生き残った軍人と潜水艦   作:菜音

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さてと、ようやくこの話も本来の目的、カナと軍人の世界旅行のスタートです!!(すいません嘘です)


旅は道連れ 4日目

 

 

 

「これがその船か‥‥」

 

「わーあ!おっきー!」

 

大将閣下からの命令を受けた私はカナを連れて再び神戸港に来ていました。

 

何でも閣下が足となる船を用意してくれているとの事でしたがその船とは、

 

 

「まさかクルーザーとは‥‥」

 

それもたまに金持ちが持っているような大きな物で船内はリビング、キッチン、寝室さらには浴室を備えていて高級マンションの一室のような空間になっています。

 

 

まぁ、1人でも動かせて長い航海になるから住居性が高いのは嬉しいのですが‥‥

 

 

それにしてもこの配慮、そして、しれっと置かれていたスーパーボール。もしかして閣下は私がカナを連れている事に気づいていた?

 

 

「マスター荷物のせたよ!」

 

おっと!考えるのはここまでにしょうか。

 

 

「そっか。なら出港するよ。最初に少し寄り道するよ。」

 

「はーい!」

 

 

 

さて、これから長い旅の始まりですね。しばらく日本ともお別れです。少し寂しい気もしますけれどもカナと一緒に行けるから楽しみの方が勝りますね!

 

 

 

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私が向かったのは沖ノ島です。

 

 

沖ノ島はいわゆる条約に明記された特例域です。

ここは現在深海棲艦によって管理されており、ここの艦隊は比較的友好的で鎮守府がコンタクトを取っている群体でもあるため暫定的な大使館のような機能をなしています。また、ここの艦隊は日本への抑止力でもあります。

 

ここを押さえておけばまた日本に侵攻が可能であり、ここから日本を監視する事ができます。

 

深海棲艦は日本が深海開発のための施設を全て放棄し、その再興の兆しが無いことが確認できたら返還してくれるらしいです。

 

私はここである人物に会う予定です。

 

 

確か、すでに鎮守府経由で連絡が来ているはずだから時間に関して正確だからそろそろかな‥‥

 

 

「マスター前から何か来るよ!」

 

ほら、来ましたね。

 

前方から黒い影が見えはじめた。影もこちらに気付いたようでどんどん近寄ってくる。

 

 

「あっ!ル級さんだー!」

 

「久しぶりだな。人間、カナちゃん。」

 

「久しぶりルリさん。」

 

 

このル級は元沖ノ島占領艦隊の旗艦でカナ達を託したあのル級さんです。

 

会談が終わってからは時々話してます。

 

 

 

その時にル級に他のル級と見分ける為に、後はこれまでのお礼も兼ねて瑠璃色のリボンをプレゼントしました。

 

彼女は恥ずかしがって髪に結んでくれませんでしたが代わりに腕に結んでくれて少し嬉しそうでした。

 

 

なのでそれ以来ル級さんの事をルリと読んでます。

だって、ル級さん名前無いし、いつまでもル級では味気ないから。

 

 

「その‥‥ルリって言うのは決定なのか‥‥?」

 

「決定です。」

 

「はぁ、名前を勝手に付けるのは構わんがせめてもう少し強そうな名にしてもらいたいが‥‥」

 

「ル級さん、ルリ可愛いよ?」

 

カナがルリを誉める。しかし、可愛い子に可愛いと誉められたルリは複雑そうです。

 

「可愛いのが問題なんだが‥‥」

 

ル級‥‥ルリさんは今は沖ノ島駐屯群の中でも偉い立場だそうです。だからか威厳を保ちたいが為に可愛いでは困るだそうです。

 

 

 

「それではこの話はこの辺で、今回の依頼についてです。」

 

「お?うん、話は聞いてる。私が貴官の護衛に付く事になった。」

 

 

私が鎮守府経由で依頼したのは護衛と案内です。

 

 

この旅の難題は、はぐれの存在、深海棲艦の実態に疎い事にある。

 

 

交渉するにしても相手の事が分からなければ話が出来ない。その前にはぐれに襲われたら論外である。

 

 

そこで実力もあり信頼できる深海棲艦に随行してもらおうと言うわけです。まさかルリさんが来てくれるなんて。

 

 

「よろしくね♪ルリさん!」

 

カナが笑顔で言う。彼女も知ってる人で嬉しそうだ。

 

「よろしく頼む、大佐、カナちゃん。」

 

「あの‥‥私も名前でお願いします。」

 

「えっ、な、名前だと?」

 

じーーーー

 

 

「‥‥ふん、わかったよ。雪村大佐、これでいいか?」

 

「あ、出来れば下の方で‥‥」

 

 

「調子に乗るなーー!!」

 

ルリがツッコミ代わりに主砲を私に向けるのだった。

少し怒らせ過ぎました。

 

 

ちなみに彼女が引き受けくれるのはこれが公務だからである。個人的に頼んでやってくれるかわからない、いえ、真面目な彼女の事だから断られますね。

 

 

 

 

「もういい!早く出航するぞ!」

 

「は、はーい。」

 

 

こうして、私とカナ、ルリの3人による旅がスタートしました。果たして何が待ち受けるのやら‥‥

 

 

 

 

 

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「ねぇルリ、ここから1番近いのはどこの勢力?」

 

「う~ん、ここからだとマリアナ諸島近海にいる奴らか?」

 

 

マリアナ諸島

 

かつては観光地としても栄えていてアメリカ軍の基地もあったがそれが災いして徹底的に攻撃を受けたそうです。

 

 

現在は再びここを領有しようとするアメリカとこれを機に自国に取り込もうとしている周辺国とここに居座る深海棲艦とでバッチバチな状況にあります。

 

 

これにとうとうしびれを切らした国家がそこの群体を怒らせて応復を受けているとか‥‥

 

 

つまり戦闘に発展していてここを通る船が片っ端に沈められてるのである。ここの安全な航海権を得なければ日本も被害を被る。

 

 

「最初はそこだね。」

 

「そうか‥‥この辺りははぐれが多い。気を付けろ。」

 

「了解!」

 

最初の目標はマリアナ諸島に居座る深海棲艦。

狙うは日本国籍の船の航海権とその安全保障かな。

 

 

「私マリアナ諸島にいたことあるよ!」

 

カナはマリアナに居たことがあるらしい。

 

「カナあそこの事知ってるの?」

 

「海が綺麗なの、だけど米軍が余計な事するから姫がぶち切れたの。」

 

 

そう言えば、開戦前に起きたマリアナの合同演習の参加艦艇が全て失踪した事件は深海棲艦が原因だったとか。確かアメリカが作った新作兵器のプレゼンも兼ねててその兵器が深海棲艦を怒らせた理由とか、

 

 

つまり四カ国の艦隊を一気に消した張本人か‥‥

 

 

 

いきなりヤバそうな相手ですね‥‥

 

 

 

「カナ、そこの旗艦について何か知らない?」

 

「うん、あそこの姫様は‥‥う~ん」

 

当然事ながら姫クラスか‥‥

一癖ありそう。だけど案外その方が活路があるものです。

 

「どんな些細な事でもいいから」

 

「確か‥‥‥‥そう言えば」

 

 

 

 

 

 

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マリアナ諸島・ロタ島

 

 

マリアナ諸島の深海棲艦はグアムの向かいにあるロタに拠点を置いています。

 

 

ここに来るまでに哨戒艦隊に何度か出会したが、そこはルリさんが事情を説明、どうにか事なきを得ました。

 

そして、なんとか取り次いで貰ってここの旗艦に合わせてもらえる事になった。

 

 

 

「ルリさんがいなかったら多分死んでた‥‥」

 

軽巡以下の奴らは問答無用に襲ってくるし、たまに話を聞かない者もいるから。そんな時、ルリさんが出ていてなぎ倒していくし、さっきもチ級を投げ飛ばして、「まだやるか?」なんて言ってたんだから格好いいです。

 

 

 

「そんな事よりこれから面会だぞ?しっかりしろ。」

 

「マスター!頑張れ!」

 

うん!頑張る!

 

 

 

 

 

 

私は彼らの拠点の奥に通されました。

そこにはテーブルと椅子が用意されていて案内してくれた深海棲艦はここで待つように言うとその部屋から出ていきました。

 

 

カナとルリは別室で待っています。

 

 

 

「流石に緊張しますね‥‥」

 

中枢と繋がりのある沖ノ島の幹部であるルリが一緒だから交渉で決裂したからといって殺される事は無いだろうけど、相手はアメリカ軍を短期間で粉々にした群体の長、何をされるか分からない。交渉が決裂したため使者が殺されるケースは成功するケースよりも多いです。

 

そもそも成功したケースを聞いた事が無いです。

 

 

 

5分後

 

 

扉が開き1人いや2人入ってきました。

 

 

「お待たせしてすいません。私がここの旗艦の港湾夏姫です。こっちが今回の会談の記録を取る書記のリ級です。」

 

「よろしく頼む。」

 

出てきたのは笑顔の素敵な姫と反対に無口そうなリ級です。

 

 

「はじめまして、日本から来た雪村と言います。」

 

「はい、細かいお話は既に沖ノ島から伝達が来てますので把握してます。遠路はるばるご足労ありがとうございます。」

 

「‥‥」

 

「あの?何か?」

 

「いえ、イメージしていたのと違っていて‥‥その、あまりにお綺麗で‥‥」

 

「あら!イヤだ。お上手なことで。ふふふ♪」

 

 

あれ?こんな綺麗で優しそうな人があんな過激な事を指示した張本人なの?

 

 

 

「ふふふ、この前の客人はあまりに失礼な方でしたので海の藻屑にしましたわ。貴方はそうではなくて安心しましたわ。」

 

あ、そうでもないです。なに上品に物騒な事を言っているの?!

 

 

 

とりあえず、それぞれ席について会談を始めようとすると、リ級が水の入ったコップを持ってきた。

 

「どうぞ」

 

「あっ。ありがとうございます。」

 

私は躊躇わずその水を飲む。うん、綺麗な水です。

 

 

「あら?お気には触りませんの?」

 

「いえいえとんでもないです、これは貴方達なりの誠意であることは知ってますから。」

 

 

客人に対してただの水でおもてなしする。

これを国を代表する人なんかにやればそれは歓迎していない、見下している等と思われても仕方がない。

 

これが交渉が決裂する要因の一つです。

 

 

しかしだ。考えてもみてほしい。よく勘違いしやすいが島は水が不足しているのだ。しかも深海棲艦が占領している島は無人島、かつては住んでいたが既にライフラインが壊滅して数年が過ぎている島である。そこに飲める水があるのが凄いのだ。

 

つまりそれを深海棲艦は苦労して用意してくれているのだ。たまに姫によっては人間の嗜好品が好きで置いてある事もあるらしいけど‥‥

 

 

あ、ちなみにこれらの話は仲良くなった深海棲艦達から聞いた話です。いーや、知ってるのと知らないのでは違いますから!

 

 

 

 

 

「そうですか。良かったわ。」

 

港湾夏姫も安心したようだ。

 

「貴方が怒ったら殺ろうと思っていたので‥‥」

 

そうですか。私も安心しましたよ。やっぱり知ってて良かったです。

 

 

「それでは早速話に入りましょう‥‥」

 

「と、その前に‥‥」

 

私は話を止めた。これに深海棲艦の二人は何事かと思う。

 

 

「まずはコミュニケーションの一環として貴方の名前を決めませんか?」

 

 

 

さぁ、私の命と日本の国益をかけた交渉の始まりです!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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