FAIRY TAIL【十代目レイヴマスター】 作:神爪 勇人
むかーしむかーし・・・・・・言うほど昔じゃないかもしれんが、シルバという超絶イケメンスーパーハイパーなパーフェクト男子がいました。
そう、彼はある物を探していた。
それはかつて、伝説の聖石使いの勇者が使っていた伝説の剣。
その名は——————
剣を求めて三千里(三千里って何キロやろ・・・・・・)、初めて出た森の外の世界にウッキウキでくりだし、村や町を散策し、鬱陶しい姉弟子や師匠がいない完全な自由人を満喫していたが、当然修行と卒業試験は忘れていない。
色んな場所へ赴き情報収集に励んでいたが、やはり伝説の剣というべきか、中々それらしい情報は見つからない。
しかし『伝説』なのだから、何かしら逸話はあるはずだ。
それから大きな街についた時に蔵書が豊富な図書館に向かったりして、ようやくそれらしい情報を得た。
大昔にあったという、光と闇の戦争。
その戦争で使われたという聖石と、伝説の剣。
そして、それらを使った勇者の話を——————。
◆◆◆
「・・・・・・ここか」
早朝に森林伐採して自作したイカダに乗ってどんぶらこと海を行き、途中で大破して結局泳ぐ羽目になっちまったが、なんとか昼過ぎに目的の島へと流れ着く。
海岸へ上がり辺りを見回すが、人の気配はない。
ボロボロになった看板らしきものが砂浜に倒れていた。
「・・・GA・・R・・・GE・・・・・・CO・・・ST」
たぶん『GARAGE COAST』。
ガラージュ島の海岸って意味だろう。
「やっぱ此処が『ガラージュ島』で合ってんのか・・・・・・」
聖石と伝説の剣を使った勇者。
そいつの故郷がこの島なんだとか。
とはいえ、とっくの昔に過疎化し今は誰も住んでおらず無人島になっており、この島がガラージュ島という名前だと知っている人も殆んどいないのだとか。
そんなことを島から近い港町のオッサンから聞いた。
「ま、この島に『TCM』があるとは限らねぇけど」
それでも他に手掛かりとかねぇし、探すだけ探すとしようかね。
海岸から伸びる道を進んでいき、錆びついた看板が見えた。
『TOWN』と書いてるから、きっとこの先に町があったんだろう。
進んで行くと、蔦や草木に覆われた建物や、朽ち果てた家などが見える。
「『CAFE TSUBOMI』・・・ふーん、こんな島にも茶店とかあったんだな」
町を歩き回るが、やはり人の気配はない。
完全に無人島だ。
見た感じ住宅地らしきものあったが、どれが件の勇者が住んでいた家なのかは流石に分からない。
「・・・・・・虱潰しか」
まぁ、幸い大きな島じゃない。
走り回れば島中を探索するのはそう時間はかからない。
何か手掛かりがあればいいんだが・・・・・・——————————
◆◆◆
「——————・・・・・・これ、か?」
島中を走り回り勇者の手がかりを探す最中、腹が減って海岸に出て魚を素手で取り焼いて食った後の事。
海岸から見える崖から奇妙な気配を感じ取り、そこへ向かってみるとある物があった。
・・・・・・墓と、その横に地面に突き刺す形で、一本の大剣と杖があった。
剣を視てみれば、俺が首にかけるネックレスと同じ形をした窪みがあった。
何か手掛かりでもあればいいと思ったが、手掛かりなんてものじゃない。
剣そのものがあった。
【タルナ全書】の一件の後マグ婆から聞かされた、俺のネックレス。
これがかつて勇者が使っていた聖石で、何故か俺が持っていたのだとか。
ネックレスの鎖部分を外し、聖石を剣の窪みに押し込んでみる。
・・・・・・ピッタリと一致した。
瞬間、少し煤けて見えた剣がボシュっと音をたて、刀身が鉄色に変化した。
「マジか、これで卒業試験クリアか!?」
マグ婆の下から旅立ってまだ一ヶ月も経過していない。
思ったよりも早く試験が終わってしまった。
別に長く続いてほしい訳でもないけど。
「んー・・・・・・つか、この剣がホントに伝説の剣なのか?」
石を嵌め込んだら変化したのだから、たぶんこの剣が目的のTCMで合っているのだろう。
実際、石を嵌め込んでから剣の存在感というか、不思議な気配が発せられた。
・・・・・・そう、石をはめ込んでからだ。
それまでこの剣からは何の気配もなかった。
「気配あったのコッチなんだよな・・・・・・」
横にある杖を視る。
どことなく鳥と翼を思わせるデザインの杖で、杖の先端の装飾部分の宝石らしきものに、俺の石と同じデザインが施されている。
聖石と同じ装飾で、奇妙な気配を発して、伝説の剣と同じ場所にある。
・・・・・・どう考えてもただの杖じゃないよな。
「この墓に入ってる人のもんか?」
墓石に刻まれている名を視る。
『SAKURA・GLORY 0023~0056
GALE・GLORY 0021~0061
SHUDA・・・・・・・00・・・~00・・・
CATTLEYA・GLORY 0046~0・・・
HARU・GLORY 0050~・・・・・・
ELIE・GLO・・・・・・~0・・・・・・』
ところどころ墓石が風化してるせいか欠けてて読めないが、この中の誰かがこの剣と杖の使い手なのだろう。
「・・・・・・ま、いいか」
誰かは問題じゃない。
剣のついでに杖も貰っていくか。
この無人島に置きっぱなしなら、所有者なんていないだろうし。
「・・・・・・あん?」
ふと、海岸を・・・いや、その先の海を見る。
人の気配がした。
見れば、一隻の船がこの島へと向かっていた。