FAIRY TAIL【十代目レイヴマスター】 作:神爪 勇人
「炎竜旱天‼」
ゴウっと、俺の口から放たれる竜の咆哮。
放たれた炎の奔流が、目の前の標的を焼き尽くす。
「よっし! いい感じ‼」
「だいぶ上手くなってきたな」
ただ炎を吐くだけじゃない。
その力加減もばっちりだ‼
「良い焼き加減だぜ‼」
「やっぱ魚は焼くに限るな」
俺のブレスで焼いた魚を食すボム。
人里離れた森の中での修行も、もう7年近くになるのか。
赤ん坊の頃、川に流れていたところをこのボムに拾われて、ボムの飼い主(?)のマグ婆ちゃんと孫のエレナと共に育ち、魔法を学ぶ日々。
ボムから教えて貰った【滅竜魔法】を始めとする色々な魔法と、エレナとの組手で身に付けた体術、マグ婆さんからも様々な知識を教えてくれた。
何故こんなに魔法を学んでいるか・・・・・・それは、一流の魔導士になる為だ。
何故俺が一流の魔導士になりたいかというと・・・・・・特に理由はない。
いや、魔導士の婆さんに、魔法を使えるドラゴンに、魔導士を目指している娘がいる所で育ったせいか、なんか取りあえず魔導士目指しとけよというノリなだけで、深い意味は無いのだが。
「今更、本当の両親を探そうとも思わねぇしなぁ・・・・・・」
川を流れてきた俺を拾ったボムが当時、川の上流の様子を見て来て炎上してる研究施設を見つけて色々調べてくれたが、俺が何処の誰かまでは分からなかった。
分かったのは、その研究所は俺の様な魔力的・魔法的問題のある子供を預かっていた事と、何かしらの研究をしてたって事くらいか。
人里からかなり遠く離れている事を考えて、危険な研究をしていたのだと思うが、真実は分からない。
・・・・・・そこまで興味もないしな。
◆◆◆
「デビルマ全書が盗まれたらしいのよ!」
「・・・・・・あ、そうなんだ?」
いつものように魔法の練習や勉強の日々を送る俺に、唐突にエレナがそう言った。
「つか、『デビルマ全書』って何?」
「アンタそんなことも知らないの?」
小馬鹿にした感じがスゲェムカつくが、俺はエレナの解説を聞く事にする。
『デビルマ全書』
それは、恐ろしい悪魔を召喚する魔法の書物。
なんでも『ゼレフ書の悪魔』の一体なんだとか。
『ゼレフ書の悪魔』・・・・・・確か400年前に存在していた大魔導士で、彼が作り上げた魔法道具の一つなのだとか。
・・・・・・あれ、かなりヤバくね?
悪魔ってのがどれくらい恐ろしいのかは知らないが、400年経過した今でも名を遺すほどの大魔導士が作った悪魔だ。
相当危険なのだろう。
「で、その危険な『デビルマ全書』が盗まれたって?」
「そうよ」
「誰が盗まれたんだ?」
「マグ婆ちゃんよ」
「婆ちゃんかよ・・・・・・」
俺とエレナの育ての親にして、ボムの飼い主(?)。
マグ・アルテーリア。
聖杖マリアブレイクという杖を使う、聖なる魔法の使い手だ。
ボムと共に俺達に魔法を教えてくれる師匠でもあるのだが、ワリと乱暴なボムが可愛く見える程のスパルタババアだ。
無茶な修行を俺達に課しては「文句あっかい?」と睨みを効かせるババアだ。
川に流れてた赤ん坊だった俺を拾って育ててくれた恩義はあるのだが、それでも偶にそのまま放置してくれればよかったのにと思わない事もない。
そんな婆さんだ。
ま、かなりの魔法の使い手なのは間違いないだろう。
なんせずんぐりむっくりとはいえ、ドラゴンのボムに言う事利かせてんだから。
「だから、そのデビルマ全書を取り返そうと思うのよ!」
「誰が?」
「私とシルバが」
「俺もかよ」
「もしもデビルマ全書を取り返せば、きっとマグ婆さんも私達を見直すはずよ‼」
「どーせ後で怒られるだけだと思うがな」
「いや! やってやるわ‼ やあぁぁぁーってやるわッ‼‼」
気合入りまくりだなぁ、おい。
「取り返すっつってたけどよ、ギッた奴の目処は付いてんのか?」
「あ、誰が盗んだのかは知ってるわよ」
「あん?」
「という訳で行くわよッ‼」
ガシッと俺の首根っこを掴んで引き摺り駆け出すエレナ。
「ちょっと待て! せめてボムと一緒に行った方が良くないか!?」
「ボムはダメよ、今マグ婆さんに絞められてるから」
「・・・・・・またなんかやらかしたのか」
この間はマグ婆さんの秘蔵のワインを勝手に飲んでシバキ回されてたな。
「だから、マグ婆さんがデビルマ全書を盗まれたことにすら気づいてない今の内に取り返して、私達が一人前のプロ魔導士だって認めさせてやるのよ‼」
「それが狙いかい」
こうして、俺とエレナの『デビルマ全書』奪還が始まった。
.
『大雑把な解説』
【
滅竜魔法。RAVEだと毎度御馴染みの技で魔法ではない(と思う)。竜人族の技で竜人族は魔界出身だった(と思う)から、まぁFAIRYTAILでは魔法扱いでも良いんじゃないか?という適当さで決めた。
ボムから教わった滅竜魔法。
【デビルマ全書】
読み切り版FAIRYTAIL―――――『
キャラの言動と魔導書の名前から察して、色々な悪魔を召喚することが出来ると思われるが、ここでは『ゼレフ書の悪魔』の本の一冊という設定。