FAIRY TAIL【十代目レイヴマスター】   作:神爪 勇人

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『小説家になろう』ばかり更新してて、今年に入ってからまだ一度もハーメルンで更新していない事に気付いたわ。



第8話 聖石を継ぐ者

「ハァー、やっと動けるわ・・・・・・」

 

やれやれと言わんばかりに肩を回すエレナ。

ババアがぶっ倒れて気絶したため、石化の魔法が解けたようだ。

 

「・・・・・・いっそそのまま石になってりゃよかったのに」

「なんか言った?」

「いやなんでも」

 

口笛を吹く俺、誤魔化しは完璧だ。

エレナが睨んでるのはきっと気のせいに違いない。

そんなことよりも、だ。

俺は手に握るネックレスを改めて凝視する。

 

「コレ、マジで何なんだ?」

 

俺がボムに拾われた時には既に持っていたらしい十字剣の様な形状をしたネックレス。

石化を無効化したってことは状態異常に対する抵抗(レジスト)の力でも宿したマジックアイテムなのかと思いきや、これ握ってぶん殴ったら何か爆発した。

状態異常無効化はまだ分からなくもないが、ネックレス型マジックアイテムで握って爆発はねーだろ。

実はこれネックレスではないのか?

・・・・・・帰ったらボムとマグ婆に聞いてみっか。

 

「あー、あったあった! コレよコレ‼」

 

エレナの声に視線を向ける。

・・・・・・エレナが気絶して倒れているババアの衣服を漁っていた。

追剥か何かかコイツは。

そんなエレナはババアの服の中から一冊の本を取り出していた。

アレが件の『デビルマ全書』ってやつか。

・・・・・・あのノースリーブのワンピースの様な服の何処にあんな分厚い本を隠し持っていたのかはあまり考えない方が良いかもしれない。

 

「よっしゃぁっ! これであたしも一流の魔導士よ‼」

「いや、別にこれ取り返したらプロ魔導士に成れるわけじゃねーからな?」

 

エレナが一人で騒ぎ立てているだけで、ヤバそうとはいえこんな本一冊取り返しただけでプロ認定というか、婆さんから免許皆伝的なモンを貰えるとは思えん。

ま、態々取り返してきてやったんだから、ちょっとくらい認めてはくれるのかもしれねーけどな。

 

 

◆◆◆

 

 

「そう思っていた時期が俺にもありました」

 

頭に瘤を作りながら、今日の晩飯を調達する為に、俺とエレナは川で釣りに興じていた。

あれからゼレフ書の一冊である『デビルマ全書』を持って帰ったら、マグ婆に「何修行サボって遊んでんだい!?」と聖杖マリアブレイクで頭をブレイクをされた。

エレナが「遊んでないし! デビルマ全書を取り返してきてあげたのに‼」と口答えすると更にブレイク。

俺が「無理やり巻き込まれただけなんで、エレナは好きにしていいから俺だけは許してください」と珍しくも低姿勢な御願いをしたら「連帯責任だよアホンダラ‼」と更に頭がブレイク。

理不尽さに悪態吐くと「文句あっかい?」と更にブレイクしようと杖をちらつかせる。

何て性格の悪さ、あれで聖なる魔法の使い手とか嘘だろう。

きっとマグ婆自身がゼレフ書の悪魔に違いない、デビルマ全書から実態化した悪魔だろあのクソババア。

 

「はぁ・・・せっかくデビルマ全書取り返してあげたのに!」

「必要なかったみてぇだな」

 

聞けば、あのデビルマ全書は1ページ辺りに100万冊分の情報が詰まっている上に読むのに記号化など様々な封印措置をマグ婆が取ってたから、早々解かれる事は無いのだとか。

だから鍵も掛けていない倉庫の奥で放置して埃を被っていたのだとか。

寧ろそんなもんをよくあのバーバア・・・じゃなかった、バーバラとやらが見つけたもんだ。

何でもマグ婆がギルドに所属していた若い頃から因縁のある相手なのだとか。

それからライバル視されて今に至ってんだから、ある意味マグ婆の都合に巻き込まれたようなもんだ。

 

「つか、そもそもエレナが『デビルマ全書』を取り返すとか言い出したのが原因だよな」

「何よ、あたしのせいだっての!?」

「他に何かあんのかよ‼」

「悪いのはシルバでしょ‼」

「何で俺だよ!?」

「理由なんてないわよ‼」

「理不尽すぎだろ我儘娘がッ‼」

 

 

◆◆◆

 

 

「元気な奴等だな、あんだけ説教されといて・・・・・・」

 

釣り糸を垂らしながらギャーギャー喚き合ってるシルバとエレナを、ボムは葉巻を吹かしながら崖上から呆れつつ見下ろしていた。

 

「シルバのネックレス・・・・・・聖石(レイヴ)か。爆発したらしいな」

 

そんなボムの横には、同じく2人を見下ろすマグ・アルテーリアの姿もあった。

マグ婆とボムが見るは騒ぐシルバとエレナ―――ではなく、シルバの首にぶら下がっているネックレスである。

 

「色々と不思議な力を持つ聖石か・・・まぁ、魔石(ダークブリング)なんてもんの対策として造られたものって考えりゃ、それ位の力はありそーだな」

 

何でも初代と二代目は聖石(レイヴ)を埋め込んだ剣で戦い、その剣は十の姿を持つのだとか。

それだけでもとんでもない能力の魔法剣だ。

代々聖石と共に剣も継承されていたようだが、それもいつの間にか伝承が失われ、いつしか聖石使い(レイヴマスター)の名は古文書に残すものとなり、現代からはその名は失われた。

そんな聖石の力が発現し、その聖石を使う子供が今、ここにいる。

 

「偶然か、運命(さだめ)か。何にせよ、世界に何かが起ころうとしているのやもしれぬな・・・・・・」

 

殴りかかってきたエレナに対して拳を突き出しクロスカウンターでダブルノックアウトするシルバ。

仰向けにぶっ倒れたシルバのネックレス・・・十字の聖石を凝視し、マグ婆は嘆息した。


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