生き残った軍人と潜水艦   作:菜音

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カナの後輩 6日目

 

 

 

「やっと見つけましたよカナ先輩!!」

 

「あははは‥‥」

 

カナのことを先輩と呼んだ深海棲艦の子はカナに詰め寄っていた。

 

一方のカナはその子の事を知っているようではあるが、かなり困惑していた。

 

 

「いままでどこに行っていたのですか!いきなり居なくなったから私は心配で心配で‥‥」

 

「ご、ごめんね、ヨウちゃん‥‥。」

 

カナがヨウと呼んだこの子は、見たところ潜水艦のヨ級だろう。

 

「カナ、この子は?」

私はカナに聞いてみた。

 

「うん、この子は‥‥」

 

しかし、カナの説明は阻まれた。

 

「なっ!どうしてここに人間が!?それよりもどうしてカナ先輩が人間なんぞと一緒にいるんですか!?」

 

「それはね‥‥」

 

「誰が口を開いていいと言ったの?」

 

私が説明しようとするとヨウは私に魚雷を向けていた。あと少しで私にあたり爆発しそうだ。あれ?いくら好戦的な深海棲艦でもこんなに早く手を出されます?

 

これ、一歩間違うと外交問題ですよ?先ほど交わした約束を反故にすることになって結果この子が聖夏さんの怒りを買いますよ?

 

しかし、その心配はありませんでした。

 

「貴女、マスターに何してくれてるの?」

 

「へっ?」

 

気が付くとヨウはカナによって地に叩きつけられていた。

 

それもそうだ。見たところこの子はノーマルだけど、カナはフラッグシップだからね。

 

「ヨウ、覚悟はできてる?」

 

「せ、先輩‥‥ま、待って!どうして私がこんな目に?!」

 

「ふっふふふふ 」

 

「あっ!その笑いは本気の時の!い、いや‥‥ひいいい!」

 

「待ってカナ、ストップ。」

 

「うん わかった。」

 

流石に可哀想になってきたので止めることにした。あと、カナの意外な一面とガチの時の笑いを知れたのでそのお礼かな。

 

「マスターのお願いだから許してあげる。」

 

「こ、怖かった‥‥どうしてカナ先輩が人間の言うことなんて聞いてるの?」

 

「それはね‥‥。」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

そんなこんながあり、戻りが遅かったことをルリさんにどやされながらも私たちは次の目的地を目指してロタ島をあとにしました。

 

 

「それで、次はどこに行くんだ?」

ルリさんが尋ねてきました。言われると思っていましたが、果たして許しがでるかな。

 

「そうですね、少しコースが逸れますが大陸に近いある島に行きたいです。」

 

「何?‥‥もしや何か掴んだのか?」

 

「はい‥‥。」

 

 

ここに来て正解だったかもしれません。聖夏さんから貴重な情報を得ることができました。そうです。行方不明になっているマシロについてです。

 

 

 

会談が終わった後

 

「では、交渉は成立ですね。ありがとうございました。

 

「いえいえこちらこそ。新刊の件はなにとぞよろしくね。」

 

「はい勿論。」

 

聖夏さんはもう嬉しさのあまり浮かれていますね。

 

そんなに新刊が欲しかったのですね。確かに続きが気になって仕方がないあの苦しみは理解しますけどね。

 

今なら何か聞けるかも‥‥

 

「あの、聖夏さん。少しお聞きしたことが。」

 

「はい?何でしょう?」

 

「ある深海棲艦を探しているのですが、何か知りませんか?この子達なんですけど。」

 

私はソラとマシロの写真を見せた。

 

「うーん、ソ級はたくさんいますけどこんなに違うソ級なら見間違えるはずがないですわ。」

 

「そうですか‥‥。」

 

ここにはソラはいなかった。手がかりなしか。

 

「でも、もう一人の、潜水新棲姫なら会ったことがあるわ。」

 

「本当ですか!?」

 

「ええ、あれはまだ潜水新棲姫が増産される前でしたわ。」

 

増産される前!!

 

間違いない!マシロかもしれない!!!

 

「何か話しましたか?」

 

落ち着け、まずは聖夏さんの話を聞こう。何かわかるかも。

 

「うーん?たしか‥‥。そうだわ!眼鏡!」

 

「眼鏡?」

 

「あの子は私に聞いていたの、眼鏡をかけた深海棲艦を知りませんか、とね。」

 

「眼鏡をかけた深海棲艦‥‥」

 

「多分ですけど、集積地棲姫のことだと思うわ。」

 

わたしも色々な深海棲艦に会って来たがそんな深海棲艦は知らない。

 

一体何者なのでしょうか?いや、そもそもなんでマシロはその存在を知っていた?

 

「たしかに彼女は表にはあまり出ない人ですからね。」

 

「居場所を教えたのですか?」

 

「ええ、勿論です。貴女も知りたいのかしら?」

聖夏さんは机に交渉の時に使うために広げられていた地図を見るように促した。

 

「ここよ。」

 

私は彼女のさした場所を見た。

 

「ここは‥‥。」

 

「時効だから言いますけど。」

 

聖夏さんが徐に口を開いた。

何やら重大な事を話してくれるみたいです。

 

「ここはかつて、新型艦の開発実験を行っていた実験施設があったと聞き及んでいます。」

 

「実験施設?!」

 

「残念ですがこれ以上は私の口からは言えません。けれども‥‥」

 

聖夏さんが綺麗な文字で何かを書いてくれた。

 

「これを持って行ってて。」

 

「これは?」

 

「私からの手紙です。これがあれば集積地棲姫も会ってくれるはずです。」

 

あとは直接聞いて来るしかない、そう言う訳ですね。

 

「わかりました。ありがとうございます。」

 

「だから新刊の件は本当によろしくね♪」

 

結局そこに戻るのか‥‥

ちゃっかりしてるのは聖夏さんも同じでした。

 

 

 

 

 

 

ようやく掴んだ手がかりです。

 

マシロを追える可能性がわずかにでもあるならすがり付きたいところです。しかし、ルリさんはあくまで任務の為に付いてきてくれているだけである。

 

彼女は誠実であり、任務には忠実です。

そんな彼女が任務とは無縁の私事で寄り道を許してくれるものなのか?

 

ルリさんは物凄い剣幕で睨んでいます。

うっ、やっぱりダメかな~

 

 

「雪村大佐」

 

「ハ、ハイ!」

 

「お前が何を考えているが知らないけど、何を目標にしているかぐらいは理解しているかつもりだ。だが任務は大事だ。」

 

「はい‥‥」

 

「しかし、任務達成の為には時には休息も必要だ。丁度かなり大きな交渉が終わったのだ。休息を挟んでもいいだろう。」

 

「ルリさん?」

 

「なぁに。その休息中にお前が何をやろうと私は干渉しないし、それに私の仕事はお前の護衛で監視じゃあないし。」

 

「ルリさん!」

 

「行きたいのだろ?」

 

「ハイ!!」

 

 

よし!ルリさんが黙認してくれました。

 

 

「マシロちゃん‥‥」

 

カナが祈っている。

妹分の無事と再会を‥‥

 

そうです。私は必ずカナと共にマシロと、そしてまだ航跡すらないソラを見つけ出して本当の意味で賭けに勝つのだ!

 

 

「よし!出発しよう!目的地は‥‥」

 

「ちょっと待ったー!!」

 

誰です、私がカッコ良く決めようとするのを遮ったのは‥‥

 

 

「あっヨウちゃん‥‥」

 

「人間、私も連れていって。」

 

先ほどヨ級が来ました。

 

「何だ?このヨ級は?」

 

ルリさんがヨウを睨んだ。

 

「ひぃ!ル、ル級!」

 

こらこらルリさん、止めてあげて。怖がってるから。

 

 

「ルリさん怖いからねぇ。」

 

「ふん。」

 

「そ、それより!私も連れてくれるの?くれないの?」

 

「そもそもどうして付いてきたいの?」

 

私の質問にヨウは黙った。

 

「だ、だって‥‥」

 

「だって?」

 

「私、もうカナ先輩に遠くに行って欲しくないの!」

 

「そっか。」

 

「そ、そんなヨウちゃん!だ、だめだよ。私にはマスターという人が‥‥」

 

「カナちゃん、多分使い方間違ってるぞ。後、話がややこしくなるから止めなさい。それで雪村よ、どうする?お前が決めろ。」

 

私はヨウを見る。

 

彼女は私を睨んでいるが先ほどのような殺意は感じない。また、断られたらどうしようと内心ハラハラしているのが分かる。

 

通常の深海棲艦でここまで個性が表れてる子は珍しい。

 

少し可愛いかも‥‥

 

 

 

「イイよ。ついて来て。」

 

「ふぅ、ヨカッタ‥‥」

小声ではあるがホッとしているようだ。

 

 

「これからよろしくね。私は雪村。」

 

「ふん、勘違いしないでね。私は先輩を人間なんかに渡したくないだけで、そのために付いていくだけだからね。」

 

「わーい、ヨウちゃんとまた一緒だね。」

 

「ハイ!カナ先輩♪」

 

私と態度が違う‥‥

 

「でもね?マスターに失礼な事をしたり危害を加えたらたとえヨウちゃんでも許さないからね♪」

 

「そうだな。コイツを殺されると日本との関係が悪くなるし、私も姫達から叱られるからな。もし何かしでかしたら海の藻屑にするからな?」

 

「は、はい‥‥」

 

ヨウは二人に念押し(脅迫)されて縮んでいた。

 

カナちゃんがなんだか怖い顔してる。

てか、ルリさん!私が死んだらそこまで外交的に不味いの?姫達に叱られるって私の心配はしてくれないの?

 

 

「ん?お前、意外そうにしてるが日本近海はお前の事を気に入ってるぞ?中にはお前がいるから大人しい姫もいる。」

 

どうやら知らないうちに私は日本を守っていたようだ。

 

 

さて、新たに連れが増えたところで今度こそ行きますか。目指すは深海棲艦の実験施設のある島、マシロの足取りを掴むための航海へ。

 

 

 

 

 

 

 

 





どうも菜音です。
えー、特に応援はありませんでしたが欲求不満ちゃんの出演が決まりました。しかし、彼女の扱いを決めかねているので意見を貰えれば幸いです。
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