生き残った軍人と潜水艦   作:菜音

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進路インド洋の最西へ! 15日目

 

 

 

「こーらー!マスターから離れなさい!上手く手当てが出来ないでしょう。」

 

「イーヤーだ!」

 

感動の再会からマスターから離れようとしないソラとソラに包帯を巻こうと引き剥がそうとする姉(カナ)の戦いはすでに20分を経過していた。

 

あ、ルリさんは付き合ってられんとか言って見回りに出てます。

 

「カナお姉はずっと一緒だったでしょ。私にもマスター養分を補給させてよ~」

 

マスター(私)養分ってなに?

 

「確かにそうだけど‥‥でも手当てが先よ!」

 

カナが納得した!

 

いや、それよりも‥‥

 

「二人とも、せっかく会えたのにケンカしないの。」

 

私は仲裁するべく、いや、単に撫でたかったので二人にダブルナデナデをおこなった。

 

「はぅ~♪」

 

「ふにゃ~♪」

 

 

しかし、効果は抜群だ。数年経ってもソラはソラだったようだ。二人はあっという間に顔を和ませた。

 

 

「ソラ、カナの言うとおり手当てされなさい。カナもあんまり無理矢理はダメだよ。」

 

「はーい‥‥」

 

「ごめんなさい‥‥」

 

ま、ソラに会えて嬉しいのは私も同じだから離れたくないのも分かるしカナもソラを心配しての行動だからあまり叱れないのだけどね。

 

 

 

「はい。終わったよ。」

 

「うん♪ありがと~お姉~」

 

「こら、あんまり動くと‥‥」

 

今度はカナに抱きつくソラ。カナはまんざらでもないのか少し抵抗して見せてはいるが口元は緩んでる。

 

「姉妹っていいよね。」

 

三人でひとしきりじゃれた所で雪村はソラに尋ねることにした。

 

「ソラ、今までどこにいたの?それから何があったの?」

 

「うん?私ね、大西洋にいたの~」

 

 

 

ソラは艦隊に合流しカナ達と別れた後、大西洋の群体に所属することになった。

 

地中海北部を制圧しているコルス島泊地の潜水艦隊に配属され、船を片っ端から沈めていたようだ。

 

少しノロマなところがあるが慎重で尚且つ大胆な攻撃をすることから重宝され場数を踏むことになったソラはflagshipとなった。これで更に戦力となった彼女はある時は1艦隊の旗艦、そして、現在は姫の直属の部下をやらされてる。深海棲艦にとっても名誉なことだが基本のんびりしてたい彼女にとっては仕事が増えるだけでしかなかった。

 

 

泊地の幹部にされたソラは終戦後も離れたくても離れなくなってしまいそれがこれまでマスターの所に帰れなかった理由だった。

 

 

そして、数日前のことだ。

 

ソラは直属の姫である水母水姫から極秘の任務を命じられることになった。

 

「極秘の任務?それ、私に話して良いヤツ?」

 

「マスターだから大丈夫~♪」

 

「いやいや、ダメでしょう。」

 

しかし、ソラは話を続けた。

 

 

ソラは潜水艦隊を与えられて太平洋の群体の元に届けモノをするように言われたのだった。途中までは順調だったがここに来たときに突然艦隊に襲撃されたらしい。

 

通常の艦隊ならソラ達の圧勝だっただろう。しかし、敵には特装兵がいた。仲間は特装兵に次々とやられソラも爆雷を受けてしまった。その後は私が前に見せたアニメを参考にして轟沈を偽装して難をのがれたとか。

 

 

「届けモノって?」

 

「これなの。」

 

「それは!?」

 

ソラが取り出したのは命令書が入っている筒と白い塊だった。一見何なのか分からなかったがそれを彼女は見たことが、いや、持っていた。

 

(あの姫が私にくれたやつだ。)

 

「白い塊だね。」

カナは素直に答えた。

 

「ねえソラ、それはなに?」

 

「う~んわかんないけど大切な物って言ってた。」

 

(大切ものか。そりゃわざわざ護衛を付けて運ばせるのだから凄いものなんだとは思うけど。あの姫、私に何をくれたんだろう?)

 

 

「戻ったぞ。やっぱり生き残りはいなかった。」

 

ルリさんが戻ってきた。

 

「ルリさん丁度いいところに。これって何かわかる?」

 

「うん?どれどれ‥‥、‥‥」

 

ルリさんに私の持っていた白いのを渡して見てもらったらルリさんが固まってしまった。

 

 

「ま、まさか‥‥」

 

「ルリさんどうしたの?」

 

「お、お前!?こ、ここここれをどどこで!?」

ルリは雪村を掴んだ。

 

「ルリさん痛い!落ち着いて!」

 

「落ち着けるか!これは中枢棲姫様の"証"だぞ!」

 

「証‥‥?」

 

 

深海棲艦の証とは

 

深海棲艦の姫は自然治癒力が高く破損した装甲も生えるようにして直るのだとか。

 

その際に作り出される装甲を構成する成分の塊は白い色をしており切り取ると白のままだそうです。

 

装甲の成分とは言え、姫の体の一部とも言えるそれはいつしか信頼される配下の深海棲艦を渡される習慣ができ、それが発展して姫が任命した勅使や代弁者が持つモノとなった。

 

 

「つまり、これって私が姫様の代弁者ってわけ?」

 

「しかも我らが大いなる母のだ。お前、そんなモノをいつ手に入れた?」

 

「これは前に太平洋の最後の補給基地に寄った時に見掛けない姫からもらったものなの。」

 

「間違いない。そのお方こそが中枢棲姫様だ。」

 

「ええええ!?」

 

「更にだ。そのソラちゃんが持ってるそれは恐らく大西洋群総司令の欧州棲姫様の証だ。」

 

「うげっ!?これそんなに大変なのだったの?」

 

護衛はその価値に気付かなかったようだ。

 

「その筒、命令書か何かか?見てもいいか?」

 

「う、うん。」

 

ソラはルリさんに筒を渡した。

 

筒にはやはり紙が入っており見たことのない象形文字が並んでいた。

 

「これは我々の暗号だ。幹部クラスにしか解らないな。」

 

「ルリさん解る?」

 

「勿論だ。少し待って。」

 

 

ルリさんは暗号を呼んでいく。読み進めて行くにつれてルリさんの顔が険しくなっていく。

 

 

「ルリさん‥‥」

 

「読み終わったぞ。」

 

「内容は?聞いてもいいかな?」

 

「ああ、むしろお前に用向きらしい。」

 

「えっ?」

 

「内容はこうだった。これを太平洋群体の管轄から抜けて西に行く特別な日本の使者がいたらこれを渡せとな。」

 

「え、と言うことはマスターが?」

 

「ああ、この欧州棲姫様の証の保有者だ。」

 

「ちょっと待って!特別な使者でしょう?私はただの交渉人だよ!」

 

「いや、お前の手に持ってる中枢棲姫様の証。それが特別の証明だろうが。別に持ってて困るものではない。受けとれ。」

 

雪村は証を押し付けられた。

 

「ふぅ‥‥。これで私の任務も終わり?」

 

ソラは疲れた顔をした。

 

「これで死んだ仲間も浮かばれるよきっと。」

 

「ありがとカナお姉。でもこれで私は戻らないと‥‥」

 

「いや、その必要はないぞ。」

 

「ルリさん?」

 

「命令書の続きだがな。護送していた艦隊はそのまま保有者の指揮下に入り護衛せよ、とな。つまりお前はコイツの護衛として側にいるのが次の任務だ。」

 

「えっ!?それじゃあ私ずっといていいの!?やったー!」

 

「やったーソラお帰り~♪」

 

「ただいまカナお姉~♪」

 

抱きしめ会う姉妹達。しかしソラは少しだけ浮かない顔をしたのを私は見逃さなかった。

 

 

「ソラどうしうたの?」

 

「ううん。嬉しいのだけど。私だけ先に帰ってしまって何だかマシロちゃんに悪いなって‥‥」

 

「ソラ!マシロがどこにいるか知ってるの!?」

 

「うん。マシロちゃんと一緒に大西洋にいたから。」

 

なんと!二人とも大西洋か。太平洋にしかコネクションがないからわからないわけだよ。

 

 

「そうだ!マスター達の任務に問題ないならマシロちゃんに会いに行かない?今インド洋にいるの。」

 

「待て。大西洋群がここまで来ているのか?」

 

ルリさんは初耳だったようだ。

 

「実はアンズ環礁に秘密の泊地を建設したの。マシロちゃんはそこの旗艦補佐になったの。」

 

 

アンズ環礁‥‥

 

そう言えば前に集積地棲姫が‥‥

 

 

「彼女はここだ。」

 

と言われて地図で示されたのは

 

「インド洋最西?運河の方ですか?」

 

「すまない。詳しい場所は教えてやれん。これでも譲歩したつもりだ。」

 

と要領を得なかったがなるほど秘匿の泊地ですか。それは教えられないわけだ。

 

 

「マスター私会いたい!」

 

「ルリさん私も行きたい!」

 

「ふーむ。丁度連絡を取るためにどこかの群体に行きたいと思っていたからいっか。」

 

「やったー♪」

 

「イエーイ♪」

 

雪村とカナはハイタッチ

 

 

「しかしアンズか‥‥」

 

「ルリさん?」

 

「いや、行くのには反対じゃない。ただ‥‥」

 

「ただ?」

 

「あそこはインド洋の西の外れだ。つまりここの反対側、嫌でも中央海域を根城にしている独立系どもに鉢合わせするぞ。しかもインド軍とやら動いているとなると既にこの海域は戦場になってるかもしれん。」

 

 

確かにソラ達護送艦隊は何者かに襲われた。そして、あの特装兵‥‥もし、あれがインド軍のものであれば‥‥

 

 

 

「私のやることは変わらないよ。私は任務の為に独立群体を訪れる。そして交渉するよ。そこが紛争地で日本が巻き込まれる可能性があるならなおさらだよ。」

 

 

マシロまで直ぐそこまで来た。これで家族が皆揃う。ここまで来て、後少しで悲願が叶うのに逃げてたまるか。

 

それに戦争が起ころうとしているのだ。これは私の任務の範囲を越えてはいる、しかし、もう二度と戦争を、私達が引き剥がされる世界には戻したくない!

 

 

「ルリさんは報告の為、私は任務を続行しマシロに会う為に進路を西に取る。問題ない?」

 

「‥‥ふん。わかった。全くお前は肝がすわってるのか、ただの怖いもの知らずなのか。」

 

やれやれとして見せるルリさん

 

「ヨウちゃんは?」

 

「私は!先輩と一緒ならどこにだって!そして先輩の命令ならアンタのことも守ってやるわ!」

 

「ヨウちゃん‥‥」うるうる

 

「ヨウちゃん良く言った!流石私の後輩!」

 

「先輩~♪」

 

 

皆の意思は確認した。雪村はクルーザーの操縦を始める。

 

 

「よしっ!いくぞー!目標はインド洋西のアンズ環礁!邪魔する奴らは皆はね除けるよ!」

 

 

「おう!」

「うん!」

「ええ!」

「はい!」

 

 

 

 

 

 





雪村達が進む先に待ち受けるものとは?
いよいよその正体が明らかに!

次回もお楽しみ~♪
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