ウルトラリリカルキュアファイト   作:JINISH

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ほぼ適当な文章ですが、ご容赦を。


ユグドラシルの残党の思惑

ライハを病院で寝ている間、彼女の素性について聞かされるまのん達。

真理奈の口から、異常な回復能力、動植物の特徴を持ち、魔導の力を兼ね備えた実験動物・ミュータントの存在を知る。

ライハは家族を失われ、蛇の細胞を植え付けられていた。

その後、クレインの口からそんなライハを利用して、ウルトラマンとプリキュアの同士討ちを目論んでいるユグドラシルの残党が陰で蠢いていることを知った。

 

「ユグドラシル・・・全員捕まったと思ってたけど、まだ残党が残ってたなんてね・・・」

「マヤさんは気付いてたんですか?」

 

まのんはマヤにユグドラシルの残党の事を聞いた。

 

「えぇ、最初にナケワメーケが現れた時は気付かなかったけど、まのん達がホシイナーを浄化したと聞いた時、薄々予感はしていた。もしかしたらと思って、少佐に尋ねたけど、当たってたわ。」

 

マヤはまのんの質問に答える。

 

「今回の件ですが、私達魔導部隊とレンちゃん、マヤさんで解決するつもりです。今のマヤさんはプリキュアに変身できなくなったとはいえ、ユグドラシルの事を良く知っていますから、ご協力をお願いしました。」

「じゃあ、私達も・・・!」

「いいえ、あなた達はこの件から手を引いてください。」

 

まのん達はクレインの言葉に驚く。

 

「ちょ、どうしてですか!?」

 

スバルは今回の事件から手を引けと言われた理由を聞く。

 

「ユグドラシルの残党の狙いは、先程言ったようにウルトラマンとプリキュアの同士討ちです。ゼロの姿を変えられる怪獣を利用して、プリキュアがウルトラマンと戦わせるきっかけを生み出されたら、彼らの思う壺です。」

「っ・・・!」

「プリキュアにユグドラシルの件を手を引かせる理由は分かるとして、ナカジマ達に手を引かせる理由は何なの?」

 

真理奈はプリキュアが手を引く理由は分かるが、スバル達が手を引く理由は分からず、クレインに聞いてみた。

 

「あなた方は元々、別の世界から来た者。いなくなれば、元の世界にいる大切な人が悲しみに暮れるでしょう。そんな人達にこの世界の問題を付き合わせるわけにはいきません。」

「だけど・・・!」

「それに、例の怪獣とは別の問題があります。」

 

クレインはスバルが手を引く理由を告げ、更に付け加えるように言う。

 

「別の問題?」

 

真理奈はクレインの言葉が気になり、聞いてみた。

 

「この2人に見覚えありませんか?」

 

クレインはアイスメイデンを取り出し、映像を出す。

 

「えっ!?」

「まさか!?」

「知ってる子?」

 

真理奈はクレインが見せた映像を見たスバル達の反応を見て、尋ねる。

 

「フェイトさんに・・・八神指令・・・」

「この世界に来てたんだ・・・」

 

エリオ達は映像を凝視していた。

スバル達が見たのは、フェイト・T・ハラオウンと八神はやての姿だった。

しかも、河童山とは違う場所で、ゼロと交戦していた光景の映像である。

 

「ユグドラシルによる放火の同時刻に、日本アルプスで彼と遭遇したんです。」

「日本アルプスで?!」

「えぇ。それも、すでに河童山で起きた山火事の情報を知った上で。」

 

真理奈達はクレインの話に驚く。

 

「その二人は日本アルプスで遭ったゼロを偽物だと思って戦ってたの?」

「いいえ、彼女達はこのゼロを偽物だと判断していないようです。それどころか、彼女達はゼロが二人いたことを知らない模様。いえ、彼女達はウルトラマンの存在を知らないと言った方が正解でしょうか。実際彼女達はこの世界に彷徨ってからプリキュアの存在を知らないのですから。」

 

クレインはフェイトとはやてがゼロと交戦した経緯を話した。

 

「だったら、私達が今までの事を報告して、ゼロと一緒に・・・」

「ですが、証拠はありません。先程話したシンさんの血液の事も、彼女達からしてみれば、ウルトラマンは人類の味方だという証拠にはなりません。」

 

スバルはフェイトとはやてに報告すれば誤解は解けるではないかと言い出そうとするが、クレインはそれを断言する。

 

「そうである以上、私とは別の部隊に彼女達を捕らえ、この事件を解決するまで大人しくする他ないでしょう。ユグドラシルの犯罪行為に彼女達まで巻き込んでは、残党の確保どころではありません。」

 

クレインはこれから起きる出来事を予想して言い放つ。

 

「無用なトラブルは避けたいって事ね?」

「その通りです。ですから、この件は我々に任せて、あなた方はこの事件を解決するまで大人しく・・・」

「お断りします。」

 

クレインはスバル達にユグドラシルの残党を捕らえるまで、大人しく待つように言おうとするが、突然割って入るように拒否する声が聞こえる。

しかし、その声はスバルでもまのんでも真理奈でもなかった。

その声の主はなのはである。

特別個室のドアは開けられ、ユーノも入って来た。

 

「なのはさん!ユーノ司書長!」

「スバル、久しぶり。でも、ここは病院だから静かにしてね。」

 

なのははスバル達との再会に喜ぶが、すぐに注意する。

 

「あんたら・・・付いて来たの?」

 

真理奈はなのはとユーノにそう言うと、二人は頷く。

なのはとユーノは、その後にクレインに視線を向ける。

 

「初めまして、クレインさん。高町なのはと言います。こちらはユーノ・スクライア君。」

 

なのははクレインに自己紹介する。

 

「余所者の私達やプリキュア達の事を想って、最善の方法で対処してくれるのは嬉しいです。でも、今回の事件が終わるまで、ただ待ってるなんてできない。同じ過ちを繰り返したくないですから。」

「同じ過ち?」

 

クレインはなのはの言葉に、表情が引き攣りながらも問う。

 

「フェイトちゃんの実の母・プレシアさんを救えなかった事、はやてちゃんと傍にいるはずだったアインスさんを助けられなかった事、どこまでも届く腕がちゃんとあるのに、救い出すことができなかった。とても悔しかったです。だから、私の目の前で悲しい物語が哀しいまま終わるのは嫌なんです。だから、どんなことをしてでも必ず助けるって誓ったんです。」

 

なのはは自分の気持ちをクレインに告げる。

 

「高町・・・」

 

真理奈はなのはの覚悟を決めた表情を見て、呆気をとられている。

 

「それに、ウルトラマンが人類の味方である証拠なんて必要ありません。私とユーノ君の知っているウルトラマンは地球で生きている人達を好きになって、何度裏切られても守り続けてきた人達ですから。」

 

なのははクレインにそう断言する。

ユーノは傍らでなのはの言葉に頷く。

なのはとユーノは知っている。

魔法に出会ってからしばらく経ち、メフィラス星人にさらわれた所を初代ウルトラマンに助けられた事を。

そして、空間の歪みでプリキュアの世界に彷徨っていた時、初代ウルトラマンとゼロ、セブンと共に怪獣と戦った事を。

なのはとユーノは彼らに助けられ、助け合っているからこそ、感謝してもし切れないのだ。

そう考えたなのはとユーノにとっては、ウルトラマンが人類の味方である証拠は必要ないのだ。

 

「なので、クレインさん。お気遣い感謝しますが、シン君の事、ユグドラシルの事、フェイトちゃんとはやてちゃんの事、私達も協力します。」

「・・・っ!ですが!」

 

クレインはなのはの言葉に反論しようとする。

 

「そうですよ!いくらなんでも水臭すぎです!」

「私だって、ミッドチルダでレスキュー隊をやっている身!多少の無茶でもドンと来いですよ!」

「ま、なのはさんの言う通り、ただ指を咥えて待ってるだけっていうのは気分じゃないわね。」

「僕もユグドラシルの犯罪を無視できません!」

「私もです!」

 

クレインの反論を遮るように、まのん、スバル、ティアナ、エリオ、キャロは協力体制を申し込む。

 

「みんな・・・」

「アハハ・・・思いっきり言い張られちゃったね?」

 

マヤはなのは達の言葉に嬉しさを感じ、レンはクレインに視線を向けてそう言う。

 

「・・・っ!・・・分かりました。他の部隊にもお伝えします。ですが、ユグドラシルの狙いがプリキュアとウルトラマンの同士討ちである以上、あなた方の勝手な行動は無視できません。今回の事件は戦争になりかねない事態です。皆さんの安全を考慮した上で、無闇な行為は慎むように。」

 

クレインはこれ以上の反論は無駄だと判断し、なのは達の協力を受け入れる。

 

「大丈夫です!テロ犯罪の類は慣れてますから!」

「いや、慣れちゃダメでしょ?ていうか、いいの、そんな見栄張っちゃって?」

 

真理奈はなのはにそのように聞く。

 

「大丈夫。本当の事を言っただけだから。ヴィヴィオにアインハルトちゃん、トーマとリリィも同じ想いだよ。」

 

なのはは真理奈に真理奈の質問に答える。

 

「真理奈はどうするの?」

「まぁ、今の私はティガになれないから皆のように無茶はできないけど、私は科学者の端くれだからサポートは出来るわよ。」

「フフフッ、まだ卵だけどね?」

「こら!」

 

真理奈はまのんに訂正され、余計なこと言うなと言わんばかりに怒る。

その時、真理奈のポケットの中からiPhoneの着信音が鳴り出す。

 

「おっと!悪い、続けて。」

 

真理奈は一旦得抜個室から出て、付近の通話可能エリアへ走り出す。

 

「もう、お姉ちゃんったら、マナーモードくらいすればいいのに・・・」

「にゃははは・・・」

「真理奈ってそういうトコ、いい加減だよね・・・」

 

まのんは今の真理奈の行動を見て、頭を抱え、なのはとユーノは苦笑いする。

 

「ねぇねぇ、なのはちゃんとユーノ君。」

 

レンはなのはとユーノに声をかける。

 

「ほえ?」

「何?」

 

なのはとユーノはレンに声をかけられて、何かと聞く。

 

「さっき君達の知ってるウルトラマンがどうのこうの言ってたけど、ずっと前から会ってたの?」

「あ、うん。実はね・・・」

 

なのははレンに聞かれ、初代ウルトラマンと会った時の事をスバル達にも聞かせた。

 

「そうだったんですか・・・」

「それで証拠はいらないと・・・」

 

ティアナはなのはの昔話を聞いて驚き、クレインはなのはが協力する理由を理解する。

 

「あーん!私もなのはさんみたいにウルトラマンに会いたかったよー!」

 

スバルはなのはの話を聞いて羨ましがる。

 

「スバルさん、病院なんですから静かに・・・」

「ハハハ・・・」

 

エリオはスバルにそう注意し、キャロはそのスバルに苦笑いする。

 

「この世界で再会した時はびっくりしたよ。」

「うん。でも、嬉しいかな。また会うことができたから。」

「えへへ、二人揃って幸せ者だね。しかも、お互い付き合ってるわけだし。」

 

なのはとユーノは初代ウルトラマン=ハヤタと再会したことを嬉しく想う中、レンはその2人に意味深な発言を言い放つ。

 

「え゛っ?」

「付き合うって?」

「ほえ?同じ家で暮らしてたんでしょ?こうして見てると仲良さそうだから恋人同士なんだなぁって!」

「ちょっと、レンちゃん!?」

 

レンのなのはとユーノに対する発言に、まのんは驚きながらも叱る。

 

「あ、い、いや、別にそんなんじゃ・・・」

「うん。ユーノ君は私が魔法と出会った時から、魔法の事を教えてくれる先生でお友達なの。だから恋人って関係じゃないかな。」

「えー?!恋人じゃないの!?ちぇっ!この部屋に君達が入って来た時一緒だったからカップルかなって思ったのにな・・・」

「レンちゃん、誤解を招くような言い方をしないでください・・・」

 

レンはなのはとユーノの関係を聞いて、つまらなさそうにやさぐれる。

クレインはそんなレンに呆れた表情で指摘する。

特別個室でそんな話題を盛り上げる中、真理奈が帰って来た。

しかし、真理奈は重い足取りでソファーに座り込む。

 

「真理奈?どうしたの?」

 

マヤはそんな真理奈が気がかりになり、尋ねてみた。

 

「ぎんがからの連絡よ。シン兄さんが脱走したみたい・・・」

 

スバル達は真理奈からの報告を聞いて驚いた。


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