【???】
世界総人口の九割が個性という何らかの超常の力を手にする超人社会で、ヒーローと呼ばれる職業が存在していた。
ヒーローは敵を倒し、人々を明るく笑顔にする職業だ。
僕、緑谷出久はそんなヒーローに憧れてヒーローの名門、雄英高校に入学した。
無個性だったにも関わらず、オールマイトから個性を貰い受けた。
道中、様々な人から色々な事を教わってきた。
だから、僕は挫けない。
例えどんな試練や苦難が待ち受けていようとも、僕は笑って誰かを助けられるヒーローになるために。
【???】
上条当麻は不幸な少年である。
やっとの思いで終わらせた宿題のプリントが悪戯な風に飛ばされ、普通に乗り込んだエレベーターは急に停止して暫く足止めを食らい、急にお腹が痛くなりトイレに行きたくなっても近くにコンビニはなく、道端でワケあり少女に出会えば、最先端の科学技術だの極彩色に彩られた能力者だのが現れたり、初っ端から殺すことしか頭にない魔術師に日夜追いかけ回されたりと、とにかく不幸なのである。
上条は『頭からギュッと押さえつけられた不幸の分だけ幸福が待っている』などという都市伝説を信じない。きっと本当に不幸な人間というのは、神様が選ぶのは自由だけど何でそこわざわざ選んじゃうんだろう?と首を傾げるほど、自分ではどうしようもないところですっぽりと穴に嵌っている奴の事を言うのだと思っている。
故に、上条はアドリブに滅法強い。
およそ、計画通りに進んでいたものが途中で破綻することが常識と化している彼にとって、成功とは如何に目の前の出来事をアドリブ一本で押し通すかにある・・・・・・実際、過去の戦闘でも何度・・・・いや何十度という回数で危機を回避してきたのだ。
ここまでが大前提。
今度の問題も彼ならばもしかしたら、なんとかしてしまうのかもしれない。
常人ならば涙を流し膝を屈するような状況でも、優しくも温かい心根を保ち、肩で風を切って誰かのありふれた笑顔を守るために、その非力な拳を握り締めて目の前の難問に挑むのだ。
では、時を進めるとしよう。
【???】
ひたすら闇が覆う無の空間に人型の影が二つ互いに向き合う形で立っていた。
「どうやら、練りに練った計画の第一段階が始まったようね」
「ああ。これで引けなくなった。だが、これが成功すれば、我々は檻から解放されることになる」
「あははは。確かに、アレイスターがプランに集中し、魔神達が理想送りで消えた今なら僕達の邪魔を出来る者はいなくなった。でも油断は禁物だよ?
なにせ、僕達の計画に絡ませるのはアレイスターお気に入りの上条当麻なんだからさ」
二つの影は黙り込む。
上条当麻。
幻想殺しを所有し、かのアレを根底に持つイレギュラーな少年。
「アレイスターが介入してくる可能性はあると思うか?」
片側の影が不愉快そうにその輪郭をぼやけさせる。
「まず無理だね。第一段階とはいえアレイスターの信じる世界のゴム紐理論とは別の理論で展開してるからね。介入はまずないでしょ」
「・・・・・・・ならばいい」
二つの影は無の空間から消える。
そして、今物語は動き出す。