く存在している世界であり、なのはやスバル達が活動している時空管理局の本拠地とも言える世界である。
この世界にはJS事件やマリアージュ事件等、数々の事件をなのはやスバル達によって解決した。
しかし、今回の事件はそれ以上に深刻な状況だった。
「そうか・・・ヴィヴィオとアインハルトも見つからなかったんだな・・・」
「あぁ。管理世界や無人世界だけでなく、管理外世界にも手を広げて探しているんだが、どの世界にも確認されていなかった。」
通信画面で連絡を取り合っている眼帯の女と赤髪の女。
眼帯の女はチンク・ナカジマで、赤髪の女はノーヴェ・ナカジマである。
この2人はジェイル・スカリエッティによって作られた戦闘機人である。
この2人の他にもウェンディ、ディエチ、セイン、オットー、ディードもJS事件で暗躍していたが、更生プログラムによって心を入れ替えている。
セイン、オットー、ディードは聖王教会のシスター及び騎士として働いており、ノーヴェ、チンク、ウェンディ、ディエチはナカジマ家の養子として普通に暮らしている。
ノーヴェは今、ナカジマジムの会長室でチンクとの連絡で、ヴィヴィオ達の行方を尋ねるが、手掛かりは掴めず、管理局内にも何人か行方不明になっているという報告を受け取った。
「ハラオウン執務官、八神指令も行方不明。報告によると、原因不明の空間の歪み。その正体が分からない以上、手の打ちようがないな・・・ノーヴェ、トーマ達との連絡は?」
「何度も連絡したけど、繋がらねぇんだよ。アイシスもな・・・」
「そうか・・・」
チンクはノーヴェにトーマ達の事を聞いてみるが、通信途絶だと言う。
「とにかく、その歪みがどこに発生するか分からない。そっちの方にも十分気を付けるんだぞ?」
「あぁ。分かってるよ、チンク姉。」
ノーヴェはチンクからの忠告を聞いた後、連絡を切った。
その後、ノーヴェは右手で頭を抱え、溜息を吐く。
「くそ・・・何がどうなってんだよ・・・ヴィヴィオ達もそうだけど、トーマ達は無事なのか・・・」
ノーヴェはヴィヴィオ達やトーマ達の事が心配で仕方なかった。
ヴィヴィオとアインハルトはノーヴェの教え子だし、トーマとリリィは弟と妹のような存在だから、心配なのも無理もない。
その時、ノーヴェがいる会長室に黒髪のロングヘアーの少女、ボーイッシュな外見の少女、茶髪のポニーテールの少女3人の少女が入ってきた。
最初に紹介すると、まずロングヘアーの少女はユミナ・アンクレイヴ。
アインハルトの同級生で、ナカジマジムのバイトリーダー。
整体二級の資格を持っており、マッサージが得意である。
次にボーイッシュの少女はミウラ・リナルディ。
DSAA格闘競技部門のU-15ワールドランキング5位の実績を持つ抜剣の使い手である。
戦技披露会でヴィヴィオとの再戦後、正式にナカジマジムの同門となった。
最後にポニーテールの少女はフーカ・レヴェントン。
ウィンターカップで決勝まで上り詰める実力を持つ格闘技選手である。
孤児院の出身だが、アインハルトの紹介でナカジマジムに入り、住み込みでアルバイトをし、競技選手として対戦をしている。
「会長!大変です!」
「どうした!?」
「リオさんとコロナさんが消えました!」
「なにぃっ!?」
ノーヴェはユミナとミウラからの報告を聞いて、驚きを隠せなかった。
「ワシらがスパーリングしょーる時におチビさん達がぐにゃぐにゃした思たら、二人が消えてもーたんです!」
「リオとコロナまで・・・!?」
フーカが付け加えるように報告すると、ノーヴェは机に拳を叩きつけて、動揺を隠しきれない様子になった。
その頃、プリキュアの世界ではオーブが体色が赤く、メカニカルな姿をした怪獣と交戦している。
その怪獣の名は円盤生物ロベルガー。
エンペラ星人の命令で地球に襲撃した怪獣である。
両手から放つ光弾や格闘戦でウルトラマンメビウスを苦しめたことがある。
そのロベルガーと戦っているのはオーブだけではなかった。
他にもスイートプリキュアとスマイルプリキュアもロベルガーと戦っていた。
ちなみにオーブ達が戦っている場所は秋葉原である。
「プリキュア・ミュージックロンド!」
「プリキュア・ハッピーシャワー!」
メロディとハッピーはロベルガーが放ってきた光弾を自分の技で相殺した。
「プリキュア・スパークリングシャワー!」
「プリキュア・ビューティブリザード!」
ミューズはプリキュア・スパークリングシャワーでロベルガーの動きを止め、ビューティはプリキュア・ビューティブリザードでロベルガーを包んだシャボンごと凍らせた。
「今よ!ヴィヴィオ!」
「うん!タロウさん!メビウスさん!熱い奴、頼みます!」
ヴィヴィオはオーブリングにタロウのカードとメビウスのカードを通し、オーブの姿が変わる。
その姿はタロウとメビウスの姿が混ぜたような容姿となっている。
この姿をバーンマイトと呼ぶ。
「ストビュームバースト!」
オーブは氷漬けにされたロベルガーにストビュームバーストを放つ。
よってロベルガーは氷漬けから解放されたが、オーブの技による衝撃で吹き飛ばされる。
ロベルガーは立ち上がるが、フラフラの状態である。
「ジャックさん!ゼロさん!キレのいい奴、頼みます!」
ヴィヴィオはジャックのカードとゼロのカードをオーブリングに通す。
よってオーブはジャックとゼロの姿が混ぜたような容姿になる。
この姿はハリケーンスラッシュと呼ぶ。
オーブはオーブスラッガーランスを出し、レバーを2回操作する。
「ビッグバンスラスト!」
オーブはオーブスラッガーランスをロベルガーに突き刺し、ビッグバンスラストを繰り出す。
ロベルガーはオーブの攻撃に苦しみ、そのまま爆散される。
「やったー!」
ハッピーはオーブがロベルガーを倒した所を見て喜ぶ。
オーブはロベルガーに破壊された建物を自身のエネルギーで修復する。
その後、オーブ、スイートプリキュア、スマイルプリキュアは変身を解き、アインハルト、トーマ、リリィと合流する。
「ヴィヴィオさん!大丈夫ですか?」
「はい!ちょっと危ないトコでしたけど、響達とみゆき達のおかげで助かりました!」
アインハルトはヴィヴィオの事を心配したが、ヴィヴィオは大丈夫だと答える。
「町も元に戻ったし、町の人達もトーマ達のおかげで無事なんだし。」
エレンは周囲を見渡してそう言う。
ロベルガーを倒してしばらく経った後、すでに町はオーブの力で修復されており、町の人達も何事もなく歩いている。
「ねぇ、ヴィヴィオ。ミッドチルダってどんな世界なの?」
奏はヴィヴィオにミッドチルダの事を聞く。
「地球と同じ平和な世界だよ。昔はテロ事件とかで大変な日々が続いてたけど、ママ達が無事事件を解決して、平和を取り戻したんだ。」
「スケール違いすぎやろ・・・」
ヴィヴィオはミッドチルダの事を話した。
あかねはテロ事件を解決したと聞いて、スケールの違いに思わずツッコミを入れる。
「それを言うんなら、ピエーロと戦った時の方がもっとスケールが違うんじゃない?」
「それ、言わんといて~・・・」
なおはあかねにバッドエンド王国の皇帝・ピエーロの話を持ち出す。
「他にも地球の危機が何度かあったけど、一緒に頑張れたからここにいるもんね。」
「えぇ。」
やよいとれいかもハートキャッチプリキュアやハピネスチャージプリキュアのように世界の危機から救い出した経歴を話す。
「この世界にも凄いことになってるね。」
「ミッドチルダで起きた事件がスケールが小さく思える・・・」
トーマとリリィは今の話を聞いて苦笑いする。
「みんな~。終わったみたいだね?」
みゆき達は振り向くと、クリシスがやってきた。
「クリシス。」
「町の人達の誘導、お疲れ様。」
「うん。ありがと♪」
クリシスはリリィとトーマに言われ、お礼を言う。
「これで落ち着いて話せるね。もうすぐお昼だし、食べながらお話ししようか。付いて来て~♪」
クリシスはアインハルトとトーマの腕を引っ張って行く。
その時のアインハルトとトーマは若干慌てていた。
ヴィヴィオ達はその様子に苦笑いしながらもクリシスの後をついて行った。
その頃、なのはとユーノは、先日プロノーン・カラモスで真理奈とキャサリンが行なった光遺伝子コンバーターの実験で、スパークレンスが力を取り戻せず、石器のままだった件について、真理奈は「ノルンの地下に住んでいるディアーナなら知ってるんじゃないか。」と言い出し、ディメンジョンゲートを開けさせ、二人をノルンに行かせた。
ちなみに真理奈からは「ディメンジョンゲートの事は秘密よ?前に悪党に悪用されたから。」と念を押された。
なのはとユーノはアタッシュケースに入っているスパークレンスを手に、ディアーナがいるジュエル鉱国に訪れ、そのディアーナに会った。
ちなみにそのアタッシュケースは真理奈が用意したものである。
「成程、ルルイエでの戦いの時、そんなことが・・・」
ツインテールの髪型のようなダイヤモンドをした妖精はなのはとユーノから真理奈の事を聞き、深刻な表情になった。
その妖精こそ、先程話したディアーナである。
ジュエル鉱国の王女でカーバンクルと共にこの国を守り続けている。
他にもティガやエレメントに関わる歴史の事も話してくれて、プリキュア達の手助けをしてくれた。
「うん。真理奈がもう一度ウルトラマンになれる方法、ディアーナなら知ってるんじゃないかなって・・・」
「・・・お気持ちは分かるのですが、真理奈はもう二度とティガに変身することができません。」
ディアーナは、真理奈はもうティガに変身することはできないと言い出す。
「どういうこと?」
ユーノはディアーナに詳しく聞いた。
「真理奈はルルイエでイビロンを倒す時、黄金のオーラを纏っていた。それはティガの最後の力なのです。本来、ティガに変身できるのは、超古代人の遺伝子が必要でした。ですが真理奈は、イビロンと戦う際、超古代人の遺伝子を活性化させ、そのエネルギーを使い、イビロンを倒したのです。その時に真理奈に宿してある超古代人の遺伝子が消え、どこにでもいる普通の女の子になってしまったのです。」
ディアーナは真理奈がティガに変身できない理由を伝えた。
「つまり、真理奈がティガとしてイビロンを倒す時、その遺伝子を力に変えて光線を放ったからティガとして戦う力を失ってしまったってことなんだね。」
「はい。もう一度ティガを蘇らせるには、真理奈と同じ超古代人の遺伝子を宿した人間が必要です。ただ、現代にその人間がいるのか、私にも見当がつかないのです。」
ディアーナは付け足すようにティガを蘇らせる方法を教える。
しかし、真理奈と同じ遺伝子を持つ人間が他にもいるのか、いや、そもそも生き残っているかも怪しい所である。
実際、妹のまのんはプリキュアとして戦っているわけだから、ティガに変身できるかどうかと言えば、その可能性は低いだろう。
いずれにせよ、ティガに変身できる者を探すのは、無理難題である。
「う~ん、ミッドでは古代人の末裔が存在していたけど、巨人が出てきたって伝説は聞いたことないな・・・」
「そうだね、無限書庫でもそんな話なかったよ・・・」
なのはとユーノはディアーナから聞いた話とは無縁とはいえ、古代ベルカの事を頭に浮かぶ。
その時代とプリキュアの世界の超古代文明とは時代が大きく離れており、古代ベルカでも巨人の話はなかった。
「考えても仕方ない。この事を真理奈に伝えよう。」
「そうだね。」
なのはとユーノは超古代人の末裔の事は一旦置いておいて、ティガの事を真理奈に伝えようと新邸に戻ろうとする。
「あ、それなら、ヴァベルの騎士を気を付けてください。」
ディアーナはなのはとユーノに伝言を伝えようとする。
「ヴァベルの騎士?」
「えぇ。ユグドラシルが壊滅された後、活動を始めたようです。目的は分かりませんが、なんでも、メダリオンの力で魔法を使うことができるそうです。」
ディアーナはユグドラシルとは別の勢力について、なのはとユーノに忠告する。
「魔法?」
「えぇ。魔法界の物とは違う強力な魔法です。」
ディアーナは付け足すように言う。
「分かったよ。真理奈達にもそう伝えるね。」
「どうかお気をつけて。」
なのはとユーノはジュエル鉱国を後にするように洞窟から出ていった。
ディアーナが言っていたヴァベルの騎士とは何なのか、真理奈以外の超古代人の遺伝子を持つ者はどこにいるのかを頭の片隅にしまい込みながら。
次回はあのロボットを出したいと思います。