生き残った軍人と潜水艦   作:菜音

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このシリーズ書くの久しぶりです。今回はアンケートで一位だった隊長とユウの話です。
先輩後輩ペアはまたの機会に投稿します。


メモ帳空ページ 構われない深海の甘え方

 

 

 

 

「よう!元気そうだな!」

 

「はい。お陰さまで。」

 

 

隊長こと教官殿は今日は珍しく朝から出勤だ。

いつもは泊まりが多いので門を潜るのは久しぶりだ。

 

なので門衛とは久しぶりに挨拶をした。

が、門衛は少し不機嫌そうだ。

 

「なんだ?不貞腐れてるのか?」

 

「いや、だって。アナタに言われてわざわざあんな所に行ったのに結局門衛を卒業できなかったので。」

 

「まぁ気にするな!お前さんはちゃんと出世したろ?」

 

「はい。門衛から門衛隊長に。」

 

「曹長になって部下が3人付いただろ?」

 

「いや、まぁそれはそうですが‥‥結局門衛としてここに立っていることは変わりませんし‥‥ね?」

 

「お前腕は立つが部下をまとめるような柄じゃないだろう?ならそれくらいにしとけ。」

 

「そうですけど‥」

 

「給料一気に上がるぞ?」

 

「えっマジですか!」

 

チョロいな。

 

「マジマジ、で?今の仕事はどうよ?」

 

「はい!同じ仕事してるのに給料だけ上がって最高です!」

 

「ならこれ以上は言うなよ。」

 

「了解!お勤め頑張って下さい!」

 

「おう!」

 

 

まぁ、アイツをここに引き留めてるのは別の目的なわけだがな‥‥。

 

等と考えながら教官室へと向かっていた所に

 

 

ブーン♪ブーン♪

 

「うん?」

 

彼の携帯に電話が鳴った。

 

「おっ!もしかしてあの電話か?よーしっ!やるで。」

 

彼にとっては待ち焦がれた電話だったようだ。

 

「はい、もしもし。」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

その頃、教官の家では

 

 

「ああ〰️。隊長行っちゃったよ〰️。次は何日後に帰って来るんだろう〰️。」

 

ユウがうなだれていた。

 

 

まだ彼が出掛けたばかりなのにも関わらず玄関で既に死にそうになっていた。

 

「隊長と暮らせるのは幸せだけどこうも一人が続くと悲しいの!」

 

 

元々は集団運用が基本の浮遊要塞に孤独への耐性があるわけがない。しかし、隊長からは部屋から出るなと言われている。

 

つまりこれにより

 

「寂しく!暇死にする!」

 

の完成である。

 

 

「隊長~ぅ」涙

 

流石にずっと玄関で泣くのは疲れたのでリビングに行くことにした。

 

 

「お茶でも飲んでテレビ見よう‥‥」

 

と、その時だった。

 

ピンポーン~♪

 

「うん?隊長‥のわけないよね。」

 

どうせ宅配とかセールスとかと思うので出ない事を決める。いつもならこれで良かった。だが

 

「今回はしつこいなぁ。」

 

ユウは静かに外の人がいなくなるのを待った。

 

「あらあら?おかしいですね。話では家にいるから入れるとおっしゃってたのに?」

 

女性の声だ。

 

「あ!もしかして開いてるから勝手に入れと!」

 

何を言っている。というかロックしてるからどのみち入れないよ。

 

なんてユウが思った時、玄関から鈍い音がした。

 

「えっ?」

 

「ああ!またやってしまった!ドアノブ壊しちゃった。」

「ええっ!?」

 

「と、とりあえず‥‥お邪魔します~。」

 

な、何?!何なの!泥棒?

いやいや、ドア破壊する泥棒って何?

 

「ねぇ~誰かいる?」

 

「イヤァァ!!来ないで!」

 

ユウは思わず機関銃を撃ってしまった。

 

 

「ちょ、ちょっと!待って!」

 

「ひぃぃぃ!う、撃たれたのにまだ無事!」

 

「待って!待って!私よ!」

 

「えっ?えええええっ!?ひ、港湾棲姫様!」

 

「はい、お久しぶりですね。」

 

「ごめんなさい!誰かわからなかったとは言え突然発砲を」

 

「ううん、いいの。だって雇い主のお子さんだし。」

 

「雇い主?お子さん?」

 

「でもスッゴい偶然!たまたま子守りのバイトに応募したらアナタだったなんて!」

 

「いやいや、待って。バイトってなに?そもそも何で姫様がバイトを?」

 

「う~ん。私、旦那様が少しでも楽になればと少しお金を稼げないかと思ってバイトをやることにしたんだけど。ただ、身分証明ができるものがないから面接受けれないし‥‥」

 

「ああ‥確かに私達って戸籍ないですもんね。」

 

「そんな途方に暮れてる時にここのマンションの外に求人のチラシが貼ってあって。個人なら多分身分証とかなくても行けると思ったの。」

 

「そしてそれがうちだったと。あれ?するとその求人出したのって隊長だよね?なんで?」

 

「ええっと。仕事であまり帰れなくて子供を一人にしてるから遊んであげて欲しいって。」

 

「隊長ぅ!」

 

私を気遣ってくれたことには心から感謝するけど、ならば隊長がかまってよ!

 

「というわけでユウちゃん。入江お姉さんに甘えていいですよ。」

 

姫はばっちこいと手を広げて見せた。

 

「え、でも姫様にそんな‥‥」

 

「ここでは階級は気にしないの。それに私の旦那様もアナタの旦那様にはお世話になってるし♪」

 

「だ、旦那って!私と隊長はそんなじゃ‥‥」

カァァァァ

 

「あらあら~♪それじゃあお父さんかしら?私のことはお母さんでもいいわよ?」

「あ、いえ。私のお母さんは泊地棲姫様ですので。」

 

「エエっ‥‥じ、じゃあ日本にいる時のお母さんってことで、あ、甘えてどうぞ。」

「‥‥はぁ。わかりました。それでは失礼して」

 

ギュっと

ユウは入江に抱きついた。

 

「姫様柔らかい~♪」

 

「あらあら~。そんなにたまってたの?」

 

「だって隊長ハグする前にすぐどこかいくし‥」

 

「まぁ、私も旦那様が奥手過ぎてハグされたことないですし‥‥」

 

「「はぁ~~。」」

 

 

「姫様、これからもたまに来てくれます?」

 

「ええもちろん。私も一人は寂しいですしお給料入りますし。」

 

「うん。ありがと‥‥♪」

「ふふ♪」

 

「あっでもドア破壊のことについては隊長に報告するね。」

 

「いやあああああ!解雇されるぅぅ!」

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「ええっ!?応募したの入江さんだった!?」

 

「隊長知らなかったの?」

 

 

数日後、隊長が帰って来た時にこれまでの事を話した。

 

「いや、ただ応募してるって紙に書いて電話で話を聞いただけだから。」

 

「隊長テキトー過ぎ!」

 

いや、むしろよくそんな怪しい求人に応募する人がいたな。って姫様くらいか。

 

 

「それで、姫様クビなの?」

 

「いや‥‥前に泊地棲姫にも同じことされたから今さら気にならんな。何よりユウが楽しかったのならなおさらだな。」

「うん♪楽しかった♪」

 

「おう!なら引き続き頼もうか。」

 

それにしてもアイツの所のが来ちゃったか。

これはアイツに対してまた秘密が増えそうだ。

 

 

「隊長~」

 

ユウが両手を広げた。

 

「ん?どうしたユウ?」

 

「おんぶ!それか抱っこ!」

 

入江に甘えた分、俺にも甘えたくなったのだろうか?

 

「やれやれ‥‥」

 

「ダメ‥‥?」

 

ユウの上目遣い。

 

「よっしゃ!どっちもしてやるよ!」

 

「やったー!」

 

「ほおっら!」

 

「きゃあ~♪」

 

 

 

そのころ

 

 

「くしゅん!」

 

「風邪か?」

 

「いえいえ、大丈夫です。さあ旦那様、お食事です。」

 

「あれ?入江、何か今日の飯は豪華な気が‥‥」

 

「ウフフ♪‥‥ナイショです。」

 

「そっか。そうだ!もうすぐ給料日だから期待してろよ。増えてるからな!」

「ええ、これで私も旦那様にもっと美味しいものを作れますね♪」

 

「おおっ楽しみにしとくわ。」

 

「はい!ですから明日も頑張れるようこの後は」

 

「風呂だな!」

 

「ぐっ!ではその後こそ‥」

 

「寝るだけだな!」

 

「むぅぅ~!」

 

「膨れても駄目だ!!」

 

「ジー‥‥」

 

入江の期待の眼差し

 

「くっ、み、見つめても駄目だ、期待しても駄目なものは駄目だ!!」

 

 

 

 

 




本編のシナリオほぼ出来上がってるけど複数エンディングが思い付いて迷う‥‥。迷って書けずに早くも11月か。

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