遊戯王GX ふたりぼっちの僕たちは   作:未OCGのアルカナフォース達に未来を!

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更新が遅くなってすみません。剣山対真希の後編です。


39話 暴走少女の突撃デュエル!(後編)

 剣山君の最初の攻撃は届かなかった。でもこれで迂闊に攻撃することはないだろう。金の城のデメリットを見て持久戦に持ち込むか、それでも力づくで突破するか……。

 

「あたしのターン、ドロー!」

 

 有朱さんの背後に建つ金の城が急速に朽ちていく。

 

「あたしは【シュトロームベルクの金の城】の維持の為に、デッキの上から10枚を裏側にして除外だ!」

 

 有朱さんの60枚デッキから、10枚のカードが消え金の城に取り込まれる。

 

「ご、豪快な効果だドン……!」

「まぁな。さらにあたしは【鉄の檻】の効果を発動!このカードを墓地へ送ることで、このカードの効果で墓地へ送ったモンスターを特殊召喚できる!さぁ来い、【鉄のハンス】!」

 

 有朱さんの目の前の地面が割れ、地下深くへと沈んでいった檻が現れる。

 その檻を破り、大柄な男が再びフィールドに現れる。

 

攻1200

 

「【鉄のハンス】の特殊召喚に成功したことで、来い、【鉄の騎士】!」

 

 ハンスの呼び声に応え、2騎目の鉄の騎士が現れる。

 

攻1700

 

「また来たザウルス!」

「さらに【金の城】の効果でこのターンの通常召喚権を放棄!デッキより3体目の【鉄の騎士】を特殊召喚だ!」

 

 金の柱が現れ、馬にまたがる鉄鎧の騎士がハンスを守るように現れ、立ち並ぶ。

 

攻1700

 

「【鉄の騎士】は【鉄のハンス】に攻撃力を1000ずつ献上する!」

「1000ずつ……さ、3000ポイントアップするドン!?」

 

 鉄の騎士達の力を集め、ハンスが黄金色のオーラを身に纏う。

 

ハンス攻1200→4200

騎士攻1700→700×3

 

「攻撃力4200。やっぱり強いのね、真希ちゃん……うん。彼女も光の結社に引き入れるべきかも」

「深月……」

 

 自分がそんな怪しい視線を向けられていることに気づかず、有朱さんは得意気に語っている。

 

「どうだ?おじさんでも恐竜より強くなれる、それがデュエルモンスターズさ!バトル!【鉄のハンス】でダイレクトアタック!」

 

 鉄のハンスが手に持った斧を振り上げ、剣山君に飛びかかる。

 この攻撃が通れば剣山君の負けだ。

 

「させないドン!手札の【機動要犀 トリケライナー】の効果を発動するザウルス!」

 

 剣山君の前に、トリケラサウルスの様な巨大な機械が現れ、その攻撃を遮る。

 

守2800

 

「な、何だ!?」

「【トリケライナー】は、相手が3体以上のモンスターを特殊召喚したターンに特殊召喚出来るザウルス!」

 

 守備力2800はかなり高い数値だ。今有朱さんのフィールドにいるモンスターでこの数値を越えられるのは鉄のハンスだけ。

 

「チィッ!【鉄のハンス】の攻撃対象を変更!【トリケライナー】をぶっ潰せ!」

 

 鉄のハンスが再び斧を振り上げ、トリケライナーの機械の体を真っ二つに切り裂く。

 

「くっ……!」

「まだまだぁ!【鉄の騎士】3体で直接攻撃だっ!」

「そうは行かないドン!永続罠、【化石発掘】を発動だドン!手札を1枚捨てて、墓地から【超古代恐獣(エンシェント・ダイノ)】を特殊召喚するザウルス!」

 

 剣山君の目の前に肉食竜の化石が現れ、それが光の粒を集め、恐竜として復活する。

 

攻2700

 

「レベル8、【トレード・イン】のコストか……【鉄の騎士】じゃ倒せねぇな。ターンエンドだ」

 

 

真希 LP4000 手札4

モンスター:鉄のハンス 鉄の騎士 鉄の騎士 鉄の騎士

魔法・罠:シュトロームベルクの金の城

 

 

「俺のターンだドン!ドロー!」

 

強欲なカケラ(1)

 

 超古代恐獣は強力なモンスターだけど、鉄のハンスには敵わない。あのフィールド魔法があるかぎり鉄の騎士を倒すこともできない。でも剣山君の顔からは闘志は消えていない。

 

「さぁ、行くザウルス!魔法カード【テールスイング】を発動!自分の恐竜さんより低いレベルを持つモンスター2体を手札に戻すドン!」

 

 超古代恐獣が尻尾で薙ぎ払い、鉄の騎士2体が有朱さんの手札へと戻っていく。

 

「【鉄の騎士】が居なくなったことで、【鉄のハンス】の攻撃力もダウンするドン!」

 

攻4200→2200

 

「チッ……!」

「さらに、【超古代恐獣】で【鉄の騎士】を攻撃するザウルス!」

 

 超古代恐獣が大きく息を吸い込み、鉄の騎士に向けて光線を吐く。

 しかしそれを防ぐように、金の城の輝きが増していく。

 

「ハッ!【金の城】があるかぎり、あんたの攻撃は届かないんだよ!」

「そう思うのには早いドン!罠カード、【攻撃の無敵化】を発動するドン!その効果で【超古代恐獣】はこのターン、戦闘・効果では破壊されないザウルス!」

 

 超古代恐獣を光の幕が包み、黄金の光を遮る。光線は鉄の騎士を貫き、その衝撃が有朱さんを襲った。

 

「ぁぁぁっ!」

 

LP4000→2000

攻2200→1200

 

「これが恐竜さんの力だドン!」

「やるじゃねぇか……だけど攻撃の無敵化の効果はこのターンの間だけ。次のターン以降も攻撃するなら、また同じカードが必要になるぜ?」

「ぐっ……!俺は【化石発掘】により捨てられた【幻創のミセラサウルス】の効果を発動するドン!自身を含む恐竜さんを墓地から除外して、除外した数と同じレベルの恐竜さんをデッキから特殊召喚するドン!」

 

 剣山君の墓地からミセラサウルスとジャイアント・レックスが除外される。レベル2のモンスターを特殊召喚するつもりらしい。

 

「俺は、【プチラノドン】を特殊召喚するザウルス!」

 

 鳥の様な鳴き声と共に、小さなプテラノドンの雛が現れる。

 

守500

 

「さらに!ゲームから除外された【ジャイアント・レックス】は、自身を特殊召喚出来るザウルス!」

 

 次元の狭間を抜け、肉食竜が再び剣山君の元で咆哮をあげる。

 

攻2000→2200

 

「攻撃力が上がっただと……?」

「そうザウルス!自身の効果で特殊召喚された【ジャイアント・レックス】は、除外されている恐竜さん1体に付き200ポイントの攻撃力を得るザウルス!」

 

 除外される事を条件として特殊召喚されるモンスター……。コストとしてカードを除外することも多い今では、かなり強力な効果だ。

 

「そしてこのターンの終わりに、【ミセラサウルス】の効果で特殊召喚されたモンスターは破壊されるザウルス!」

 

 プチラノドンの姿が霞み、霧の様に消え去った。

 

「【ジャイアント・レックス】の為だけに特殊召喚したのかよ?」

「いいや違うドン!【プチラノドン】は効果によって破壊されたとき、デッキからレベル4以上の恐竜さんを呼び出すんだドン!さぁ来るザウルス!【盾航戦車ステゴサイバー】!」

 

 地鳴りがして、トリケライナーの様な恐竜兵器が現れる。

 ステゴサウルスをモチーフとした巨大なモンスターだ。

 

守2400

 

「って、お前機械族じゃないのかよ!?」

「【ステゴサイバー】は恐竜さんだドン!俺はこれでターンエンドザウルス!」

 

 

剣山 LP3000 手札0

モンスター:超古代恐獣 ジャイアント・レックス 盾航戦車ステゴサイバー

魔法・罠:化石発掘 強欲なカケラ

 

 

「あたしのターン、ドロー!まずは【金の城】のコストの支払いだ!」

 

 再び有朱さんのデッキが減っていく。

 

「おおかた高ステータスのモンスターを出せばあたしが攻撃できないんだと思ってるんだろ?」

「何?」

「そう甘くはないぜ、あたしのデッキはよ!【金の城】の効果を発動!このターンの召喚権を放棄して、デッキから【シンデレラ】を特殊召喚するぜ!」

 

 金の柱が現れ、その光の中から見窄らしい服装の少女が現れる。

 

攻300

 

「か、可愛い女の子だドン……」

「そりゃそうさ!【シンデレラ】が【金の城】の前に特殊召喚されたとき、デッキから【カボチャの馬車】を呼び出し、さらに自身に【ガラスの靴】を装備する!」

 

 シンデレラの体が光に包まれると、ガラスの靴を履いた、僕らのよく知るシンデレラの姿に変わる。

 

守300

攻300→1300

 

「さぁ行くぜ、バトル!【カボチャの馬車】の効果で、【シンデレラ】は相手に直接攻撃を行える!」

 

 シンデレラが乗り込むと、馬車は暴走するように恐竜達の間を縫い、剣山君の前で止まる。

 そして馬車の中から飛び出したシンデレラが、回し蹴りを食らわせる。

 

「ぐぁぁっ!」

 

LP3000→1700

 

「こ、攻撃力1300の直接攻撃は効くザウルス……!」

「それだけじゃないぜ!【シンデレラ】が直接攻撃した後、【ガラスの靴】はあんたのフィールドに残される!」

 

 シンデレラに掛けられた魔法が解けて見窄らしい服装に戻ると同時に、剣山君のフィールドに残されたガラスの靴をジャイアント・レックスが拾う。

 

攻1300→300

 

「な、何が起きてるザウルス……?」

 

 ジャイアント・レックスは頬(?)を赤く染めると、シンデレラの事をぼんやりとした目で見つめている。

 

攻2200→1200

 

「ジャ、【ジャイアント・レックス】がおかしくなったドン!?」

「【ガラスの靴】は天使族モンスターに装備されたとき、攻撃力1000アップの装備魔法になる。しかし天使族以外のモンスターに装備されたときはその攻撃力を1000ダウンさせ、さらに攻撃を封じるのさ!」

 

 シンデレラと恐竜による恋愛ショーが繰り広げられるフィールド。

 

「あらまぁ、敵と味方の禁断の恋、ですわね……!」

「ももえ、ごめんわたしには理解できない」

「な、何の茶番っスかこれ……」

 

 前の深月とのデュエルでその効果を使わなかったのは、深月のモンスターが天使族ばかりだったからだろう。

 

「さらに【鉄のハンス】で【ジャイアント・レックス】を攻撃だっ!」

 

 両者の攻撃力は同じ。自分に斬りかかってきた男にワンテンポ遅れて気づいたジャイアント・レックスは、すぐさま口を広げハンスに噛みつく。しかしそれと同時に首を切られてしまい、2体のモンスターは同時に爆散した。

 

「よ、良くも恐竜さんを……!」

 

 ジャイアント・レックスを離れたガラスの靴は光の粒子となってシンデレラに集まり、再び彼女をドレスアップする。

 

攻300→1300

 

「装備モンスターが破壊されることによって【ガラスの靴】が墓地へ送られたとき、再び【シンデレラ】に装備されるぜ」

 

 これでシンデレラの攻撃力はまた1300。次のターンも直接攻撃されれば、別のモンスターを弱体化されてしまう。

 

「さらにあたしは魔法カード【左腕の代償】を発動!手札を全て除外して、デッキから魔法カードを手札に加えるぜ」

「そんなに一杯ある手札をだドン!?」

「仕方ねーだろ?引けねーんだからよ。あたしは永続魔法【フィールドバリア】を手札に加えて発動!」

 

 フィールドバリア。その名の通りフィールド魔法を守るカードだ。このカードがある限りフィールド魔法を効果で破壊できなくなるだけでなく、新しくフィールド魔法を発動して張り替える事も出来ない。

 

「これで【金の城】は破壊されず、さらに【カボチャの馬車】の効果で効果の対象にもならない。ターンエンドだぜ」

 

 

真希 LP2000 手札0

モンスター:シンデレラ カボチャの馬車

魔法・罠:ガラスの靴 フィールドバリア シュトロームベルクの金の城

 

 

「俺のターン、ドローだドン!」

 

強欲なカケラ(2)

 

 カケラのカウンターが溜まった。これで剣山君は2枚のカードをドローできる。

 

「シュトロームベルクの金の城を守りに入っているけど、剣山君は突破できるのかな?」

「どうかしらね。次のターン、真希ちゃんは予見通帳の効果で3枚の手札を手に入れられる。剣山君はかなりきついんじゃないかしら」

 

 2人を見る深月の瞳は驚くほど冷たい。だけど真剣にこのデュエルを見ているようだ。

 

「まずは【強欲なカケラ】を墓地へ送り2枚ドローするドン!」

 

 剣山君はドローしたカードを確認すると、カードを1枚だけデュエルディスクに置く。

 

「……カードを1枚セット。ターンエンドだドン」

 

 

剣山 LP1700 手札2

モンスター:超古代恐獣 盾航戦車ステゴサイバー

魔法・罠:化石発掘 セット

 

 

 やっぱりこのフィールドは対処に困るのだろう。幸いにもまだライフはある。次のシンデレラの攻撃なら耐えられそうだけど……。

 

「あたしのターンか。どうした?随分と消極的だな」

「恐竜さんだって夜は眠るザウルス。今はまだ、動くべき時じゃないドン」

「へぇ?まぁいいや。あたしは【金の城】の為に10枚のカードを除外!さらに【予見通帳】の効果で除外されていた3枚のカードを手札に加えるぜ」

 

 これで有朱さんの手札は3枚。彼女は手札に加えたカードを見てニヤリと笑うと、金の城の効果を発動させる。

 

「さぁ、【シュトロームベルクの金の城】の効果を発動!このターンの召喚権を放棄し、デッキからモンスターを特殊召喚するぜ!」

 

 有朱さんの前に、今までよりも強い光の柱が立ち上ぼり輝く。

 

「謎深き古の魔女よ!万物を薪とし、その命の灯火を燃やせ!出番だぜ、【ヘクサ・トルーデ】!」

 

 暗い赤色のドレスを着た魔女が現れる。彼女は妖艶に笑い、剣山君を挑発する。

 

攻2600

 

 有朱さんが使ったモンスターの中では初めての上級モンスターだ。

 

「【金の城】がフィールドにあるとき、【ヘクサ・トルーデ】は1ターンに1度、フィールドのカード1枚をノーコストで破壊できる!さぁ消え去れ、【超古代恐獣】!」

 

 ヘクサ・トルーデがなにかを呟くと超古代恐獣の足元に魔方陣が現れ、その動きを封じる。

 

「そうはさせないドン!罠カード【ジュラック・インパクト】を発動するザウルス!」

 

 剣山君が罠カードを発動させると、超古代恐獣の体が赤熱していき、大爆発を引き起こす。

 

「なっ!?」

「このカードは自分フィールド上に攻撃力2500以上の恐竜さんがいるとき、フィールド上のカードを全て破壊するザウルス!」

 

 大爆発に巻き込まれ、フィールドに残っているのはフィールドバリアとカボチャの馬車に守られた金の城だけだ。

 

「【金の城】の効果で特殊召喚したあんたはモンスターを召喚できないドン!さぁ、どうするザウルス?」

「あたしの【金の城】は無事だぜ?それにまだ、あたしはモンスターを呼び出せる!」

 

 有朱さんの手札は4枚。モンスターがいてもおかしくはない。でも彼女、この間のデュエルでモンスターをドローできないと言っていた気がする。

 

「さぁ行くぜ?魔法カード【一点買い】を発動!自分の手札が3枚以上存在し、その中にモンスターが居ない場合、手札を全て除外することでデッキから好きなモンスター1体を手札に加えられるのさ!」

 

 有朱さんが3枚の手札を投げ捨てると、デッキからカードが1枚飛び出てくる。

 

「さぁ、恐竜野郎なんて喰っちまえ!融合デッキのカード15枚を裏側にしてゲームから除外!来い、【百万喰らいのグラットン】!」

 

 大きな、大きな口が開く。4足歩行の獣のような悪魔が有朱さんの前に現れ、吼える。

 

攻?

 

「こ、攻撃力不明のモンスターだドン……!」

「【グラットン】の攻撃力は、裏側で除外されているカード1枚につき100ポイントアップするぜ!」

 

 今除外されているカードは合計45枚。その攻撃力は……!

 

攻?→4500

 

「攻撃力、4500ですの……!?」

「すごいじゃない!真希ちゃん!」

 

 今、剣山君のフィールドはガラ空きだ。

 

「これで終わりだぁっ!【百万喰らいのグラットン】でダイレクトアタック!グラトニーファング!」

 

 グラットンは主の声に答える様に飛び上がり、大きな口を開けて剣山君を上から飲み込もうとする。

 

「け、剣山君っ!」

「大丈夫だドン、丸藤先輩!俺は墓地の【盾航戦車ステゴサイバー】の効果を発動させるドン!」

 

 その牙が剣山君に触れる直前、彼の足元がひび割れ、ステゴサウルス型のあの戦車が再び現れる。

 

守2400

 

「何だと!?」

「【ステゴサイバー】は相手が攻撃してきたとき、ライフを1000払う事で墓地から特殊召喚し、その戦闘で発生するダメージを0にできるザウルス!」

 

LP1700→700

 

 現れた戦車がその巨体を活かしてグラットンを突き飛ばす。盾の名前に相応しい効果だ。

 

「仕留め損ねたか……ターンエンドだ!」

 

 

真希 LP2000 手札0

モンスター:百万喰らいのグラットン

魔法・罠:シュトロームベルクの金の城

 

 

 攻撃を一度凌いだとはいえ、相手フィールドには攻撃力4000超えのモンスターに、あの強力なフィールド魔法。カードの効果でグラットンを処理できたとしても、金の城の効果でまた次のターンモンスターを呼び出されてしまうだろう。

 

「……なかなかやるザウルス」

「お前もな。まさかここまで食らい付いて来るとは思わなかったぜ」

 

 剣山君はデッキの一番上のカードに触れる。

 

「ライフは残り700。あんたのフィールドには凄いカードが2枚もある……ピンチだドン」

 

 剣山君はニッと笑うと、触れたカードを勢いよく引き抜く。

 

「でもアニキなら、どんなピンチでも絶対に諦めたりしないザウルス!ドロー!」

 

 そのドローで風が巻き起こる。剣山君の期待に応えるかのような、重く存在感のあるドロー。

 それはまるで、恐竜が地面を踏みしめる足音のようだ。

 

「……来てくれるって、信じてたザウルス!」

「へぇ?何を引いたんだ?」

「俺は、【暗黒(ブラック)ブラキ】を召喚するザウルス!」

 

 ズシン、ズシンとその足音を響かせながら、黒い体の竜脚下目が現れる。

 

攻1800

 

「で、でっけぇ……!」

「【暗黒ブラキ】の召喚に成功した時、モンスター1体を守備表示へと変更させるザウルス!」

 

 ブラキオサウルスの圧倒的な巨体に気圧されたのか、グラットンが守備体形をとる。

 

攻4500→守4500

 

「なんのつもりか知らねーけど、【グラットン】は自分の守備力も強化するモンスターだぜ?」

「いいや!もうそんなことは関係ないドン!俺は魔法カード【究極進化薬】を発動するドン!墓地から恐竜さんと、恐竜族以外のモンスターを除外して、デッキからレベル7以上の恐竜さんを呼び出すザウルス!」

 

 剣山君の墓地から2体のモンスターが除外されていく。

 

「はぁ?お前の墓地のモンスターは恐竜族だけじゃねーのか?」

「違うドン!【機動要犀 トリケライナー】は、機械族のモンスターだドン!」

「ちょっ、【ステゴサイバー】は恐竜だったろ!?紛らわしいなおい!」

 

 トリケライナーと超古代恐獣をコストとして小さなカプセルの薬が現れ、それが弾けると同時に新たな恐竜が現れる。

 

「さぁ行くザウルス!【暗黒恐獣(ブラック・ティラノ)】!」

 

 恐竜の王とも名高い、もっとも高い知名度を誇る肉食竜が現れる。幾つもの鋭い牙をギラつかせ、漆黒の巨体を震わせる。

 

攻2600

 

「【暗黒恐獣】は相手フィールドのカードが守備表示モンスターのみの場合、相手に直接攻撃が可能になるザウルス!」

「なるほど、【グラットン】を無視するつもりか!でもあたしのフィールドにはまだ【金の城】があるぜ?」

「だけどそのカードを守るカードはもう無い筈だドン?俺はフィールド魔法【ジュラシックワールド】を発動!」

 

 金の城が消え去り、周囲の風景がガラリと変わる。今にも噴火しそうな巨大火山に、生い茂るシダ植物。映画や本の中で見たような、恐竜の王国だ。

 

「これで全ての恐竜さんの攻撃力は300アップ!そしてもう、恐竜さんの攻撃を遮るカードはなくなったザウルス!」

「くっ……!」

「これで終わりザウルス!【暗黒恐獣】でダイレクトアタック!」

 

 暗黒恐獣は吼えると、1回転して尻尾を有朱さんへと叩きつけた。

 

「ちくしょぉっ!」

 

LP2000→0

 

 暗黒恐獣達の姿が消えていく。

 有朱さんは天上院さんに向き直ると、目に求まらぬ早さで地面に頭をつける。

 ……それは見事な土下座であった。

 

「申し訳ありません明日香先輩!あたし、負けちまいましたっ……!」

「えっ、えぇっ!?」

 

 往来で土下座を始めた少女に、通りすがりの生徒達の視線が集まっていく。

 

「ちょ、ちょっとやめてよ真希ちゃん!私気にしてないから!」

「明日香先輩の名前を借りておいて負けるだなんて、あたし、自分が情けないです……!」

 

 泣き崩れる有朱さんを元気付けるように、剣山君がかがんで視線を会わせる。

 

「そんなことないドン!お前、凄い強かったザウルス!」

「剣山……」

「俺のアニキへの思いにも負けないほどの気持ちを感じたザウルス!だからそう落ち込むなドン」

 

 有朱さんはもう一度だけ大泣きすると、すぐに目元をぬぐい立ち上がる。

 

「……十代先輩とやらをバカにしたことは謝るぜ。だけど剣山!次は負けないからな!」

「おう!いつでも掛かってくるドン!」

 

 似た者同士気が合うのかもしれない。二人は固く握手をすると、笑いあう。

 それと同時に、昼休み終了のチャイムが鳴り渡った。

 

 

 

 その日の夜。夜の闇の中でも目立つ純白の制服を着た2人が、人知れず話し合う。

 

「ようやく十代が帰ってきたか……分かっているな?星見」

「万丈目君こそ、遊陽に手を出したら許さないわよ?」

「あ、あぁ。それについては斎王様からお達しがあったからな」

「えぇ。決行は明日の朝。世界を白く染めるための最初の戦いが始まるのね」




「「今回の、最強カードは?」」

暗黒恐獣
効果/星7/地属性/恐竜族/攻2600/守1800
相手フィールド上に守備表示モンスターしか存在しない場合、このカードは相手プレイヤーに直接攻撃できる。

「剣山君が使っていたカードね。この攻撃力での直接攻撃は強力だけど、条件がけっこう厳しいわね」
「そうだね。特に相手の伏せカードとかは障害になりやすいかも」
「それに伏せカードが無いならわざわざ守備モンスターを無視しても……」
「だから今回みたいに、倒せない相手を無視する使い方が一番かな。止めをさせないなら、モンスターを除去した方が後々の展開で有利になるかもね」


ついに動き出す光の結社達。明日香は万丈目にデュエルを挑む。その裏側で、深月がももえとジュンコに新たな力を見せつける。
次回、「光の進軍」


更新が遅くなって申し訳ありません。かなり忙しいので、次の投稿以降もかなりペースが落ちてしまいます。
失踪はしないように頑張るので、どうかのんびり待っていただけたら幸いです。
それではまた次回もお会いできたらうれしいです!
ではではー!
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