遊戯王GX ふたりぼっちの僕たちは 作:未OCGのアルカナフォース達に未来を!
……たまに、ひどく苦しい夢を見る。
私を囲む誰かの笑い声。
「あんな親の娘」
「顔だけいいから調子に乗って」
「だから虐められるのよ」
女子トイレの個室の中で水をかけられる。
冷たい水がポタポタと髪を伝って落ちる。
「お前が良い年になったら、お前も俺の女にしてやるよ!ハハハ!」
「あんたのせいよ……あんたが私からパパを奪ったの……!あんたなんか、生まなければ……」
家にも私の居場所はない。
父親が酒に酔って眠った隙をついて、おつまみをいくつかくすねて口に押し込む。私のご飯はこれだけだった。
閉め出されたベランダで、小さな声で歌を歌う。何も持っていない私の、唯一の娯楽だ。
何も悪いことはしていない筈なのに。どうして世界は、こんなにも私を嫌うのだろう。
たった1人で良い。友達が、私の居場所が欲しかった。
……そんな時だった。■■■■に出会ったのは。
「……また、あの夢……」
……日の光が差し込んだ明るい部屋。ようやく慣れてきた、オベリスクブルーの私の部屋だ。
枕もシーツも、そしてパジャマも汗でぐっしょりだ。気分が悪い。
後でシャワーを浴びよう。
今ではほとんど思い出さなくなってきた、遠い昔の記憶。私の両親は児童虐待がどうとかで連れていかれ、私は施設に入れられた。
それ以来、私は声を我慢することなく歌うことも出来たし、デュエルにも出会えた。
「……遊陽」
悪い夢を見た日は、いつも以上に彼の声が聞きたくなる。
遊陽の声を聞いていると、心が落ち着く。安心する。
私はPDAを起動し、遊陽に電話をかける。
『もしもし、遊陽?』
『もしもし。朝早くから珍しいね。何かあったの?』
『……ちょっと、嫌な夢を見たの』
「それデーハ、アカデミア代表決定戦第2試合を開始するノーネ。まずはオベリスクブルー女子寮代表、シニョーラ深月!」
歓声が上がると共に、私はデュエルフィールドへと入場する。
「深月、頑張って!」
観客席の中から遊陽が声をかけてくれる。それだけで私の力は何倍だ。
遊陽に向けて拳を突き出し応える。
「えー、それーと、オシリスレッド代表、ドロッ……シニョール遊城十代ナノーネ……」
なんだか苦々しげに名前を呼ぶ。とうの遊城君本人はそんなことは気にせず、観客へ手を振りながら私の前に立つ。
「おう!お前が星見だな。明日香から話は聞いてるぜ。お前、すげー強いんだろ?」
「え、えっと……よろしくね!遊城君。決勝戦に進むのは、私だよ!」
「へへっ、それはどうかな?三沢を倒したあいつともデュエルしてみたいからな。俺だって負けないぜ?」
私と遊城君の視線が重なる。間にはきっと火花が散っている事だろう。
「それでは、始めるノーネ!」
「「デュエル!!」」
深月 VS 十代
「私の先攻、ドロー!私は【幻奏の音女オペラ】を召喚するわ!」
高く、響く声で歌いながら、私のフィールドに音女が現れる。
攻2300
「レベル4で攻撃力2300だって!?」
「その代わり、召喚したターンは攻撃できないのよ」
「そっか、それなら安心……って、最初のターンは元々攻撃できないじゃねーか!」
バレたか。
オペラは高い攻撃力の代わりに速攻性を捨てているので、それを生かすには特殊召喚か、先攻1ターン目での召喚が必要になる。
「アニキー!頑張るっすよー!」
「きばれよー!」
「まかせとけ!」
遊城君と同じオシリスレッド生からの声援だ。遊城君はきっと、彼らの希望の星なのだろう。
成績が悪く、他の寮から見下される底辺の生徒が、学校の代表になるチャンスなのだ。
だからといって負けてあげるつもりはない。私は遊陽にリベンジするのだ。
「カードを1枚セット。ターンエンドよ」
深月 LP4000 手札4
モンスター:幻奏の音女オペラ
魔法・罠:セット
「俺のターン、ドローだ!」
遊城君はドローしたカードをそのままフィールドに出す。
「行くぜ、来い!【
遊城君の目の前に雷光が走り、光の戦士が参上する。
攻1600
「さらに装備魔法【スパークガン】を【スパークマン】に装備するぜ」
スパークマンが、黒い銃を手に取り、オペラへと照準を向ける。
「【スパークガン】の効果を発動!フィールド上のモンスターの表示形式を変更するぜ!」
スパークガンから放たれた電撃がオペラを襲い、その体を強制的に防御姿勢へと変える。
攻2300→守1000
「バトル!【スパークマン】で【オペラ】を攻撃だ!スパークフラッシュ!」
スパークマンが電撃を纏い、右の拳をオペラへと向ける。
「っ、リバースカードオープン!【光子化】!相手モンスターの攻撃を無効にし、その攻撃力分私の光属性モンスターの攻撃力をアップさせるわ!」
攻2300→3900
「攻撃力、3900……カードを1枚セット。ターンエンドだぜ」
十代 LP4000 手札3
モンスター:E・HEROスパークマン
魔法・罠:スパークガン(残り2回) セット
「私のターン、ドロー!私は、オペラを攻撃表示に変更するわ!」
守1000→攻3900
「さらに【幻奏の歌姫ソロ】を攻撃表示で召喚!」
高らかに歌い躍りながら、1人の歌姫が現れる。
攻1600
「バトル!【幻奏の歌姫ソロ】で【E・HEROスパークマン】を攻撃するわ!」
「リバースカードオープン!【攻撃の無力化】!その攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了するぜ」
ソロの放つ飛び膝蹴りは、目の前に現れた渦に飲み込まれ無力となる。
「くっ……ターンエンドよ。この瞬間、オペラの攻撃力は元に戻るわ」
攻3900→2300
「すごいっス!攻撃力3000超えのモンスターの攻撃を止めたっスよ!」
「流石は十代なんだなぁ」
「だが気を付けろよ十代。彼女のデッキは防御重視の物量作戦。このままでは押しきられてしまうぞ」
深月 LP4000 手札4
モンスター:オペラ ソロ
魔法・罠:無し
「俺のターンだな、ドロー!……来たぜ、まずは【スパークマン】の効果で【ソロ】を守備表示へ変更だ!」
攻1600→守1000
「そして魔法カード【融合】を発動!」
来る、遊城君が得意とする融合召喚!
「フィールドの【スパークマン】と手札の【E・HEROエッジマン】を融合!来い、【E・HEROプラズマヴァイスマン】!」
2人のヒーローが渦に飲み込まれ新しい姿を見せる。
黄金の鎧を纏ったスパークマンは、いくぶんか大きくなった体から電撃を発散する。
攻2600
「【プラズマヴァイスマン】は手札を1枚捨てる事で、相手の攻撃表示モンスター1体を破壊できるぜ!俺は手札を1枚捨て、【オペラ】を破壊する!」
プラズマヴァイスマンが地面に手を突き刺すと、オペラの足元から雷が放たれ彼女を破壊する。
「【オペラ】っ!」
「さぁ、バトルだ!【プラズマヴァイスマン】で【幻奏の歌姫ソロ】を攻撃だ!」
「でも【ソロ】はあなたの【スパークガン】のお陰で守備表示!私はダメージを受けないわ!」
「いいや!【プラズマヴァイスマン】は、守備表示モンスターを攻撃したとき貫通ダメージを与える、貫通能力を持ったモンスターだぜ!」
ソロを守備表示にしたのは、そのため……!?
プラズマヴァイスマンはソロの体を掴み、電撃で破壊した。
「きゃぁっ!!」
LP4000→2400
「で、でも【幻奏の歌姫ソロ】の効果を発動!このカードが戦闘破壊されたとき、デッキから【幻奏】と名のつくモンスターを特殊召喚出来るわ!来て、至高の天才!【幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト】!」
ソロが最後にあげた歌声が音符や五線譜へと代わり、集まり、姿を変える。
次の瞬間には、私のフィールドに指揮棒を手にした優雅な女性が立っていた。
守2000
「来たな、星見のエースモンスター!」
「ここから私の反撃よ!」
私のフィールドに現れたモンスターにデュエルを見ていた生徒達も盛り上がる。
「星見さんも上手いじゃないか」
「勿論。深月は強いんだよ」
「守備表示で特殊召喚したことで、プラズマヴァイスマンの効果の対象外にしているのね」
プラズマヴァイスマンとモーツァルトの攻撃力は同じ。それならきっとプラズマヴァイスマンの効果でモーツァルトの破壊を狙ってくるはず。……まぁ、連続攻撃される可能性も無くはなかったんだけどね。
「面白くなってきたぜ!俺はカードを1枚セットして、ターンエンドだ!」
十代 LP4000 手札0
モンスター:E・HEROプラズマヴァイスマン
魔法・罠:セット
「私のターン、ドロー!まずは【モーツァルト】を攻撃表示に変更するわ!」
守2000→攻2600
「そして【モーツァルト】の効果を発動するわ!1ターンに1度、手札から天使族モンスターを特殊召喚出来るわ!来て、【幻奏の音女エレジー】!」
モーツァルトが指揮棒を振るい、私の手札から新しい天使が降り立つ。
攻2000
「特殊召喚した【幻奏の音女エレジー】の効果で、【幻奏】と名のつくモンスターの攻撃力は300ポイントアップするわ!」
モーツァルト攻2600→2900
エレジー攻2000→2300
「さらに魔法カード【フォトン・リード】発動!手札からレベル4以下の天使族モンスター1体を特殊召喚するわ!出てきて、【幻奏の音女アリア】!」
フィールドに現れた光の糸に掴まり、3人目の音女が現れる。
攻1600→1900
「アリアとエレジーが揃ったな」
「あの布陣を突破するのは困難よ。さぁ、十代?あなたはどうするのかしら」
アリアの効果で幻奏モンスターは戦闘破壊されず、効果の対象にならない。さらにエレジーの効果で効果破壊もされない。
「これが私の最強の布陣よ!バトル!【モーツァルト】で、【プラズマヴァイスマン】を攻撃!グレイスフル・ウェーブ!」
モーツァルトの奏でる音の波がプラズマヴァイスマンを攻め立て、破壊する。
「くっ……」
LP4000→3700
「だが俺は罠カード発動するぜ!【ヒーロー・シグナル】!」
デュエルフィールドの天井に、Hの文字が浮かび上がる。
「モンスターが戦闘で破壊されたとき、デッキからレベル4以下の【E・HERO】を特殊召喚できるぜ!来い、【E・HEROバブルマン】!」
救援信号を受け、ヒーローが悪を倒しにやって来る。
守1200
「【バブルマン】の特殊召喚に成功したとき、俺の手札とフィールドに他のカードがない場合、俺は2枚ドロー出来るぜ」
「手札増強……私は【アリア】で【バブルマン】を攻撃!」
颯爽と現れたヒーローが、アリアの歌声で昇天していく。
「続けて、【エレジー】でダイレクトアタックよ!」
エレジーの歌声は指向性を持ち、遊城君を狙い打ちにする。
「ぐわぁぁぁっ!」
LP3700→1400
「私はこれでターンエンド!」
深月 LP2400 手札2
モンスター:アリア エレジー モーツァルト
魔法・罠:無し
「ついにライフが逆転されちゃったっス……」
「十代ー、諦めるなよぉ……」
相手のフィールドカードは無く、手札は2枚。だけどまだ油断はしない。
「俺のターン、ドロー!……俺はカードを2枚セットして、【カードカー・D】を召喚!」
Dと書かれた、薄っぺらいカードの様な車が現れる。
攻800
「【カードカー・D】が召喚に成功したターンのメインフェイズ1に、こいつ自身を生け贄に捧げることで、俺はデッキからカードを2枚ドローするぜ!」
「召喚権を使う強欲な壺ってところね」
「そのかわりこの効果を使うターンは特殊召喚出来ず、発動した後はすぐにターンが終わっちまうけどな」
十代 LP1400 手札2
モンスター:無し
魔法・罠:セット セット
「私のターン、ドロー!……よし!私は【幻奏の音女カノン】を自らの効果で特殊召喚するわ。この子は私のフィールドに【幻奏】がいるとき、手札から特殊召喚出来るの」
守2000
「そして【モーツァルト】の効果を発動するわ!来て、【幻奏の音女タムタム】!」
銅鑼の音を響かせながら、可愛らしい少女が私のフィールドに現れる。
守2000
「【タムタム】の特殊召喚に成功したとき、デッキから【融合】を手札に加えるわ。そして発動!手札の【幻奏の音女セレナ】とフィールドの【タムタム】を融合。今こそ舞台へ!【幻奏の音姫マイスタリン・シューベルト】!」
2人の音女が渦の中で混じり合い、新たな力と姿を見せる。
攻2400→2700
「融合モンスターまで使ってくるのか!」
「遊陽とお揃いなの!このターンで終わらせちゃうから!バトル!【幻奏の音姫マイスタリン・シューベルト】で、ダイレクトアタック!ウェーブ・オブ・ザ・グレイト!」
シューベルトがナイフの様な指揮棒で円を書く。空間に描かれた輪っかからは絶えず音が溢れ出し、波状攻撃を浴びせる。
「まだ負けないぜ!リバースカードオープン!【クリボーを呼ぶ笛】!その効果でデッキから【ハネクリボー】を特殊召喚する!頼むぜ、相棒!」
『クリクリー!』
羽の生えた、小さなモンスターが現れ、シューベルトの攻撃を受け止める。
「で、でも私のフィールドには、まだモンスターがいるわ!」
「【ハネクリボー】が戦闘で破壊されたターン、俺が受ける全てのダメージは0になるぜ!ありがとな、相棒」
『クリィ!』
……?今、遊城君の隣に何かが見えた様な気がした。
「じゃあ、このターン中での決着はムリってことね。私は【アリア】を守備表示に変更。ターンエンドよ」
攻1900→守1200
深月 LP2400 手札0
モンスター:アリア エレジー モーツァルト シューベルト カノン
魔法・罠:無し
「すげぇ、お前すげぇよ!モンスターを5体もフィールドに揃えるだなんてさ!」
「え、えへへー。そうかな?」
「あぁ!俺は今、すっげーワクワクしてるんだぜ?この盤面をどうやってひっくり返そうか!」
遊城君はキラキラとした瞳で語る。その姿は、良い意味で同い年のようには思えない。夢と希望に溢れた、子供の目だ。
「また始まったっス……」
「ふん!深月のフィールドは完璧なのよ!」
「えぇ。あのフィールドを簡単に突破できるとは思えませんわ」
そう。私のフィールドは、いくつか穴があるとはいえかなり強固な盤面だ。だけど彼なら本当にこの場面をひっくり返してくる。返してくれる。そんな気がしてくる。
「さぁ行くぜ、俺のターン、ドロー!」
全校生徒が彼のドローした1枚に注目する。彼はその期待に応えるように、そのカードを発動する。
「来たぜ!魔法カード【融合回収】!墓地の【融合】と【E・HEROエッジマン】を手札に戻す!」
「させないわ!【マイスタリン・シューベルト】の効果発動!墓地のカードを3枚まで除外し、除外した枚数1枚につき200ポイント攻撃力をアップ!私は【融合】、【エッジマン】、【スパークマン】の3枚を除外するわ!」
「それはどうかな?カウンター罠、発動!【ヒーローズルール2】!相手が墓地のカードを対象とする効果を発動した場合、その発動を無効にして、破壊するぜ!」
墓地へと伸ばされたシューベルトの手は、遊城君の前に張られたバリアに遮られる。
エレジーのお陰で破壊こそされないが、融合回収は問題なくその効果を発揮する。
「そして【融合】を発動!手札の【エッジマン】と【ワイルドマン】を融合!来い!【E・HEROワイルドジャギーマン】!」
筋肉にまみれた体の男が、エッジマンの鎧を纏っている。
攻2600
「そして魔法カード【H-ヒートハート】を発動!【ワイルドジャギーマン】の攻撃力は500ポイントアップし、貫通能力を得る!」
ワイルドジャギーマンが燃えるような闘志を得る。
攻2600→3100
「……攻撃力が、【モーツァルト】を超えた……!」
「そして【ワイルドジャギーマン】は、相手フィールドの全てのモンスターに1回ずつ攻撃できるぜ!バトル!【ワイルドジャギーマン】で【カノン】と【アリア】を攻撃だ!インフィニティ・エッジ・スライサー!」
「私のモンスターは戦闘では破壊されない。けど……」
「ダメージは受けてもらうぜ!」
ワイルドジャギーマンの左腕の刃が展開する。そして同時に彼は担いだ大剣を右手で引き抜いた。
1度目の攻撃は、左腕の刃でカノンを切り裂き、2度目は大剣でアリアを叩き潰す。
「きゃぁぁぁっ!!」
LP2400→1300→0
「な、ナンート……」
クロノス先生が口をあんぐりと開けて固まっている。シン、とした空気が会場を覆うが、それはすぐに喝采へと変わる。
「しょ、勝者、シニョール遊城十代……ナノーネ……」
クロノス先生が悲しげな声で呟く。
「負けちゃった……か」
私は少し寝転んだまま、デュエルフィールドの天井を見ていた。
「ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ!」
遊城君が渡しに手を差し伸べてくる。私は少しだけ悩んで、彼の手を取り立ち上がる。
「私も楽しかったわ。……でも、遊陽は私よりもずっと強いんだから!」
「そりゃあ、今から楽しみだぜ!」
「「今回の、最強カード!」」
E・HEROワイルドジャギーマン
融合・効果/星8/地属性/戦士族/攻2600/守2300
「E・HERO ワイルドマン」+「E・HERO エッジマン」
このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。相手フィールド上の全てのモンスターに1回ずつ攻撃をする事ができる。
「遊城君が使ってきた融合ヒーローね」
「ヒートハートとか他のカードで貫通効果を与えると、全体攻撃能力が格段に強力になるね」
「ぐぬぬぅ……くやしいなぁ……」
「お疲れ様、深月。次は僕が遊城君と戦う番だね」
「応援してるわよ!」
祝・お気に入り数20突破!!
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ここまで頑張って行けたのも読んでくださる皆様のお陰です!
時間も日も不定期な投稿ですが、今後ともお付き合い頂けたら嬉しいです!
ではではー!