作者は素人です。読んでいて気になった矛盾点やこうした方がいいなどの改善点があったら遠慮なく言ってください。感想・批評等お待ちしております。
――。
「おっ。そろそろかな?ほらほら。もう少しだ!がんばれ!がんばれ!」
――――。
「っと。やっと生まれたか。さて、初めましてだな。俺の名前は――」
――――――。
「これからよろしくな。相棒」
どこかの国のどこかの草原に見える二つの人影。辺りには都市明かりなどはない。満天の星空にまん丸な満月がどこか幻想的だった。
「綺麗な月だな。お前もそう思うだろう?」
片方の人影は少年だろうか?どこか幼く、歳も10を超えていないように感じる。 対照的に、もう片方の人影は背丈からして大人のものだ。
黒髪黒目という似た容姿は二人を兄弟にも親子にも見ることができた。
「それは思うけど……いい加減寒いんだけど。師匠みたいにカードの力使っているわけでもないんだし」
夜の寒さに凍えそうな少年が不満を垂らす。
それを見た男はやれやれと言ったポーズをとり、心底呆れ果てた様子で言う。
「まったく。そこでしか見えない風景。人物。これらを見ることが旅の醍醐味だというのに……。本当に風情がなってないな」
「……」
旅の醍醐味には同意する。しかし、カードの力で楽をしている人物が目の前にいるとどうしても不満を漏らさずには居られない。
少年は無言の抗議をするが黙殺された。
「さて。俺がお前の師匠になって、そんで一緒に旅してかれこれ一年か。まあ?ここまでよく頑張った。褒めてやろう」
「なんでそんな上から目線なんだよ?」
ちなみに男は少年の師匠なので上から目線は当然である。男は懐からカードを取り出すとある言葉を呟く。
「set『転送』よいしょっと」
「?でかい卵だな。それで作った料理でパーティーでもすんの?」
瞬間、カードと入れ替わりに突然どこからか卵が男の手の上に現れた。一方で少年は突然現れた卵に驚くこともせず、その卵をどうするか聞く。
「っぷ、あははははっ!料理か!それもいいかもしれんが、それはやめてやれ。中のやつが泣いて怒るぞ」
「中って、聞こえるわけないだろ?」
突然笑い始めた男に少年は訳が分からないと、こんなことは当たり前だと言う。 だが、男はそのことについてを首を横に振って否定する。
「まあ?確かに聞こえないが」
「だろ?だから……」
「でもコイツはいつかお前の相棒になる。その先がどうなるのか分からんが……。その相棒がお前と出会った時に危うく食われるところだったと知れば、まず間違いなく怒るぞ?性格的に」
“訳分かんねえ”とばかりに少年は口を閉じる。でもいつものようにからかってないのだけは分かった。男の様子があまりにも真剣だったから。そのままの真剣な様子で卵を渡される。
少年は訳も分からず受け取ったが、何故かそれはとても重い……何か大切なことのような気がした。
「さて。明日から大変になるだろうし、寝るぞ。さっさとテントに戻れ」
しっしと、まるで猫を追い払うような動作に少年は腹が立ちながらも、テントに戻る。
……戻ろうとしていた。男に声をかけられるまでは。
「お前の生き方は知っている。お前が将来、旅をする……したいと言うならそれでいい。だが、旅をする、いや……旅をし続ける奴っていうのは得てして最低な奴になることが多い。お前がこの先どんなことに出会おうと、どんな選択をしようと、そうならないように気を付けるように!」
「……意味分かんねぇよ」
「分からないならそれでもいい。いつかきっと分かる時がくるさ。俺のようにな」
もう話すことはないと黙り込んだ男にこれ以上の会話はないと判断し、テントに戻る。
いつか相棒になると言われた大きな卵のことを考えながら少年は遠い夢の国へと旅立った。
少年が眠りについた後、男は一人、物思いにふける。
「さて。運命が始まったか。ここから先の未来は未確定。だが……」
目を閉じる。思い起こすはかつての日々。パートナーと共に駆け巡った旅の記憶。
遠くに思いを馳せていると突然後ろに何者かが現れる。
「……別れの挨拶は済んだか?」
「いや……だが、どうせいつか会うことになるだろうし……な。さて。アイツの未来がどうなるか見届けるとしようか。行くぞ――――。Set『転移』」
後に残ったのは、静寂だけだった。
「あぁ。随分懐かしい夢を見たもんだ」
公園のベンチから起き上がり、男はさっきまで見た夢について考える。ついでにベンチで寝ていたために、体のあちこちが痛くなっていた。
「旅人~。ごはん~!」
地面で寝ていた男の相棒が声を上げる。紫のような灰色のような毛色の犬にも似た生物――本人曰く竜らしいが――ドルモンである。男――旅人――の師匠たる男性からもらった卵から孵ったのだが、成長の仕方がありえなく――本人談によるとデジモンとやらでは普通らしいが――しかも人語を解する。不可思議生物である。 しかもついでとばかりに名前も変化する。
「ドル……お前起きてすぐ飯かよ?つーか、お前のせいで公共機関が利用できないんだぞ?少しくらい遠慮しろ!」
「やだ!メシ!」
基本ドルモンは食って寝て話してしかしないので役立たずである。不可思議生物らしく大きさは変わるのだが、これ以上に大きくなるだけでこれ以下にはならない。
しかも、食料調達は旅人の役目なので完全に無駄飯ぐらいだ。
「はぁ。ほいっ!今日の飯」
「やった!ってキノコ~!」
ドルモンは受け取った今回の食料――キノコ――を即効で捨てた。
「言っておくが、それ以外ないぞ?我慢しろ」
“嫌だ~”と呻きながら、途中咳き込むこともあるが食べている。ドルモンは何故か知らないがキノコが嫌いらしい。腹が減っているのは旅人も同じだが、食うものがないのでしょうがない。
「さて行くぞ?忘れ物はないな?」
「忘れ物ってそもそも全部
「気分だ」
そう言って出発する。ドルモンのせいで公共機関が使えないので当然歩きだ。
目的地は最近発見された遺跡。なんでも異世界がうんたらという古代文字があったとか。旅人は旅人を自称しているので未知の世界には是非行ってみたいと思っている。そういう意味ではドルモンが言うデジタルワールドとやらにも興味がある。 “そういえばドルモンの卵を持っていた師匠はデジタルワールドという異世界に行ったことがあるのか”とも考えるが、師匠はあの後、行方不明になったので分からない。ちなみに心配は一切してなかったりする。
「あの山の麓に最近の崩落で現れた遺跡らしい。なんでもえらく近代的なのだとか……って聞いてる!?」
「あんまり聞いてない」
そっちから聞いてきたくせにと少々腹を立てるが、起こることはしない。このくらいで起こっていたらドルモンとは付き合えないのだ。
遺跡の入口では学者の他に厳重な警備がしかれていた。まあ、オーバーテクノロジー満載の遺跡となれば当然ではあるが。
「どうすんの~?観光で来ましたって言っても通じないだろうし……」
ドルモンの質問に笑って答える。すなわち……
「決まっているだろ?使うんだよ!」
イタズラを思いついた悪ガキのような顔でカードを取り出しながら言う己の相棒にドルモンは軽いため息を吐く。
結局二人は似ていないようでお互いがお互いで苦労する、似た者同士だったりするのだ。
そんな相棒の存在を無視して旅人は使う。師匠があの日置いていった力を。
「set『不可視』行くぞ」
「はぁ。了解~」
カードが消えた。その瞬間に二人を何かが取り巻く。そのまま二人は遺跡の入口を隠れもせずに通過する。
驚くことに、あるハズの監視カメラも警備員も何も反応しなかった。
「いつも思うけど、これって反則だよね……」
呆れながら進むドルモンに旅人は苦笑して何回目かのやり取りを返す。
「いつも言っているけど、これはそんなにいいものじゃないよ。感のいいやつには気づかれるし」
「気づかれたことないくせに」
目の前の理不尽を小言で返しながら奥を目指す。奥には巨大な石版が鎮座していたが、学者の姿はなかった。
休憩中なのかそれともどこか別の場所を調べているのか。カードの効果も無限ではないのでさっさと石版を鑑賞することにする。
「石版のくせに近代的な光を放っているっておかしいよな~。ん?どした?ドルモン?」
「これ……。なんか懐かしい気がする。あくまで気がするだけだけど……」
ドルモンの不可解な様子に改めて観察し直す。材質を確かめようと石版に触れた時に、腰のケースの中のカードが光った気がした。
「これ……白紙のカードか……?」
師匠が置いていったカード群の中で何枚かあった白紙のカード。いつもは使えず、放っておいたのだが……。
「使ってみるか」
「え?ちょっと……旅人?大丈夫……」
焦るドルモンを放っておいて旅人は白紙のカードの力を使う。これから何かが始まるという予知にも似た何かを感じながらカードの力を行使する。
「set『――』!」
「これって!」
カードの力を使うと同時に光が部屋を覆い尽くす。視界を光が埋め尽くすのとは裏腹に二人の意識は闇に消えていった。
というわけで、大学が始まり、何故かオンラインが繋がらないモンハン4で村クエを一人寂しくやっている僕が夏休みの間にせかせかと書いていたものを投稿です。
基本不定期更新ですが、一週間に一、二回以上の更新を目指して頑張ります。
あと忘れてましたが、この主人公の名前は旅人と書いてタビトと読みます。
自分でもこの名前はどうかと思ったのですが、分かり易い方がいいかな?ということでこれにしました。