今回はコミ1用に用意したものを載せました
今後ともよろしくお願いします
では、本編をどうぞ
序章一
「第六次聖杯戦争?」
北欧の高山の中腹に立つ城の城主である黒髪の少女は問う。
「そうですお嬢様。かの冬木の地にて六番目の聖杯戦争が始まろうとしています」
三十代半ばといった見た目の執事の男が答える
「ご存知の通り、その冬木の地に現れる聖杯は本物であるとのこと。これはマニュスクリプト家の悲願達成のための絶好の機会と思われます」
「そうですね。聖杯を手に入れることは我らの悲願の一部、参加しない手はありませんね」
「それがよろしいかと」
「冬木まではどのくらい?」
「全行程で半日強と言ったところでございます」
「分かりました。魔力炉の稼働準備と接続準備、冬木での召喚で使う聖遺物の準備をして。二日後には出立するわ」
「Yes, my lady」
「聖遺物には、アインツベルンが使ったものを使いなさい。奴らに我らの方が上だと証明してみせます」
「ところでお嬢様」
「何?」
「その指輪についてお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「ええ、これは当家に代々伝わる礼装で、先代の方々が肉体そのものを魔力に変えて蓄えている魔力炉から魔力を自由に取り出すための鍵となる我が家の秘宝です」
「ではそれをお使いになられるのですか?」
「ええ、そのつもりです。この聖杯戦争で、全てを使い切る。その覚悟はできています。だってこの戦争の賞品があれば、これらを使い切ってもお釣りがくるくらいですから、先代の方々もお許しくださるでしょう」
「そうですね」
(必ず勝者となり、我がマニュスクリプト家の悲願を成就させてみせます)
かつて五番目の聖杯戦争にて敗れた白髪の少女と見紛う容姿を持つその少女は、ここに参戦を決意する
序章 二
「聖杯戦争、ですか?!」
ロード・エルメロイ二世の部屋では、1人の赤い装いの少女と少し後ろに控えた赤褐色の髪の少年が揃って驚愕の表情を隠せずにいた
「そうだ。冬木の地にて、聖杯の術式の起動及びサーヴァントの召喚が確認された。」
と、長髪の教授然とした男が答える
「そんな、ありえません!」
「ああ、本来あってはならないことだ。前回の第5次聖杯戦争ですら10年という異例の速さでの開始だったが、今回は更にイレギュラーなものと言える。そこで第5次聖杯戦争の実質的な勝者であり、冬木出身であるお前たち2人には実際に現地に行き聖杯戦争に参加、
実態の解明と、大聖杯の術式解体の下準備をしてきてもらいたい」
「なっ…」
「難しいことを言ってことは分かっている。だが、このままだと第7次聖杯戦争までもが勃発してしまう可能性があるということも理解してもらいたい」
聖杯戦争の過酷さを知るこの少女にとっては、かなり重い選択であった。しかし、
「わかりました」
「士郎?!」
後ろに控えていた少年が、代わりに答える
「また聖杯戦争が起こったのなら、止めるまでです」
「そうか」
「ちょっ、士郎?!」
「遠坂、そんなに迷うことか?」
「だって聖杯戦争よ?!分かってるの?!」
「ああ、分かってる。それに、聖杯戦争が生む悲しみなら遠坂だってよく分かっている筈だろ?」
「それは、そうだけど…」
「なら止めなくちゃダメだ。これ以上、聖杯戦争の犠牲者を出さないためにも」
「…」
少年の決意に少女は口をつぐまざるを得なかった。
「でも、士郎こそ大丈夫なの?」
「ああ、大丈夫だ。これ以上、聖杯戦争は起こさせちゃいけない」
求めた回答は帰っては来なかったが、それでもその少年らしいと彼女は得心した。
「決まりの様だな」
「はい」
「では、早速三日後には日本に飛んでもらい冬木に入ってもらう。頼んだぞ、遠坂凛、衛宮士郎」
そしてここに新たに二人の聖杯戦争参加者が生まれる。
序章三
「トオサカ・リンとシェr、エミヤ・シロウさんが冬木の聖杯参加するですって?!」
「ああ、そうだ。だが、その情報はどこから手に入れた?」
長髪の男の言葉は金髪の少女には届かない
(まずいですわ。シェロが居なくなってしまうのは寂しいですが良しとして、トオサカ・リンと共にというのがとてもいけません。一歩遅れを取ってしまう。)
少女は思考を巡らせ、男に問いかける。
「あの二人ではなにかと不安ではございませんか?私も一緒に付いて行き、彼らの監督役を…」
「お前が付いていってもどうにもならん。奴らはあれでも聖杯戦争を生き延びた者だ。むしろお前が足手まといになるに違いないだろうな」
「……チッ」
「今何か言ったか?」
「いいえ、なんでもありませんわ」
————数時間後
少女は最終手段として、目的のためならば手段を選ばない魔術師らしい選択をした
(こうなったら、ロードエルメロイが隠し持っていると噂のアレを使うしかありませんわ)
こうして少女は、時計塔でも指折りの勇者として数えられることになる
序章四
「それで、お話とは」
招集に応じて上官の部屋を訪れた紫髪の女は答える
「魔術協会上層部の決定により、お前を冬木で発生した第六次聖杯戦争に参加という形で介入、原因の解明と解決を命じる」
「分かりました」
上官の命令の内容は、通常の魔術師にとっては荷が重すぎるものであった。しかし、この封印指定執行者に限ってはそうではない
「なお聖杯戦争参加に当たって、上層部議会によって貴殿には聖遺物が一つ貸与される。破損報告の多いお前には反対の意見も多かったがな」
上官の言葉に苦い顔をしつつも女は答える
「了解…しました。」
女は不慣れな手つきで、割れ物を扱うようにアタッシュケースを受け取る
その瞬間、此処にあるものらの計画が始まる
序章五 召喚
それぞれの思惑、決意、背景と共に彼ら、彼女らは謳う。
己が運命の歯車を回すため。
「「「「「「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。祖には我が大師シュバインオーグ」」」」」」
あるものは使命のために
「「「「「「降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」」」」」」
あるものは守るべきもののために
「「「「「「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。繰り返すつどに五度。ただ満たされる刻を破却する」」」」」」
あるものは自身のために
「「「「「「———告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うのならば応えよ」」」」」」
あるものらは繰り返さぬために
「「「「「「誓いを此処に。我は常世総ての善となるもの。我はこの世総ての悪を敷くもの」」」」」」
あるものは主君のために
「されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者——」
ある者は生家のために
————戦う
「「「「「「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ————!」」」」」」
序章六
召喚が終わり、少女は自身の城にある一室にて休息をとる
「ふぅ……」
「お疲れ様でした、お嬢様。」
「はい。思いのほか、召喚に魔力を持っていかれてしまいました」
「しかし、本当にバーサーカーのクラスのサーヴァントでよろしかったのですか?」
執事は問う
「なぜ?」
「恐れながら、第四次聖杯戦争以前のバーサーカーのマスターは全員サーヴァントの暴走により自滅したと聞きましたので」
かつてのマスター達の例を知っている者ならば、この少女の行動に疑問を持つのは当然だと言える
「よいのです。そもそも、イリヤスフィールにできて私にできないわけがありません。そうでしょう?」
しかし、第五次のバーサーカーのマスターに限っては違ったのである。そのアインツベルンの分家の出身である彼女には、自身には制御できるという絶対の自信があった
「仰せの通りにございます。先ほどの失言を撤回し、非礼をお詫び申し上げます」
「謝罪は結構です。それに、例の物さえ手に入ればサーヴァントの暴走など些末な問題です。むしろ暴走させてしまった方が、面白いかもしれませんよ?」
「と、申しますと?」
「その方が人が多く死んで面白いじゃないですか」
無差別に人を殺めることが楽しみであるかのように、笑顔で少女は言い放つ
「お戯れを」
「ふふふっ…」
少女は美しい声で楽し気に笑う
「それで、出発の準備の方はどうなっていますか?」
「はい、当家所有の飛行機の整備は終わっています。いつでも離陸可能です」
「そう。でも普通に降りるのも芸がありませんね」
「と、仰いますと?」
「いつでも外に出られるように(・・・・・・・・・)してください」
「準備に一日を要してしまいますが、如何しますか?」
少女の多くを理解している執事は、その言葉だけで少女の意図を悟る
「構いません。直ぐに始めてください」
「かしこまりました」
———翌日
「お嬢様、準備が整いました」
「分かりました。それでは、そろそろ出ます」
「はい」
「向こうに着いたらあなたは所定の位置で待機していてください」
執事の身を案じている言葉であったが、それは彼女の戦闘がいかに過激であったことを暗に示す言葉でもあった
「承知いたしました」
「では、出ます」
「はい、ご武運を」
『降下予測地点:未遠川、現在の高度:約1万メートル、減圧完了まで15秒』
「行きますよ、バーサーカー。初陣です」
彼女は霊体化している相方に声をかける
『5…4…3…2…1…
彼女は自身の登場をもって聖杯戦争開戦ののろしを上げる
そして少女は全マスターに告げる
宣戦布告を