人の詩   作:時雨日和

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読め


第一話

約束の場所

2人での約束の場所に今は1人

2つの約束

守られなかった約束

守られなかった故のもう1つの約束

それをこれから果たす

 

1つ、2つと言葉も紡ぐ

この世に残す最期の言葉

誰にも届かない

誰にも聞かせたくない

でも確かに紡いだ言葉

 

『ごめんなさい』

『また逢う日まで』

 

そう言って掴んだ

掴んだものを首にかけ

地面を強く蹴り跳んだ

それから力が抜け

光が消えた

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

市立衣更高等学校生徒会

ついこの間新しく生徒会長に俺はなった。うちの学校の生徒会は会長のみが選挙で決められ、ほかの役員は会長が全校生徒から選出していく方式であり、副会長、書記、会計を最低でも1人ずつ配置しなければならない。

そのうち、副会長には俺とともに会長の座を争った小清水 恵海(こしみず めぐみ)。そして、俺の幼馴染である。

 

「圭ちゃん。他のメンバー誰にするか決めた?」

 

そう、今生徒会室に入ってきたのが件の恵海だ。

 

「会長。流石に生徒会活動中に圭ちゃんはやめろ」

 

「え〜、圭ちゃんもめぐって呼んでいいから」

 

「俺が嫌なんだ。俺だって副会長って呼ぶからな。まあ、それ以外なら呼んでいいし、呼ぶ」

 

「しょうがないな、見栄っ張りだもんね」

 

「黙れ

とにかく後の最低でも2人の役員を決めるぞ」

 

「そうだね。というより、圭ちゃん…じゃない、会長ならもう既に目星を付けてるんじゃない?」

 

「まあな、行くぞ」

 

生徒会室を出て、2人で1年C組の教室まで行った。

 

「…1年生?」

 

「そうだ、あと2つの役職に俺的に合ってる思うのを見つけたからな。ちょうど友達同士らしいしな」

 

教室前で話していると1人の女子が話しかけてくる。

 

「あ、あの、新しい会長さんですよね?何か御用でしたか?」

 

「あぁ、悪いな邪魔だったろ。確か時谷 春華だったな。いたらで悪いんだが神薙 百合(かんなぎ ゆり)と藤原 夜(ふじわら よる)の2人を呼んできてもらえるか?」

 

「えっ?わかりました」

 

それを聞くとその女子は教室内に戻っていった。

 

「もしかして全校生徒全員の顔を名前覚えてるの?」

 

「どうだろうな。完全にとは言い難いがある程度は覚えてる。会長になるのに必要だと思ったのと、役員決めに使えるからな」

 

「ふーん、凄いね会長」

 

「おう、大いに褒めやがれ」

 

「あの会長さん、副会長さん何か御用ですか?」

 

2人ともいたようだ。

 

「ああ、悪いな急に呼び出したりして。この後何か用はあるか?なければ少しだけ話がしたい」

 

2人でかくにんするよに顔を見合わせる。

 

「大丈夫です」

 

「助かる。なら生徒会室でいいか?何なら校外でもいいが」

 

「生徒会室で大丈夫です」

 

「よし、ならよろしく」

 

俺と恵海を先頭に生徒会室へと向かう。

 

「1年生の事なんていつ知ったの?」

 

「色んな人に聞いたとしか答えれねぇよ」

 

「…はん」

 

「犯罪は犯してない」

 

「個人情報の漏洩」

 

「くっ…」

 

恵海は笑いながら生徒会室の扉を開け放ち1年2人を2つの長椅子が向かい合った所へ案内し、座るように促し、1年はそれに従い俺と恵海がその向かえに座る。

さて、年長者として俺から話を振るか。勘づいてはいるんだろうけど

 

「さて、ここで俺が話をするってことで予想はついているだろう。俺は神薙 百合を書記に、藤原 夜を会計に任命したい」

 

「「「…………」」」

 

「もちろん強制というわけじゃない。それに別段急いでいる訳でも無い。あと、断ったとしてもそれでどうこうってのはない。そこは安心してほしい」

 

「どうして私たちなんですか?」

 

「…時間は大丈夫か?この後何か用事とか、何時までに帰らないといけないとかはないか?」

 

「…私は大丈夫です。百合は?」

 

大丈夫だと言わんばかりに首を縦に振る。

 

「なら、ちょっと待っててくれ」

 

俺は全員分の飲み物を用意して置く。

 

「それじゃあ説明に入るか。まずは神薙百合、君は生まれつき声が出せないらしいな」

 

『気づいていたんですね』

 

「俺が君を初めて確認したのは図書室にいた時だった。その時はまだ君が声を出せないという事は知らなかった。でもその速記力に魅せられた」

 

「それだけ?」

 

「いや、それからとあるツテで君の事を知った。成績優秀者で文才にも優れていると。それで俺が今持っている情報と知識を合わせた結果君が書記に適切であると確信した」

 

『…ストーカー?』

 

「断じて違う。君に被害は被っていないだろ?」

 

『精神的苦痛を受けました』

 

「ぅ…ぐ…それについては申し訳ないと思ってる。役員選任のためとはいえ人の、ましてや女子の情報を集めたことを謝罪する」

 

『冗談です。続きをどうぞ』

 

「……」

 

「ふふ、完全に遊ばれたね会長」

 

「………さて、次に藤原夜だけど」

 

(((続けた…)))

 

「君については1年生にして人を惹きつけ、人を率いるカリスマ性、コミュニティ能力を買った」

 

「会計としての仕事については?」

 

「必要ない」

 

「「え?!」」

 

「言っておくが我々はまだ学生だ。会計だからといって本格的な予算計算などはほとんどしない。しても、学生ができる範囲内だ。電卓計算や前年度比較程度で充分だ。

…まあ、君の母親がうちの市でトップクラスの貿易会社の社長である事は要因に入るだろうが、別に気にしない。親は親で子は子だ」

 

「はあ…そんなものなんですか?会計って」

 

「そんなものだ。ある程度教師陣で予算編成されるからな。

それよりも、俺が選挙において掲げた公約と制度はおぼえているか?」

 

「確か、悩みを聞くこと。生徒会による悩み相談を行って生徒達の日頃の悩み、不満、心配事等を相談し解決に導くだよね」

 

「正解、最初に俺は以前この学校で生徒会長のしていた人にこの案を話したら君を推された」

 

「え?!」

 

「それを聞いてどんな人なのかを聞いた。まさに理想だったね。俺が求めていた人材だった。そうして聞いていくうちに百合にもたどり着いて今に至る」

 

「もしかしてその人って北条恋心さんですか?」

 

「その通りだ」

 

「やっぱり!恋心お姉ちゃんと知り合いなんですね!」

 

「ああ、前に病院に通ってた事があってな。その時に知り合った。

…これが俺が2人を推す理由だ」

 

2人は下を向き考え込んでいるようだった。まあ、無理もないだろうな。突然こんな事を言われたんだ、すぐに答えが出るなんて思ってない、少なくとも今日一日は時間を置くだろう。

 

「正直分かりません。こんな事初めてで…いえ、生徒会自体は中学で経験していましたが、それよりももっと重いと言いますか、大きいと言いますか…」

 

「誰でもそんなものだ」

 

『私は声が出せませんが』

 

「お前は人を障害の有無で判断するのか?」

 

『!?』

 

わざわざ反応を書くんだな。

 

「声なんて出せなくても何とかなっているだろう?

言っておくが、俺は耳が聞こえなかろうが、目が見えなくなろうが生き抜いて見せる覚悟は今のところ持ち合わせてる。なぜならそれよりも苦悩している奴が世界にはいるからな。動けるだけましだ」

 

『そんなに甘くないですよ』

 

「…俺はまだまだガキだ。それにそんな経験をしたことがない。俺が言ってる事は薄っぺらい事だろう。でも誰もやらないんだ。それよりは良い気はしないか?」

 

『それが公約ですか?』

 

「そうだ。誰かはやらなきゃならないんだ、それがたまたま俺だったって事だと思え」

 

『誰もやろうなんて思いませんよ。人の事を考える余裕なんてないんですから』

 

「…つまり、お前は何が言いたいんだ?」

 

『私ならそんな人達の気持ちを知っています』

 

「…つまり?」

 

『私は会長さんの思惑に乗ってあげます』

 

「素直じゃないな」

 

「ふふ…あはは!!百合と会長さんって似てますね!」

 

「そんな事は無い」

 

「あと…会長さん私のお父さんとも似てます」

 

「そうか、それで百合は入るみたいだが、夜。お前はどうする?」

 

「今でもまだ覚悟が決まったかと聞かれればよく分かりません。でも、私は会長さんの下にいるなら成長できる気がします。」

 

「俺がお前の父に似ているからか?」

 

「それもありますが、会長さんには会長さんなりの考えと優しさがありますから。それが私の将来にも繋がりますから、私も会長さん達と一緒に頑張りたいです!」

 

「ああ、よろしく頼む。

改めて紹介させてもらおう。こっちの副会長が小清水 恵海。

そして、俺が生徒会長の蒲原 圭(かんばら けい)だ」

 

それから2人は生徒会室を出て行った。俺はそのまま疲れが出て項垂れるようにしていた。頭に温もりを感じる。簡単な事だ、めぐが撫でている。

 

「お疲れ様、会長」

 

「ああ…」

 

「まったく…もうちょっと優しい言い方できないの?」

 

「…知らないけど気分的にあんな感じになった…良かったよ入ってくれて」

 

「そうだね。いい子そうだしね」

 

「あとは…欲を言えば俺がやりたい事にはもっと人が欲しいからな。庶務と会計監査も欲しいところだな」

 

「そうだね…そっちの予定人員は?」

 

「馬鹿…決まってるわけねぇだろ。」

 

「…ふふ、圭ちゃんはズルいなぁ…」

 

「黙れ」

 

ガラガラガラ…「すいませーん。ちょっと気になったことが………」

 

「「「「………………」」」」

 

「お邪魔しました」ガラガラガラ

 

「……クソが……」

 

「あはは!やっぱりこういう事は圭ちゃんだね」

 

まったく…先が思いやられる。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

百合と分かれてから1人家路を歩いている。今日はいつにも増してルンルン気分だ!

ああ…とっても嬉しくて、素晴らしい!わざわざ天道おじさんに頼んで陽菜を迎えに行ってもらって正解だった!

まさか生徒会に選ばれるなんて!しかもあんなに素敵な会長さんと副会長さん、それに百合とも一緒に出来るなんて私はとてもとても幸せ者だ!

 

「ただいま〜!」

 

「おかえりお姉ちゃん!」

 

「陽菜!ごめんね迎えに行けなくて」

 

「ううん!大丈夫!天道おじさんが来てくれたから」

 

「うん、今日も陽菜はいい子だ」

 

「えへへ。えっとね今日ねお父さん早く帰れるだって!お母さん言ってた!」

 

「ほんと!!やったね!」

 

それを聞いた私は急いで着替えを済ましてリビングに向かった。

ちなみに私のお父さんは警察官です。

 

「お母さんただいま〜!」

 

「おかえりなさい夜。随分楽しそうね」

 

「うん!だってお父さん早く帰ってくるんでしょ?それにね」

 

「あらどうしたの?」

 

「えへ、内緒、お父さん帰ってきてから〜」

 

しばらくしているとお父さんが帰ってきた。帰ってきてすぐに言いたかったけど堪えた。だって、ちゃんと二人一緒に教えたいんだもん。

うん、もちろんお父さんにもただいまは言ってるよ。

 

「あのね今日ね!私生徒会に誘われて入ることにしたの!」

 

「生徒会?どうしたんだ?急に。興味あったのか?」

 

「ううん。元々は特に興味なかったんだけど、新しい会長さんの方が凄いの!」

 

「へぇ、どんな人なの?」

 

「お父さんみたいな人!」

 

「俺?」

 

「うん!会長さん、新しく生徒会の活動でみんなの相談とか色々聞いて解決するんだって!それでね、会長さんがそれをやる理由が『誰もやる人がいないから誰かはやらなきゃならないんだ、それだ俺だったって事だ』って、それと百合の事も生徒会に誘ってて、その理由を百合が聞いた時に百合が声が出せない事を言ったら『お前は障害の有無で判断するのか?』って言ってたの!」

 

「ふふ、それはお父さんそっくりね」

 

「…俺はそんな事を言うような奴に見えるのか」

 

「あったわね。私と初めてあった時とか、告白とかプロポーズの時とか…」

 

「あ、私を引き取る時とかね」

 

「もういい…やめろ…

…お前が楽しいのならそれでいい。ただ…ちゃんと見極めなきゃならないからな」

 

「ふふふ」

 

さてさて、これからどうなるかな〜




ありがとう

タイトル、前書きと後書きは圭君に頼みました。

書こうと思ってた部分を省いてしまっていたので編集しました。
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