流石に来週はテストに入るので余裕はないです。再来週の月曜日から投稿を再開します。
今回は漫画デジクロ名物擬人化回(といっても全然うまく書けてないですが。)です。
次の日の朝。
ウィザーモンとテイルモン、そして旅人とドルモンはある仕事をするために人間界へと向かうためクロスハートの面々に見送られていた。
「それじゃ、ウィザーモン。テイルモン。旅人さんたちも。気をつけてくださいね」
「任せておいてくれ」
「まぁ、こっちも世話になるしな……出来る範囲で頑張るよ」
タイキはクロスローダーにどこかで見たようなSDカードらしき物を入れた。
あれ?アレって確か、コードクラウンか?やべっ……そういや、コードクラウンのこと忘れてた。
そんなことを考えている旅人は貰ったきり、コードクラウンのことをすっかりと忘れていたのだった。
ゾーン移動というタイキの声に応じて空中に歪みができる。
「旅人は知らないと思うが……これで人間界へと行ける」
「まぁ、似たような物を見たこともあるし……大丈夫だよ。……多分」
それを確認した旅人は、“ちょうどいいや。ついでに渡しておくか”とそのままタイキへとある物を投げ渡した。
「あ、そうだ……タイキ。これやる」
「はい?ってこれっ!」
旅人から気軽に投げ渡された物にタイキは驚く。
投げ渡された物はフェスティバルゾーンのコードクラウンだったからだ。コードクラウンという貴重なものを簡単に投げ渡されたのだ。旅人の行動にタイキは驚くしかない。
「これって……どうしてっ!」
「いや、前にちょっと貰ってね。まぁ、オレには要らんし……」
持っていると面倒なことになりそうだし。
もちろん、最後の部分については言わなかった。絶句しているような雰囲気のタイキを放っておいて、旅人はさっさと歪みの中へと飛び込んでいった。
「あ、ちょっと待ってくだ……行っちゃったよ……」
「それではタイキ。僕たちも行ってくる」
ウィザーモンとテイルモン、そしてドルモンも旅人に続くように歪みに飛び込み、人間界へと向かった――。
歪みから出た旅人が見たものは旅人が見慣れた風景と旅人が見たことのない巨大な作りかけの塔だった。
これが世界の差か。見たとこ日本なのにあんなデッカイ建物があるなんてな。さっすが異世界。
そんなことをボンヤリと考えながら、旅人は作りかけの塔を見て何とも言えない気分になっている。
「しかし……何度見ても大きいな」
「ウィザーモンはあの塔を知ってんの?」
「確か、スカイツリーというらしい。もうすぐ完成とのことだ」
もっとも完成時期はどうでもいいのだが。
旅人がお上りさんよろしくそこら辺をキョロキョロと見ていると、突然ウィザーモンがテイルモンに魔術をかけ初めていた。
すると、何をしているのかと不審に思っている旅人の前で、魔術をかけられていたテイルモンが突然金髪の
「……はい?」
いきなりの変身に旅人は呆けた声を出す。目の前で猫が金髪女性へと変身したのだ。旅人はどういう反応をしていいのか分からない。
一方でウィザーモンも自分にも同じような魔術をかけて金髪の精悍な顔立ちの男性へと変化した。
「さて、ドルモン。君もやるぞ」
「……はい?」
ウィザーモンの言葉をドルモンは理解できず、呆けた声を上げた。
一方でウィザーモンはドルモンの返事を待たずに魔術をかけ始めている。そんな様子のウィザーモンにドルモンは慌てるしかない。
「え?いや、ちょっと待っ――」
だが、ドルモンの言葉は最後まで続かなかった。
ドルモンは一瞬光輝くと、灰色の髪の十にも満たない子供へと変化した。流石に三回も行われれば旅人にもわかる。
あの魔術はデジモンを人間に変える魔術だということに。
「まぁ、デジモンは人間の世界では目立つからな」
「私とドルモンは猫や犬でも大丈夫だとは思うけどね。まぁ、今回は人間の姿の方が都合がいいからね」
テイルモンやウィザーモンは平然としているが、慣れない姿にドルモンはワタワタと慌てている。
姿は変わっても、ブレないドルモンの姿に旅人は何となく安心するのだった。ここ最近のドルモンは似合わない雰囲気でいることが多かったから、このような姿を見るとドルモンはドルモンだと旅人は再認識することができたのだ。
「なにこれ~」
「人、もしくは人間」
「そんなことは分かってるよ!」
しかし、だんだんと相手をすることが面倒くさくなってきたのであろう。
旅人の対応がぞんざいになり始めている。
もっとも、そうこうしているうちにドルモンも落ち着いてきたのだが。
「ところで……ドル。お前って……オスだよな?」
「いや、……元々デジモンに性別はないけど……まぁ、オレ的にはオス……何で疑問形!?」
「いや、だって……」
言葉を濁した旅人にドルモンは首を傾げる。言葉を濁したのは旅人なりに気を使った結果でもある。
一方でドルモンも旅人が何故そんな対応をしているのか理解していない。
「女顔だからじゃないの?ドルモン、女の子の服とか似合うかもね」
「え!?」
そう、ドルモンの人間体は十にも満たない子供である。第二次性徴すら訪れていないだろう年齢なため、男女の差が分かりにくいのだ。
もっとも、そんなことは当のドルモンは知ったことではない。傷つくものは傷つくのだ。
「ははっ……はぁ……そっか~……そっか」
「あれ?なんか……ごめん?」
「まぁ、あれだ。どのみち元に戻れば関係ないんだし」
一生懸命ドルモンをフォローする旅人とテイルモンだが、ここでウィザーモンが余計なことを言う。
すなわち――。
「とはいってもここでのやることが終わるまではそのままだがね」
「うっ!」
言わなければ気づかなかったのにという所謂空気の読めない発言である。
胸の辺りを抑えて蹲るドルモンを気にしないとばかりにウィザーモンは歩き出す。元々時間はあまりないのだ。ドルモンに構っている時間はない。
置いていかれそうになっているにもかかわらず、ドルモンは動かない。蹲ったまま動かないので、不審に思った周りの人が寄ってくる始末である。しょうがなしにドルモンの腕を掴んだ旅人は、急いでウィザーモンを追った。
ちなみにそんな旅人を通報しようとした人が相当数いたことはほんの余談である。
その後、ウィザーモンがとったホテルの部屋――もちろん魔術を使ってチェックインした――の一角で、旅人はパソコンと向かい合っていた。
部屋についた途端、ウィザーモンからパソコンを手渡されたのである。
もっとも、パソコンを渡されたからといって旅人はどうすればいいのか分からない。
「で?何をすればいいんだ?」
「分かるだろう?この前この近くでバグラ軍と戦ったんだ。で、そのままだと面倒なことになるから……要するに都市伝説化したいんだ。旅人はネットの掲示板に手当たりしだいそれはデマだったという書き込みをしてくれ」
なるほど、オレができることなどそれくらいしかないな。めんどくさそうだけど。
そんなことを考えながら目的を理解した旅人はベットでうつ伏せに寝たまま動こうとしないドルモンを見てため息を吐く。
ドルモンが使い物になればもう少しマシだろうにという意味である。もちろんその意図はドルモンには届かない。
だが、旅人は納得していても、この作戦内容自体にはある致命的な欠陥があったのである。
「オレ……パソコン使えないんだけど?」
「……」
「……嘘でしょ?」
テイルモンが呆然とした風に呟いた。
今のご時世、パソコンを使えないのは余程のアホか、アナログ人間だけである。 もっとも旅人の場合は、使えないではなく、使ったことがないと言った方が正しいのだが。
「ここがこうで……違う違う。どうしてそうやるんだ。そう。そこでその大きいボタンを押す。そう」
「うわっ!なんか字が変わった!なんかたくさんあるんだけど……どれ使えばいいんだよ……」
「漢字よ……それ。っていうかそれくらい知っているでしょ。常識よ。常識」
旅人にパソコン――主にインターネット――の使い方を教えていたせいで、かなりの時間をロスしたことは言うまでもないことである。
ちなみに旅人が掲示板に書き込んだ文は、かなりの数の誤字脱字が存在していたことはやっぱり余談である。
「こいつらもいい加減に納得しろよ……」
「……」
外で魔術を使った隠蔽工作をする役割のウィザーモンとテイルモンを見送った後、旅人はひたすらにパソコンとにらめっこをしている。
一方でドルモンは暇そうにベットの上で足を上下に上げ下げしている。すっかりと人間の体には慣れたらしく、何の苦もなく足を動かしている。
「面倒だ……。っておぁ!くそっ妙に突っかかる奴がいるぞ……誰だよ。はいはい。そんな化け物なんて……いるはずが……ないだろっと!よしこれでえんたーきーだな」
「……」
カタカタというパソコンのキーボードを叩く音と旅人の独り言のみが部屋に響く。
“なんだ簡単じゃん”などと旅人は始め軽く考えていたが、すぐにそれが間違いだったと知って後悔していた。
なぜなら人間とは好奇心を持つ生き物だからである。
「……。何で同じようなことを言うのかな……。あれ?書く……か?まぁ、いいや」
「……暇~」
繰り返されるループともとれる掲示板の書き込み合戦。
しかも、掲示板は一つだけではない。何十個もある掲示板をネット上から探し出して、一つ一つに同じような内容を書き込み続ける。
「……」
「……旅人?」
その作業は非常に地味であり、飽きる。
旅人はこれが何日も、何時間も繰り返し続けることになるのだ。初めは独り言を呟いていた旅人も、だんだんと口数が少なくなって、最後の方には無言でキーボードを叩くことになっていたのは言うまでもないことである。
人間の世界に来てから数日経った日の夜。
旅人は窶れていた。あれからずっと外にも出ずに食事とトイレ、そして睡眠を除いてひたすらにパソコンと向かい合っていた旅人はもう限界だった。
ちなみにその間ドルモンは、ウィザーモンから貰ったお金――やっぱり魔術で作った――で人間の世界をひたすらに満喫していたりする。
「だらしないわね。もうちょっと何とかならないの?一」
「オレはお前らみたいな裏技なんてできないんだよ。二」
参考までにオレの作業をちょっとやってみてくれ。
休憩がてら戻って来たウィザーモンとテイルモンの二人にそう旅人は頼んだ事があった。
“少しはオレの苦労も知れ”という旅人の抗議の心があったのだろう。だが、そんな旅人のささやかな反抗は、まさかの
「……もう嫌だ。ドルはどっか行っちゃうし……っていうかお前だけずるいんだよっ!」
「だってやれることないし。三」
そんなこんなで隠蔽作業もほぼ終わり、明日残りの細かい作業をウィザーモンがするだけになっている。
現在は旅人とドルモンの部屋にて、旅人とドルモン、それからテイルモンを合わせた三人はトランプをして遊んでいる。
ウィザーモンだけは何かすることがあるらしく、テイルモンが誘っても断り、参加していなかったのだが。
「まぁまぁ。旅人がいたおかげで作業分担ができて思ったよりも早く終われたんだから。明日は遊びまくりましょ。四」
「いや、それよりも一日中寝たい。五」
ここ数日で、数年間分のストレスを感じたと言っても過言ではないと旅人自身思っている。
もちろんそれは過言なのだが、旅人はゆっくりと休みたいのだ。一日中寝て、食べて。ネットで知ったばかりの言葉であるニートとやらの生活をしたいと本気で思っている。
「え~遊ぼ~よ~。六」
「ダウト」
「なんでわかるの!?」
実際、今も旅人はこんなふうにダウトや大富豪などのトランプゲームをして遊んでいるが、油断していると目蓋が落ちそうになってきている。
そんな様子の旅人を見てもテイルモンとドルモンはトランプを止めようとしないのだから、遊びに対する二人の執念は凄まじい。
いっそのことカードを使って追い出そうかというような旅人の中に若干危険な考えが浮かんでくる始末である。
「う~次は七だよね。んじゃあね~七」
「ダウト」
「だからなんでわかるの!?」
だってドルだし。
そういう顔をしている旅人はもちろんだが、テイルモンさえもしっかりと理解できている。
今のドルモンは人間の姿なのだ。そして人間である分、表情が分かりやすい。
もっとも、ドルモンはデジモンの姿でも表情は分かりやすいのだが。
ちなみにこの後、それを指摘されたドルモンは不貞腐れて、この集まりはお開きになった。
ようやく旅人は望んだ平穏を手に入れることができたのである。
旅人たちがトランプをしている頃。
同じホテルのある一室では、ウィザーモンが怪しげな実験と研究を繰り返していた。
「ここが……こうで……あぁ!確かこうでもあったな!ん?待てよ……だったらここはこうともとれるぞ……」
暗い部屋で一人、魔法陣を出しては消し、少し違う魔法陣に変えては消しを繰り返している。
時折、紙に色々なことを書き込んでは、また元の作業に戻る。その繰り返しだ。
「やはり……クロスローダーはただの機械だ。一部の人間が持つ資質を高める作用まである……すごいぞ!」
“やはり思ったとおり。僕の考えは正しかった訳だ。これならば……”などと一人でブツブツと言っているウィザーモンは果てしなく怪しい。
集中しているのか、はたまた別の理由かは分からないが、電気もつけてないので怪しい儀式をしているようにも見える。
もっとも魔術を使っているという意味では半分位は当たっているのだが。
「む?タイキたちよりはだいぶ……いや、かなり少ないが、旅人にもあるのか?これは……
無駄に明るく、しかして不穏なことを呟いたウィザーモン。知らぬ間に実験対象に選ばれてしまった旅人だった。
ちなみにウィザーモンが隠蔽工作をする中で、研究の時間を抽出できたのは、旅人が本来ウィザーモンがやるはずだった仕事を半分やった為である。
妙なところで墓穴を堀っている旅人だった。
第三章の時期は原作三巻後からです。
今回、コードクラウンをあっさりと原作主人公に渡しましたが、コードクラウンの伏線は(忘れなければ)第四章か第五章で明かされる予定になっておりますのでご心配なく。
ちなみに擬人化回もとい、デジクロ人間界編は次で終わります。……多分。
それでは、また再来週にお会いしましょう!