遊戯王GX ふたりぼっちの僕たちは   作:未OCGのアルカナフォース達に未来を!

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こちらは後編です。先に前回をお読みいただけると嬉しいです。


23話 最後のセブンスターズ(後編) 次元を越えた融合!

「何で、大徳寺先生が……!?」

「い、いいえ!大徳寺先生はあそこのミイラで……どういうことよ……?」

 

 戸惑う私達を、いつものあの優しげな表情で見つめてアムナエルは語り始める。

 

「あそこにいるのも間違いなく私さ。私は錬金術の力によって、死の世界から戻ってきたのだ」

「錬金術の、力だと?」

「そう。私はある人の元で錬金術の研究を行っていた」

 

 ファラオの頭を一撫でして、彼は語り始める。これまでの経緯を。

 

 アムナエルはとある男の支援を受け、錬金術の研究を進めていた。目的は、あらゆる反応を媒介し、永遠の命をもたらすという賢者の石を入手すること。

 かつてデュエルモンスターズを産み出したペガサスたどり着いた様に、彼の研究も古代エジプトに存在するデュエルモンスターズの精霊にたどり着いた。

 しかし研究には、あまりにも時間がかかり過ぎた。無理を続けた肉体は限界を迎え、彼は自らの魂を、錬金術で産み出した人工生命体……ホムンクルスに写し、死の世界から帰ってきた。

 

「……っ!それじゃあ、遊陽の体を作った錬金術師って……!」

「私の事だ。新しい体を作り出し、ひとりかくれんぼによって切り離された君の魂の一部をその体に宿らせた。それが黒野遊陽という存在だ」

 

 じゃあ、遊陽はホムンクルスだったってこと……?

 

「私は一度蘇った。だがもう時間は残されていないのだ。私の体は朽ち始めている」

「何だって!?」

「だから私は、私が滅びる前に大いなる闇に対抗できる人間を育てなければならなかった」

「それで、遊城君を……?」

「君や黒野遊陽も対象だ。最も黒野遊陽はあの人の意見に賛同し、三幻魔を復活させようとしていたがね」

「じゃあ、あなたは三幻魔の復活に反対なの?」

 

 大徳寺先生はゆっくりと首肯く。

 

「三幻魔は、不老不死の願いを成就させるために必要な物だ。私も最初は私に研究する機会をくれた彼に恩を返そうとしていた。だが彼は変わってしまった。彼は三幻魔の力を使い、すべてを支配することを望み始めたのだ」

「そんな……」

「勿論遊陽君の言っていた通り、あれがあるだけで世界が滅びたりはしない。しかしあれは所有者の心の闇を増幅させるカード。いずれ世界の滅びをもたらす事は想像できるだろう。今の彼にその意思がなかったとしてもね。だから私は彼を止めるために動いていた。このデュエルは、君達が私の持つエメラルド・タブレットを受け継ぐのに相応しいかを確かめるもの……これは最終試験であると同時に、君達に贈る最後の授業だ!」

 

 大徳寺先生はファラオを地面に降ろし、離す。

 

「さぁ、授業の続きを始めよう!」

「くっ……!俺はこれでターンエンドだ」

 

 

深月達 LP3000 十代手札0 深月手札3

モンスター:プラズマヴァイスマン マッドボールマン フレイム・ウィングマン アリア

魔法・罠:スピリットバリア フュージョン・ゲート

 

 

「私のターン、ドロー!……ふふ。私はカードを2枚セットしてターンエンド」

 

 

大徳寺 LP2700 手札4

モンスター:無し

魔法・罠:セット セット

 

 

 カードを伏せただけ?一体何を企んでいるの?

 

「私のターン、ドロー!」

「このタイミングで、私は永続罠を発動しよう。【マクロコスモス】!」

「なんですって!?」

 

 空間が歪む。私達がいた場所は地下の研究室ではなく、いつの間にか宇宙空間の様な場所に立たされている。

 

「下にあるものは上にあるものの如く、上にあるものは下にあるものの如し。これは錬金術の基礎的な考えだ。マクロコスモスとミクロコスモスは密接に関係し合っている。君達人間と宇宙も同様にね」

「俺達と、宇宙が……?」

「その通りさ」

 

 授業で言っていた気がする。しかしこのカードは、どんな効果を持っているのだろうか。

 

「【マクロコスモス】を発動したとき、デッキから【原始太陽ヘリオス】を特殊召喚できる」

 

 空間のゆがみの中から現れるのは、太陽の様な頭を持つ女性型のモンスターだ。

 

攻?

 

「【原始太陽ヘリオス】の攻撃力は、ゲームから除外されたお互いのモンスターの数につき100ポイントアップする」

 

攻?→2400

 

「……私は【フュージョン・ゲート】の効果を発動!手札の【幻奏の音女カノン】と【幻奏の音女セレナ】を除外し、融合するわ!」

 

 手札から現れた2体の音女が、頭上の黒い雲へと飲み込まれる。

 

「融合召喚!今こそ舞台へ!【幻奏の音姫マイスタリン・シューベルト】!」

 

 渦の中から、ナイフの様な指揮棒で空間を切り裂き音姫が現れる。

 

攻2400

 

「【マイスタリン・シューベルト】の効果、コーラスブレイク、発動!先生の墓地の【手札抹殺】【手札断殺】【暗黒界の取引】の3枚を除外し、1枚につき攻撃力を200ポイントアップさせるわ!」

 

 3枚のカードが五線譜に変わり、シューベルトの指揮棒に吸い込まれていく。

 

攻2400→3000

 

「お願い!【マイスタリン・シューベルト】で【原始太陽ヘリオス】を攻撃!」

 

 シューベルトの奏でる音楽が嵐のように巻き起こり、ヘリオスを包み込む。

 

「速攻魔法発動!【グランドクロス】!このカードは【マクロコスモス】が存在するときのみ発動が可能。フィールド上のすべてのモンスターを破壊し、君に300のダメージを与える!」

「っ、きゃぁぁっ!?」

 

 惑星が十字形に並び、その重力波によってフィールドのモンスターは全滅する。

 

LP3000→2700

 

「そして【マクロコスモス】は墓地に送られるカードを全て除外する。今度は魔法・罠カードも含めてね」

 

 破壊されたモンスター達が、この広い宇宙空間に消えていく。

 

「っ、私はカードを2枚セット。ターンエンドよ」

 

 

深月達 LP2700 深月手札0 十代手札0

モンスター:無し

魔法・罠:スピリットバリア セット セット フュージョン・ゲート

 

 

「私のターン。魔法カード【魂の解放】を発動!私の墓地から【黄金のホムンクルス】と【次元の裂け目】【魂吸収】を、そして君達の墓地から【独奏の第1楽章】と【融合回収】を除外するよ」

 

 お互いの墓地のカードが消えていく。大徳寺先生の墓地からカードが無くなった。

 

「魔法カード【救援光】を発動。800ポイントのライフを支払い、ゲームから除外された光属性モンスター……【原始太陽ヘリオス】を手札に戻す。さらに魔法カード【次元の歪み】を発動。自分の墓地にカードが存在しないとき、ゲームから除外された私のモンスターを特殊召喚できる!」

 

LP2700→1900

 

 大徳寺先生の背後がぐにゃりと歪み、破壊したはずの黄金のホムンクルスが現れる。

 

攻1500

 

「そんな!せっかく破壊したってのに!」

「ふふふ、私はそう甘くはないよ。今ゲームから除外されている私のカードは20枚!よってその攻撃力は……!」

 

攻1500→7500

 

「な、ななせんごひゃく……!?」

「そして私は【原始太陽ヘリオス】を召喚」

 

攻?→2800

 

 レベル4のモンスターが最上級モンスターレベルの攻撃力を手に入れるほどカードがゲームから除外されている。

 

「【原始太陽ヘリオス】を生け贄に捧げることで、手札の【ヘリオス・テュオ・メギストス】は特殊召喚できる!【デュオ・メギストス】の攻撃力は、除外されている全てのモンスターの200倍だ!」

 

 ヘリオスが成長し、その体は太る。頭部の太陽も巨大化し、まるで衛星の様に小さな太陽がその隣に現れる。

 

デュオ・メギストス攻?→5800

黄金のホムンクルス攻7500→7800

 

「まだだ!さらに【ヘリオス・デュオ・メギストス】を生け贄にささげ、私の錬金術は完成する!現れよ!これが我が研究の成果!【ヘリオス・トリス・メギストス】!」

 

 ヘリオス・デュオ・メギストスが炎に包まれ、姿を変える。まるで大人の女性のようだった体は幼子の様な小さなものに変わり、3人の太陽がくるくると回る。

 三つ子の太陽(ヘリオス・トリス・メギストス)。これが大徳寺先生の最強のカード……!

 

トリス・メギストス攻?→9000

黄金のホムンクルス攻7800→8100

 

「こ、こ、こ、攻撃力、9000ッス!?」

「そんな、そんな、事って……」

「【ヘリオス・トリス・メギストス】の攻撃力はゲームから除外された全てのモンスターの300倍。さらにこのモンスターは戦闘でモンスターを破壊したとき、続けて攻撃することもできる……もっとも、君達のフィールドにモンスターが居ない今、その効果は意味がないがな」

 

 三つ子の太陽は無邪気な子供のように、私達を興味ありげにジロジロ見ている。

 

「これで終わりか!?バトルだ!【ヘリオス・トリス・メギストス】でダイレクトアタック!フェニックス・プロミネンス!」

 

 三人の太陽が強く燃え上がり、炎が包む。炎は鳥の様な形となって、私に襲いかかる。

 

「っ!リバースカードオープン!【奇跡の光臨】!ゲームから除外されている天使族モンスター1体を特殊召喚する!戻ってきて、【アリア】!」

 

 私の目の前に光が集束し、女性となって現れる。

 アリアの歌声がバリアを作り出し、炎の鳥を押し返した。

 

守1200

 

攻9000→8700

 

「特殊召喚された【アリア】は戦闘では破壊されず、カード効果の対象にはされない!」

「この攻撃を凌いだか。私はターンエンドだ!」

 

 

大徳寺 LP1900 手札0

モンスター:ヘリオス・トリス・メギストス 黄金のホムンクルス

魔法・罠:マクロコスモス

 

 

「攻撃力8000超えが2体も……」

 

 いくらアリアが戦闘破壊されないとはいえ、このままでは押しきられてしまう。そのうえ私と遊城君の手札は0枚……。

 

「【異次元の女戦士】」

「!?」

「【異次元の戦士】、【サイクロン】で【スピリットバリア】を破壊してから【メテオ・ストライク】を発動させるのもいいだろう」

「な、何を言ってるのよ」

「私のデッキに入っている、アリアを処理する手段だ。私の初期手札は10枚。その後も度重なる手札交換で私のデッキの枚数はもう少ない」

 

 ……そうか、大徳寺先生のデッキはかなり圧縮されてきている。最悪、次の先生のターンに今言っていたカードを引かれる恐れもある。悠長に時間稼ぎなんてしてられない。

 

「こんなの、どうすりゃいいんだよ……」

 

 遊城君が苦々しい顔で呟いた。私も彼も、心が折れかかっている。

 

「あ、アニキ……」

「十代……」

 

 遊城君は震える手でドローを試みるが、やめてしまう。

 

「クソッ、次のドローで、何か引かなきゃ……」

「……君は、1年前の君と同じなのかい?」

 

 大徳寺先生が遊城君に語りかける。その声音はアムナエルの物ではない。毎週授業で聞いていた、あの優しい大徳寺先生の声だ。

 

「1年前の、俺……」

 

 遊城君は丸藤君や前田君、私を見て顔を伏せる。

 

「いいや違う!俺には沢山の仲間がいる!ここにいる奴だけじゃない!万丈目に三沢、明日香、カイザーにクロノス先生!それに……遊陽だって!」

「……ふふ。気づいたようだね十代。錬金術の真理に!」

「行くぜ大徳寺先生!俺のターン、ドロー!」

 

 遊城君がカードを引く。白い小さな羽が、彼の周りを舞った様な気がした。

 

「……応援してくれるのか?相棒!」

『クリクリー!』

「よっしゃあ!それなら星見、使わせてもらうぜ、お前のリバースカード!」

「うん!」

「速攻魔法、発動!【リロード】!手札を全てデッキへ戻し、戻した枚数分ドローする!」

 

 遊城君の手札のハネクリボーがデッキへと戻っていく。

 

「アニキ!」

「十代!」

「遊城君!」

「頼むぜ、俺のデッキ!ドロー!」

 

 空気が一瞬だけ静まり返る。冷めた静寂ではない。嵐の前の静けさ。噴火する直前の、一瞬の間。

 

「来たぜ!俺は魔法カード【平行世界融合(パラレル・ワールド・フュージョン)】を発動だ!」

 

 宇宙の端がキラリと光り、4人の戦士が遊城君を守るように現れる。

 バーストレディ、フェザーマン、バブルマン、クレイマン。それぞれが違う属性を持つ、頼れる仲間達。

 

「【平行世界融合】だと……!?」

「そうさ!これは【E・HERO】専用の融合カード!ゲームから除外された融合素材モンスターをデッキに戻し、融合召喚を行うぜ!」

 

 4人の戦士がその手を重ね、渦の中へと飲み込まれていく。

 

「来い!究極の【E・HERO】!全ての力を融け合わせ、今ここに誕生せよ!地水炎風融合、【エリクシーラー】!」

 

 エリクシール。賢者の石によって作られる秘薬、あるいは賢者の石そのものとも言われる錬金術の極致。

 黄金に輝くその体は、一抹の明かりも見えなかった宇宙の先までも明るく照らしている。

 

攻2900

 

「【エリクシーラー】の攻撃力は、相手フィールドに存在する【エリクシーラー】と同じ属性のモンスター1体に付き、300ポイントアップする!」

 

攻2900→3500

 

「さらに【エリクシーラー】が融合召喚されたとき、ゲームから除外されたお互いのカードを全て、持ち主のデッキに戻す!」

「何だと!?」

 

 エリクシーラーの光が宇宙を照らし、虚空の果てでさ迷っていた魂達が道しるべを見つけ、帰ってくる。

 

トリス・メギストス攻8700→0

黄金のホムンクルス攻8100→1500

 

「素晴らしい……これが融合、これこそが、錬金術……!」

「バトル!【E・HERO エリクシーラー】で【ヘリオス・トリス・メギストス】を攻撃!フュージョニスト・マジスタリー!」

 

 虹色の光がエリクシーラーから放たれ、それが三つ子の太陽を焼き尽くす。

 

「見事だ2人とも。試験の結果は、合格だ」

 

LP1900→0

 

 ライフポイントを失い、大徳寺先生がその場に崩れ落ちる。

 

「見事だよ2人とも。君達なら、大いなる災いにも打ち勝つことが出来るだろう」

「大徳寺先生、大丈夫かよ!?今保健室まで運ぶからな!」

「いや、もう良いんだ。十代君。この体はもう限界だ。あと数分と経たず崩壊し、塵になるだろう」

「そんな……!?」

「深月君、遊陽君は今闇のゲームの力でぬいぐるみへと変わっている……つまり、ぬいぐるみに戻った訳ではない」

「ほ、本当ですか……?」

「ああ。彼にかけられた闇の力を取り払うには、賢者の石が必要になるだろう」

 

 大徳寺先生が震える手で、金色の装飾の施された本を私達に渡す。

 

「これは錬金術についての全てが記された書、エメラルド・タブレット。これを君達2人に渡そう。君達ならきっと、賢者の石を手に入れられる、はずだ……」

 

 大徳寺先生の体が崩れる。ホムンクルスとしての肉体が限界を迎えたのだろう。その体は砂になり、小さな山を床に作った。

 

「大徳寺先生……この本は、確かに預かったぜ」

「その本に、賢者の石を作る方法でも書いてあるのかな」

「さぁ、な。でもこれで、セブンスターズとの戦いは終わりだ!」

 

 そうだ。これでもう鍵を狙ってくる人は居ない。三幻魔の復活は妨げられた。私達の、勝利だ!




~カード紹介のコーナー~

E・HERO エリクシーラー
融合・効果/星10/光属性/戦士族/攻2900/守2600
「E・HERO フェザーマン」+「E・HERO バーストレディ」
+「E・HERO クレイマン」+「E・HERO バブルマン」
このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。
このカードの属性は「風」「水」「炎」「地」としても扱う。
このカードが融合召喚に成功した時、ゲームから除外された全てのカードを持ち主のデッキに戻し、デッキをシャッフルする。
相手フィールド上に存在するこのカードと同じ属性のモンスター1体につき、このカードの攻撃力は300ポイントアップする。

チェーン・マテリアルさんの相棒ことエリクシーラーさんです。第1の効果は除外へのメタ効果。そしてもう1つは、相手の闇属性以外のモンスター1体につき攻撃力を上昇させる効果ですね。
ザ・アメコミのヒーローって感じの見た目はかなり好きです。融合素材が難易度高いので普通のデッキでは出すために大分苦労してしまいますね。


すべてのセブンスターズを撃破し、七つの鍵を守りきった深月達。しかしある時七精門がなんの予兆も無く解放され、幻魔の封印が解けてしまう。
孤島の学園に降り立ち三幻魔のカードを手にいれた男の正体とは。
次回「三幻魔復活!(1) 神炎、叡知を焼き付くし」


凄まじい攻撃力が出せるので除外デッキは楽しいですね。一撃死が多発するのでスピリットバリアが無いとすぐ終わってしまいますが。
さて、次回はとうとう三幻魔戦です。
それでは、また次回も読んでいただけたら嬉しいです。
ではではー!
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