遊戯王GX ふたりぼっちの僕たちは   作:未OCGのアルカナフォース達に未来を!

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6話です。ごめんよ  君。


6話 VSエリート!万丈目準!

「えー、ですカーラ、カード効果の対象に取れないモンスターを効果で除去するナーラ、テキストに『選んで』と書かれたカードを使用すれば良いデスーノ」

 

 クロノス先生の話が終わったところで、丁度授業終了のチャイムがなる。

 

「ふむ、では今日の授業はここまでデスーノ。各自しっかり復習をするように。あー、それとシニョール遊陽?少し話があるので放課後私の元に来なサーイ」

「え、あ、はい」

 

 あー……。

 やっぱりこの間廃寮に入ったのがバレてしまったのだろうか。

 厳重注意?オシリスレッドへの格下げ?下手をすれば退学もあり得る。

 

「ね、ねぇ、これってもしかして……」

「深月は悪くないよ」

「で、でも……私のせいで」

「まだ怒られるって決まった訳じゃないし、とりあえず先生の所に行ってみるよ」

「……私もついてく」

「えっと、まぁそれくらいは大丈夫かな……?」

 

 この授業の後は何の授業も無いので、僕達はそのままクロノス先生の教員室まで移動した。

 部屋の前にはクロノス先生が、なにやらソワソワした様子で立っている。

 

「クロノス先生、お待たせしました」

「おぉシニョール遊陽!それとシニョーラ深月も一緒ナノーネ?」

「あ、あの!悪いのはわた――」

 

 変なことを口走りそうになった深月を押さえて前に出る。

 

「それでクロノス先生、お話とは何でしょうか」

「今回は内密な話ナノーネ。ですからシニョーラ深月には、少し部屋の前で待っていて欲しいノーネ」

「せ、先生!お願いです!遊陽は――」

「廃寮に侵入した件なら何の問題もありませんーノ」

「っ!」

 

 その言葉に深月が驚く。

 

「優秀な生徒には寛容なのがデュエルアカデミアナノーネ。勿論、危険な場所に足を踏み入れたことに関しては注意しなければなりまセーン。あなた達は未来あるアカデミアの生徒。校則はあなた達を守るためにあるんデスーノ。ですカーラ、これからは危ないことはしては行けないノーネ」

「……分かりました。この度は、すみませんでした」

「シニョール遊陽は?」

「はい。すみません。クロノス先生」

「よろしい。それではシニョーラ深月、少し待っていて欲しいノーネ」

 

 そのまま深月を残して、僕とクロノス先生は部屋の中へと入っていった。

 

「さて、先ほどは何の問題も無いと言いましたーガ、少しだけ条件がありまスーノ」

 

 外の深月に聞こえないようにするためか、ヒソヒソ声で話始めるクロノス先生。

 

「条件、ですか?」

「悪い話では無いノーネ。シニョール遊陽、あなたニーハ明日、オベリスクブルーの生徒と寮の入れ替えを賭けたデュエルを行ってもらうノーネ」

「……!」

「さて、答えを聞きたいノーネ」

「是非、お願いします!」

「うむ。良い答えナノーネ」

 

 校則違反のペナルティーとして昇格試験だなんておかしな話だけど、深月に近づけるのならなんだって良い。確実に勝てるように、色々準備をしていかなくちゃ。

 

 

「……シニョール遊陽。あの成績トップのシニョール三沢にも負けないデュエルの腕を持っているノーネ。彼ならシニョール万丈目の代わりとして申し分無いノーネ」

 

 

「……と言うわけで、昇格試験を受けることになったよ」

「す、凄いよ遊陽!今年初めてなんじゃない!?」

「何か変な気分だけど、頑張るよ」

 

 部屋の外に待っていた深月に報告すると、彼女は跳び跳ねて喜んでくれた。

 

「遊陽なら絶対大丈夫!それで、相手は誰なの?」

「えっと確か……万丈目準って言ってたかな?」

「万丈目……万丈目……あぁ、あの偉そうな人!」

「そうなの?」

「うん。結構威張ってたんだけど、最近は苛められてるみたい」

 

 深月は沈んだ顔で万丈目君の事を話す。

 

「彼、オシリスレッドの生徒に負けちゃったみたいで……それ以降かなりキツく当たられてるのよ」

「そうなんだ……」

「あ、でも手を抜いちゃダメだからね!」

「分かってるよ」

 

 苛められてる人間をさらに叩くのは苦手だ。深月もそんな光景は見たくないだろう。でも彼女が僕を応援してくれているなら、僕はそれに答えなくちゃいけない。

 

「それじゃ、一緒に対策を考えましょ?」

「うん」

 

 僕達は自分の寮に戻ると、PDAで通話しながら会議を始める。

 

『万丈目君は中等部では2番目の成績だったんだって』

『あー……それはもしかして万丈目君が弱いんじゃなくて、オシリスレッドが規格外だったって話じゃ……』

『そうね。オシリスレッドの生徒の名前は……遊城十代君。あのクロノス先生にも勝ったことのある生徒よ』

 

 遊城十代。あの廃寮で出会った男子だ。彼はそんなに強かったのか。

 あぁ、どこかで見たことのある顔だと思ったら、初日の授業で先生に軽口を言っていた生徒だ。

 

『それで今までの万丈目君のデッキなんだけど……正直よくわからないわ』

『分からない?』

『うん。学校のデータベースに記録されてるデュエルだと、闇属性を中心としたデッキの他にも、XYZっていうユニオンのデッキも使っているわね』

 

 デュエルアカデミアでは勉強のために、授業などで行われた公式のデュエルは全て記録され、公開されている。

 深月はその中から万丈目君のデュエルを探して教えてくれているのだ。

 

『色んなデッキを使うのか……三沢君みたいだね』

『でも、XYZは遊城君に負けて以降は使ってないみたいね』

『ということは、高確率でその闇属性デッキを使ってくるのかな』

『まぁ闇属性デッキといっても、闇属性が多いってだけね。……あ、名前に地獄とかヘルとか書いてあるのが多いかも』

 

 名付けるとしたら地獄デッキだろうか。シナジーは果たしてあるのだろうか。

 

『そんな感じね……遊陽はどうするの?』

『んー、いつも通り、かな。今地獄とかヘルとかついてるカードを調べてるんだけど……気を付けなくちゃ行けないのはヘル・ポリマーかなぁ』

『ヘル・ポリマー?』

『うん。融合モンスターの召喚時にコントロールを奪うカード。奪われないように融合しないか、すぐ処理できるようにしてから融合するか……なかなか悩ましいね』

 

 そんなことを話ながらデッキを調整していると、あっという間に深夜になってしまった。

 深月との通話を切り、部屋の明かりを消す。

 ……緊張してしまってなかなか寝付けない。

 仕方がないので机の明かりだけをつけてデッキの調整をしていると、何やら部屋の扉からガチャガチャと音が聞こえてきた。

 

「……?」

 

 部屋の鍵は僕が持っているものと、寮長の持っているマスターキーでしか開かない。こんな時間に先生が来るとは思えないから、恐らくピッキングを仕掛けているのだろう。

 僕は机の明かりを消し、部屋の入り口からは死角になるロッカーの影に隠れる。

 やがてドアが開く。入ってきたのは青い制服の男子……万丈目君だ。

彼は暗がりに隠れた僕に気づく事無く、デッキの上に手を伸ばし――

 

「何をしているの?」

 

 たところを、僕は捕まえる。

 

「なっ、お、お前っ!?」

「深夜に人の部屋に忍び込んで、何をするつもりだったのかな?」

「そ、それは……!」

「……デッキに小細工しに来たのか、それとも僕のデッキを捨てようとしたのか。どちらにしても、あのオベリスクブルーのすることでは無いよね?」

「だ、黙れ!俺は負けるわけにはいかないんだ!」

「そのためならどんなに酷いことをしても勝つ、と?」

「あぁ、そうだ!」

「……でもそうして勝っても無意味だと思うよ。僕は君が不正をした証拠をつかんでいる。それを報告すれば君の負けだ」

 

 万丈目君は僕を睨み付け、掴まれた手を振り払う。

 

「……このまま帰ってくれるなら、今起きた事は見なかったことにしてあげる」

「何?お前、みすみす勝つチャンスを……」

「深月は僕がこんな理由で昇格しても喜んでくれないだろうからね。僕はちゃんと君に勝って、オベリスクブルーに編入する」

「……後悔するなよ?勝つのはこの俺様だ!」

「それじゃあ、そういうことで」

 

 万丈目君は意外にも素直に部屋を出ていく。

 何だかどっと疲れてしまった。万一に備え扉の前に物を積み重ねバリケードを作り、僕はベッドで眠りについた。

 

 

 翌日。

 デュエルフィールドにはかなりの観客が集まっている。今年昇格試験を受けるのは僕が初めてのようだ。

 僕は控え室とでも言うべき場所で、三沢君と話をしていた。

 

「良かったじゃないか。頑張れよ、黒野」

「ありがとう。三沢君……でも、三沢君の方が先にオベリスクブルーに行くと思っていたよ」

「……実は俺にもその話が来ていたんだが、断ったんだ」

「どうして?」

「俺がオベリスクブルーに入るのは、この学校で一番になったときだと決めている。俺には勝たねばならない相手が2人いるんだ」

「遊城十代君かな?もう一人は……」

「お前だよ、黒野。オベリスクブルーに行ったとしても、また俺とデュエルして欲しい」

「勿論だよ」

 

『えー、それデーハ、これより第一回昇格試験を行ないマスーノ。生徒達はデュエルフィールドに来るように』

 

 クロノス先生の声だ。まだ緊張してドキドキしているけど、頑張ろう。

 

「それじゃ行ってこい!」

「うん!」

 

 三沢君の応援を背に、僕はデュエルフィールドに立つ。

 万丈目君は既にフィールドに立っていて、僕を待ち構えていた。

 

「学年で2番目の成績だか知らんが、この俺に勝てると思うなよ!」

「それでも、精一杯やらせてもらうよ」

 

 クロノス先生は僕達2人を交互に見ると、頷く。

 

「それでは、寮の入れ替えを賭けた試験を行ないマスーノ!」

 

「「デュエル!」」

 

遊陽 VS 万丈目

 

「遊陽ーっ!頑張ってー!」

 

 観客席からかけられる声。深月が天上院さん達のとなりから声援を送ってくれていた。

 

「ふん、良いご身分だな。俺の先攻、ドロー!俺は【ヘルウェイ・パトロール】を攻撃表示で召喚する!」

 

 エンジン音が鳴り響き、地獄のバイク警官が現れる。

 

攻1600

 

「カードを2枚セット。この俺の地獄デッキが、お前を地獄に叩き込んでやるぜ!ターンエンドだ!」

 

 

万丈目 LP4000 手札3

モンスター:ヘルウェイ・パトロール

魔法・罠:セット セット セット

 

 

「僕のターン、ドロー!」

 

 この手札だと……うん。まずはあのモンスターを処理していこうかな。

 

「僕は、【エッジインプ・トマホーク】を召喚!」

 

 投擲型の小さな斧が幾重にも折り重なった形のモンスターが現れる。

 

攻1800

 

「【エッジインプ・トマホーク】の効果発動!デッキから【エッジインプ】を墓地へ送ることで、【トマホーク】のカード名は墓地へ送った【エッジインプ】と同じになる!」

「名前を変えて融合召喚を行う気か?」

「ううん。残念ながら、ね。僕は【エッジインプ・シザー】を墓地へ!」

 

エッジインプ・トマホーク→エッジインプ・シザー

 

「バトル!【エッジインプ・シザー】となった【トマホーク】で、【ヘルウェイ・パトロール】を攻撃!」

 

 トマホークはバラバラに分裂し、数多の刃となってヘルウェイ・パトロールを切り裂いた。

 

「くっ……」

 

LP4000→3800

 

「僕はこれでターンエンドだよ」

 

 

遊陽 LP4000 手札5

モンスター:エッジインプ・トマホーク

魔法・罠:無し

 

 

「俺のターン!ククク、お前は罠にはまったのさ!」

「罠だって?」

「お前の行為は地獄の公務執行妨害だ!【ヘルウェイ・パトロール】は自身を墓地から除外することで、手札から攻撃力2000以下の悪魔族モンスターを特殊召喚出来る!来い、【レジェンド・デビル】!」

 

 ヘルウェイ・パトロールが墓地からはなった照明弾を目印に、新たな悪魔が現れる。

 

攻1500

 

「応援を呼んだ……!」

「それだけじゃないぞ!手札から速攻魔法【地獄の暴走召喚】を発動!攻撃力1500以下のモンスターが召喚された時、デッキ・手札・墓地から同名モンスターを特殊召喚出来るのさ!その代わりお前もフィールドのモンスター一体を選択し、その同名モンスターを特殊召喚出来る!」

 

 地面を割り、もう1体のレジェンド・デビルが現れる。そして僕のフィールドではトマホークが分裂し、3体になる。

 

レジェンド・デビル攻1500

エッジインプ・トマホーク攻1800×2

 

「……もう1体は?」

「こいつはデッキに2枚しかいれていない。上級モンスターだからな」

 

 そういえばあのレジェンド・デビルのレベルは6。レベルにしてはかなり攻撃力が低いけど、どんな効果を持っているのだろうか。

 

「そして永続罠発動!【闇次元の解放】!ゲームから除外されている闇属性モンスターを特殊召喚する。来い、【ヘルウェイ・パトロール】!」

 

 空間が歪み、次元の狭間から闇の警官が再び現れる。

 

攻1600

 

「さらにリバースカードオープン!【イタクァの暴風】!お前のモンスターの表示形式を全て変更だ!」

「なっ!?」

 

 突如吹き荒れる風にあおられ、トマホーク達が体制を崩す。

 

守800×3

 

「さぁバトルだ!【レジェンド・デビル】2体と【ヘルウェイ・パトロール】で【トマホーク】共を攻撃!地獄の暴走取り締まりだ!さらに【ヘルウェイ・パトロール】が戦闘でモンスターを破壊したとき、そのレベルかける100ポイントのダメージを与える!」

 

 3体の連携攻撃により、僕のフィールドはがら空きだ。

 

LP4000→3600

 

「ふははは!俺はカードを1枚セット、ターンエンドだ!」

 

 

万丈目 LP3800 手札1

モンスター:ヘルウェイ・パトロール レジェンド・デビル レジェンド・デビル

魔法・罠 :闇次元の解放 セット

 

 

「僕のターン、ドロー!」

 

 ……相手フィールドには多数のモンスター。ヘル・ポリマーを使ってくるなら恐らくここ。それなら……!

 

「僕は魔法カード、【魔玩具補綴】を発動!デッキから【融合】と【エッジインプ・チェーン】を手札に加える。そして融合を発動!手札の【チェーン】と【ファーニマル・シープ】を融合する!」

 

 万丈目君がニヤリと笑う。やっぱりここで来るか……!

 

「全てを縛れ、沈黙のケダモノ!おいで、【デストーイ・チェーン・シープ】!」

 

 鎖に縛られ操られる羊のぬいぐるみが現れる。

 

攻2000

 

「かかったな!?俺はリバースカードオープン!【ヘル・ポリマー】!相手がモンスターを融合召喚したとき、モンスター一体を生け贄にそのコントロールを奪う!【レジェンド・デビル】を生け贄だ!」

 

 レジェンド・デビルの体が発火し、その火は僕のフィールドにまで広がる。炎に焼かれたチェーン・シープは、ぬいぐるみではない本物の獣の様な姿へと変貌し、万丈目君のフィールドに移った。

 

「来ると思ったよ、万丈目君!」

「何!?」

「僕はまず、融合素材とされた【エッジインプ・チェーン】の効果を発動。デッキから【デストーイ・ファクトリー】を手札に加えるよ。さらに手札を1枚デッキの上に戻して、墓地の【エッジインプ・シザー】を特殊召喚!」

 

 シャキシャキという音と共に、ハサミの怪物が現れる。

 

守800

 

「そして魔法カード【融合徴兵】を発動。自分の融合デッキのモンスターを見せ、そのカードに記された融合素材モンスターをデッキから手札に加える。僕が見せるのは【デストーイ・シザー・ベアー】。そして手札に加えるのは、【ファーニマル・ベア】だよ」

「ふん、いくら弱小モンスターを手札やフィールドに揃えても……」

「このモンスター達じゃ何もできない。けど僕のデッキは融合デッキだよ。【デストーイ・ファクトリー】の効果を発動。墓地から【融合】または【フュージョン】と名のつく魔法カードを除外することで、【デストーイ】モンスターを融合召喚する。【融合徴兵】を除外し、フィールドの【シザー】と手札の【ベア】を融合!」

 

 2体のモンスターが渦の中で混ざり合い、新しい姿へと変わる。

 

「融合召喚!全てを切り裂け、戦慄のケダモノ!おいで、【デストーイ・シザー・ベアー】!」

 

 僕のデッキのエースモンスターが現れる。シザー・ベアーは相手フィールドのチェーン・シープを見て、首をかしげた。

 

攻2200

 

「チィッ!最初の融合召喚は囮か!」

「罠にかかったのは君だったね。僕は【デストーイ・シザー・ベアー】で【デストーイ・チェーン・シープ】を攻撃!」

 

 シザー・ベアーは戸惑いながらもヒツジを捉え、腹部のハサミで切り裂いた。

 

LP3800→3600

 

「そいつは破壊したモンスターを装備する効果を持っていたな」

「そうだね。でも、この効果は発動しないよ」

「何?【レジェンド・デビル】は俺のスタンバイフェイズ毎に攻撃力を700上昇させるモンスターだ。そのままの攻撃力なら、次のスタンバイフェイズには攻撃力が並ぶぞ」

「それは困るけど……僕はもう片方の効果を発動するよ」

「もう片方だと……?っ!そうか!【チェーン・シープ】の効果は……!」

「戦闘で破壊されたとき、攻撃力を800ポイントアップさせて特殊召喚する!デストーイ・バックアップ!」

 

 天から伸びた鎖が地面に突き刺さり、チェーン・シープを引き揚げる。

 

攻2000→2800

 

「行け、【チェーン・シープ】!【レジェンド・デビル】に攻撃!」

 

 チェーン・シープは体から鎖を伸ばし、レジェンド・デビルの体を縛り破壊した。

 

LP3600→2300

 

「【レジェンド・デビル】がっ!」

「これでターンエンドだよ」

 

 

遊陽 LP3600 手札1

モンスター:デストーイ・シザー・ベアー デストーイ・チェーン・シープ

魔法・罠:無し

 

 

「俺のターン、ドロー!……ククク、お前なら【レジェンド・デビル】を破壊してくれると思っていたぜ!」

「……!わざわざ効果を説明したのは、作戦!?」

「その通りだ!魔法カード【マジック・プランター】を発動!俺のフィールドの永続罠……【闇次元の解放】を墓地へ送り、2枚ドロー!」

 

 次元の歪みが消え去り、それに飲まれる様に警官も消えていく。

 

「【闇次元の解放】がフィールドを離れたとき、その効果で特殊召喚されたモンスターは破壊されるけど……」

「むしろその方が良いのさ!相手フィールドにのみモンスターが存在するとき、手札の【地獄大百足(ヘル・センチピード)】は生け贄なしで召喚できる!」

 

 万丈目君の背後から現れるのは、地獄に住まう巨大なムカデ。

 

攻2600

 

「この効果を適用して召喚した【地獄大百足】の攻撃力は半分になる」

 

攻2600→1300

 

 妥協召喚モンスターによく見られるステータスダウンの効果だ。それを考えると、自ずと万丈目君の次の一手が見えてくる。

 ……見えたところで、それを止めるカードは無いんだけど。

 

「さらに俺は装備魔法【愚鈍の斧】を【地獄大百足】に装備!その効果を無効にし、攻撃力を1000アップだ!」

 

 地獄大百足の前に、巨大な斧が落下する。大百足はそれを器用に加えると、素振りをする。

 

攻1300→2600→3600

 

「こ、攻撃力3600……!?」

 

 観客席の深月が驚きの声をあげる。確かに普通のデッキでは、なかなかお目にかかる事の無い数値だ。

 

「はははははっ!この攻撃力は倒せまい!行け、【地獄大百足】!【デストーイ・シザー・ベアー】に力の差を思い知らせてやれ!」

 

 大百足が頭を大きく振り、口に加えた斧でシザー・ベアーを真っ二つにした。

 

「くっ……!」

 

LP3600→2200

 

「どうだ!これが俺の実力だ!カードを1枚セットしてターンエンドだ!」

 

 

万丈目 LP2300 手札0

モンスター:地獄大百足

魔法・罠:愚鈍の斧 セット

 

 

「僕のターン、ドロー」

 

 万丈目君は自分のモンスターを誇らしげに見上げ、高笑いする。

 

「ハハハ、お前に勝ち目はない!【チェーン・シープ】で自己再生を行っても攻撃力はそれ以上には上がらない。それにもし【地獄大百足】より攻撃力の高いモンスターを召喚したとしても、俺のセットした【魔法の筒】でお前のライフを焼き付くしてやる!」

「……それを聞いて安心したよ」

「何っ!」

「2枚目の【ヘル・ポリマー】だったりしたら、笑い事じゃないからね。僕は再び【デストーイ・ファクトリー】の効果を発動!【融合】を除外し、手札の【エッジインプ・ソウ】と【ファーニマル・ライオ】を融合する!」

 

 僕のフィールドに再び渦が現れ、2体のモンスターが飲み込まれる。

 

「全てを引き裂け、狂乱のケダモノ!おいで、【デストーイ・ホイールソウ・ライオ】!」

 

 体が真っ二つに割れたライオンのぬいぐるみが姿を表す。その体の至るところから刃物が覗いている。

 

攻2400

 

「今更攻撃力2400で何を……!」

「【デストーイ・ホイールソウ・ライオ】の効果を発動!ジェノサイド・ソウ・アドバンス!」

 

 ホイールソウ・ライオのタテガミから、幾つもの丸鋸が飛ばされ、大百足の体を切り裂いていく。

 

「な、なんで【地獄大百足】が……!」

「【ホイールソウ・ライオ】は1ターンに1度、相手モンスターを破壊する。そしてその攻撃力分のダメージを相手に与える!」

「こ、この俺が負けるだと……!?また、負けるのか……!?」

 

 地獄大百足は崩れ去り、万丈目君はその残骸の下敷きとなる。

 

「うわぁぁぁぁっ!!」

 

LP2300→0

 

 万丈目君がその場に崩れ落ちる。

 そして一瞬の後に、歓声が上がる。

 

「勝者はシニョール遊陽デスーノ!シニョール、貴方にはこれからオベリスクブルーの生徒として、さらなる発展を期待していマスーノ」

「ありがとうございます」

 

 クロノス先生に頭を下げる。

 

「遊陽っ!」

 

 深月の声と足音。振り向くと、観客席から降りてきた深月がこちらに走ってきていた。

 

「やったね遊陽!これで一緒の寮だよ!」

「ありがとう、深月。でも……」

 

 あまり喜んでしまうと万丈目君に失礼なのではないか。そう思い彼がいた場所を見ると、そこにはもう誰もいなかった。

 

 

 ラーイエローの部屋に戻り、荷物をまとめる。重いものなどは事務員さんが手伝ってくれたから、僕が持っていくのは鞄に入る程度のものだ。

 荷物を鞄に詰めていると、ドアがノックされる。

 

「はい」

「やぁ、黒野君。こんにちは」

「樺山先生」

 

 部屋の外に居たのはラーイエロー寮長の樺山先生だ。

 

「この度はオベリスクブルーへの昇格おめでとう。君のような生徒を持てて、先生も鼻が高いよ」

「ありがとうございます。短い間でしたが、お世話になりました」

「うんうん。これからもっと強くなって、成長していってね」

「はい」

「それじゃあ、私はこれで」

 

 そう言って樺山先生は背を向け……振り返る。

 

「あぁそうだ。もしまたここのカレーが食べたくなったら、何時でも来ていいんだよ?」

「樺山先生……」

「それじゃあ、オベリスクブルーに行っても頑張るんだよ」

「はい!」

 

 明日からは万丈目君がラーイエローになるのだろうか。

 実際にデュエルすれば分かる。彼は強かった。中等部で2位の成績だった彼が勉強を怠るとも思えない。

 ……正直な話、クロノス先生が何かしているようにしか思えないけど、それでもオベリスクブルーに入れたのなら喜ぶべきか。

 そうだ。僕は深月が幸せならそれでいいのだから。

 

 

 

 万丈目君が武者修行の為に自主退学したと聞いたのは、それから数日経った後だった。




「「今回の最強カードは?」」

地獄大百足
効果/星7/闇属性/昆虫族/攻2600/守1300
相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、このカードはリリースなしで召喚できる。
この方法で召喚したこのカードの元々の攻撃力は1300になる。

「万丈目君が使っていたカードね。生け贄を無くして召喚出来るけど、攻撃力は半分になってしまうわ」
「でも今回万丈目君がやっていたみたいに効果を無効にすれば、そのデメリットを帳消しに出来るよ」
「昆虫族モンスターはリクルーターとか多いし、墓地で発動する効果が中心だから、スキルドレインとの相性も良いわね」


6話でした。ついに主人公のブルー寮行きです。これでもっとイチャイチャさせられますね。
それではまた次回、お会いできたらと思います。
それでは。
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