※ちょっと生々しく汚い話をします。具体的に言うとう○ことか。
「いや~~はかどったはかどった」
「うむ、たまには共同発明なんてのもいいものだな!!」
カルデアの廊下をマシュに車椅子を押してもらいながら移動していたら、ダヴィンチちゃんとエジソンに出会った。若干煤けているものの、それなりなハイテンションで探してたんだよ!と駆け寄ってこられたので素直にマシュと立ち止まった。
未だに獅子頭の筋肉隆々の大男がエジソンだと言う事実に頭がぶっ飛びそうになる。狙っていたキャスタークラスなのは当たっていたが、違う、そうじゃない、と総ツッコミがはいったのは当然だったと今でも思っている。落ち込むより先に外見のインパクトと本人の破天荒さに引っ掻き回されたので、それはそれでよかったのだと思うけれど。ぶっちゃけ彼の召喚はアメリカの定義を疑う事件だった。
まぁそれを言い出すとダヴィンチちゃんもなかなかなのだけれど。
「あの、明日には発見された一つ目の特異点へのレイシフトが決まっていますが、今までお二人はなにを…?」
それはそれとして、言いたいことをきっちり代弁してくれるマシュはすごいと思う。正直こんな妹も欲しかった。
なんせ気づいたら二人してしばらく姿が見えなかったのである。エジソンとはコミュニケーションとか連携の相談とかしたかったのに。ロマンなんかは頼りにできる人材がすっぽりいなくなってしまったせいで過労死寸前だった。
でも、そのマシュの問いかけに、二人してドヤ!と胸をはって返してきた。
「もちろん発明である!具体的に言うと、マスターの旅の手助けをする発明だがね。このエジソン全力をもってさせてもらったとも!」
「私は戦闘手段の発明だね、魔術礼装的な?カルデアの制服も充分魔術礼装としては一級品なんだけど、やっぱりジョニィくん専用の品があった方がいいかなって思ってね」
「それを二人ともどっちが役に立つものを作れるかって競争してたんだがね、お互い作ってるものに口出ししあってたら競争っていうか共同開発になっちゃったっていうか」
「まぁ、便利なのは保証するからさ!さ、ずずいっと見に来ておくれよ!」
マシュと顔を見合わせる。
自分のためにと言われてしまうとちょっとそわそわしてしまう。ロマンには悪いけれど。
「えーっと……どうする?」
「戦闘シミュレータでの実戦訓練に付き合って頂く予定でしたが、今までもこなしていますし。マスターにお付き合いします」
「サンキュー、じゃあ、そういうことで」
で、案内された先にあったのが。
「えーっと……車椅子と…………なんだこれ、枯れ枝?ねぇ、なにこれ……、」
なんの変哲もない、というにはちょっと鮮やかでアメリカンな塗装がなされていたが、一つは一応普通の形をした車椅子だった。もう片方は、干からびた枯れ枝のようなもの。子どもが握って落書きをしそうな感じの枝にみえるものだった。
「「最初はグー!じゃんけんぽん!!!」」
「……えーっと…」
それを質問しようと振り返れば発明者達のじゃんけん大会である。
「ふははははは!!!!勝利の!!!チョキ!!!!!」
「くぅぅぅぅなぜ私はパーを出したんだ………叡智の敗退……かなしい…」
「「………」」
「どうしようマシュ、やっぱ戦闘シミュレーションする?」
「それがいいですね、では移動しましょう」
「「待って」」
発明者どものテンションがおかしいなとは思っていたけども、おかしいというかSoCrazyなことになっている。
「説明する順番を!決めてただけだから!!」
「帰んないでジョニィくん!!お願い!!!頑張ったから!!!」
「いいけどさ~~、明日だぞ、明日!気持ちはスッゲー嬉しいけども!これからさぁ遠足にいくぞって玄関出る時に、やっぱアクセサリー変えてくるとか二階の窓ちゃんとしめたか不安だとかさ~~、必要だろうけど
「悪かったって!……んんっ、ごほん!じゃあ!私が紹介します!!!」
エジソンがすすーっと差し出してきたのは車椅子の方だった。車椅子にアメリカ国旗をペイントするその根性に敬服する。
「うーん予想通り」
「やっぱりそっちがエジソンさん主導だったんですね……」
「私が紹介致しますのはこちら!エジソン式直流電動車椅子です!
まずはとりあえず座ってみて下さい!」
ひょい、と抱き抱えられて椅子を移動させられる。抱き抱えられることに最初の頃はプライドがへし折れかけたものだったが、最近は開き直って抱っこがうまいやつ選手権を脳内で開催していたりする。ちなみに一位はサンソン、二位はロマンという結果である。医療従事者は流石だった。
すとんと見た目けばけばしい車椅子におろされて、おや、と目を丸くする。
「うっわ何これ、ソファーみたい」
「そうでしょうそうでしょう!快適な座り心地を追及致しまして、こちら最高級ソファーと変わりのない座り心地を実現しております!床擦れ防止機能も完備!
そしてなんとシートベルト付き!激しい移動にも滑り落ちないよう、がっちりあなたをサポートします!もちろんこちらもクッション付き、どんな衝撃にもあなたの皮膚を傷つけるようなことは致しません!」
下半身がまるっと麻痺しているので、座位こそなんとか保てはするものの、全く踏ん張れない身としては嬉しい機能だった。
「そして!……まぁシモの話しになってしまうが、長く旅する以上、ミセスマシュも無縁ではいられないと思うのでね。マスターもその辺は思うところはあると思うんだが……」
「ああ、それね」
人間なので生きている以上は排泄をする。時代を遡る任務である以上、ウォシュレット完全完備の水洗トイレなんかは期待するだけ無駄なのは当たり前なので、おむつであったりの非常手段をとらざるを得ない、という結論に至っていた。
その辺ダウィンチちゃんが解呪の際にめちゃくちゃ頑張ってくれていたので、排便反射的なものはなんとか残っている。知らないうちに垂れ流しとかいう文字通りクソッタレな羽目にならずにはすんだものの、どちらにせよ排泄の際は座位になる必要があったし、一人で処理するのはどうしたって無理があった。悲しいことに。
「サンソンにその辺の手伝いはお願いすることになってるよ。一応非常時のために介護の一環でマシュにもおむつ替えたりとか処理の仕方とかのやり方だけは覚えてもらってるけど」
「はい、介護知識というか、介助のやり方は一通り学んでおきました」
「…悪いねほんとに………。まぁ、女性にはシモの世話は頼みたくないから覚えるだけにしてもらったけど…、ぼくにもまだプライドあるし。
その辺サンソンなら医療の心得もあるし、わりきってお願いできるからね。男性サーヴァントだからその辺エジソンにも相談したかったんだけどな~~いなかったからな~~」
「それは!ごめんね!!!」
んん、と咳払いをして、エジソンが肘置きをぱかりと開いた。
「ええとそれでは仕切り直して。こちらのアームレスト、開くとボタンかあるのですが」
「ほう」
「あっすいません、ちょっと失礼して、一旦おりて頂く必要があるので、はい。それで、これをこう、この順番で押すと、ソファ的な座り心地の部分が引っ込みまして、変わりにウォシュレット付きのお手洗いがあらわれます」
「ハァッ!?」
「排泄物はこちらの完全消臭密閉型ポッドに格納されるので、ほら、これをこうして」
「あーっ座っててもポッドに手が届く位置じゃん!」
「排泄後はこれを捨てるだけ!一人でお手洗いが可能です!ポッドは有機素材で出来ているので地面に埋めるだけでオッケー!川に流しても可!!ポッドは使い捨て式ですが、圧縮格納して三ヶ月分を持ち運び可能です!洗浄などに使う貯水タンクは完全循環式!定期的にフィルター交換するだけでオッケーです!」
「やっべー……マジやっべー……。ぶっちゃけ便所で人理修復するようなもんだけどそれを差し引いてもめっちゃありがたい………」
「………まぁ、排泄行為というのは、人間の尊厳と密接に関わるものだからね。誰かに股をふいてもらうなんてのはベビーのときだけで充分だろう?モード変換の時に逐一降りて貰うことになってしまうのだけは難点なんだが…。最悪貯水タンクの水は飲料水にも出来るように洗浄回りの機能は万全にさせてもらったよ。
そういうわけでその、踏み込むのもどうかとは思ったが、世界を救うのが快適ではいけないなんてことはないだろう?私なりに考えて頑張ってみたんだが……」
「入院生活みたいなのしててそれは身に染みてたし、諦めてもいたんだけど………、めちゃくちゃ嬉しいよ、ありがとう」
「そうか、それはよかった。その喜びが発明家にとっては何よりも報酬だとも!
よし、それでは最後の機能を説明しよう!!」
「まだあるんですか!?」
全自動自走式便所モードから車椅子モードに戻すと、エジソンがもう一度椅子に座らせ直した。
「さて、マスター。そいつは勿論車輪を手動で回しても移動が出来るようにしてあるし、そっちのアームレストのコントローラーで時速30kmまでの自動走行も可能なんだが。
どんな悪路でも絶対がたつかずに走ることが出来るように、ダヴィンチちゃんと改造をほどこしました」
「お手洗い回りとか座り心地関連も勿論手伝ったけどね?一番はそこかなぁ」
「まぁとりあえず動かしてみてくれたまえ」
最初にコントローラーでの移動を試みる。ソファ的な座り心地も相成って、車椅子とはとても思えない移動の仕方だった。
続いて手動で車輪を回してみると、自重も感じないくらいスムーズに回る。
「……?なんかめちゃくちゃスムーズだけど」
「こちら!!なんと!!!
「ええー…」
「まさかのホバークラフト……」
「お手洗い付き全自動ホバークラフトアメリカン車椅子って盛りすぎでは……」
マシュが覗きこんで、手頃な紙をすっと車輪の下に通すと確かにつっかからずに素通りしていた。
「すごい技術ですね…」
「えっそれって車輪いらなくない?」
「いや、
「あーなるほど。わかった」
「それから、出来る限り頑強には作ってあるが、サーヴァントの攻撃を十回も受ければ壊れてしまうので、その辺は気をつけてほしい」
「十回って時点で破格だけどね?魔術的にも防護を重ねてそれだけど、でも用心してくれたまえ」
「はい、マスターに敵を近づけないようにします」
「まぁ普通はその時点で死んでるけども」
はっはっは、と笑って、うむ、とエジソンが頷いた。
「大まかな説明は以上です!取扱説明書を100Pほどかいておいたので、後でよく読んでおくように!」
「うっへぇ…まぁ仕方ないか。
ていうかエジソン」
「?なんだ」
「時たまテレフォンショッピングみたいになってたけどなんで?」
「…?宣伝も的確なプレゼンも商品の売り込みには必要なことだろう。伝記にもちゃんと書いてあるはずだ。……かいてあるよね?」
「うーんこの社畜根性が染み付いてる感じ……」
「そしたら!私の説明に入っていいかな!!!」
「正直お腹いっぱいだけどどうぞ!!」
アメリカン車イスに座ったままダヴィンチちゃんを見ると、いつの間にか眼鏡を装着していた。
「……なんで眼鏡?」
「雰囲気的に欲しいでしょ?」
「……んーーつっこみたいけど話が進まないからどうぞ」
「ありがとう!」
さて!と、ダヴィンチちゃんが持ち上げたのは例の枯れ枝のごときものだった。
「それ一番疑問なんだけど……なにそれ」
「んっふっふ、聞いて驚きたまえ、こちら種火の腕を加工した礼装になります」
「たねびのうで」
「……、あっ、マスターはご存じないですよね?サーヴァント召喚時に、本来より弱体化した状態で召喚される不具合がありましたので、それを解決するために作られた魔術生物のことです。大概に核を露出した状態で成長するのですが、その核も共に成長して、普通の生物より多くの……そうですね、簡単な言葉で言うなら
「まぁ百聞は一見にしかずってやつだ。ささ、とりあえず体験したまえ」
マシュの説明にとりあえず頷いた。ダウィンチちゃんがずんずんと近づいてきて、差し出された
と、
「うおわあああ!!???」
「マスター!?ダヴィンチちゃん、これは…!」
「大丈夫大丈夫、痛みはないから。それで正解」
「体に干渉するものはなんであれ事前警告が必要だと思います!!!…マスター、大丈夫ですか!?」
「視覚的にめちゃくちゃ気持ち悪い……あっおさまった。おい、これ大丈夫なんだろうな?」
「人体には無害だよ、安心してくれたまえ。さて、たぶんそろそろ出てくる頃だと思うけど……」
今しがた干からびた腕が入り込んだということ以外、ぱっと見た感じは特に異常はないように見える。手の甲側を見ながら何度か手を握ったり閉じたりし、その次はひっくり返して手のひら側を見ながら手を握ったり閉じたり。動かすことにも何も異常はない。
「ダヴィンチちゃん?出てくるって何が、」
もう一度手の甲側が見えるように手のひらをひっくり返した時、
「チュミミィ~ン」
「うっわ!?」
独特の鳴き声に反射的に振り払うように手を動かすも、離れる様子はなかった。手の甲にピンク色の形容しがたい生物がくっついている。ぶんぶんとひたすら手をふるも離れない。
「なんだこれ!なんだお前!!!」
「マッ、マスター心なしかその生き物?涙目です!!その辺に!」
「ふっふ~ん!!やっぱいい感じに出てきたね!」
「ダヴィンチちゃん!!なんだこれ!!!」
「そちら、
「……魔術礼装?」
手を降るのをやめてそいつをじっくり見る。ピンクで星柄、垂れた耳に小さな手とつぶらな瞳。口に当たる部分は尖っていて、嘴のようだった。足に当たる部分は見当たらず、手を降るのをやめたので落ち着いたのか、それはふわりと手の側に浮かんだ。
「種火の腕の特性がちょうどよかったので元にしてみたんだけど、腕に作用させたい礼装だったからそっちの面でもドンピシャでね。
「手伝ってる最中疑問だったんだがね、その外見はその、セラピー効果あるのか…?」
「えっめっちゃかわいいじゃん」
「あるんだー……そっかー………」
感性がよくわからん、と遠い目をしているエジソンを無視して、それの頭をうりうり撫でてやる。気持ち良さそうに目を細めていて、キモカワイイって感じだが、気に入った。
「ちゃんと自我もあるよ~。
これ、礼装だからね、持ち運ぶものにしたかったんだけど、持ち物は極力減らしたいだろう?というわけで、
「ありがとう。……で、えーっと、何が出来る礼装なの?」
「ふっふっふっふーん!!そしたら!こちら!!」
どん、とダヴィンチちゃんが取り出したのはマトだった。銃とかの訓練に使うようなマト。
「腕に魔力を回して。指先に集める。それで……、そう、それでいい。それをマトに向けて、はい!放って!」
ドン!と心地いい音がして、マトのど真ん中に穴が開いた。マトの向こう側の壁も穴が開いている気がするけどたぶん気のせいだろう。
チュミミィ~ンと鳴きながらピンクの生物が機嫌よく腕の回りを飛び回っている。
「………今のは、」
「
……ほら、君、レフに対して気前のいいやつをぶちかましていただろう?魔術回路が隆起していたにしても、魔術も学んでいなかった一般人の君が、
「……えーっと、ダヴィンチちゃん?ガンドとは、人を指差して病気にするとか、その程度の呪いだったのでは……」
「いやいやガンドだからってなめたらいけないよ?実際突き詰めた魔術師はガンドでコンクリートに穴を開けるって話も聞くし」
指先に魔力を集めると、ちょうど爪の上の辺りに渦巻いて出現する。それを、マトに向けて放つ。その繰り返し。
何度か繰り返し放つと、ピンクの生物はやはり機嫌が良さそうに手首の上でごろごろしている。
「………うん、気に入った」
「加えてさっきもいったけど、そいつは君と一緒に
その子一匹作るのに腕たくさんとカルデア戦闘服のガンド機構とかも何枚かから引っこ抜いて移植したけどまぁ必要経費だよね」
「………」
全ての指先に魔力の渦を浮かべて順番に放つ。機動力がないのでどうしたって後方支援に回らざるを得ないが、遠距離攻撃手段を持ち合わせていなかった。それが解決する感じの魔術礼装だった。
「……どうやら相当気に入ってくれたみたいだね」
「ああ。……本当にありがとう」
「よかったら君が名付けるといいと思ってね、その子の名前はまだつけていないんだ。……思い浮かぶものはあるかい?」
「ああ」
頷いてピンク色の生物をつまみ上げる。見た瞬間から、もし名付けるとしたらこうだろうな、という名前を閃いていた。
「“
「そうかい。……そうか、いい名前だね」
“
戦場は明日。これからこいつになれる必要がある。忙しくなりそうだった。
世界を便所で救う物語。
シモの話は三部あたりからの伝統だしな~~と思って差し込むか迷ったけど突っこみました。そのせいで説明回になりましたけど反省はしてない。
Fate世界なのでスタンド能力は存在しませんけど、スタンド能力を模した魔術礼装を出さないとは言ってませんので、はい。
一番くじのタスクのぬいぐるみかわいかったんですよ………