ただ青い春を想う   作:畑の蝸牛

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今度の日曜、学校の校門、午前10時

「あ、来た来た!やっほー」

「・・・あ、うん」

「来なかったらどうしようかと思ったよ〜」

「いや、さほど難しくもなかったし・・・?」

「なにが?」

「あ、うん、コッチの話。・・・俺だけか。やってくれるな・・・」

「う〜〜ん」

「どうかした?・・・しました?」

「なんか忘れてる気がする」

「そ、そうですかね!?えー、あー、・・・え、それ?でもそれは・・・」

「気付いたなら教えてほしんですけど!!」

「いや!何も気付いちゃいない!ハイ忘れた!何だったっけな〜〜」

「また顔逸らした!さてはとんでもないことに気付いたな〜?」

「・・・・・・・・・いやだって顔近いし」

「うん?ぼそぼそじゃ聞こえないぞ〜?」

「気付いたことを言えばいいんだな!?」

「そうだよ」

「笑うなよ」

「ごめん」

「せめて聞いてからにしろよ!?」

「あたしに耐えられる未来が見えない」

「ならいっそ腹筋痛めてしまえ!言うからな!」

「さぁ来い!」

 

「どんくらい待った?」

「三十分弱」

「・・・・・・・・・そうじゃなくて」

「ん?でも家出たのが九時で、歩いてここまで来たら三十分くらいだから計算あってるよね・・・?」

「時間の量は実際のところ問題ではないといいますか・・・うわー解説すんのハズい・・・」

「量じゃない・・・ならば質・・・時間の、質?密度?待ち時間の質。待った?と聞かれたら・・・あっ」

「お気づきになられたようですね・・・」

「なんかデートみたいじゃん!?」

「痛い痛いだから言いたくなかったんだよ!つーかデートじゃないならコレはなんなの!?」

「なんだろう」

「じゃあこの気取ったカードは何!?」

「それは後で天里くんに聞いてよ!!」

「あいつの連絡先しらねぇんだよ!!」

「直接聞けばいいじゃん!?」

「だからどこにいるか分かったもんじゃないんだって!!」

「・・・・・・・・・まさか黒崎くん、今日のこれからのイベントをご存じでない?」

「・・・・・・なにそれ」

「天里くんは「ハハハハハ!!クラス・リユニオンだ!」とか言ってたけど」

「マジ?」

「ちょっと嘘ついた。でもこんなことを言ってたよ」

「クラスの・・・再結成?あー、同窓会ね?」

「・・・もしかしてあたし、ミスったかな」

「何を?」

「天里くんの筋書きでは、デート気分浮かれポンチの黒崎くんが連れて来られたのがなんと同窓会!!だったんだろうね・・・」

「この俺にサプライズとは・・・舐められたものだな・・・」

「あ、なんかテンションが戻ってきたね」

「え?・・・俺こんなしゃべり方だったの」

「うん。違和感はこれかぁ!しゃべり方が普通すぎて頭の中の黒崎くんと一致しなかったんだ!」

「ひっどい言われようだな・・・あぁ、行く先でもこうなるのか。いいや、諦めよう」

「潔いのは、変わらないね」

「諦めが早いの勘違いでは?」

「そうかもね」

「・・・・・・・・・」

「あ、そうだ。黒崎くん」

 

「誰かに渡さなきゃいけないものがあるでしょ?」

 

「卒業式の日、捨てられてるの見ちゃってさ。お節介させてもらいました!なんてね。黒崎くん、すぐ諦めちゃうから」

 

「なんか見過ごしちゃいけないってピピーンッと来たのです。・・・・・・あとその時の黒崎くん、本当に遠くに行っちゃいそうで」

 

「・・・聞いてもいいかな」

 

「あの手紙、ちゃんと渡せた?」

 


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