私がカナ先輩と同じ隊になった時、私は初めはとてもついてないと思ってました。
私が建造された時にはもう既にカナ先輩はflagshipで、数々の戦果をあげる歴戦の猛者って感じでした。
そんな風に言われる一方で、彼女にはある噂があった。
「彼女と同じ隊になると生きて帰れない」と言われていました。
彼女の最初の仲間はもう既に轟沈している。
その後配属された潜水艦も長く残った子もいたが、結局殺られてしまい、生き残っているのは彼女だけなのだ。
常に戦果を挙げる一方、僚艦を必ず死に追いやる不死身のカ級は敬服され、姫達からも一目置かれるエースだったが誰も近づきたがらない存在だった。
とある戦いで、またカナ先輩の隊の潜水艦が轟沈したらしく私はその穴埋めの為に配属させられました。
「えっ?ヨ級、あのカ級と同じ隊になったの?」
「うわぁー可哀想‥‥御愁傷様。」
私は死刑宣告に近いこの命令を素直に受け入れた。
深海棲艦は命令に絶対である。
「まずは旗艦に挨拶に行け。」
「あの‥‥旗艦はどなたですか‥‥」
「あの隊は基本カ級しかいないからアイツが旗艦だ。」
「そ、そうですか‥‥」
「わかったら早く行け。」
ヨ級は命令役のチ級に敬礼すると、早速そのカ級を探す事にした。
「うーん、この方はどこにいるんだろう?」
私は基地内を探し回る。
「そんなに凄い潜水艦なら見ただけで分かると思うけどな‥‥」
いや、そもそも建造されたばかりだからこの基地のことって何もわからない。あれ?ここどこ?
不味い‥‥迷子になった‥‥
彼女がキョロキョロしながら歩いていると、
「きゃあ!」
「イタッ!」
ヨ級は知らない艦にぶつかってしまった。
「す、すみません!ごめんなさい!」
「ううん、いいの。気にしないで。」
ぶつかったのは潜水艦のカ級だった。
丁度探している階級なのでもしやと思ったが、
「うん?」ふわぁ~ん
ヨ級にじっと見られてキョトンとしている。
(うん、絶対に違う。)
こんなふわんとした子が不死身と呼ばれる潜水艦の訳がない。
「どうしたの?」
「あっ!」
しまった。流石に見すぎたかな。
「ごめんなさい。人探ししていたので‥‥」
「へぇーそうなんだ。だったら私も一緒に探してあげる!」
「えっ?」
「多分アナタ新人さんでしょ?」
「はい。」
「やっぱり。普通こんな所に誰も来ないもん。」
「うぐっ。」
「だったら基地の事とか分からないよね?案内も兼ねて人探しを手伝ってあげるね。」
「ありがとうございます!では、お言葉に甘えて。」
「うん♪じゃあまずはこっちからね。」
ああ。なんていい人なんだろう!
私はそのカ級に連れられて基地を巡った。
その間、カ級は基地の施設についてヨ級に説明してくれた。ヨ級の質問にも嫌な顔一つせず笑顔で答えてくた。
「あっ!」
「ど、どうしました?!」
ある程度周り終えた辺りで突然カ級が叫んだ。
「ごめん、アナタの人探しの事忘れてた。そう言えばアナタの探してる艦って誰?」
「そう言えば言ってませんでした。私が探してるのはカ級の潜水艦です。」
「カ級‥‥私?」
「あ、いえ。私が探してるいるのは不死身のカ級と呼ばれてるカ級さんです。」
「不死身の‥‥カ級。」
「はい。実は‥‥その方の隊に新しく配属になったのでご挨拶をと。」
「‥‥‥‥。」
「カ級さん?」
カ級さんが黙ってしまった。
あれ?もしかして同情でもされたのかな?これまでこの話をすると誰かも同情されましたもんね。
「‥‥そうか。アナタが新しい子だったの。」
「えっ?‥‥もしかしてその隊の方だったのですか?」
おお、運良く同じ隊の人に会えた。
せっかくだからこの人に不死身のカ級さんに会わせて貰おう。
「うん、そうだよ。」
「良かった♪あの!旗艦のカ級さんは今どちらにいますか?」
「ヨ級さんはもう会ってるよ。」
「へっ?」
「多分その不死身のカ級って私のことだよ。」
「えっ?ええええええ?!」
嘘?だってこんな可愛らしい子が皆から畏怖される潜水艦だなんて!!
「えへへ♪これからよろしくね。」
「は、はい‥‥」
この子が嘘をついてる様には見えない。だったら本当にこの子が‥‥
私はこの時、人は見かけによらないと学びました。
「あ、私の事はカナって呼んでね♪」
混乱している私を他所に自己紹介をする先輩潜水艦。
この時私はこの衝撃の出会いによってある疑問に気がつかなかった。
先輩はここは誰も近づきはしない所だと言った。
なら、彼女はここで何をしていたのか?
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それから私はカナ先輩の隊の一員として死地をくぐり抜ける毎日だった。
いつ死ぬかわからない戦闘や任務の毎日に気が滅入りそうだったがカナ先輩が優しく励ましてくれたり、時には生き残る為に戦闘技術を厳しく指導してくれたりしたおかげでなんとか今日まで生き残れた。
私はここに来てもう1つの事を学びました。
人は噂ではわからない事です。
そんなこの隊での任務をこなしている内に私は噂の真相が見えてきた。
カナ先輩と一緒だと誰も生きて帰れないと言われていました。それは先輩に課せられる任務の難易度が原因だった。
彼女自身が優秀で、しかもその僚艦もそれに影響されて強くなる。なれば大変な任務が課せられる事は当然であり、こんのルーキーがやれば高確率で轟沈です。
そして、彼女の隊は消耗が激しくすぐに穴埋めがなされ、そこにルーキーが入れられる。これが彼女だけが生き残って他の子がいなくなる仕組みである。
こんな噂のされ方のせいかたまに、「彼女が生き残っているのは他の子を犠牲にしているからだ」と言っている人もいました。
とんでもない。彼女は非常に仲間思いの優しい方です。でなければ毎日私が生き残れる様には励ましたり訓練をつけて下さったりなど自分の時間を削ってくれる訳がない。
これらの事で彼女が実力で生き残って来たのは分かるが、彼女がどんな戦闘からも帰って来る最大の要因は彼女の生に対する執着の強さだった。
ただそれが分からなかった。
どうせ生き残ってもまたすぐに次の任務が待っている。今轟沈しなくても次で散るかもしれない。
深海棲艦の通常艦、それも使い捨てにされやすい潜水艦は生に執着はそこまで強くない。
では彼女な何故強いのか、何の為に生き残りたいのか。その理由が知りたいかった。
そんなある日だった。
任務がなく待機が続いた。
「う~ん、やることないし訓練でもしよっと。」
私は暇を持て余していた。
「あれ?カナ先輩だ。」
先輩がどこかに向かっていた。
そう言えば、たまにどこにいるかわからない時があるけど、どこで何してるんだろ‥‥
「ふふ♪尾行してみよっと。」
バレない様には後を追う、これも潜水艦の必須スキルだって先輩に教わったもん♪
私はこっそり後を追う。
「あれ?ここは‥‥」
あの時先輩にはじめて会った誰も来ない基地のはずれだった。
「確かにこの先に行ったけど、こんな所に何の用なの?」
私はさらに先輩を追って奥に進む。
「うん?」
なんだか、すすり泣く音がする。
私は陰に隠れた。
なんとあの先輩がうずくまって泣いていたのでした。
私は驚きを飛び越えて何も考えられなかった。
あの強い人が誰にも知られず隠れて泣いていたなんて‥‥
「うぅ、マスターに‥‥会いたい‥‥」
声が小さくて泣いてかすれいてなんて言っているか聞こえないが、誰かに会いたいらしい。
誰に?
私はあの日やこれまで先輩がここで何をしていたのか、どうしてあそこまで強い生への執着があったのかを‥‥
あの日、先輩の秘密を知った私は更に好きになりました。
強くて可愛らしい、時に優しく時に厳しい尊敬できる先輩。しかし、本当は弱い一面も持ち合わせている。
だったら私は、私だけでも側にいよう。
彼女が会いたがっている人物に会えるまで、私が側にいて彼女の寂しさを軽減させよう。
私が強くなれば、役に立てば彼女が生き残る確率も上がる。
憧れの先輩の為になりたい。
それが私が生き残る理由となった。
一方で、そんな先輩にここまで思われる人物は誰なのか気になって仕方がなかった。
そして、同時にその人物がうらやましく、妬ましくて仕方がない私だった。
いかがだったでしょう?
今回はヨウがカナにはじめて会った時の話です。
時々こうやった戦争時の潜水艦達の過去の話とか入れたいと思います。