遊戯王GX ふたりぼっちの僕たちは 作:未OCGのアルカナフォース達に未来を!
あとほんのちょっとだけオリキャラが出ます。
(5/18/12:50 一部文章を変えました。)
遊陽がラーイエローへ向かう道中、三沢大地と出会った頃。
遊陽と別れた私は、湖の近くにあるというオベリスクブルーの寮へと移動していた。
女子が全員ブルー寮に入るのは、男子に比べ極端に数が少ないからだそうだ。確かに、今年外部から入学した女子生徒は私を含め数える程しかいない。
今いる女子生徒のほとんどは中等部から上がってきた生徒たちのようで、もうすでにコミュニティが完成している様だった。今からその輪の中に入っていくのは難しいだろう。
「……遊陽、早くブルーに来てくれないかなぁ」
遊陽がブルーになったとしても、彼が行くのはブルーの男子寮だから同じ寮には居られない。それでも一緒に行動する機会はぐんと増えるだろう。それに遊陽がからかわれるような事があっても、同じ寮なら助けにいきやすいだろう。
……そうだ。私には遊陽だけいればいい。こんな私に、最初に手を差しのべてくれたのは彼なのだから。
「……はぁ。ダメだなぁ、私。暗いことばっかり考えちゃう」
遊陽の前では元気になれる。何を言っても、どんなテンションでも、遊陽は受け止めてくれたから。
「お、あれかしら?」
学園を出て道なりに歩いていると、大きな湖と、そのほとりにあるお城の様な建物が見えてくる。
「うわぁ、凄い豪華ね……」
実物を見るのは初めてだ。湖の隣という立地も相まってか、まるでおとぎの世界が目の前に広がっているようだった。
こんなところで生活していいのだろうか。そんな事を考えながら、私は女子寮に足を踏み入れる。
「お、お邪魔しまーす……」
寮の1階はみんなが座れるソファ等が置かれており、何人かの女子生徒はそこで談笑している。
確か色々説明があるから、先ずは食堂に集まってほしいって話だったはず。
私は合格通知書と同時に送られてきたブルー女子寮の地図を頼りに、食堂へと移動する。
食堂は男子と女子で共通なようで、結構な数のブルー生徒が集まっていた。
他の生徒達とは離れた位地で一人腰かけていると、男子生徒から声をかけられた。
「やぁやぁ、君は確か、入学試験受けてた子だネ?」
「え、あ、私……?」
「そうサ!」
ウェーブのかかった金色の髪に整った顔立ち。王子や貴族を思わせる立ち居振る舞いの男子生徒だ。
オベリスクブルーの制服を着ているということは、中等部から優秀な成績で上がってきた人なのだろう。
「その、何か用?」
「いやいや、別に用は無いんだけどネ、1人で座ってたから気になったのサ」
「……はぁ」
「もし君がよければ、ボクらと一緒に座らないかい?」
男子生徒が手を広げて差した先には、数人の男子生徒が座っている。
「えっと……大丈夫よ。私はここで」
「おっと、まさか断られるだなんて誰が予想出来ただろうか!……ほんとに来ないのかい……?」
そう言いながら男子生徒はジリジリと近づいてきている。
「正直になっていいんだよレディ。この美しいボクの――」
「止めなさい、鏡泉君」
まるで演劇のように語り始めた男子との間に入り込む、背が高く金色の髪をした美人な女子生徒。
「て、天上院さん!」
「彼女、嫌がってるじゃない。潔くもとの席に戻ったらどう?」
「……ふむ。まさかこの美しいボクの誘いを断るレディがいるとはネ……またいつかの機会に語ろうじゃないか、レディ?」
男は不服そうな表情でもとの場所へと戻っていく。
「えっと、ありがとうございました」
「良いのよ。気にしなくて。私は天上院明日香。貴女は確か……星見深月さん、だったかしら?」
「は、はい!深月でいいです!」
「そう?なら私も明日香で良いわ。それに敬語を使わなくても大丈夫よ。同い年なんだし」
「そ、そう?それなら、よろしくね、明日香……さん。あの、明日香さんはあの人を知ってるの?」
「ええ。彼は鏡泉王子。彼は確か……中等部トップの成績を持っていた生徒ね」
「あ、あれがトップなの……?」
それはともかく、天上院明日香さん……か。
男子相手にも物怖じすることなく言葉を言い放つ。なんて格好良い人なのだろう。
私も遊陽を守るときはガンガン言うけど、内心ではいつもビクビクしている。
私はこうはなれないなぁ……なんて思いながら彼女と話を続けていると、2人組の女子生徒がこちらに向かってくる。
「明日香様!待ってくださいませ!」
「あら、ももえにジュンコじゃない」
「置いてっちゃうなんて酷いよ明日香様」
「彼女が困っているのが見えたから、仕方なかったのよ」
「あら、こちらの方は……?」
黒髪のお嬢様然とした少女と、茶髪の活発そうな少女の2人組は、私の顔を見て首をかしげる。
「私は星見深月です。よろしくお願いします」
「あらら、これはご丁寧に……私は浜口ももえですわ」
「あたしは枕田ジュンコ。敬語にしなくたって良いよ」
「……ありがとう。よろしくね?」
明日香様……なんて呼ばれ方をしていたからには、この2人は明日香さんの取り巻き的な立ち位置なのだろうか。
彼女の男前っぷりを考えてみれば、単に憧れでそう呼ばれているだけかもしれないけど。
4人で並んで座っていると、背が高く痩せた男性と優しげな笑みを浮かべた女性が現れる。
「えー、マイクテスマイクテス……アー、アー、アー、ノーネ、ノーネ」
謎の呪文を唱え始めた男性に奇異の視線が集まることはない。みんなその人の顔を知っている。
デュエルアカデミア実技指導最高顧問。クロノス・デ・メディチ先生。そして隣に居るのは保健・体育担当の鮎川恵美先生だ。
「えー、皆さんーハ、中等部で優秀な成績を残してきたエリートの中のエリートや、数ある進学先の中からこのデュエルアカデミアを選んでくれた未来あるデュエリスト達デスーノ。最上級の寮という立場に油断することナーク、この3年間も素晴らしい成績を残して行ってほしいと願っていマスーノ」
クロノス先生の言葉に、ブルー寮生からの拍手が送られる。
「凄い先生なのかな?」
「そうね。クロノス先生の操る暗黒の中世デッキは、並みの実力では突破できないほど完成度が高く、先生自身のプレイングも素晴らしいわ。……まぁ、あなたも見ていたかもしれないけど、負けることもあるみたいだけどね」
「え、クロノス先生負けちゃったの?」
「あら、見てなかったの?」
私と遊陽は自分の試験が終わったあとすぐ帰ってしまったから、他の人の試験は見ていない。
「1人遅刻してきた生徒がいてね、あろうことか彼、クロノス先生に勝っちゃったのよ。それも試験用のデッキじゃない、暗黒の中世デッキにね」
「そ、そんなことが……」
凄い先生でも負けることはあるんだなぁ……。
「本人は結構気にしてるみたいね。先生に勝った彼、オシリスレッド寮になったそうよ」
「ちょっと私怨がありそうね……まぁ、遅刻してくる方も悪いかもしれないけど」
ひょっとしたら私や遊陽もそうなっていたのかもしれない。
これからも遅刻には気を付けないと。
その後2、3の話をされて解散になった。私は明日香さんと別れ、あの男子生徒に捕まらないようにさっさと食堂を出て自分の部屋へと向かった。
確か私の部屋は……ここだ。
扉を開け、部屋の中を見る。
「…………」
扉を閉じる。
「……え?」
扉を開ける。そこにはさっきと同じように、今まで見たこともないくらい広い部屋が広がっていた。
「お、お邪魔、します……」
自分の部屋だというのに恐る恐る入ってみる。
2人までなら隣に並んでも狭くなさそうな大きなベッドに、テレビ。飲み物をいれるのに便利そうな冷蔵庫などなど。まるでホテルの様に至れり尽くせりだ。
「私が住んでた部屋の何倍なのよ……」
部屋どころか家より広いかもしれない。……まぁ流石にそれは無いだろうけど、そう思ってしまう程の衝撃だ。
勉強用と思われる机の前の椅子に座る。小・中学校で使っていた木の椅子とは違う。まるでふわりと私を包み込むような座り心地だ。
「……♪」
何だかテンションが上がってきてしまい、鼻唄を歌いながら部屋を散策する。
まだ何の服も入っていないクローゼットに、空調設備も揃っている。
窓を開けベランダに出ると、目の前には大きな湖が広がっていた。
「うわぁ……すごい綺麗……」
湖の上を通った涼しい風が部屋に入り込む。ここは大平洋上にある島で、四季らしい四季は無いから、この風が寒くて辛くなることは無いだろう。
「Mary had a little lamb♪Little lamb♪little lamb♪Mary had a little lamb♪Its fleece was white as snow♪」
隣の部屋には聞こえてしまうかもしれないけど、ちょっとくらいは良いだろう。お城の一室から湖を見下ろして歌を歌う経験なんて中々できるものじゃない。
「歌、上手なのね」
隣のベランダから声が聞こえる。やっぱり五月蝿かっただろうか?
「って、明日香さん!」
「隣の部屋みたいね。よろしく、深月」
「あー、その、五月蝿かったら言ってね?」
「いいえ。とても上手だったわ」
「あ、ありがとう……」
こうもド直球に褒められると照れてしまう。彼女は過去何人も女性を落としてそうだ。……それも無意識で。
そんな事を邪推していると、明日香さんが手を叩く。
「そうそう、あなた、今時間あるかしら?」
「時間は……うん。大丈夫よ?」
「それなら折角だし、デュエルしてみない?あなたがデュエルしていたとき、他の人を見ていたからあなたのデッキは見てないのよ」
「そっか。そういえば明日香さんは中等部からなのよね?」
「ええ」
「なら私も、デュエルアカデミア中等部の実力、ぜひ見せてもらうわ」
一旦部屋に戻り、デュエルディスクにデッキをセットする。
普通の中学校に通っていた私とは違う。環境が違うなら当然デッキへの考え方も違うだろう。
「よっし!準備オッケー!」
寮を出て湖の前へ。そこには既に明日香さんと、ももえさんとジュンコさんも居た。
「それじゃあ、早速始めましょうか」
「うん。よろしく頼むわよ!」
デュエルディスクを構える私たちの間を、一陣の風が吹き抜けた。
「明日香様もデュエル好きですわね」
「あたし入学試験見に行って無いから、深月ちゃんのデッキ気になるよ」
「「デュエル!」」
明日香 VS 深月
「私の先攻!ドロー!」
うん。悪くない手札。まずはこの子で様子見だね。
「私は、【マシュマカロン】を守備表示で召喚!」
マシュマロの様に柔らかそうな体の、マカロン型のモンスターが現れる。
「あら【マシュマロン】じゃなくて【マカロン】ですの……?」
「そうよ!この子は私の大切な相棒、【マシュマカロン】!」
『マシュー!』
ももえさんの質問を聞き、マシュマカロンはショッキングピンクの体をぷるぷると震わせる。
守200
「さらにカードを1枚セット。ターンエンドだよ」
深月 LP4000 手札4
モンスター:マシュマカロン
魔法・罠:セット
「私のターンね、ドロー!」
明日香さんはどんなモンスターを使ってくるのだろう。
「私は【ブレード・スケーター】を攻撃表示で召喚するわ!」
湖の上を舞い踊るように現れ、明日香さんのフィールドに降り立つ美しいモンスター。その見た目から察するに、フィギュアスケートがモチーフなのだろう。
攻1400
「バトルよ!【ブレード・スケーター】で【マシュマカロン】を攻撃!アクセル・スライサー!」
ブレード・スケーターは優雅に舞い、腕の刃でマシュマカロンを切り裂く。
「【マシュマロン】とそっくりな名前だから、戦闘破壊耐性くらいは警戒していたのだけど……」
「うん。【マシュマカロン】には戦闘破壊への耐性は無いんだ。……でもね?」
守200×2
私のフィールドで蠢く、ピンク色の物体が2つ。
「そんな!明日香様が倒したはずの、【マシュマカロン】が……2体!?」
「【マシュマカロン】が破壊されたとき、手札・デッキ・墓地から、他の【マシュマカロン】を好きなだけ特殊召喚出来るのよ!」
「……なるほど、耐性こそ無いけど数を増やして相手の攻撃を防ぐと言うことね」
『マッシュー!』
明日香さんの言葉に、2体のマシュマカロンは得意気な笑みを浮かべる。
「カードを2枚セット。ターンエンドよ」
明日香 LP4000 手札3
モンスター:ブレード・スケーター
魔法・罠:セット セット
「私のターンッ!ドロー!」
これはすっごく良いカード!私はドローしたカードをそのまま発動させる。
「行くわよ明日香さん!私は永続魔法【コート・オブ・ジャスティス】を発動するわ!」
私の背後に、巨大な円盤状の物体が現れる。
「【コート・オブ・ジャスティス】の効果を発動!私のフィールドにレベル1の天使族モンスターが存在する時、手札から天使族モンスターを特殊召喚出来る!」
「【マシュマカロン】のレベルは1……やるわね」
「ありがと、明日香さん!私が特殊召喚するのは、【幻奏の音女アリア】!」
オレンジ色の、ハープにも似た翼を持つ歌姫がコート・オブ・ジャスティスの光に導かれ現れる。
攻1600
「さらに私は【幻奏の音女オペラ】を通常召喚!」
次に現れるのは、桃色の髪をした幼い少女のような歌姫。
攻2300
「レベル4で攻撃力2300……!?」
「その通り!でも【オペラ】は召喚されたターンには攻撃できないの」
「えっと……それでしたら【オペラ】を【コート・オブ・ジャスティス】で特殊召喚した方が良かったのでは?」
「まぁそれはおいおい、ね?ももえさん」
2枚も伏せカードがあるのは怖いけど、ここは攻めるのみ!
「行くわよ!【幻奏の音女アリア】で、【ブレード・スケーター】に攻撃!シャープネス・ヴォイス!」
アリアが天に向け高らかに歌うと、その歌声は音波となってブレード・スケーターを襲う。
「っ!なら私はリバースカードオープン!【ガード・ブロック】!その戦闘ダメージを0にし、カードを1枚ドローするわ」
うーん残念。ダメージを与えられなかったか。流石は中等部組だ。
「私はカードを1枚セット。ターンエンドよ」
深月 LP4000 手札1
モンスター:アリア マシュマカロン マシュマカロン オペラ
魔法・罠:セット セット コート・オブ・ジャスティス
「私のターン。ドロー!」
明日香さんはドローしたカードを確認し、頷く。
「私はまず罠カード【救護部隊】を発動!墓地の通常モンスター、【ブレード・スケーター】を手札に戻すわ。さらに魔法カード【融合】を発動!」
……融合!
遊陽のデッキの核でもあるカードだ。明日香さんも融合モンスターの使い手だったとは……。
「手札の【ブレード・スケーター】、【エトワール・サイバー】を融合!華麗に舞え、氷上のプリマ!【サイバー・ブレイダー】を融合召喚!」
先程のブレード・スケーターの体に赤いラインが入ったような、美しいモンスター。その長い髪は風に吹かれ、まるでそれぞれが1つの生命の様に、それでいて統率のとれた軍隊の様にたなびく。
攻2100
「もしかして【サイバー・ブレイダー】が明日香さんのエースモンスター?」
「その通り。でもそれだけじゃないわ!私は手札の【サイバー・チュチュボン】の効果を発動!手札の天使または戦士族モンスターを生け贄にすることで、手札から特殊召喚出来るわ!戦士族の【サイバー・チュチュ】を生け贄に現れなさい!【サイバー・チュチュボン】!」
お団子ヘアの可愛い少女が明日香さんのフィールドに現れ、ウィンクする。
攻1800
「さらに【サイバー・チュチュボン】を生け贄に捧げ、生け贄召喚!【サイバー・プリマ】!」
サイバー・チュチュボンが手を振って消えると共に光が弾ける。
眩い光の中からはバレリーナの様な女性が現れ、アリア達へ向けお辞儀をする。
攻2300
「まずは厄介な【コート・オブ・ジャスティス】には消えてもらうわよ!【サイバー・プリマ】の生け贄召喚に成功したとき、フィールドの表側表示の魔法カードを全て破壊するわ!」
「そんなっ!?」
サイバー・プリマは高く飛び上がり、コート・オブ・ジャスティスへ向け踵落としを決める。
「くっ……」
「さぁ、バトルよ!【サイバー・ブレイダー】で【マシュマカロン】に攻撃!グリッサード・スラッシュ!」
再び切り裂かれるマシュマカロン。しかし今回は分裂して復活はしない。
「あら、【マシュマカロン】の効果は発動させないのね」
「うん。今回は発動しないわ」
もしこの後もう1体のマシュマカロンが攻撃されれば、その時に効果を発動すれば良い。
きっと明日香さんも、その事には気づいているのだろう。
だから私は――!
「なら、【サイバー・プリマ】で【幻奏の音女アリア】へ攻撃!」
「来ると思ったわ!リバースカードオープン!【
このカードで返り討ちだ!
サイバー・プリマの攻撃力は2300。アリアの攻撃力は1600。そしてその合計は3900!
「させないわ!パ・ド・カトル!」
発動していた光子化のカードが砕け散る。
「えっ!?」
「【サイバー・ブレイダー】の効果よ。このモンスターは相手モンスターの数によって様々な効果を得るわ。相手モンスターが3体の時、このモンスターは相手が発動した全てのカード効果を無効にする!」
全てのカードの発動を無効……!?
「流石は明日香様のエースモンスターですわ!」
「さあ、攻撃を続行よ!行きなさい【サイバー・プリマ】!終幕のレヴェランス!」
サイバー・プリマの放つ光がアリアを覆う。
「きゃぁっ!」
LP4000→3300
私のライフポイントが削られていく。
「すごいね、明日香さん!でも私も負けないよ!【幻奏の音女アリア】の効果、特殊召喚に成功したこのモンスターが存在する限り、私の【幻奏】と名の付くモンスターは戦闘では破壊されないわ!」
「なるほど、それで【オペラ】じゃなく、【アリア】を特殊召喚したのね」
「……あれ?明日香様の【サイバー・ブレイダー】の効果でその効果は無効になるんじゃ?」
「ううん。【アリア】の効果は発動する効果じゃないから、発動した効果を無効にする【サイバー・ブレイダー】の効果の影響は受けないわ」
「私はこれでターンエンドよ」
明日香 LP4000 手札0
モンスター:サイバー・ブレイダー サイバー・プリマ
「私のターンッ!」
サイバー・ブレイダーの効果で、私のモンスターが3体である限りあらゆるカードの発動が無効になる。そして私の手札に下級モンスターは居ない。コート・オブ・ジャスティスで展開する予定だったのに。
……うん。3体でダメなら、数を減らしてみよう!
「いくよ明日香さん!今度は私のエースモンスターを見せてあげる!」
「ふふ、来なさい!深月!」
「私は【マシュマカロン】と【幻奏の音女アリア】を生け贄に捧げ、召喚!現れよ至高の天才、【幻奏の音姫・プロディジー・モーツァルト】!」
姫君の様なゴージャスな装飾の成された幻奏モンスターが舞い降りる。
攻2600
「【プロディジー・モーツァルト】の攻撃力は【プリマ】や【ブレイダー】よりも上!」
「それはどうかしら」
攻2100→4200
「こ、攻撃力4200……!?」
「相手モンスターが2体のみの時、【サイバー・ブレイダー】の攻撃力は2倍になるわ!」
攻撃力4200じゃ倒せない……。かといってこれ以上モンスターを減らすこともできない。……なら、私のやることは!
「ならまずはリバースカードオープン、【幻奏のイリュージョン】!このターン、私が選択した【幻奏】モンスター……【幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト】はこのターン2回攻撃が可能!」
「でもそのカードじゃ、【サイバー・ブレイダー】の攻撃力は越えられないわ!」
「ううん!越える必要なんて無い!【プロディジー・モーツァルト】の効果発動!1ターンに1度、手札の天使族・光属性モンスターを特殊召喚出来るわ!おいで、【幻奏の音女エレジー】!」
私のフィールドに3体の歌姫が並ぶ。
攻2300
そしてこれにより、サイバー・ブレイダーの持つ効果は、カードの発動を無効にするものに戻る!
攻4200→2100
「特殊召喚した【幻奏の音女エレジー】が存在する限り、私の天使族モンスターの攻撃力は300ポイントアップするわ!」
「何ですって!?」
モーツァルト攻2600→2900
オペラ攻2300→2600
エレジー攻2000→2300
「さぁ、バトルよ!【幻奏の音女オペラ】で【サイバー・プリマ】を攻撃!」
オペラの歌声がプリマを襲い、破壊する。
「くっ……!」
LP4000→3700
「続けて、【エレジー】で【サイバー・ブレイダー】を攻撃!」
LP3700→3500
「……見事ね。まさか私が負けてしまうなんて」
「これで終わりよ!【幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト】で2回の直接攻撃!グレイスフルウェーブ!」
「っ、きゃぁぁぁっ!!」
LP3500→600→0
明日香さんのライフポイントが0になり、幻奏モンスター達が消えていく。
「あ、明日香様が……」
「負けちゃった……」
ももえさんとジュンコさんは驚愕の表情を浮かべている。
「すごいのね、あなた」
「たまたまよ。サイバー・ブレイダーって強いのね。どうしようか悩んじゃったわ」
「ふふ、そう言って貰えると嬉しいわ」
中学校では周りにデュエリストが居なかったから、カードショップとかでのフリーデュエル以外では遊陽としかやって来なかった。明日香さんのデッキは同じ融合デッキだけどだいぶタイプの違うものだ。これから3年間、いろんな種類のデッキと戦っていくのだろう。
……うん。楽しみになってきた!
明日香さん達と別れた私は部屋に戻る。休憩がてらボーッとしていると、机の上で何かが震えていることに気づいた。
「あれ、ケータイ……?」
携帯電話ではなくPDAが震えていた。誰かから着信があるみたいだ。
「……遊陽だ!」
私はすぐにPDAをとり、電話に出る。
『……もしもし?深月?』
『あ、遊陽!』
『今は時間大丈夫?』
『うん!やること無くてぼーっとしてたの』
『そうなんだ。どう?オベリスクブルーの部屋は』
『凄いのよこの部屋!まるでホテルみたい!……でも、ここに住むってなると、逆に広すぎるわね……』
『あぁ、やっぱり?イエロー寮でも十分な広さだったから、もしかしたらそうかなって』
『あ、そうそう聞いてよ遊陽!私ね、今日明日香さんとデュエルしたの!』
「今回の最強カードよ!
サイバー・ブレイダー
地 戦士族 星6融合・効果 攻2100 守 800
「エトワール・サイバー」+「ブレード・スケーター」
このカードの融合召喚は上記のカードでしか行えない。
(1):相手フィールドのモンスターの数によって、このカードは以下の効果を得る。
●1体:このカードは戦闘では破壊されない。
●2体:このカードの攻撃力は倍になる。
●3体:相手が発動したカードの効果は無効化される。
「明日香さんのエースモンスター!こっちのモンスターの数によって強力な効果を発揮するわ!4体以上モンスターを出せればその効果は無効になってしまうけど、地盤沈下みたいなカードと組み合わせると効果を発揮しやすくなるわね!」
星見深月 ホシミ ミヅキ
快活な性格の遊陽の幼馴染み。容姿端麗、運動神経抜群、勉学も平均以上な上に女子力も高い超人で、よく男子からからかわれる遊陽を守ってきた。
周囲からは活気に溢れる人物と思われているが、実はネガティブで豆腐メンタル。守りを重視してしまう姿勢がデッキに現れている。
昔はヒマな時はずっと歌っていたので、かなり歌が上手。今でもたまに歌っている。
黒髪のショートに紫色の瞳。髪の長さは遊陽より少し短いぐらい。
使用デッキは【幻奏】。
さてさて、第三話でした。カードパワーの違いが顕著でしたね。
今回ちょっとだけ出てきたナルシスト君の出番は来るのか。
次回、ナル死す!
それではまた次回も見ていただけたらうれしいです。