理由は読んでいてあ、ここ違っている。と思う部分があまりにも多かったからです。
出来事などの大筋は同じですが、所々解決方法が違ったり、セリフが違ったりしています。そちらもよろしければ、どうぞご覧下さい。
旅人がドルモンと話をしている頃。
上空では二つの影が因縁とも言える戦いを行っていた。
デュナスモンとリリスモンという、二つの影が交差する度に凄まじいほどの衝撃が辺りを包み込んでいる。
「っち!まさかロイヤルナイツのデュナスモンともあろう者がこんな僻地にいるなんてね!」
「ふん!そちらこそ!バグラ軍の三元士ともあろう者が一人でこのような僻地を訪れるなとはな!」
デュナスモンはリリスモンの持つナザルネイルというあらゆる物体を腐食させる毒爪を喰らわないように体を少しづつずらすように動きながら、自身の剛爪を繰り出していく。
「何を企んでいる?まさか生きているかどうかも分からぬ我々を追ってきたわけでもあるまい。それとも三元士ともなると暇なのかな?」
「っは!もう滅んだアンタたちに比べれば忙しいわよ」
「っく……まぁ、確かにな。しかし、先程は執拗にドルモンを追い掛け回していたようだが……ねっ!」
とはいえリリスモンも七大魔王に名を連ねる者である。
いかに直接的な戦闘能力が低いといえども、デュナスモンの攻撃を容易く食らうことなど有り得ない。
だが、デュナスモンはロイヤルナイツの中でもトップクラスのパワータイプだ。
いかにリリスモンといえど凄まじいほどの威力を誇るデュナスモンの連続攻撃を前に、魔法陣の盾を上手く使いながらの防戦一方になるしかない。
「答える義理なんてないように思えますけど?」
「否定しないのか……成る程。バグラ軍は彼らに興味があるのだな。ついでに一人できたということはリリスモン……貴様の独断か?」
「さあ……どうかしらね?」
攻防を続けながらも肝心な情報はもたらさないリリスモン。
実際、ここへリリスモンが来たのは旅人たちを追って来たのであって、デュナスモンと鉢合わせしたのはただの偶然である。
「あんまりしつこいヒトはオネーサン好きじゃないわよ!」
「……」
「な、なによ……?」
「っふ。お前がオネーサンという年か?」
「うるさい!『エンプレス・エンブレイズ』」
デュナスモンは馬鹿にしたように言うが、古今東西ありとあらゆる女性に年齢の話はタブーである。それは魔王型デジモンでも変わらない。
リリスモンが半ば逆ギレのような感じで作った巨大な魔法陣より出る、禍々しい掌の形をした五頭の魔鳥がデュナスモンを襲う。
「う、うおぉおお!」
デュナスモンは襲い来る魔鳥を一頭一頭捩じ伏せていく。
一方でリリスモンはその隙に魔鳥の中に紛れて、デュナスモンに接近。デュナスモンを強襲した。
「見えているぞ……リリスモン。それは貴様の常套手段であろう!」
「っく……やはり効かないか!」
しかし、それはリリスモンの常套手段。ロイヤルナイツが壊滅する前に幾度となく戦った時に、何回も食らった手でもある。
デュナスモンとて一度食らったことのある攻撃をそう何回も食らうことはない。
「つくづく邪魔してくれるわね!私の陛下への愛を!」
「何だと……愛?」
思わずといった風にリリスモンは自身の目的を漏らすが、ようするにそういうことである。
バグラモンが旅人たちに興味を持ったので、リリスモンは旅人たちを捕らえて連れて行き、バグラモンに褒めてもらいたいのである。
ちなみに一人で来たのは手柄を他に取られない為だ。流石の乙女――そのような年齢ではないが――心である。
ちなみに独断行動による制裁は考慮していない。
「……流石にロイヤルナイツを見逃すことはしたくないわね」
だが、流石に仇敵であるロイヤルナイツは見逃せない。しかし、本気で戦うと生け捕りにしなければならない旅人たちを巻き込んでしまう。
本来の目的を果たすか否か。リリスモンは苦々しい顔をするしかない。
「コテモンたちはまだか?」
一方でデュナスモンも苦い顔を隠せなかった。
元々デュナスモンはパワータイプのデジモンである。故にその攻撃の大半は超高威力超広範囲の攻撃が多い。コテモンたちにここから離れるよう言ってあるが、ドルモンが行方不明な今ではそれもどこまで効果があるかわからない。
そのような状態では戦闘の選択肢が限られてしまう。いくらデュナスモンとはいえ、リリスモン相手にいつまでも限られた戦い方で保つことはできない。
「っく……だったら……!」
「っち……なら……!」
“現時点でできる最大火力を持って相手を叩き潰す!”と。
奇しくもデュナスモンとリリスモンの思考が一致した。あとは大技を叩き込む隙を見つけるだけなのだが、同じ大技狙いを考えている者同士、その隙は直ぐにやってきた。
「はぁあああああ!」
「はぁあああああ!」
魔法盾ごとリリスモンを殴り飛ばし、すぐさまデュナスモンは上空へと向かう。
一方で殴られた反動を利用して距離をとったリリスモンは今までで一番巨大な魔法陣を作り出した。
デュナスモンの全身から出たエネルギーが竜を形作りデュナスモンの体を包み込む。
リリスモンが吐いた吐息が作り出した魔法陣を通して大量の黒い靄となる。
「さぁ苦しみなさい!『ファントムペイン』」
「これで終わりだっ!『ブレス・オブ・ワイバーン』」
巨大な飛竜となったデュナスモンが上空よりリリスモンを強襲する。
魔法陣から出た黒い靄はデュナスモンへと迫り、デュナスモンを包む飛竜のオーラを蝕んでいく。
だが、ここで一つリリスモンはミスをした。別の技を使うか、『ファントムペイン』をもっと早く使うべきだったのだ。
超高速で落下するデュナスモンは『ファントムペイン』をその余波だけで散らしながら移動している。ついでに蝕まれているのは飛竜のオーラ
「何っ!?私の必殺技をっ!?」
「はぁっ!」
『ファントムペイン』がデュナスモンの本体に到達するより早く。デュナスモンがリリスモンの下へと辿りついた。
『ファントムペイン』を出すことに手一杯だったリリスモンはそれを避けることができずに――。
「き、きゃあああああ!」
デュナスモンの一撃を食らい、地面へと叩きつけられる。
「多少威力は落ちたがこれで終わりだ!」
油断なく見据えるデュナスモンは土煙が辺りを包む中、巨大な力の波動を感じ取った。
一方で追いかっけっこをしていた旅人とドルモン。
二人はデュナスモンの命令通り遠くへと逃げていたグラディモンによって発見、そして説教されていた。
「いいですか?この非常時には落ち着いた行動をしてもらわねば困ります」
「すみません」
「ごめんなさい」
「はぁ。ナムさんたちはコテモンが付いていますから。さぁ、急いで……っ!」
何かにグラディモンが反応した瞬間、上空で轟音が鳴り響き、ついで何かが空から降ってきた。
「何だっ!?」
「ぅ……まさか……この私が……っ!」
「リリスモン!」
土煙が辺りを包む中、その場にいた全員がリリスモンの声を聞く。
その声は苦しそうでまるで信じられないといった風の声色だった。
その声を聞いた旅人たちは“デュナスモンが勝ったのか”と一瞬の安堵を感じ取っていたが――。
「ありえないっ!こっこの私がっ……!」
「……まずくね?」
「かもしれません。リリスモンは感情の激しい魔王と聞きますし……」
明らかに冷静でない声色のリリスモンに嫌な予感を感じ取った。
姿こそ見えはしないが、騎士団の一員としてリリスモンの情報を持っているグラディモンは嫌な予感とともに、リリスモンのその状態こそ不味い状況であるということを察知していた。
「この私がァ!」
「っ!不味いです!旅人さん、ドルモンさん、急いでここから離れますよっ!リリスモンが……爆発します!」
「は?爆発?」
その時の旅人とドルモンがイメージしたのはどこぞの仮面戦士番組に登場する怪人のごとくリリスモンが爆発するところだった。それをイメージした瞬間、二人は巻き込まれてたまるかと我先にと逃げ出す。
ちなみに当然だが、グラディモンの言う爆発とはそのようなものではない。否、それよりもっと悪質なものである。
「あぁああああ!」
「おいっ……リリスモンがなんか出したぞ!大丈夫なのか!」
「大丈夫なわけないでしょう!あれがリリスモンの爆発……要するにブラックホールです!あれをどうにかしないと最終的にはこのゾーンも飲み込まれます!」
リリスモンが作り出した黒い空間の歪みは近くにある建物だけではなく、地面さえ引き剥がし、飲み込んでいく。近くにいた旅人たちは飲み込まれてたまるかと一生懸命逃げる。
だが、やはり近くにいたのがいけなかったのだろう。気がつけば一ミリたりとも前に進んでいない。進んだだけ後ろに引っ張られている。
「っぐ……そろそろ……きつい……!」
「諦めたらだめですよ!」
「……と!……て~!」
「ん?」
励ましてくれるグラディモンに答えるように数センチ前に進む旅人。
だが、旅人はそこで気づく。ドルがいないことに。
そして前から聞こえるドルモンの声。旅人が嫌な予感とともに顔を上げると、そこにはこちらへ猛スピードで
「おまっ……バカッ!」
「旅人~助けて~ヘルプミィ~!」
「知るかっset『……ぐぇっ!」
「旅人さん!ドルモンさん!」
飛んできたドルモンにぶつかり、旅人は耐えきれずに吹き飛ぶ。後は言うまでもない。リリスモンの爆発に引かれて飛んでいくだけである。
飲み込まれそうになる中、必死に取り出した
だが――。
「set『……うぇ!ヤべっ……カードが!」
「何してるの!」
あまりの勢いにカードを手放してしまう。
そしてそのカードはそのまま歪みへと向かって行く。
だが、ふとそこで旅人は奇妙な現象を目にした。カードが空中で止まっているのだ。
そんな止まったカードを追い越して旅人たちは歪みに飲まれていく。
「き、きゃぁあああああ!」
「何っ!?」
最後に旅人が見たのは叫ぶリリスモンとこちらに向かって来るカードだけだった――。
旅人たちが飲まれるその直前。宙に浮かぶ白紙のカードが発光する。その光は目の前にいるリリスモンを容易く飲み込んだ。
「き、きゃぁあああああ!」
リリスモンは突然の事態に悲鳴を上げて、混乱し、あろうことか二つ目の黒い空間の歪みを作り出してしまった。
二つの歪みが脅威を振るう中、もうやることは終わったとばかりに白紙のカードは歪みに飲まれそうになっている旅人の方へと向かって行く。
「わ、わぁああああああ!」
「……!」
どんどん大きくなる歪みに遂にグラディモンと様子を見に来たコテモンも巻き込まれていく。
「っは!しまった……また私ったら爆発しちゃって……」
そんな折、リリスモンは正気を取り戻した。
崩壊しかけるゾーンを見て、リリスモンは一つの決断をする。
すなわち逃げようと。
先日リリスモンは崩壊させた別ゾーンのことでバグラモンに怒られたばかりなのだ。空間に歪みのようなゲートを開き、急ぎリリスモンは逃亡しようとした。
「っ!待てっ!リリスモン!」
それを止めようとしたのはやはりデュナスモンだ。
今までこの事態をなんとかすべく動いていたのだが、流石に自身の生存を知った敵幹部を逃すわけにはいかない。
「っく……『ブレス・オブ……何っ!」
ここでデュナスモンはミスを犯した。狙うべきはリリスモンではなく、リリスモンが作った空間の歪みである。
二つの歪みがまるで共鳴するかのように混ざり合い、巨大化し、デュナスモンやナムたちを含め、このゾーンの全てを一気に飲み込んだ。
以前ゾーンを移動した時に見た次元の通り道。それが目を開けた旅人が見た場所の感想だった。
「……どうなった?あの歪みに飲み込まれて……あれ?ってことは、ここはあの中か?」
「多分、そう」
「おや、ドル……いたのか」
「いたよっ!はぁ……もう入口は閉じちゃったし……このあたりから離れるとなんか体が剥離してくるし……。どうするの?」
“どうするの?”と問われても、今起きたばかりの旅人は答えることができない。
というより“どうするの?”は旅人のセリフである。
そのままではしょうもないので、何かないかと手持ちのカードを探ると見かけないカードが旅人の目に飛び込んできた。
「なんだこれ……リリスモン?っておあ!白紙のカードが一枚減ってる!」
白紙のカードが一枚無くなって、代わりにリリスモンの姿が描かれたカード。
十中八苦、先ほどの現象が理由であろう。切り札たる白紙のカードが一枚減ったことに旅人はショックを隠せない。
「一体……何で?」
「さぁ……元に戻る気配は?」
「ない……」
どういう理由かは分からないが、白紙のカードがリリスモンのカードへと変わった。
しかも、元の白紙のカードへと戻る気配すらない。
ともあれ、どうしようもない現状で、“試しに使ってみたら?”というドルモンの声に、旅人は現実逃避に試しに使ってみることにしたのだった。
「Set『リリスモン』……何だ?」
「リリスモンが出てきたね。……半透明だけど」
「動かないな……動け!あ、動いた」
「コレ旅人が動かさなければダメなんじゃない?」
結局、使って出てきたのは半透明のリリスモンだった。
その後も色々と実験した結果、旅人が念じれば、念じた動きや技を出す……能力値から言って『投影』のマニュアルバージョンといった風であった。
「使えねぇ……」
「はは……まぁまぁ」
もっとも旅人は戦いながら、このリリスモンも同時に動かすという器用なことはできない。
結局、万能なカード一枚を対価に使いように困る戦闘用人形一つ手に入れただけだった。
「……そろそろ現実逃避もおしまいにしない?」
「どうしよ?ここって普通の転移は使えないんだぞ?『世界転移』でどっか変なところに飛ぶのもやだし……」
現実逃避というものは便利だが、決して現実が変わるわけではない。旅人はそれを今思い知った。
結局、また迷子的な事態である。
「助けに来ることは……」
「微妙じゃね?」
「だよね~」
助けも期待できずにただこのまま朽ちるしかないのか。
そんなネガティブさを発揮しようとした時、旅人は閃いた。“白紙のカードを使って出口作ればいいんじゃね?”と。
「でも白紙のカードって効果をイメージしないとダメなんでしょ?できるの?」
「……多分。Set『ゲート』」
「穴が開いてるね。本当に大丈夫?」
「多分」
白紙のカードで空間に穴が開く。
そこからはおそらくは外の風景らしきものが見えるが、明らかに先ほどまでのゾーンとは違う。
その風景を前に旅人たちは本当に大丈夫なのか心配になる。
「さっきからそればっかじゃん!」
「しょうがないだろ!オレだって自信ないんだ!」
「むしろ自信あることってあるの!?」
「そんなのあ…る…?……あれ?と、取り敢えず何かあるわ!」
どうしようもない低レベルなケンカを始める二人だが、喧嘩に夢中な二人は気づいていない。
だんだんとゲートに近づいて行っていることを。そして、ゲート自体が先程のリリスモンの爆発と同じように引力を持っていることを。
「っげ!」
「あ!」
気づいた時にはもう遅い。旅人とドルモンは自分たちで掘った穴へと落ちていった。
ちなみにここにはデュナスモンたちも一緒に飲み込まれていたのだが、彼らが旅人たちを発見した時は旅人たちがゲートに落ちる所だった。
結局デュナスモンたちは旅人たちのゲートには間に合わず、ナムが開いたゲートで出ることになったのである。
ちなみにリリスモンの必殺技ファントムペインと四巻でX7に使っていた最強の攻撃魔法は違います。この作品ではファントムペインは威力はあまりないが副次効果が強い。最強の攻撃魔法は副次効果はないが火力がすごいという風に分けてあります。
デュナスモン……こっちは特に言うことはありません。脳筋です。完全な力押しです。