ハイスクールD&D水滸伝   作:猫の手

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早速の原作ブレイク 石は投げないでください。


過負荷

 

さて、転生する前のことを話するとしよう

ただただ白い、何も見えない何もない世界。

そこには僕と白い人しかいなかった。

 

そこで白い人は僕に対してこう告げた。

「君は転生をする権利を得た。転生者は108の魔星のうち一つを背負うことになる。」

転生、魔星まるでどこか二次創作のようだ。自分がこんなことに巻き込まれて苦笑いが出る。

「水滸伝?」

「いや、転生先はハイスクールD&Dだよ。そこの世界に生まれ変わる転生者―魔星―が君達なのさ」

転生に興味はあるが、あの世界で一般人は生きていけなかったような気がする。

転生しましたあっさり死にましたってのはちと辛い。そんな僕の考えに気が付いたのか白い人はこう続けた。

「君が背負うのは地魁星、下位72星の頂点に立つ星だ。」

「天コウ星でも地殺星でもあんま変わらないでしょ」

僕の言葉に苦笑しながら白い人は頷く、神医や轟天雷も地殺星だ。能力で分けた区分では無いと考えている

白い人は茶々を入れても気にした風なことはなく、むしろ面白そうに笑ってた。

「君達には特典を二つの与えることになっている。一つは能力、一つは生まれだ。あまり無茶な内容は聞けないその点は留意してほしい。」

何という親切設計だろうか。

早速能力を決めようと考えたが、ふと疑念がわいた。相手の様子を見るに聞いたところで怒らせることはないだろう。

そのため、能力を決める前に確認をすることにした。

「能力を決める前に一つ確認させて頂けませんでしょうか。」

「私が答えられる範囲であれば答えよう。」

白い人は好奇心に駆られているようだった。どんな質問が来るのか少し楽しんでいるようだ。

ならば問題あるまいと疑念の確認を行う。

「何故、ここまでいたせりつくせりなんですか?」

質問を聞いた白い人はにやりと笑う。

「その質問をしてきた人間は少ない。君は冷静なようだね。宜しい……答えよう。」

そう勿体ぶると指をパチンと鳴らす。

突如白い空間の中にホログラフィが現れる。それは惑星をかたどられており、其々が細かい地域の情報が映像として流れていた。

「転生者とは神々のギャンブルの馬なのさ」

その中にはオッズが記載され、賭けの条件が記載される。そして莫大な金額のやり取りが発生。それを見る観客たちは夢中になってみていた。

それを見た僕はいたせりつくせりの理由を理解した。何もできない一般人を送り込んだところで詰まらないではないか。能力を与え彼らがそれに対してどう行動するかそれを楽しむギャンブルなのだ。

それを理解した僕は能力を決めた。

「――にします。」

「ほう、強力な奴を選んだね。まぁ良いだろう。後、生まれはどうするつもりだい?」

あっと、思う。忘れていた。僕が選んだ能力だとあまりまともな親子関係は築けない可能性が高い。

故に特にどんな家庭かは指定せずこういった。

「裕福な家庭でお願いします。」

「了解した。では良いエンターテイメントを期待しているよ。地魁星」

白い人の言葉と共に僕の意識は遠ざかって行った。

今から僕は転生するのだろう……できれば後悔の無い人生を過ごしたいと思った。

 

 

 

 

ハイスクールD&D水滸伝 第一話:過負荷

 

 

 

 

転生をして7年が経過した

想定通りと言うかなんというかやはり僕は両親との家族生活は破綻した。

今は別々のマンションに住んでいる。

児童相談所が見たらネグレクトと判断するだろう状況

だが、これは仕方がないことだ最悪の能力を選んだのは自分なのだから……

それに恐らく今後起きるであろう騒乱に巻き込まないためにも両親とは一緒に生活をしない方が良い。

そんなことをつらつら考えながら夜の街を歩いていた。

夜の街のひんやりとした空気や優しい月明りが心地良く、たまに遭遇する不良たちを喧嘩で捩じ伏せて空しい勝利を重ねたりと余計なことを忘れる時間が作れるので気に入っている。

お気に入りの廃ビルに向かうとその中で子供の泣き声が聞こえた。

僕の中に残された摩耗しかけた両親が子供の様子を確認するように告げる。

これまた、僕に残された退屈も、暇潰しになると囁いた。

良心と退屈がダッグを組めば止めようがない。廃屋の中で泣き続けている4,5歳の幼子に声をかける。

「やぁ、どうしたんだい?子供はジャンプを読んで寝る時間だぜ。」

声をかけた瞬間子供は大泣きをした。正直小さな子供をあやしたことが無い。そして自分は過負荷である。

犬のおまわりさんはこんな気分だったんだろうか?僕は宥めるために少年に可能な限り優しく声をかける

「泣いてばかりじゃ分からないぜ。お兄さんに話してみると言い、多分どうにかなるぜ」

少年は泣きじゃくりながら、嗚咽して声を紡ぐ。

「……おにーちゃんがどっかいけ帰ってくるなって、帰ってきたら殺すって……おとーさん、おかーさんも皆、要らないって……」

絶句してしまう。家庭板案件であろうか……転生した自分がいう事ではないがこんなのに関わることになるとは……これは警察に行くべきだろう。いくらなんでもこれはやり過ぎである

「じゃあ、一緒にお巡りさんの所に行こうか。臭い飯を食えばすぐに考え方も変わるさ」

変わらなければ社会的に死ぬんじゃないかなと内心呟きながら、少年に手を差し伸べる。

少年がおずおずと手を伸ばそうと――少年の左手が赤い籠手に覆われると、その籠手が喋りはじめた。

「やめておけ小僧。死人が出るぞ」

「ドレイク?」

少年も驚いたようだ。それは籠手が喋ったことに対してではなく、籠手が僕に対して語り掛けたからだろう。

僕はそれどころでない。籠手が喋ったことにぎょっとする。ドレイク、赤い、喋る籠手、これはまさか……

「小僧、お前もただの人間ではないこと分かるが、止めて置け相手が悪い。相手は赤龍帝の力を持つクソ野郎だ」

聞き捨てならない情報に唖然とするが、どうにか冷静さを装い質問を投げる

「赤龍帝?力だけとはどういうことかな――後、君は?」

「ドレイクだ。赤龍帝の籠手は大昔に力と意志の二つに分けられたのさ。俺は意志の方、力もないただのお喋りさ」

自嘲するようなドレイクの言葉に唖然としてしまう。

原作がいきなりブレイクした。追い出した方が一誠ということはありえないだろう。そういうことは転生者――魔星が追い出したということになる―――…生存の道すら危うくなってきた。

「――…理解が追い付かない。何故戻れば殺されるんだい?」

「イッセー、ああ、俺の持ち主な、こいつの兄貴が赤龍帝の籠手の力の方を持っているからさ。」

絶句する。やりやがった。白い人のルールだと確かにそれは可能なのだ。だからと言ってやるのはキチガイの所業なのだが、頭を抱える。状況が理解できた。

頭痛がしてくる展開だ――恐らくそいつはイッセーの代わりができると考えていたんだろう。

そんなもの成れる訳が無い。

「追い出す理由が分からないぜ。ドレイクを手に入れたら完全な赤龍帝の籠手ができるんじゃないのか?」

「俺があの魔星―天殺星―を認めることか絶対にない。そしてアイツもそれを知っている。寧ろ邪魔だから壊してやろうと考えているだろうよ」

嘆息する。一番馬鹿なやり方でオリ主をやった魔星がいるらしい。頭痛を覚える。

ほぼ確定だが、最終確認をしよう。目の前にあるパンドラの箱を開かねばならないらしい

「少年、君の名前を教えてくれないかな」

「――…ひょうどういっせいです」

怯えた表情で、でも、縋るようなそんな視線を僕に向けながら少年は自分の名前をこたえた

そして、僕は天を仰ぐ。

分かり切っていたことだが、僕達はこの世界にとってとんでもない過負荷―マイナス―だったようだ。

崩れ行く未来の音がする。

「にいちゃんの名前……教えて」

その言葉を聞いて――腹を決めることにした。

この期に及んでは括弧つけざるを得ないだろう。

『僕は球磨川禊、地魁星を背負っている魔星さ。さてイッセー君、僕と家族にならないかい?』

「要らないって言わない?」

『約束するよ。君が一人前になるまでは僕が護ろう。だから安心していいぜ。』

その言葉を聞いて感極まったイッセーが泣きつく、僕はそれを宥めた。

そんな様子を見てドレイクは、少し驚いたようにつぶやく

「小僧、お前も魔星だったか……まぁ奴よりはマシな奴だな。」

ドレイクの言葉に肩をすくめると、泣き疲れたのか眠ってしまった一誠を背負い僕は夜の街を歩いて行った。

どうしてこんなことになってしまったのだろうか。

人生のままならなさを嘆きながら、せめて一誠が原作になるまでは護ろうと改めて誓った。

 

 

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