遊戯王GX ふたりぼっちの僕たちは   作:未OCGのアルカナフォース達に未来を!

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新任の先生だけじゃなく、後輩達もやってきます。
続きは遅くなりそうです。


30話 プロデュエリスト、エド・フェニックス!(前編)

『先日発見された遺体が突如行方不明になった件について、警察は――』

 

 放課後。自室に備え付けられたテレビが、本土のニュースを伝える。いつになっても犯罪は無くならないものだな……なんて呑気なことを考えつつ、デュエルディスクの整備をしていた。

 今日は購買部のバイトの日だ。影丸さんから支援を受けているとは言え、ある程度のお金は自分で都合したい。そう考えていたら深月がトメさんに掛け合ってくれたみたいで、僕も深月と一緒に購買部でアルバイトをしている。

 寮を出て購買部に入ると、深月が既に居て僕を待っていた。

 

「お待たせ、深月」

「今来たところよ」

 

 更衣室に入って購買部の制服に着替え、トメさんから今日の業務を言い渡される。

 昨日は最新のカードがかなり売れたから、新しいパックはもう数えるほどしか無いみたいだ。

 僕はその日バイトに入っていなかったから知らないけど、なんでも最新パックを大量に購入していった人がいるらしい。

 

「それじゃ、お願いするわね遊陽ちゃん!」

「はい。ありがとうございます、トメさん」

「良いんだよ!二人ともちゃんと働いてくれるから、こちらとしても大助かりさ!」

 

 トメさんは在庫の整理をしに倉庫へ向かい、僕と深月がレジに残された。

 

「それじゃあ、今日も頑張りましょ?」

「うん。と言っても、今日はそんなにお客さんも来ないかもね」

「まぁ、最新パック発売日の翌日なんてそんなものよ」

 

 ダンボールの中に僅かに残された最新パック。どうやらこのパックは僕らが普段手にする属性別の物ではなく、色々なカードがごちゃ混ぜになっているらしい。再録されたカードもいくつか入っているようだ。

 もっともこのパックの最大の目玉は、かつてのプロモカードが再録されていることだ。多少効果に調整が入ったためオリジナルとは少し違うが、今まで僕達が見ることすら出来なかったカードが手にはいるようになったみたいだ。

 確か名前は……何とかの金の城、だったっけ。

 

「収録リストを見ると結構天使族のモンスターも入ってるみたいだけど、深月は買った?」

「うん、買ったわ!見てよこれ!」

 

 深月が嬉しそうな顔で1枚のカードを取り出して見せる。雲の上に浮かぶお城が描かれたフィールド魔法だ。

 イラストには虹色の光の線が入っていて、カード名はダイヤモンドの様に輝いている。

 

「これは……天空の聖域!」

「そうよ!それもシークレットレア加工!キラキラしてて綺麗よね」

「深月のデッキとの相性もバッチリだね。おめでとう」

「えへへ」

 

 そう雑談していると、誰かの足音が聞こえてきた。

 

「「いらっしゃいませ」」

 

 入ってきたのは、真っ白な服を着た銀髪の男性。どこかで見たことがある気がする。

 

「ごめんなさい、カードパックは売っていますか?」

 

 その人は店の中を見回した後、僕に話しかけてきた。

 端正な顔立ちに紳士的な態度。思い出した。この人、プロデュエリストのエド・フェニックスだ。

 

「えっと、最新のパックはもう少ししか無いですね。他のパックなら、在庫はありますよ」

「そうですか……最新パックはいくつ残ってます?」

「えっと、」

 

 深月が先回りして数を数えてくれていた様で、両手の指を4本上げて伝えてくれる。

 

「8パックです」

「なら、それを全部ください。8パックあれば十分ですから」

「そうなんですか?」

 

 深月が箱に残ったパックを全て持ってきて、レジに置く。

 

「代金はクレジットカードで」

「はい。それではこちらに」

 

 エド・フェニックスが取り出したクレジットカードを機械にかざし、会計が済まされる。

 

「いやぁ、8パックあって助かりましたよ。デュエルするには40枚のカードが必要ですから」

「えっと……確かプロデュエリストのエド・フェニックスさんですよね?」

 

 深月がエド・フェニックスに話しかける。エドは紳士的な笑みを崩さずに答える。

 

「はい。エド・フェニックスです。今年からこの学校の1年生として通うことになってるんです」

 

 つまり彼は僕達の後輩になるのかな。というかプロデュエリストを目指す人が集まるこの学園に、どうして現役のプロデュエリストが入学したのだろうか。

 エドはパックを剥き終わると、40枚のカードを確認する。

 

「融合モンスターがいなくて良かったです。カード枚数が足りなくなってしまいますからね」

「まさか、今買ったカードをデッキに?」

 

 そんな僕の問いに答えように、エドはカードの束をデュエルディスクにセットした。

 

「ええ。腕試し用、ですけどね」

 

 そう言って彼は購買部を出ていった。一見優しそうだったけど、どこか僕達を見下しているような印象だ。

 

「まさか本物のプロデュエリストに会えるとは思わなかったわ」

「雑誌とかテレビでしか見たことないからね」

「うんうん。でも、適当に買ったパックだけで組んだデッキで誰と戦うのかしら」

「さぁ?」

 

 再びお客さんがいなくなったので、雑談が始まる。

 

「おや、さっきのはあのエド・フェニックスじゃないかい?」

「トメさん、お疲れ様です」

 

 店の奥から見ていたのだろう、トメさんが荷物を持ってやってくる。

 

「プロデュエリストがこんなところに来るんだねぇ」

「最新パック、売り切れちゃいました」

「あら、ありがとね深月ちゃん。ということは、さっきの人が?」

「はい。40枚ないとデッキが作れない、って」

「まさかパックで当たったカードをそのまま?変なことをする人だねぇ」

 

 デュエリストじゃないトメさんも同じ感想な様だ。確かにこのパックだけでそれなりのデッキが組める、なんてパックもあるけど、さっきのはそうじゃない。何を手に入れたのかは知らないけど、下手すれば手札事故待ったなしだろう。

 

「トメさん、その荷物は?」

 

 僕はトメさんが担いだ沢山の食材を指差す。

 

「あぁ、これはレッド寮の晩御飯だよ。大徳寺先生が居なくなったから、私がレッド寮の台所を預かっているのさ」

「へぇ!トメさんの料理、美味しそうね」

「良かったら今度レッド寮まで来てちょうだいよ!二人にもご馳走するわ」

「ありがとうございます」

「それじゃあ私はちょっとレッド寮まで行ってくるから、店番、お願いね」

「「はい!」」

 

 トメさんは購買部を出て、オシリスレッド寮がある方向へと歩いていった。

 

「それにしても、中々来ないわね」

「うん。お昼は忙しいけど、放課後は二人も要らないかもね」

 

 トメさんが居ない間、購買部に置いてある商品の数を数えたり、床を掃除したりしながら次のお客さんを待つ。

 そうしてしばらく待っていると、誰かの足音が聞こえてくる。

 

「「いらっしゃいませ」」

 

 入ってきたのは、くすんだ金髪の、目付きの悪いオベリスクブルーの女子。彼女は僕達を一瞥した後、不機嫌そうな表情で商品を物色し始める。

 

「遊陽、あの子だよ。昨日沢山パック買ってくれた子」

「あの子が?そうなんだ」

 

 小さめの声で話す。彼女は僕たちの会話に気づいていない様で、いくつかのスナック菓子を持ってきてレジに置く。

 

「これ」

「あっ、はい!」

 

 深月がお菓子を受け取ってバーコードを読み取る。

 

「合計で、450円です」

「……ほらよ」

 

 少女は不機嫌そうな表情のままお金を支払い、お菓子を受け取って出ていく。

 不良、なのかな?見たことない顔だし、もしかしたら後輩なのかもしれない。

 そんなことを深月と話していると、トメさんが戻ってきた。

 

「おかえりなさい、トメさん」

「あぁ深月ちゃん!それに遊陽ちゃも!凄かったのよ、エド・フェニックスって言う人!」

「エド・フェニックスさんがですか?」

「そうよぉ!あの人、適当なパックでデッキを作ってたんでしょ?それなのに十代ちゃんとすっごくいい勝負するんだもの!」

 

 8パックの寄せ集めで、あの十代に?

 にわかには信じがたいけど、トメさんはそんなことで嘘をつくような人じゃない。

 

「流石はプロ、って感じなのね」

「そうだね。いくらパックで良いカードを引いたとしても、それを使いこなせるかは別だし」

 

 トメさん曰く結果は十代の勝ちだったそうだけど、エド・フェニックスが本気のデッキでデュエルしていたらどうだったか……。

 

「それじゃあ、もう2人ともあがって良いわよ。2年生になったばかりなんだし、体調管理には気を付けるのよ」

 

 トメさんから解散の合図が出たので、僕たちはアカデミアの制服に着替えて購買を出る。

 

「今日もお疲れ様、遊陽」

「うん。お疲れ様。まさかプロデュエリストに出会えるなんてね」

「ビックリしたわ。なんでこんなところに?って」

 

 オベリスクブルーを目指して2人で歩いていると、エド・フェニックスが僕達を見つけて駆け寄ってくる。

 

「あれ、もしかしてお二人は、先輩だったんですか?」

「エド・フェニックスさん!」

「うん。一応、僕たちは2年生ですよ」

「あぁ、それは失礼しました!」

 

 エドは恥じる様な仕草で頭をかく。

 

「それで、何か用ですか?」

「はい、実は僕、黒野遊陽という先輩を探していまして……」

「遊陽を?」

 

 深月が不思議そうな顔で僕の方を向く。

 

「えっと、黒野遊陽は、僕です」

「そうなんですか?いやぁ、ビックリです。十代先輩からあなたの話を聞いて、是非デュエルしてみたいな、って思っていたんですよ」

 

 十代が僕の話を?

 エド・フェニックスはデュエルディスクを取り出す。

 

「僕と、デュエルしてくれませんか?先輩」

「……良いですよ。もしかして、デッキは8パックで組んだものですか?」

「はい!今はそれしか持ってないんです。普段使っているデッキは置いてきてしまって……あぁ、それと、僕は後輩ですから、お二人とも敬語なんてよしてくださいよ」

「……分かったよ。じゃあ、ちょっとだけ移動しようか」

 

 この島には、いつ何処でもデュエルを始められるようにするためか開けた場所が多い。僕たちはオベリスクブルー寮に近い湖の前で、デュエルディスクを構える。

 

「頑張ってね、遊陽!」

「うん!」

「それじゃあ行きますよ、先輩?」

 

「「デュエル!!」」

 

遊陽 VS エド

 

「僕の先攻だね、ドロー!」

 

 ……うん。悪くない手札だ。相手は適当なパック8つの寄せ集めとはいえ、十代を追い詰めるくらいには完成度が高いみたいだ。まずは様子見、かな?

 

「魔法カード【魔玩具補綴】を発動して、デッキから【エッジインプ・チェーン】と【融合】を手札に加える。そしてすぐに発動するよ」

「【融合】……!先輩も十代先輩と同じ、融合使いなんですね」

 

 融合カードが発動されたということは、大なり小なり強力なモンスターが召喚されるということ。それなのにエドは余裕そうに驚いて見せる。

 

「僕は手札の【エッジインプ・チェーン】と、【パッチワーク・ファーニマル】を融合!」

 

 僕の前に鎖の化けものと栗色のクマのぬいぐるみが現れ、それらが渦に飲まれて融け合う。

 

「全てを縛れ、沈黙のケダモノ!融合召喚!おいで、【デストーイ・チェーン・シープ】!」

 

 鎖が布を擦る様な音が聞こえてくる。

 ガチガチに縛られたヒツジのぬいぐるみは、ケタケタと不気味に笑いながらエド・フェニックスを見つめる。

 

攻2000

 

「融合素材になった【エッジインプ・チェーン】の効果で、デッキから【デストーイ・ファクトリー】を手札に加えて、ターンエンドだよ」

 

 

遊陽 LP4000 手札5

モンスター:デストーイ・チェーン・シープ

魔法・罠:無し

 

 

「では、僕のターンですね。ドロー」

 

 エド・フェニックスは自分の手札を確認した後、1枚のカードをデュエルディスクに置く。

 

「永続魔法【神の居城-ヴァルハラ】を発動します。効果はご存知ですか?」

「うん。知ってるよ」

 

 コントローラーがモンスターを出していないとき、ノーコストで手札の天使族モンスターを特殊召喚できるカードだ。

 

「ではその効果で、【スーパースター】を特殊召喚しますね」

 

 エドの前に、漫画に出てくるような星の形をしたモンスターが現れる。

 

攻500

 

「さらに速攻魔法、【地獄の暴走召喚】です。僕のフィールドに特殊召喚されたモンスターと同名モンスターを、手札やデッキから特殊召喚します」

 

 地面が割れ、地下から新たに2つの星が現れる。

 

攻500×2

 

「その代わり先輩も先輩のモンスターを特殊召喚出来ますが、今先輩のフィールドにいるのは融合モンスターの【デストーイ・チェーン・シープ】のみ。デッキや手札から特殊召喚することはできません」

 

 上手くしてやられたみたいだ。地獄の暴走召喚のデメリットを無くされてしまった。

 

「【スーパースター】の効果は、フィールドの光属性モンスターの攻撃力を500ポイントアップさせ、さらに闇属性モンスターの攻撃力を400ポイントダウンさせます」

「っ!遊陽のモンスターは闇属性。しかもスーパースターは3体……!」

「はい、光属性モンスターの攻撃力は1500ポイントアップし、闇属性モンスターの攻撃力は1200ポイントダウンします」

 

 3体のスーパースターが、強い輝きを放つ。その輝きに圧されたのか、チェーン・シープが縮こまっている。

 

スーパースター攻500→2000×3

チェーン・シープ攻2000→800

 

「さらに永続魔法【弱者の意地】を発動して、おまけにフィールド魔法、【天空の聖域】も発動しますね」

 

 周囲の光景がガラリと変わる。僕達は雲の上に立っていて、エドの背後には巨大な城が浮かび上がる。

 

「このフィールド魔法は……!」

 

 深月も手に入れていたカード。天使族モンスターの戦闘で発生するコントローラーへのダメージは0になる。それに、このカードがあることで真価を発揮するカードもある。

 

「さて、バトルです!1体目の【スーパースター】で、【デストーイ・チェーン・シープ】を攻撃!」

 

 元々はレベル2で攻撃力500の弱小モンスター。でも今はチェーン・シープを上回る能力の持ち主だ。

 スーパースターが、回転しながらチェーン・シープに突進し、破壊する。

 

「くっ……!」

 

LP4000→2800

 

「でも、【チェーン・シープ】の効果発動!攻撃力を800ポイントアップさせて、墓地から自身を特殊召喚できる!」

 

 でも攻撃表示で出してもステータスを下げられてしまうだろう。でも、スーパースターの効果は守備力には影響しない!

 

守2000

 

「おっと、守備表示で出されてしまいましたか。ならこうしましょう、速攻魔法【突進】を発動し、【スーパースター】1体の攻撃力を700アップさせます」

 

攻2000→2700

 

 やっぱり、流石はプロデュエリスト。そう簡単に時間稼ぎもさせてくれないか。

 

「では強化された【スーパースター】で、復活した【チェーン・シープ】を再び攻撃しましょう!」

 

 先程よりも勢いのついた突進攻撃が繰り出される。綿の体はその威力を受け止めることができず、風穴が開き綿が舞う。

 

「そして永続魔法【弱者の意地】の効果です。手札が0枚の時、僕のレベル2以下のモンスターが戦闘破壊を行うと2枚ドローが可能です」

 

 しっかり突進のカードの分まで手札を回収していく。

 

「では、最後の【スーパースター】でダイレクトアタックです!」

 

 3体目のスーパースターが僕の腹部に突進し、体を突き上げる。

 

「ぐっ……」

 

LP2800→800

 

「……所詮はこの程度、か。僕は最後に永続魔法【補給部隊】を発動して、ターンエンドです」

 

 

エド LP4000 手札1

モンスター:スーパースター スーパースター スーパースター

魔法・罠:神の居城-ヴァルハラ 弱者の意地 補給部隊 天空の聖域




猫かぶりエド。
良いですよね真月みたいな露骨に胡散臭いキャラ。Dヒーローの登場を楽しみにされていた方には申し訳無いですけど、まだ出番は先だと思います……。
それでは、また次回も読んでいただけたら嬉しいです!
ではではー!
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