ウマ娘 ~ダート・ダート・ダート!!~   作:フジキセキ

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5R トップをねらえ

「よし、そろそろ時間だ」

 

トレーナーはその言葉の為に何度腕時計に目線を送ったのだろうか。

アンドレアモンは含み笑いを浮かべた。

 

「それじゃ、着替えてきます」

「おう」

 

椅子に置いた鞄を持つと、彼女は更衣室へと向かう。

会長が去った後、再び二人だけになった部屋の沈黙を紛らわせようとするトレーナーの姿を見ていたアンドレアモンは不思議と緊張はしなくなっていた。自分よりもテンパっている人をみると冷静になるあれだ。

それを差し引いても気分が軽い。今までのレース前がいつも重い足取りだったのが嘘のようだった。

なにが違うのか、考えても練習の質が大きく変わったわけでもない。

だが決定的に何かが違った。それはやはりトレーナーの存在によるものなのだろうか。

 

 

「さぁ未勝利戦まもなく出走です!」

 

誰かのラジオからこぼれる音。コンコースの混雑が激しくなり始めた。

スタンドの人影は増え、黒山とまではいかないがそれでも人だかりはでき始めている。

勿論多くの観客はこの後のメインレースの為に来ているのだろうが、それでも自分を見てくれるファンに違いはない。

アンドレアモンは大きく息を吸った。

スタートから数十メートルは芝を走る。念には念を、アンドレアモンが最後に軽いストレッチをしていると反対側のウィナーズサークル近くからファンファーレが聞こえてきた。トランペットが奏でる音色は不思議なもので自然と力が湧いてくる。

とはいえ音色に聞きほれている時間はない。忙しく動く誘導員たちが指示を出した。それに従いウマ娘たちが枠へと向かう。

アンドレアモンもそれに続いた。

順々に収まっていく中各々のルーティンをこなす。アンドレアモンもゲートの中でスタートの姿勢をとり、目を閉じ動きを止める。自分のこれからを左右するレースにも拘らず、心中は驚くほどに穏やかだった。

最後のウマ娘が収まったようだ。レースの始まりを感じ踵に力が入る。

 

ゲートが開かれた。

 

「態勢整い、スタートしました!」

 

後ろ足で地面をえぐるようにけり出し、アンドレアモンは飛び出した。

上々のスタートだ。

内枠にいたウマ娘が好位置を維持すべく少し前にでるが、外枠のウマ娘がそれを遮るように少し掛かり気味に前に出ていく。

前が詰まることを恐れたのか上がるウマ娘が数人でて縦に長い馬群となった。

そんな中、アンドレアモンはというと流れに逆らうことなく中盤にいた。

 

「先頭はノースピグラムであります、内側からキーシルバーがいきます……そして中盤後方にアンドレアモン、外から上がります…最後方はトウシュウオリオンとなっています」

 

(中盤で足を貯めて…内は、詰まりそう)

 

先頭集団が一塊になり前に抜けられそうにない。そう判断すると予定通りアンドレアモンは少しずつ外へと流れていった。土煙が立ち上がり跳ねあげられた砂塵が宙を舞う。

ペースが早い。先頭はもう第四コーナーに差し掛かろうとしている。ここを抜ければ、直線―

アンドレアモンはレース前のトレーナーの言葉を思い出していた。

 

「アンドレアモン、今回のレースは最後の直線で差せ。お前ならそれができるはずだ」

「差し、ですか?距離的にはあまりよくない気がしますが…」

「それは勿論そうなんだが、枠が真ん中なんだ、有利な位置を取れるとも限らない。それにお前はスタミナも末脚もかなりいいものを持ってる。前をふさがれてインに飛び込むよりかは外を回っていくことを考えておいたほうがいいと思うんだ」

 

実際、今眼前は壁になっている。この合間を縫っていくのは至難の業だろう。

それならばトレーナーが信じてくれた体力と最後の直線にかけよう。力は確かにまだ余裕がある。

アンドレアモンはできるだけ前の集団に離されることのないように四コーナーを回る。

 

「四コーナー回りまして先頭はエンジンサンルイズ、ノースピグラム!」

 

直線に差し掛かる。少し外を回ったアンドレアモンの前に、道は開けていた。

 

(ここ…!)

 

一気に加速をつけ全力で先行馬との差を詰めていく。

先頭のペースに合わせてしまったウマ娘達―やはり高速馬場にいっぱいいっぱいで最後の加速が追い付いていない―を横目にぐんぐん前に出る。

 

「先頭はノースピグラムこのまま逃げ切るか!…おっと一番外からアンドレアモンが突っ込んできた!」

 

無心で前に足を繰り出す。壁の向こうで見えなかった背中がついに手が届きそうな距離まで近づいた。

砂は足をからめとろうとするように蠢いている。それでもアンドレアモンはその背中追いかけた。

しかしなかなかその差は縮まらない。先頭2馬も意地でも逃げようと必死だ。決定機を迎えぬままゴール板が視界に映るようになった。もう直線も残り少ない。

 

(だめ、追いつけない…)

 

あと一メートルが無限のように感じられる。この手は届かない。すなわち、負ける。

 

(もう無…)

 

その言葉を吐露する寸前であった。はっきりと、何千人といる会場で、叫び声が飛び交う中で、それでも

 

「アンドレアモン!あきらめんな!行けぇ!」

 

トレーナーの声が聞こえた。

まだ勝負を諦めていなかった。ゴールの前で声をからして、勝とうが負けようが己には全く関係のないウマ娘のために、諦めずに勝利を信じている。

ならば、自分が勝負を諦めることができようか。

 

「負けるもんかああああああ」

 

今のままで追いつけ無いのなら、今より早く、今より強く。アンドレアモンのピッチが上がる。

先頭の二人に並び、そして向かうはその前!

 

「アンドレアモンが突っ込んできたぞ!物凄い勢いだ、アンドレアモン!ノースピグラム、アンドレアモン並んだ、アンドレアモン!アンドレアモン差し切ったぁ!」




レースシーン書くの難しいですね、なんだかよくわからん文になってしましました
どうかご容赦を…
あとオリジナルのウマ出してますね…
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