とある魔術の禁書目録―幻想虚空庭園―   作:巣猫

4 / 5
クロスヒーロー①

上条がスルトと戦闘を行っている間。

 

「いやぁ、まさか寮でパーティするから買い出しのペア決めで麗らかさんと一緒になるなんてね‼」

 

「せやね‼ デク君と最近あんまし喋れてなかったし一緒にいるの久しぶりやわぁ」

 

 雄英高校ヒーロー科一年。僕、緑谷出久と麗らかさんは先の会話の通り、買い出しのため街に出かけていた。

 ジェントルクリミナルとの戦いに勝利した僕は、見事文化祭を成功させエリちゃんに笑顔を与えることが出来た。

 しかし、その反面僕はジェントルの歩んできた人生、想い、そして夢を肌で実感するのと同時に、捻り潰した。

 

(敵ではあったけど、どこか他人事ではいられない・・・・・・もしかしたら僕も)

 

「エリちゃん。笑ってくれるようになってよかったよね‼」

 

「・・・・・・・え? あっうん‼ そうだね‼」

 

「どうしたのデク君? 何か文化祭以降、元気ないね」

 

 心配そうに顔を覗いてくる麗らかさんに、僕は顔を真っ赤にする。

 

(ち、近い‼ 顔が近い‼)

 

「だ、誰か‼ 誰かヒーローはいないか‼ 誰でもいい‼来てくれ‼」

 

 そんな声が唐突に上がり、僕と麗らかさんの顔はヒーローのそれになる。

 路地裏から現れたスーツを着た男性が、血塗れの姿で助けを求める。

 一瞬彼が大怪我したのかと思ったけど、よくよく見ると肩に担がれてるプロのヒーローから出血しているのが分かり、一般人が犠牲になっていないことに少しだけ安堵する。

 

「どうしたんですか⁉」

 

 僕と麗らかさんは男性の元へ駆け寄り、血を流すプロヒーローの安否を確認する。

 

「君達は?」

 

「僕達は雄英のヒーロー科です‼ プロが来るまでにそちらの方を応急処置させてください‼」

 

「雄英科の⁉ ならこの人を頼みたい‼ 私はまだやることがある‼」

 

「どういうことですか⁉」

 

「私は先程この路地裏から彼を運んできたんだが、それを実行に移せたのは真っ先に駆け出して注意を引いてくれた学生服を着た少年がいたからなんだ‼ 敵はヒーローの巡回が過ぎてから犯行に及んだようだから、しばらくはヒーローも来ないだろう‼ 大人として子供に全てを任せるわけには行かない‼」

 

「待ってください‼ 一般人が個性で戦うのは法律に違反します‼」

 

「なら、犯罪者になる覚悟で助けるさ‼」

 

 そう言ってスーツの男性は来た道を戻る。

 どうしたものかと見つめてくる麗らかさんに、僕は指示を出す。

 

「麗らかさんはその人を見てて‼ 僕はあの人を連れ戻して敵と戦ってる人を助けてくる‼」

 

「わかった‼ 気を付けてね‼ デク君‼」

 

「うん。行ってくる‼」

 

 そう言って僕は路地裏に入っていった。

 

 

 

          ※

 

 

 

そして時間と場所は戻り、現在。

 

 

 スルトの頭上からズドン‼と物凄い衝撃が襲い、その場一帯が砂塵に覆われた。

 

「いやはや。貴方にはつくづく苦悩させられますな、スルト?」

 

 砂塵が止むのをしばらく待っていると、薄くなった砂塵から丁度スルトが立っていた位置に、二つの影が浮き彫りになる。

 

「誰だ‼」

 

「おやおや、これは失礼。私の名はオーディン。〝組織〟の長をしております」

 

 影の一人が何やら長物を一振りすると、あれだけ多かった砂塵が消え去った。

 そして現れたのは老人と青年。

 老人は英国式の帽子を頭に被り、上質なデザインのスーツと革製の靴を身に纏い、オシャレな杖を持った気品溢れる老人だった。

 恐らく砂塵が消えたのは、この老人の能力に何か関係があるのだろう。

 

 もう一人の青年は、服装は白のTシャツ以外はジャケット、ズボン、靴その他全てが黒で統一されていて、更には女受けしそうな端整で凛々しい顔に、全てを底冷えさせるような冷たい瞳、長身で服越しでも分かるスラリとした体型なのに割と引き締まった体をしている。

 老人よりもこちらの方が危険だと直感で分かる。

 

「組織・・・・・だと?」

 

「ええ。貴方が今想像していたであろう〝敵連合〟とは異なる思想と目的を持った集団です」

 

「は・・・はぁ」

 

 何やら凄いことを言っているように思えるが、上条はここがどこで、どんな場所なのかわかってない。故に組織だのなんだの言われても、イマイチピンと来ないので反応が微妙になるのは仕方がない。

 

「それと、こちらのスルトを押さえつけているのは〝ルシファー〟。私の組織の一員です」

 

「クソッ離しやがれ‼ 覚えとけよ、クソジジイ‼ 俺はアイツに制裁を加えねばならんのだ‼」

 

「憐れだな、スルト。所詮お前はその程度の存在。俺の足元にも及ばん」

 

「グハッ‼」

 

 ルシファーは暴れるスルトを足裏で押さえつけ、更には後頭部に一発蹴りを入れただけでスルトの意識を刈り取った。

 気絶したスルトなど気にも留めずルシファーは上条を見つめる。

 

「ボロボロだな。お前」

 

「?」

 

「興味が湧かないな」

 

「失礼。彼はバトルジャンキーでしてね。強そうな相手を見つけると直ぐに戦いたがるのですよ」

 

「お前は戦っても弱そうだ」

 

 そう言ってルシファーは欠伸をする。

 

 その時だった。

 

 タタタタタタタ‼と、どこから来たのか電光石火の如く駆け抜け、体から雷のようなバチバチと音を鳴らしてルシファーに攻撃を加えようとした者が現れた。

 それはごくごくありふれた服装を身に纏い、上条と同じく固いボサボサしたを髪し、顔にそばかすのあるなんてことない普通の少年だった。

 

 しかし、その少年が生み出した力は凄かった。

 

 空気が揺れる。

 少年が振った拳に遅れて衝撃が伝わってきたのだ。

 

「ほぅ? 中々面白そうじゃないか」

 

 不意を突かれたにも関わらず、攻撃を余裕で回避したルシファーは少年の手首をつかみ取り、少年が跳んできた方向とは反対側に投げつける。

 

「面白い‼」

 

 そう言ってルシファーは、その冷たい瞳に色を灯して戦闘態勢に入るのだった。




緑谷とルシファーの戦いはどうなる?

やっと緑谷少年が出せました。あと、ついでにお茶子ちゃんにも登場してもらいました。
ヒロアカの女の子で好きなキャラはお茶子ちゃんと梅雨ちゃんのツートップなので、出せて満足です。

たった四話にして名前の判明している新キャラが三名と急激に増えております。
急激にかませ臭が強くなったスルトさん御免なさい(笑)。当初は真面目に強いキャラの筈だったのに、書いてたらいつの間にかこんな風に・・・・・・・。

これからも皆さんに楽しく読んでいただけるよう、頑張ります‼
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。