【完結】ワールド・トラベラー   作:行方不明

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やっとのことで二章を書き終えました。これで暫くの間、ストックには困りません。
……二週間くらいのことですけどね。
最終章やその一歩手前の構図ばかり浮かんできて困っています。最終章までまだ先は長いのに……あ、エタることだけはしませんよ?


第二十話~答えへの道の先に~

 閃光とともにドルガモンはドルグレモンへと進化した。その姿を見てとある一人(・・)を除いてその場の全員が驚く。

 

「お前何者だ!お、お前なんか……助けるんじゃなかった!」

 

「な、なんだ?」

 

 驚愕の境地に達したマミーモンがその手の銃でドルグレモンを撃つ。

 そうなると驚くのはいきなり攻撃されたドルグレモンである。何の前置きなしに味方から撃たれたのだから当然だ。

 ドルグレモンはすぐさま銃撃を避けて近くの水溜りへと自身の姿を確認しに行く。そこには襲い来る敵とほぼ似た姿となった自分が映っていた。

 

「な、なんで……オレが……この姿に?オレは……一体……?」

 

 自身が敵と似た姿になったことに困惑するドルグレモン。

 一方で旅人の心の中は穏やかではなかった。

 “しくじった。少し考えれば分かりそうなことだったのに”避けられないことではあるが、ドルグレモンの気持ちを考えればもっとオブラートに包むべきだったのだ。

 もっとも、それができたかどうかはともかくとして。

 

「……それでも!オレはオレだ!」

 

 旅人が心中で後悔している間にドルグレモンは何かを決意したのか、デクスドルグレモンへと攻撃し始めた。他の傷ついたデジモン達を庇うように。

 

「モーン……おんなじ……アウ!アウ!タヒト!」

 

「……そうだな、トコモン。行くか?」

 

「アウ!」

 

 その姿に何を見たのかトコモンXが反応する。

 トコモンXは気づいたのだ。ドルモンもドルガモンもドルグレモンも……姿が変わっても何も変わっていないのだと。

 すぐさまトコモンXを脇に抱えて旅人が出る。一人戦うドルグレモンの下へと。 その姿にかつて自分を庇って一人戦った相棒を重ねながら。

 上からの奇襲によって攻撃を喰らいそうになったドルグレモンを旅人がカードで援護する。

 

「っく。マズっ!」

 

「ちょっと待ってーっと。set『反発』」

 

 旅人は、『反発』で面白いように吹っ飛ぶデクスドルグレモンを見ながらドルグレモンの体にトコモンXを乗せてやる。

 

「油断すんなよ?ドルグレモン!」

 

「旅人!」

 

「モーン!アウ!キャッキャッ!」

 

 普段通りに変わらず接してくれた旅人とトコモンXにドルグレモンは思わず目頭が熱くなった。

 

「トコモンまで……ありがとう……」

 

「……」

 

 旅人やトコモンXが普通にドルグレモンへと接するのを目撃した全員が動揺する。その場にいる全員が、ドルグレモンが敵か味方か測りかねているのだ。

 

「っふ…はぁ!皆冷静になれ!アイツが似た姿なのはきっとワケがあるんだ!心を一つにするんだ!」

 

 ちょうどその時にウォーグレイモンXが最後の一体を倒した。

 ウォーグレイモンXはドルグレモンの登場による動揺によって起こるこの団体の分裂を防ごうと声を上げる。

 しかし、それでも。一度走った動揺は収まらない。

 

「だからって!」

 

「アイツのことはオレも保証する。だから大丈夫だ!」

 

「メタルガルルモンまで……」

 

 尚も言い募ろうとするマミーモンにメタルガルルモンXが保証する。

 “あまり思ったほどの事態にはならなさそうだ”旅人が安堵の息を吐いたのと同時に全員の耳に聞き覚えのある羽音が飛び込んできた。

 

「旅人……」

 

「気のせいだ、ドルグレモン」

 

「いやでも……」

 

 全員がうんざりとした気分で上を見上げる。そこには千を超える程のデクスドルグレモンの群れが飛んできていた。

 

「……いやいや……マジか……」

 

 

 “冗談であってほしい”その場にいた全員が思ったであろう気持ちは通じなかった。大量のデクスドルグレモンがこちらに向かってくる。全員が絶望の表情を浮かべたところで――。

 

「『ファイナルエリシオン』」

 

 その大半が謎の攻撃によって消し飛んだ。

 

「なっ……」

 

 突然の事態に何が起こったのかを理解できたものは一人もいない。

 だが、よく見ればデクスドルグレモンの群れの中に一体だけ別のデジモンが混ざっている。

 そこにいたのは、より機械らしい洗練されたフォルムとX抗体の獲得によってさらなる進化をした、デュークモンX抗体だった。

 先ほどの攻撃はデュークモンXが放ったものだったのだ。

 

「このデュークモン。たった今データの海より帰還した!ウォーグレイモン!メタルガルルモン!全員を連れて離脱しろ!ここはこのデュークモンとドルグレモンに任せてもらおう!」

 

「……済まない!飛べるものは飛べないものを援護しろ!全員で一気に壁を飛び越えて森へ入る!」

 

 突然の登場には驚いたが、デュークモンXの言葉に甘えることにしたメタルガルルモンXは指示を飛ばして撤退の準備をする。

 そんな中、ウォーグレイモンXはトコモンXをドルグレモンより預かっていた。

 

「心配いらないよ、トコモン。オレもすぐに行くから。ウォーグレイモン、トコモンを頼んだ」

 

「アウゥ……」

 

「……待ってるぞ」

 

 それだけを告げてウォーグレイモンXはトコモンXを連れて空へと飛び立っていく。

 一方のドルグレモンは旅人を背に乗せてデクスドルグレモンと戦闘を続けるデュークモンXの下へと急いだ。

 

「デュークモン!無事だったんだね!」

 

「っていうか来るならもっと早く来て欲しかったんだけど?」

 

「すまぬな。こちらにも事情があったのだ」

 

 デュークモンXの無事を祝うドルグレモンにどこかからかう様な口調で冗談を言う旅人。

 そんな中でも攻撃を続けるデュークモンXはさすがという他ない。強力な助っ人にその場の空気が明るいものとなる。

 しかし、そんな雰囲気から一転してドルグレモンは少し落ち込んだ雰囲気で話し始めた。

 

「デュークモン……旅人……オレは生きていて良かったのか?オレが死んでいればこんなことには……」

 

「ならなかった……か?その答えはこのデュークモンには分からぬ」

 

 質問に対する答えは分からないというデュークモンXとは反対に旅人の返答はどこか投げやりにも聞こえるものだった。

 

「……ドルグレモンは死にたいのか?」

 

「そんなわけない!」

 

「じゃあいいんじゃないか?生きてても。ってそんな簡単に納得できないか」

 

 戦いながら自身の存在について悩むドルグレモン。戦えば戦うほどに死体の山が築かれる。

 そのような光景などドルグレモンは見たくはなかった。それが自分のせいだとしたら自分の生きている意味など――。

 

「……ドルグレモン!イグドラシルに会え!」

 

「え?」

 

 だが、デュークモンXはそう思わなかったらしい。呆然とするドルグレモンに向かって言葉を続ける。

 

「そなたは一度我が君イグドラシルと見える必要がある。それが一度我が身を滅ぼして得たこのデュークモンの答えだ」

 

 そこまで言うとデュークモンXは虹色に輝くゲートを上空に作り出した。

 しばらくの思考の後にドルグレモンはデュークモンXの誘いを受ける。ドルグレモンは答えが知りたいのだ。

 

「……分かった。行ってくる!旅人はここで……」

 

「そんな訳には行くか。オレも行くよ」

 

「でも……」

 

「面倒だけど、お前はどこか放っておけないんだよ。ここまで来たら付き合わせろ」

 

 旅人の言い分にドルグレモンは悩む。

 この世界の者ですらない旅人に迷惑などかけられないのだ。説得しようとするドルグレモンに先んじて旅人が口を開く。

 

「悪いけど、今回は引く気はない。ドルグレモンのことだけじゃなくて、オレの探している答えがそこにある気がするんでね」

 

「……よかろう。行くと良い」

 

 旅人の言葉に何かを感じ取ったのか、デュークモンXは反対をしなかった。

 ドルグレモンはまだ何か言いたそうだったが、旅人も引く気はなかった。さっきから己の相棒の結晶が騒いでいるような不思議な感覚に陥ったのだ。

 “ここで引けば次はない”旅人はそんな気分になっていた。

 

「分かった。行こう、旅人!」

 

「あぁ!頼んだぜ?」

 

 虹色のゲートに向かって突き進む旅人とドルグレモン。その姿を見た全員が二人を見送った。

 

 

 

 

 

 時を少し遡って、縦も横も奥行きも何処ともしれない不思議な空間。

 その中に立つ――見ようによっては浮かぶ――二人の騎士が、旅人たちがデクスドルグレモンと戦っている映像を見ていた。二人の騎士はもちろんオメガモンとマグナモンである。

 

「これは……一体?」

 

「なるほど」

 

 呆然としたように呟いたのはオメガモンである。

 一方でマグナモンはどこか納得したような声を上げた。

 

「マグナモン。何かを知っているのか?」

 

「イグドラシルは常に先を見据えている。これはロイヤルナイツのプロジェクト・アーク遂行に支障が出た時の……いわば保険だ」

 

「支障が出たとみなされたのか?」

 

「デュークモンの例もある」

 

 マグナモンの説明に呆然と呟くオメガモン。

 茫然自失とした中で、オメガモンの心の中には次第に怒りに近い何かが湧いてきた。

 

「承服しかねる!イグドラシルへの接見を求める!」

 

「待て!オメガモン。無駄だ!イグドラシルが取り合うものか!」

 

 イグドラシルの下へと向かおうとするオメガモンをマグナモンが止める。

 だが、オメガモンの返事はオメガモンらしくない声を荒げた返事だった。

 

「取り合って貰わねば困る。イグドラシルへの忠誠に誓いをしたが、だからと言って主の気ままを黙認することはできん!」

 

「気まま?聞き捨てならんぞ!」

 

 オメガモンの感情的な返答にマグナモンさえも感情的になる。一食触発の空気が蔓延する中、オメガモンがより感情的になって話す。

 

「ならば!この混乱は一体何だ!?」

 

「それは……」

 

 返す言葉がないのか、マグナモンが黙る。

 その時、虹色の光が辺りを照らし、光が晴れた時に新たなる参入者がいた。

 旅人とドルグレモンである。

 

「こんな時に呑気に観戦とか良いご身分だな?」

 

「なんだお前達は……ここはお前達ごときが来て良い場所ではない!即刻に立ち去れ!」

 

「立ち去ろうにも出口がわかんないんだけどな。客に対してその言い方ってどうよ?」

 

「侵入者には過ぎた対応だ!」

 

 マグナモンの退去通知に珍しく挑発するような口調で対応する旅人。

 一方でドルグレモンはこのままでは話が進まないことを感じ取って口を挟むことにした。

 

「ちょっと待ってくれ。デュークモンが……ここへの入口を開いてくれたんだ」

 

「何?デュークモンが……?」

 

 一方でオメガモンはマグナモンとは違い、ドルグレモンが発した言葉に興味を惹かれていた。

 

「答えを見つけに来た!イグドラシルに会いたい!」

 

「バカな!お前ごときが会えるものか!」

 

「……っふ。面白い」

 

「オメガモン!?」

 

 マグナモンが驚くが、オメガモンはそんなことはお構いなしにドルグレモンの方へと歩いていく。

 一方で旅人はドルグレモンの背から降りて近づいて来るオメガモンを警戒する。

 

「ロイヤルナイツですら接見に敵わないイグドラシルにコイツらは会いたいと?しかもこの場所への道を開いたのは、我が盟友デュークモンだというではないか」

 

「だったら?会わせてくれるのか?」

 

「イグドラシルに会いたいというのならば、それ相応の受け応えをせねばなるまい。私を倒せたなら、その願い叶えてやろう」

 

「え?」

 

 一瞬、その言葉の意味を理解できずにドルグレモンは呆けた声を出す。

 一方でオメガモンの意図を正しく理解した旅人は、未だ呆然としているドルグレモンに向かって声を上げた。

 

「ドルグレモン!避けろ!」

 

 旅人の声に反応してドルグレモンが避ける。一瞬後にグレイソードを展開したオメガモンが、ドルグレモンが居た場所へと斬りかかっていた。

 

「ドルグレモン!っち、set『……ってうぉ!」

 

「お前の相手はこのオレだ!」

 

 ドルグレモンへ援護しようとした旅人は危機感を感じて横へと飛びずさる。旅人が振り返るとマグナモンが旅人に向かって構えていた。

 

「……これは手こずりそうだな」

 

「心配しなくてもお前はここで終わりだ。オメガモンがどういうつもりかは知らないが、こちらだけでも片付けておく」

 

「そういう心配はしてないな!」

 

 旅人対マグナモン。ドルグレモン対オメガモン。二つの戦いが今、始まった。

 

 

 

 

 

 暗闇の中、赤黒い屍竜は己の半身を近くに感じて目覚める。

 

「グギャァアアアアア!」

 

 屍竜が咆哮する。すると辺りから光の玉が幾つも飛んできた。

 その数は百や二百では足りない……千を超えるほどだった。フワフワとやって来る光の玉はまるで人魂や火の玉と言ったものとして怪談話に登場しそうなほどだ。

 

「グアァァア、グオォオオオオ!」

 

 屍竜が咆哮する。やって来た光の玉が次々と屍竜の体の中に入っていく。光の玉が入る事に屍竜の体が大きくなっていく。

 

「グォオオオオオ!グギャァアアアアアア!」

 

 屍竜が咆哮する。大きくなるほどに体は透明に、薄くなっていく。まるで巨大になったが故にその存在を保てぬとばかりに。

 

「グアァァアアアアアア!グォオオオオオオ!グギャアアアアアアア!」

 

 屍竜が咆哮する。

 光の玉を全て吸収し終わると今度は逆に体が小さくなり始めた。やがて体のいたる所から黒い包帯のような拘束具が屍竜を包んでいく。

 全ての変化が終わった時、その場にいたのはドルゴラモンによく似た竜――デクスドルゴラモン――だった。

 

「グギャァアアアアアアア!グォオオオオオオオオオ!グアァァアアアアアアアア!」

 

 屍流が咆哮する。自らの半身を喰らうために。己が存在し続けるために。屍竜は己が半身が来るのを待つ。

 




この前友達と話していたのですが、よく戦隊モノとかの変身物で変身前に潰せば楽勝だよねって言う話をしたのですけど、それって情報在りきの戦略だと思うんですよね。
突然目の前で変化し始めたら新手の攻撃とか思えるわけで、実際に突っ込んだら攻撃判定あって手傷を負うとか笑えないわけで。変身や変体、合体等によって相手が強くなってしまうという前情報があるからこそ言えることだよねって言うどうでもいい話でした。まぁ、話の盛り上げ方としてもあるんでしょうけど。

次回はロイヤルナイツとの戦闘です。
さて、一章で成熟期程度の戦闘力しか持たなかった旅人はロイヤルナイツ相手に戦えるのか!?乞うご期待!
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