最狂戦士は異世界を行く   作:Mr. 転生愛好家

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どうかこれからお付き合いください


第1話 End&Start

「……こう見るとけっこう広いもんだな……」

 

 

 一人の男が玉座に座り、目の前の人気の無い広間を眺めていた。

 人が百人は軽く入ることのできる大広場、そこには人っ子一人おらずBGMのクラシック音楽が寂しく響いていた。

 

 

 体感型ゲームDMMO―RPG『ユグドラシル』。12年間続き多くのプレイヤーに愛された大人気ゲームも、時の流れには敵わず利用者を減らしていき遂にサービス終了となってしまった。

 黄金期には沢山のプレイヤーがいて、様々なギルドがあり、活気に満ち溢れていた。しかし今は多くのプレイヤーの引退により、黄金期に強勢を誇っていた大型ギルドも今は見る影も無くなっていた。

 

 

「まぁ12年も続けばこうなるか。むしろよく続いたな……」

 

 

 そしてそれは、彼のギルドも例外では無かった。

 巨大ダンジョン「魔導城塞都市イリス・ラトリアス」を拠点とした大型ギルド『英雄血盟団』。バトルガチ勢を中心に構成されたこのギルドは全盛期にはギルドランク7位として君臨していたが、今は新参古参含めて大勢いた構成員もいなくなり、全ては過去のものとなってしまった。

 

 

「ギルド長も飽きたからって俺に押し付けやがって……誰よりも熱意があったアイツが居なくなってから、一気に人数が減ったなあの時は……」

 

 

 誰もいないことを良いことに、彼は一人で愚痴り続ける。もうこのギルドには自分しか残っておらず、サービス終了までの数時間の間に誰も来ないことを彼は確信していた。

 

 

「残ってるのは慢性的にやり続けてた俺だけ……こんな末期のゲームに往生際悪く残ってるのは俺含めてほんの少しだろうな……」

 

 

 彼はユグドラシルが終わることに、ギルドに誰も来なかったことに何の感傷も抱いていなかった。むしろ今の状況は必然なことだと受け入れている様子だった。

 勿論、彼にもこのゲームへの愛着はある。しかしギルドに、ギルドメンバーに、彼らと積み上げて来た歴史にはそれほど愛着は無い。

 彼にとってこの世界は、自分より強い存在と戦うための手段でしかなかった。

 

 

「……あー……やっぱ暇だ……せめて一人でも話し相手が来てくれたらな……」

 

 

 流石に一人で愚痴るだけでは暇つぶしにならなかったらしく、愚痴るのをやめるとまた別のサービス終了までの暇つぶしを考え始めた。

 しばらく考えていると、何かを思いついたのか玉座から立ち上がりその後ろへと歩く。玉座の後方にはクリスタルで作られた台座があり、そこに装飾の施された金色の鞘に収められた剣が一本突き刺さっていた。

 男はその剣を引き抜き、王座に戻るとそれをじっくり観察し始める。

 

 

「オーバード・ワン。暴力の塊、破壊の化身…破壊力特価なのはいいけど一度も使ったことがなかったなぁ…」

 

 

 彼が持っているのはこのギルドの武器である「オーバード・ワン」。ありとあらゆる破壊系スキルを持つありったけの希少アイテムとデータクリスタルがつぎ込まれており、普段はPVPばかりやっていた彼も素材集めに参加していたので、基本ギルドに関心のない彼だがこのアイテムには愛着を持っていた。

 

 

 素材集めに何度も何度も同じダンジョンを周回し、心身ともにボロボロになった末に完成した一品。だがその努力の結晶も今日で見納め。故に彼は鞘、刀身、鍔に到るまでじっくりと見ながら苦労を懐かしむ。

 

 

「色々しんどかったが……まあ、仲間との協力もなんだかんだ悪くなかったな……」

 

 

 そんなこんなで色々と暇つぶしをしていた彼だが、ふと気づくと時間はサービス終了の三十分前。彼はオーバード・ワンを台座に戻し、再び広場を眺め始める。

 そのまま残り時間をどうするか考える。すると椅子に深く座るとそのまま目を瞑った。

 

 

(どうせならログインしたまま寝るか……)

 

 

 サービス終了までそんなに時間もないので、このままログアウトも味気ないと思った彼はログインしたまま寝ることにした。

 そのまま時間は進みサービス終了数分前、彼は熟睡していた。彼が目を瞑った後、結局誰もギルドに来なかったため彼を起こす者は誰もおらず、彼は寝たままサービス終了を迎えることになってしまった。

 

 

 サービス終了時刻が迫る中、彼は一人王座に座り寝息を立てる。そして時間は進んで行き、ついに……

 

 

 ユグドラシルが、終わった。

 

 

 

 

 

 

 ────────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

 嗚呼……皆、皆御隠れになってしまった……

 

 

 あの方々がいなくなった……創造主も、戦士のお方達も、街に住むお方達も、我々を統べるあのお方も……

 

 

 我々の存在意義はなんだ? あの方々に使えることの出来ない我々はどうすれば良いのだ? 

 

 

 …………いや

 

 

 …………この感じは……間違いない……

 

 

 

 あのお方達のどなたかがここにいらっしゃる! 

 

 

 

 行かなければ、行って忠義を示さなければ! 

 

 

 

 誰かを呼ぶ時間も惜しい、私だけでもあの方の元に行かなければ……!! 

 

 

 

 ……この場所は……ダメだ、我々はこの先には入れない……戦士のお方達しか入ることを許されない大広間、この先にどなたかがいらっしゃる……

 

 

 

 あなた達も…………ならば答えは一つ

 

 

 

 ここで出て来られるのをお待ちしよう。何時間でも、何日でも、何年でも。我々を置いて去られるのに比べたら、待つことなど屁でもない。

 

 

 

 我々はここでお待ちしております……ですから、どうか我々にそのお顔をお見せください、我々にあなたへの忠義を告白させてください。

 

 

 

 あなたは我々の最後の拠り所……どうか、どうか……我々を、見捨てないでください…………

 

 

 

 

 

 ────────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

「……ん……?」

 

 

 大広間の窓から差し込む日の光によって彼は目を覚ました。眩しさを鬱陶しく感じながら目をこすり視界をはっきりさせると、その目に映る景色に彼は違和感を覚えた。

 目の前に広がるのは寝る前と同じ光景、誰もいない大広間。思考がハッキリすると今の状況を訝しみながらも冷静に考え始めた。

 

 

「確か……俺はログアウトせずに寝て……なんだ、サービス終了が延期になったのか? それとも俺が終了日を間違えてたのか?」

 

 

 色々考えるが納得できる結論が出せず、仕方ないので最後の手段であるGMコールを使いGMに直接聞くことにした。しかし……

 

 

「……コンソールが開かないぞ? ……画面も……なんかおかしいような…………バグか? バグが起こってるのか?」

 

 

 GMコールなどを行うためのコンソールを開くことができず、更に本来ならいつも目の前に映ってるはずの時間やマップなどの表示もない。

 訳がわからず、そのまま別の機能を試してみたが一切反応は無し。重要なシステムが全て機能しない状況に陥っていることに彼は気づいた。

 

 

「……ちょっと待て……本当にどういうことだ……」

 

 

 試せるすべてのシステムが反応せず、何が起こってるのか知る手段が絶たれた彼は困惑や焦りなどから両手で顔を覆いうなだれてしまう。

 そのまま、彼はこれからどうすれば良いのか考える。しかし彼はまた別の問題に直面することとなった。

 不意に、彼は顔から手を離した。そして鎧に包まれた自分の手をまじまじと見た後、ゆっくりと自分の顔を撫でたり、両手で軽く頬を叩いたりした。

 そして最後に恐る恐る指で頬をつまみ、意を決して思いっきりつねった。頬に感じる「痛み」、ハッキリとそれを感じた彼はゆっくりと頬から手を離し、今度は頭を抱えた。

 

 

「……ユグドラシルでは痛みとかは感じなかった……今、頬をつねったら痛かった……」

 

 

 法律によりユグドラシルにおいて五感の一部は制限されており、触感も痛覚など一部が制限されていた。故に今発覚した新事実は彼をさらに混乱させた。

 

 

「……いくらクソ運営でも法律を破るほど狂ってはないはずだ……じゃあ、俺は犯罪に巻き込まれた……? いやでも、じゃあどうしてユグドラシルの景色のままなんだ……?」

 

 

 いくら考えても今の状況に納得ができず、多すぎる問題に彼の頭はパンク寸前だった。

 結局、結論が出せないので一度考えるのをやめて数回深呼吸すると、落ち着いたのか玉座に深く座り直してこれからどうするかを考え始めた。

 

 

 彼がいる大広間の出入り口はたった一つの大きな門しかなく、大広間から出るにはそこを通るしか選択肢は無かった。

 だが彼は大広間から出ることを躊躇していた。中から外の状態を確認することができないため、もしも門の外に何かがいると考えると出るに出れなかった。

 

 

 そしてそのまま数分間沈黙した後、ついに意を決した彼は動き出す。

 

 

「……あー! クソ! なるようになれだ!」

 

 

 勇気を出して立ち上がり、万が一戦闘などが起こった時の保険としてオーバード・ワンを台座から引き抜くと、早足で門の方へと歩いた。

 そのまま門に手をつくが、いざ開けるとなると未知への恐怖に負けてしまい、門に手をつけたまま固まってしまう。その体勢のまま彼は「落ち着け、何もない……」と繰り返し呟いてどうにか恐怖を克服しようとするが、上手くいかず扉の前で少しの間フリーズしてしまった。

 

 

 そしてようやく決心できたのか、しっかりと目を開け腕に力を込めてゆっくりと門を開き始めた。門の重さはそれほどでもなくすんなり開き、大広間の先の景色を見ることができた。

 門の先にあったのは豪華に装飾された廊下。大広間の先が見知った光景であることに彼は安堵するが、同時に奇妙なものが彼の目に入る。

 

 

 門の前方に人の姿をした存在が6人、跪いた状態で顔をこちらに向けていた。それぞれ格好も違っており、中には純白や漆黒の翼を背に携えた者もいた。それらは門から出てきた彼の顔を見るや否や、全員が涙を流し始めた。

 

 

 一方の彼は困惑してしまう。意気込んで出てきたは良いものの扉の前にいた存在に顔を見られた途端に泣かれてしまうと、どうすれば良いか分からなかった。

 だが彼は目の前の者達のことを知っていた、と言うよりも覚えていた。彼は目の前にいる存在をよく見ると、その姿がどれも自分のギルドのNPCの一部とよく似ていることに気づいた。

 

 

 彼が状況を飲み込めずにいると、目の前の者達はハッとした表情となり

 

 

「「「「「御身を前にしてのご無礼、申し訳ございません!!!」」」」」

 

 

 一斉に頭を下げての謝罪。予想外の行動に彼はさらに困惑してしまう。一体何が無礼だったのか、そもそも自分へのこの対応はなんなのかと気になることはあったが聞く気になれなかった。

 

 

「えっと……その、お前達は……」

 

 

 彼はどうにか目の前の存在の名前を思い出そうとする。しかし

 

 

「っ! 六衛将筆頭、ブリュンヒルデ、ここに推参いたしました!!」

 

 

 言葉と思考を遮るように白を基調とした軍服とスカートを身に纏い純白の槍を携えた、背中から白い翼を生やした長い黒髪の乙女が顔を上げ言い

 

 

「同じく六衛将、魔術師グレゴリー。ここに推参いたしました」

 

 

 後に続いて全身に装飾された黒いローブを身に纏い、目以外をマスクで隠した男が静かな口調で言い

 

 

「同じく。六衛将、エリーゼ・カイゼリン。ここに推参致しました」

 

 

 黒いドレスの、ツノのようなものが頭部に生えている淑女が静かな口調で礼儀正しくカーテシーを行い

 

「同じく! 六衛将! アセルタ!! 推参いたしました!!」

 

 

 所々で素肌が露出している銀色のボディラインがよく分かる鎧に、口元を牙のマスクで隠しているダークエルフの女がかなり強く激しい口調で言い

 

 

「同じく六衛将、スナイプ、推参いたしました」

 

 

 茶色を基調とした西部劇に出てくるようなガンマンのような格好をした、耳の尖った中年の白髪の男が静かに言い

 

 

「同じく六衛将、ガーベラ・アンナ。推参いたしました」

 

 

 赤い鎧に赤いスカート、紅色の刀身の双剣を装備した全身を赤色で統一した女が凛々しく言う。

 

 

「「「我ら六衛将、全ての戦士のお方々の頂点にあらせられるお方、アダム-O(オウ)様に絶対なる忠誠を誓います!!」」」

 

 

 彼──ーアダムに忠誠を誓う6体のNPC。当のアダムは彼らが話している間になんとか冷静さを取り戻し、目の前の状況を飲み込むことができた。

 本来喋らないはずのNPCが喋っていて、しかもぞれぞれ、声や喋り方も細かく違っている。アダムは目の前にいるのが本当に自分のギルドのNPCなのか疑ってしまうが、今はそんなややこしいことを考えている暇はないと心の中で自分に言った。

 

 

 今すべきなのは目の前のNPC達への行動だと、自分のことをじっと見てくるNPC達を見て結論づけると、急いで何を言うべきなのか考えながらしゃべり始めた。

 

 

「……あー、お前達のその忠誠を……えっと、嬉しく思う! ……俺は……あっ、今から外を見に行く! 誰かついてきてくれるか?」

 

 

「はっ! 我ら一同、命をかけて貴方様をお守りいたします!!」

 

 

 所々つまりながら言った言葉に何の疑問も持たずに応じる六衛将たち。その気迫にアダムは「お、おう……」と言う事しかできず、そのまま外への一直線の道を歩き出して六衛将たちの間を通り抜け、その後を六人全員が付き従う。

 誰かを従えて歩くなど一度も経験したことのないアダムだったが、彼は不安や緊張は感じておらず、彼の思考が落ち着くにつれ心にも余裕が生まれたためむしろ今の状況を楽しんでいた。

 

 

 そして一行はしばらく建物の中を歩き続け、入り口である大きな青い色の門に到着。そして外に出て、そこから更に下へと続いている階段をゆっくりと降りて行く。すると階段を降り切ったでアダムが急に止まり後ろを振り返る。そこにあるのは天高くまでそびえ立つ白亜の巨城。それは彼が何度も見た、ギルド内では王城と呼ばれている、イリス・ラトリアスおよび英雄血盟団の運営の中心となっている場所である。

 

 

 確認を終えると今度は前を向きそのまま辺りを見回す。彼の眼に映るものは、建物の配置から装飾オブジェクトの配置まで、どれもこれもユグドラシルで見たことのあるものばかりだった。

 

 

「変わってない……これはもしかしてギルドごと……ん?」

 

 

 すると何かの音に反応して上を見るアダム。彼の視線の先には八つの翼を持った人がこちらに向かって飛んできており、それは全員アダムの前に着地すると一斉に跪いた。

 

 

「「「お待ちしていました、アダム−O様! ヴァルキュリア姉妹、全員推参いたしました!!」」」

 

 

 ヴァルキュリア姉妹と名乗った八人組は、どれもブリュンヒルデに似た服装をしており背中に白い翼を蓄えていた。彼女たちはブリュンヒルデの姉妹として作られたレベル80のNPCたちで、大広間につながる道の入り口を守る者として配置されていた。

 そして彼女たちも例に漏れず、それぞれ意志を持ち行動している。

 

 

「あー……ご苦労! 丁度良い、外の様子を見るからお前たちも付いて来い!」

 

 

「「「はっ! 我ら姉妹、これよりお供させていただきます!!」」」

 

 

 だが当のアダムは彼女たちの存在を忘れかけていて、「そういやそんなNPCもいたな」程度に思い出すと姉妹達をそのままにしておくのも面倒くさいと思い一緒に来るように指示。そんな適当な命令にも関わらず、姉妹達はそれに従い、アダムの後を歩く六衛将の後ろを歩き付いていった。

 

 

 神殿の目の前にある円形の広場の中央でアダムは止まるとそのまま斜め上を見上げた。彼が見たのは、向こう側に見える黒い大きな壁。

 そしてその場でアダムはゆっくりと一回転する。彼に見えていた壁は一回転している間ずっと彼の視界から消えることはなかった。

 

 

「……これは確定だな……よし、次はここの外だ。俺は今からあの城壁の上に行くが、早く外の光景を見たいから歩かず飛んで直接あの上まで行く」

 

「ならばこのブリュンヒルデと姉妹達が護衛させていただきます」

 

「えっと…飛行(フライ)

 

 

 アダムは装備の一つである飛行(フライ)の魔法の込められたペンダントにより魔法を発動。ゆっくりと浮かび上がればブリュンヒルデ達と共に城壁の上まで飛び始めた。

 

ユグドラシル内で飛ぶときとどこか感覚が違っており、ゆっくりと下の光景を楽しむ余裕もなく飛ぶも、なんとかバランスを崩さずに城壁の上まで飛んでくることができた。

 

「……ご苦労だった、ブリュンヒルデ。腕は痛くないか?」

 

 

「いえ、私は大丈夫でございます! それよりもアダム–O様は如何でしたか? その、お辛かったでしょうか……?」

 

 

「ん? 俺か? 別に大丈夫だ。それより早く他の奴らを呼んできてくれ」

 

 

「はっ!!」

 

 

 アダムの命令を受けたブリュンヒルデが飛び立ち戻っていくのを見送ったアダムは、覚悟を決めるとゆっくりと振り返る。城壁の外の景色、なるべくならそれも見覚えのある景色であることを祈りながら。

 

 

「…………あれ? ……どこだここ?」

 

 

 アダムの目に映ったのは、緑溢れる正に自然豊かな土地。向こうの方には山らしき物も見ることができた。

 

 

 だが、ユグドラシルにおいてイリス・ラトリアスがあったのは荒野のフィールドという緑とは全く無縁の土地であった。だが今いるのは緑あふれる土地。つまりアダム達は城塞都市ごと見知らぬ場所に飛ばされた、という結論に至ってしまう。

 

 

「如何なされました?」

 

 

 城壁の上に戻ってきたブリュンヒルデにより自分にかけられた声に気づき、ハッとして彼女の方を見るアダム。

 

「……大丈夫だ。ただ少し、面倒なことになった」

 

 

「面倒なこと、ですか?」

 

 

 そのままアダムは顎に手を当てて思考する。この状況下で今一番やるべきことは何かを考え、それへの人選を考える。外の景色を見ながらしばらく思考を続けた後、NPC達の方を見て口を開いた。

 

 

「ブリュンヒルデと妹達は空からこの都市の周辺を探索しろ! そんなに広い範囲でやらなくて良い、だが人工物があったら絶対に見逃すな! 仮に、何かと交戦することになったとしても、戦わず全力で逃げて来い! 良いな!」

 

 

「「「「はっ!!!」」」」

 

 

 一斉に跪いたブリュンヒルデと姉妹達は、立ち上がるとそのまま空へ上がり、それぞれ周辺に散開し飛んで行った。

 

 

「残った六衛将は都市内部を調べろ! 時間がかかっても良い、ここの中に今いる奴らを全員調べろ! もしかしたら…運が良かったら俺以外のプレイヤーがいるかもな……」

 

 

「「御心のままに!」」

 

 

 一通り指示を出したアダムは、大きく息を吐くとまた外の景色を見る。リアルでは見ることのできない景色だが、アダムには不安を掻き立てられる物でしかなかった。

 

 

「…はぁ…前途多難だな、おい……」

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