遊戯王GX ふたりぼっちの僕たちは 作:未OCGのアルカナフォース達に未来を!
デュエル構成難しい……。
「遊城十代、そして黒野遊陽……この2人は融合モンスターを軸にしたデッキを構成している」
ラーイエロー寮の一室。明かりを消した部屋の中、三沢大地はパソコンを使ってカードを調べ、戦術を組み立てている。
「例えばフレイム・ウィングマン。攻撃力は低いが、スカイスクレイパーと合わせて大ダメージを与えるコンボを行ってくる。黒野の方で警戒すべきは……ホイールソウ・ライオか?カード効果によってモンスターを除去した上でダメージを与えてくる……」
戦闘による破壊と効果による破壊。どちらも対策が取れないことはないが、どちらもとなると一気に難しくなる。
三沢は頭を抱える。
「クソッ、1つ1つに対処していってはキリが無い。……そうだ、十代と黒野のデッキの核は融合!禁止令で融合を封じれば……いや。黒野にはデストーイ・ファクトリーという永続魔法があったな……それに星見さんのデッキも警戒しなくては。彼女のデッキは魔法やモンスター効果による大量展開を行うデッキ……」
三沢大地は自分の持っているカードを床に広げ、1枚1枚確認していく。
「……!そうか、このカードなら!」
三沢は1枚のカードを拾い上げ、掲げる。
「これだ!待っていろよ!」
草木も眠る丑三つ時。ラーイエロー寮に、1人の男の笑い声が響き渡った。
「……僕が、オベリスクブルーの代表……ですか?」
「その通りナノーネ」
校舎の裏。人気の無い場所に呼ばれたから何を言われるかと思っていたら、どうやらかなり大きな話な様だ。
デュエルアカデミアには幾つかの分校がある。今僕達がいるのは本校だが、ここは毎年北にあるノース校との対抗戦を行っているらしい。
いつもなら互いに最強の生徒……大体は3年生を選出し、一対一でデュエルする。しかし今年はノース校が1年生を代表にすると宣言してきたため、こちらも同じく1年で……となったらしい。
「えっと……他の寮の候補者は?」
「女子寮からはシニョーラ深月、ラーイエローからはシニョール三沢、そしてオシリスレッドからはドロ……ノンノン、シニョール遊城十代が選ばれた様ナノーネ」
「……分かりました。ご期待に添えるかは分かりませんが、精一杯頑張ります」
「期待しているノーネ」
各寮の代表4人でトーナメント式の大会が行われる。開催日は1週間後の冬休み明け。初戦の相手は……。
「……三沢君か。これはなかなか骨が折れそうだ」
『じゃあ私の初戦は遊城十代君なのね』
『うん。オシリスレッドらしいけど、確か彼は……』
『あのクロノス先生にも勝ったデュエリストよね。かなりキツい相手だけど……負けないわ。決勝の舞台で、一緒にデュエルしよう?』
『うん。勿論だよ。三沢君は僕のデッキに対策をして来るはずだから、僕もその対策をしなくちゃだね』
自分の部屋で、深月と通話しながらデッキを調整する。
この間戦った三沢君のデッキは光属性。でも彼は複数のデッキを持っていたから相性の良いものを選んだだけで、僕のデッキだけに対するメタと言うわけでは無いだろう。
三沢君の事だから、僕だけじゃなく遊城君や深月に対するメタも考えてくるだろう。
……僕のデッキで一番止められると困るのは……融合。これが無ければデッキパワーはかなり落ちてしまう。とはいえデストーイ・ファクトリーの効果で融合は行えるから、完全に機能停止とまでは行かないだろう。もし僕達3人のデッキをほぼ機能停止に追い込めるカードがあるとするなら……。
「……このカードは、警戒しておかなくちゃね」
代表選出トーナメント大会の日。デュエルフィールドは、沢山の生徒で溢れ盛り上がっていた。
「大変長らくお待たせ致しましたーノ!これより、デュエルアカデミア対抗戦の代表選出大会を開催するノーネ!」
歓声。こんなに大勢の前でデュエルを見られると緊張してしまう。
「それでは第1試合、選手入場ナノーネ!ラーイエロー代表、シニョール三沢!」
「久しぶりだな、黒野。俺は君達に勝つための7番目のデッキを完成させた。今回こそ、勝たせてもらうぞ!」
相変わらず熱く、向上心のある人だ。
「そしてオベリスクブルー代表、シニョール遊陽!」
「久し振り。僕だってブルー寮に入って満足していた訳じゃない。深月と一緒に決勝の舞台に立つため、ここで三沢君には負けてもらうよ」
デュエルディスクにデッキを挿入し、構える。
「それでは、デュエル開始ィ!ナノーネ!」
「「デュエル!」」
遊陽 VS 三沢
「俺の先攻、ドロー!……フッ。カードを4枚セットし、ターンエンドだ」
三沢 LP4000 手札2
モンスター:無し
魔法・罠:セット セット セット セット
「カードをセットしただけ……?」
まさか三沢君が手札事故等を起こすわけはないだろう。……いや、確率は0では無いだろうが、なるべくそれを回避するようなデッキ構成にはしておくはず。……何を企んでいるんだろう?
「遊陽っ!頑張れーっ!」
観客席の深月から応援される。天上院さんや枕田さん、浜口さんと一緒に座っている様だ。その近くには遊城君やレッド寮の2人もいる。
「僕のターン、ドロー……それじゃあ早速行くよ?僕は【魔玩具補綴】を発動して、デッキから【エッジインプ・チェーン】と【融合】を手札に加えるよ」
「来ると思っていたさ!速攻魔法【相乗り】!このターン黒野がドロー以外の方法でカードを手札に加える度にドローする!」
「げっ……僕は【融合】を発動。手札の【エッジインプ・チェーン】と【ファーニマル・ウィング】を融合!全てを縛れ、沈黙のケダモノ!おいで、【デストーイ・チェーン・シープ】!」
妖精の羽の様な姿のモンスターが僕の周囲を飛び回り、鎖に囚われる。鎖は熔けて羽を飲み込み姿を変え、不気味な笑い声をあげるヒツジのぬいぐるみが現れた。
攻2000
「素材となって墓地へ送られた【エッジインプ・チェーン】の効果で【デストーイ・ファクトリー】をデッキから手札に加える」
「【相乗り】の効果でドローする」
「2枚もドローされちゃったか……バトル!」
「いや、メインフェイズ1の終わりにリバースカードオープン!【スケープ・ゴート】!俺のフィールドに【羊トークン】を4体特殊召喚する!」
めぇー、という腑抜けた鳴き声と共に、小さな羊が4体現れる。
守0×4
「あれ、何でバトルフェイズに発動しなかったんスか?」
「えっと……何でだ明日香?」
「あのヒツジのモンスターは、攻撃宣言時にカード効果の発動を封じるわ。だからダメージを受けないよう、発動が可能なメインフェイズに特殊召喚したのよ」
互いのフィールドには合計5体のヒツジ。しかし見た目の問題か、観客達はスケープ・ゴート達を応援しているようだ。
「それじゃあもう1度、バトルだよ。【チェーン・シープ】で、【羊トークン】1体を攻撃!」
チェーン・シープから鎖が伸ばされ、羊トークンを締め付ける。
「僕はこれでターンエンドだよ」
遊陽 LP4000 手札5
モンスター:デストーイ・チェーン・シープ
魔法・罠:無し
「俺のターン、ドロー!さぁ行くぞ黒野!俺は罠カード【生存境界】を発動!フィールドの通常モンスターを全て破壊し、破壊した数までデッキからレベル4以下の恐竜族モンスターを特殊召喚できる!」
地面が揺れ、フィールドにいくつもの隕石が落下する。
隕石は羊トークンを破壊していき、空いた3つのモンスターゾーンに新しい時代の支配者が現れる。
「俺が特殊召喚するのは【ハイドロゲドン】2体と【オキシゲドン】だ!」
水、あるいは気体の塊の様な姿のモンスターだ。
ハイドロゲドン攻1600×2
オキシゲドン攻1800
「そして俺のフィールドには水素分子が2つに酸素分子が1つ!」
「水の化学式……?」
「その通りだ!俺は【ボンディング-H2O】を発動!自分フィールドの【ハイドロゲドン】2体と【オキシゲドン】を生け贄に捧げ、デッキから【ウォーター・ドラゴン】を特殊召喚する!」
3体のモンスターが結合し、綺麗な青色の体をした龍へと姿を変える。まるで融合召喚だ。
攻2800
「黒野、俺はお前たちに勝つため様々な戦術を考えてきた。これがその答えだ!俺は【メカファルコン】を召喚!」
ジェットの取り付けられた機械の鳥がフィールドを高速で飛び回る。
攻1400
「魔法カード【トランスターン】を発動!自分フィールドのモンスター1体を墓地へ送り、送ったモンスターと同じ種族・属性でレベルの1つ高いモンスターをデッキから特殊召喚する!メカファルコンは機械族、風属性、レベル4のモンスター。来い、レベル5!【マジック・キャンセラー】!」
アンテナや花の様にも思える頭部を持つ機械の塊が現れる。
攻1800
「【マジック・キャンセラー】……!」
「効果は知っているな?こいつがいる限り、お互いは魔法カードを発動出来ず、フィールドで発動する全ての魔法効果は無効になる!」
融合デッキが苦手とするのは融合を封じるカード。その中でもマジック・キャンセラーは他の魔法までも制限してくるため、僕のデッキの場合は大半のカードが使えなくなってしまう。
「まさかこんなに早く出てくるなんて……」
「どうだ!俺はこのカードで勝利を掴み、この学園の1番になって見せるさ!カードを1枚セットし、俺はこれでターンエンドだ」
三沢 LP4000 手札1
モンスター:ウォーター・ドラゴン マジック・キャンセラー
魔法・罠:セット セット
「僕のターン、ドロー!うん。僕は【ファーニマル・ライオ】を召喚するよ」
攻1600
流石に攻撃しては来なかったか。まぁ攻撃すればウォーター・ドラゴンと同じ攻撃力で破壊に耐性を持ったモンスターになってしまうから当然だ。
とりあえず今は、あのマジック・キャンセラーをどうにかしないと。
「バトルだよ!」
「いいや!このタイミングで罠カード発動!【陰謀の盾】!このカードは発動後装備カードとなり【マジック・キャンセラー】に装備する!」
「【マジック・キャンセラー】は装備魔法カードの効果も無効にするけど……」
「装備カード状態の罠カードは、そのまま罠カードとして扱う!」
マジック・キャンセラーが赤紫色のオーラを纏う。どんな効果だか知らないけど、名前からして悪い予感がする。
「それでもバトルだよ!まずは【デストーイ・チェーン・シープ】で【ウォーター・ドラゴン】を攻撃!」
得意の自爆特攻だ。チェーン・シープはウォーター・ドラゴンの懐に飛び込むが、すぐに龍の吐き出した大量の水に押し潰される。
「くっ……」
LP4000→3200
「でも【デストーイ・チェーン・シープ】は1ターンに1度のみ、攻撃力を800アップさせて再生する!デストーイ・バックアップ!」
鎖は巻き戻り、破壊されたはずのヒツジが憎悪の宿った視線を向け復活する。
攻2000→2800
「そして【チェーン・シープ】で【マジック・キャンセラー】を攻撃。モノポライズ・チェイン!」
陰謀の盾の効果がどんなものかは分からないけど、チェーン・シープは戦闘時の相手のカード効果を封じる。だから攻撃力上昇による反撃とかはされないはずだ。
「黒野、お前の考えていることは分かっているぞ!【チェーン・シープ】で効果の発動を封じたつもりだろうが、発動しない効果を無効にすることは出来まい!【陰謀の盾】の装備モンスターは1ターンに1度戦闘では破壊されず、ダメージも0になる!」
マジック・キャンセラーの纏うオーラが集まり盾となって、チェーン・シープの攻撃を遮る。
「でもこれで効果は使った。【ファーニマル・ライオ】で【マジック・キャンセラー】を攻撃!その効果により攻撃力を500ポイントアップさせるよ」
攻1600→2100
「それも止めさせてもらう!俺はリバースカード【セキュリティ・ボール】を発動!相手の攻撃宣言時、攻撃モンスターの表示形式を変更する!」
意気揚揚とマジック・キャンセラーに襲い掛かったライオだが、突如現れたボール状の機械に網を放たれ、拘束されてしまう。
攻2100→守1200
「くっ……カードを2枚セット。ターンエンドだよ」
遊陽 LP3200 手札3
モンスター:チェーン・シープ ファーニマル・ライオ
魔法・罠:セット セット
「俺のターンだな、ドロー!」
マジック・キャンセラーの処理は失敗だ……。せっかく手札に加えたデストーイ・ファクトリーもこのままでは発動すらできない。さて、どうしようか。
「俺は【カーボネドン】を召喚する!」
カーボン……つまりは炭素。黒鉛の塊のような恐竜が現れる。
攻800
「そして墓地の【生存境界】の効果を発動する!墓地のこのカードを除外し、フィールドカード1枚と恐竜族モンスターの合計2枚を破壊する!【チェーン・シープ】と【カーボネドン】破壊する!」
カーボネドンとチェーン・シープの足元からマグマが吹き出し、2体のモンスターを飲み込んでしまう。
「でも、【チェーン・シープ】は1ターンに1度、破壊されても攻撃力をアップさせて蘇るよ!」
攻2000→2800
「バトルだ!【ウォーター・ドラゴン】で【デストーイ・チェーン・シープ】を攻撃!アクア・パニッシャー!」
2体のモンスターの攻撃力は2800。生存境界で破壊されていなければ、チェーン・シープを蘇生することができたのに……!
ウォーター・ドラゴンの吐き出した水のブレスと鎖が交錯し、お互いの体を破壊する。
「【ウォーター・ドラゴン】が破壊された時、墓地から【ハイドロゲドン】2体と【オキシゲドン】を特殊召喚する!」
ウォーター・ドラゴンの材料が分裂し、3体のモンスターに変わる。
「っ、リバースカードオープン!【落とし大穴】!相手が2体以上のモンスターの特殊召喚に成功したとき、そのモンスターを全て墓地へ送り、さらに同名モンスターを纏めて手札・デッキから墓地へ送るよ!」
現れたモンスター達が纏めて落とし穴に飲まれていく。
「そ、そんなピンポイントなカード、何でデッキに入ってるんスか……!?」
「昨日遊陽が入れてたわ。今までの三沢君の戦いから、三沢君がチェーン・シープをウォーター・ドラゴンで相討ちにしてくる事を想定してたの」
このタイミングで用意できたのは僥倖だ。あのまま総攻撃を仕掛けられていたら、僕のライフは尽きていただろう。
「メタにはメタを、だよ!三沢君!」
「やるじゃないか。俺は続けて【マジック・キャンセラー】で【ファーニマル・ライオ】を攻撃だ!」
マジック・キャンセラーの頭部からレーザー光線が放たれ、ファーニマル・ライオの体を燃やす。
「っ、【ファーニマル・クレーン】を発動!【ファーニマル・ライオ】を手札に戻し、1枚ドローするよ」
「メインフェイズ2だ。墓地に存在する【カーボネドン】は、墓地から自身を除外することで、レベル7以上のドラゴン族・通常モンスターをデッキから守備表示で特殊召喚する!炭素は墓地で圧縮され、その姿を変える!来い、【ダイヤモンド・ドラゴン】!」
ダイヤモンドで作られた美しい鱗を持つ竜が現れ、咆哮する。
守2800
「さらに手札の【デューテリオン】の効果を発動。手札からこのカードを捨て、デッキから【ボンディング】と名のつく魔法・罠カードを1枚手札に加える。カードを1枚セットし、ターンエンドだ」
三沢 LP4000 手札0
モンスター:マジック・キャンセラー ダイヤモンド・ドラゴン
魔法・罠:セット 陰謀の盾
「僕のターン」
マジック・キャンセラーがいる限り、魔法カードは使えない。どうしたものか……。
「ドロー!」
ドローしたカードを確認する。
……うん。このカードなら戦える。
「行くよ三沢君、僕は【ファーニマル・オウル】を召喚するよ!」
ホー、ホーという鳴き声と共に、僕の目の前に可愛らしいフクロウが現れた。
「「今回の最強カードは?」」
マジック・キャンセラー
効果/星5/風属性/機械族/攻1800/守1600
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り魔法カードは発動できず、全てのフィールド上魔法カードの効果は無効になる。
「魔法カードを軸にするデッキにとっては最大の天敵ね」
「うん。このカードのせいで随分動きが止められてしまうよ。下級モンスターでも倒せなくもないステータスなのが救いかな」
「使用している側もそれを理解しているから、いかに罠やモンスターの効果で守るかが大切ね」
デュエル構成に悩み投稿が遅くなりました10話です。魔法カードが使えないのがこんなに辛いとは。
さてさて、それではまた次回お会い出来ればうれしいです。ではでは~。