『ついに来たか、覚者よ…』
それから数日、パチとバルバロッサ、新たに雇用した弓と二振りの短剣を使うストライダーと呼ばれるジョブをしているポーンであるエリーゼと、回復と軽い魔法攻撃を兼ねるジョブであるメイジのルークの二人を引きつれ、青いドラゴンの根城であるエメラルドマウンテンの中間部に来ていた。
そこにはかつてかなりの栄華を誇った王国があったようだが、今では巨大な廃墟だ。
玉座の間であった場所に、その青いドラゴンはパチを待っていた。
「来てやったぜ。この山を登るのに二日は掛かったぜ。さぁ、教えて貰おうか!」
『よかろう、あの竜王を自称するダカールなる男の正体だな?』
ここで心臓を取り戻す戦いを始めるはずだが、パチの最優先はダカールについてであり、いつでも戦闘が出来るように構えつつドラゴンに問い詰める。
当のドラゴンも答えるつもりであり、ドラゴンはダカールの正体を明かす。
『彼の男もまた、お前と同じ覚者であった。数十年前、奴は我と対峙したが、我が生贄を捧げる条件で願いを叶えると契約を出せば、奴は己の野望が適うと分かり、喜んで条件を呑んで生贄を捧げ、アイルケード王国の王となり、隣国を攻め入って領土を広げ、帝国を築き上げようとした。その野望は貴様に寄って撃ち滅びたがな』
「あいつも覚者だったのか…! じゃあ、その生贄ってのは?」
『その生贄は奴が愛する者、即ち恋人の女だ。奴は使命を忘れ、欲に目が眩んで我が生贄のためにさらった女を喜んで差し出した。お前に野望を打ち砕かれた際、見っとも無く我に助けを乞うたようだが、我に生贄を支え、己の願いを叶えた時点でダカールに覚者の器では無い。我が蟻のように気付かずに踏み潰そうと、そこらで野たれ死のうと、我の知った事では無い』
ダカールはかつて自分と同じ覚者であったことを知り、衝撃を受けるパチであるが、自分の願いと引き換えに自分の恋人を生贄に捧げてドラゴンと契約を交わし、自分が王になったと聞き、パチは少し哀れだと思った。それと同時に、嫌悪感を覚える。
そんなパチに対し、ドラゴンは契約を持ちかけて来る。それも生贄無しの好条件を。
『ダカールは生贄を捧げたが、貴様には生贄無しの契約を交わしてやろう。我の掌にある小鬢を見よ。これは、どのような不毛な地でも、一滴垂らせば草木を生やす事が出来る魔法の瓶だ』
ドラゴンは大きな左手の掌に乗せた小瓶をパチに見せる。
その小瓶の蓋を大きな右手で器用に外し、蓋についてあるスポイトで中に入ってある液体を、この不毛な大地に一滴ほど垂らした。
すると、みるみるうちにドラゴンが根城とする不毛な大地から草が生えて来た。
見るからに素晴らしい魔法の薬であるが、パチはそれが何なのかを問う。
「でっ、それがどうした? 俺の頭に一滴垂らすだけでフサフサになるってか?」
『左様、これは人間にも効果は出る。頭の髪を皮膚ごと抜き取られた乙女が居た。それを悲しむ魔導士は、麗しき乙女の金色の長髪を蘇らせるために錬金術師と協力し、この魔法の薬を作ったのだ。結果は成功し、乙女は金色の長髪を風に靡かせ、再び人々を魅了した。この世に二つとない魔法の薬だ。我なら容易く自分の血で生成できる。どうだ、己が理想する最強の戦士になれるぞ?』
この薬を頭に掛ければ、お前の二度と生えることは無い髪は生え、自分が最強の戦士になる事が出来る。
そうドラゴンに持ち掛けられ、一瞬あの薬に手を出そうとしてしまったが、先に聞いた欲に負けたダカールのことを思い出し、手を引っ込める。
どうするか迷い、バルバロッサやエリーゼ、ルークの方に視線を向ければ、三人とも判断は自分でする物だと同じ答えを返す。
「マスター、判断はあんたがするもんだぜ」
「あなたが決める事です。私たちは何も言えません」
「この判断は貴方が決める事。我々ポーンが決める事ではありません」
「俺が決める事か…」
ポーンたちの返答に、パチは瞼を瞑ってあの薬を取るか、取らずにドラゴンと戦うかの選択を始めた。
無論、答えは自ずと後者の方に出た。
確かに生贄無しの好条件だが、その代償が大き過ぎる。
なにせ自分に敗北感を思い出させた相手だ。ここで倒さねば、戦士としての自分が許さない。直ぐにパチはドラゴンに向けての返答を、柔道家のサポートポーンに放った技で行う。
『ほぅ、これがお前の選択か』
「俺はお前を倒して俺の心臓を取り戻す! それが俺の答えだ!!」
放った技は波動拳。両手に込めた魔法のような物を発射する奇妙な技だ。
その放たれた波動はドラゴンの左手の掌に乗った小瓶を破壊した。
パチはダカールのようにはならないとそれで返答し、戦士としての誇りを賭けてドラゴンに宣戦布告する。
『その意気込み、真に戦士の極み! 我も全力を持って相手をしようでは無いか! 手加減は無用! いざ参られよ!!』
「望むところだ!!」
宣戦布告を受け取ったドラゴンは、先にパチに仕掛けさせた。
その言葉に甘んじて、パチは全力の拳をドラゴンに打ち付けるためにとんでもない速さで迫る。
この神速とも言うべき速さの拳の打ち出しに、ドラゴンは避ける間もなく頭にその拳を受けた。
だが、ドラゴンの硬い皮膚は砕けず、結果として至近距離のブレスを受けてパチは壁まで吹き飛ばされる。全てを灰に帰すようなブレスを受けて無事であるパチも異常であるが。
浴びせられる炎をパチは片手の振り払いだけで起こした強風で吹き飛ばし、再びドラゴンに向けて凄まじい勢いで突っ込む。
「っ!?」
ドラゴンに見せていない最大速度で行った急接近からのパンチであるが、それが見えていたらしく、左手で防がれてしまった。
直ぐに手から離れ、そこから離脱しようとするが、掴まれて硬い床に叩き付けられる。
「ごはっ!?」
「覚者様!」
叩き付けられて吐血するパチに対し、エリーゼは弓を引いて矢を射おうとしたが、バルバロッサに止められる。
「なぜ止める!? 貴方のマスターが!」
「いや、これは俺たちが参加すべき戦いじゃない。マスターとドラゴンとの戦いだ! 俺たちには俺たちのする仕事がある!」
パチとドラゴンとの戦いでは、自分たちは足手まといとエリーゼに告げ、自分たちがやるべき仕事を告げる。
その仕事と言うのは、辺りを警戒していたルークが知らせた。
「仕事と言うのは、あれの事ですか?」
ポーンたちがルークの指差した方向を見れば、無数のオスマン帝国軍のような軍勢がこのドラゴンの根城であるエメラルドマウンテンに目指している物であった。
「異国の侵略のようです! 真っ直ぐとこちらへ向かってきています!」
『ほぅ、我を無数の軍勢で倒そうとする南の異民族か…! どうする、覚者よ。我と続けるか?』
ルークの知らせで、オスマン帝国のような侵略軍がここに迫って来ているのを知ったドラゴンは、叩き付けたパチが自分の左手を払い除けて立ち上がったパチに続けるかどうかを問う。
この問いにパチは、口元の血を左手で拭い、余裕の笑みを浮かべながら答える。
「続ける! これは俺とお前との戦いだ。邪魔が入ろうが入るまいが関係ねぇ!!」
全力のパンチでドラゴンに向けて答えれば、吹き飛んだドラゴンは巨大な翼でバランスを取りつつ、パチとの戦闘を再開する。
『ほぅ、無数の軍勢に押し寄せられても戦いを続けたいと言うか。なんとも恐ろしい男よ。今までにないくらいのな。では、邪魔者はポーンらに任せ、我々は全力で殺し合おう』
追撃を行うパチに対し、ドラゴンも全力の勝負をするため、強力なブレスを吐いた。
この青い炎のブレスにパチは、寸でのところで回避し、付近にある瓦礫を持ち上げ、それをドラゴンに向けて投擲する。それも自分の近くにある全ての瓦礫をマシンガンの如く。
その無数の瓦礫をドラゴンは避ける間もなく、目をつぶって飛んでくる瓦礫を敢えて受けて防御する。
自分が飛ばした無数の瓦礫をドラゴンが受けている間、パチはその瓦礫に紛れてドラゴンの元へ飛び、瓦礫の全てが当たって砕けた瞬間に防御を解いたドラゴンの顔面へ強烈な一撃を見舞う。
防御を解いた後に受けたパンチでドラゴンは吹き飛び、屋根を突き破って外へ放り出されるが、再び大きな翼を羽ばたかせてバランスを取り、即座にブレスによる反撃に転じる。
「同じ手を何度も食らうか!」
青い炎のブレスにパチは近くにあった巨大な瓦礫で防ぎつつ、外にいるドラゴンを追撃する為、屋根の穴を見付け、そこへ向けて地面を強く蹴って空高く飛翔し、屋根の上に着地する。だが、そこにはドラゴンの姿は無い。
「何所だ?」
あの巨大なドラゴンを見失うはずが無いのだが、背後から風邪を切るような音が耳に入り、それを確認するために振り返れば、青いドラゴンの尻尾が迫っていた。
自分が飛び上がる速度と同じ速度で迫る尻尾にパチは、防御しきれずにそれを受け、オスマン帝国のような侵略軍の陣の方へ吹き飛ばされる。
尻尾で吹き飛ばしたパチを、ドラゴンは更に追撃を掛けるために巨大な翼を羽ばたかせて速度を上げて追い付き、大きな二つの拳を見た目とは思えぬ速度で打ち込もうとする。
「なんだ、心臓が光ってる!?」
二つの大きな拳が撃ち込まれる瞬間、パチとドラゴンの胸の辺りが重なったのか、お互いの胸が赤く光り始めた。
どうやら、ドラゴンの胸にも心臓があり、そこに奪ったパチの心臓を預かっているようだ。
それと同時に、そこへ自分の最大の一撃を打ち込めばドラゴンを倒せると睨んだ。
弱点が分かれば機関銃の如く繰り出される二つの拳を受け止めつつ、何とか心臓へ近付こうとするが、ドラゴンはパチが弱点を見付けたと判断してか、二つの拳を交合わせて侵略軍の本陣へと叩き落とす。
地面へと叩き落とされている最中、パチの視線には無数の侵略軍を相手に三人で奮闘するバルバロッサにエリーゼ、ルークの姿が映った。
バルバロッサは再びファイターへジョブチェンジし、一本の片手剣で無数の兵士を相手に次々と斬り捨てていた。
武器と防具はウォリアーの大剣と同じくいわくつきのダンジョンで手に入れた物であり、最大の強化を施している。片手剣は幾ら人を斬ろうとも決して折れず、無数の侵略兵の血を吸い続けている。
エリーゼは弓矢の降らし撃ちから複数の兵士を仕留めた後、腰の二振りの短剣を抜いて飛び上がり、その瞬間に身体を丸めて高速回転して無数の敵兵を切り刻む。
ルークは強力な魔法は使えないが、火炎魔法や氷柱を発生させる魔法で出来る限りの敵兵を倒していた。
その三名の活躍ぶりを数秒間見ていたパチは、敵陣のど真ん中に墜落し、無数の敵兵に包囲される。
「あいつ等やるな」
「な、なんだこの禿は!?」
「殺してしまえ!」
空から落ちて来たパチは上体を起こしてポーンたちの活躍に舌を巻く中、周囲に居る敵兵等は、手にしている槍を向けて突き刺そうとする。
倒れている自分に突き刺される無数の槍に対し、パチは地面を叩いて人工的な地震を起こし、自分を包囲している敵兵等のふら付かせた後、一気に周囲に居る敵兵全てを殴り飛ばすか蹴り飛ばして蹴散らす。
「今度はゾウか!?」
自分の周りに居た敵兵等を数秒足らずで一掃したパチであるが、今度は戦象が向かって来た。数は数頭ほど。並の人間なら逃げ出してしまうが、パチは象よりも大きい魔物と戦って来たため、恐れることなく大きな長い鼻の振り払いを受け止める。
「ば、化け物か!?」
戦象を操る兵士は驚き、手綱を引いて鼻を下げようとするが、パチの力は象の遥か先を行き、象ごと味方の兵士の集団へ向けて投げ飛ばされた。
次に後ろを警戒していないパチを踏んだ戦象も居たが、踏み潰されるわけが無く、引っ繰り返される。
「お前ら、動物に薬とかやってんじゃねぇぞ!」
自軍における最大の兵器である戦象ですら容易く倒してしまうパチに侵略軍が恐れおののく中、当の本人は象に薬物を吸わせていると思い、両手を腰に添えながら説教する。
そんなことをしている間に、ドラゴンが無数の侵略軍の兵士を吹き飛ばしながら着陸して来た。
「来やがったな、青トカゲ!」
飛んでくる矢を物ともせず、まるで雨に当たっているようにしているパチはドラゴンに向けて拳を構える。
そんなドラゴンも飛んでくる無数の矢を気にせず、周囲の敵兵を咆哮で吹き飛ばそうとする。咆哮の風圧は凄まじく、たちまちパチ以外の者達は全て吹き飛ばされた。あの巨体を持つ戦象でさえだ。その場に居るのは、パチとドラゴン以外に何者も居ない。
「おぅ、すげぇ息だな。だが、これで邪魔者は消えた。続きをやろうぜ!」
邪魔者を排除してくれたドラゴンに感謝しつつ、パチは全力のパンチを打ち込むために地面を強く蹴って接近した。
弱点は心臓の、胸の辺り。先の吹き飛ばされた時に重なり合った時に見付けたパチは、真っ直ぐと胸の辺りまで飛んだが、ドラゴンはそこへ仕掛けて来るのが分かっていたのか、右拳を打ち込んで来た。
迎撃に来るのが分かっていたので、それを防いでからその反動を利用し、一気に心臓がある胸の辺りまで近付こうとする。
「ぐっ!?」
もう少しの所でドラゴンの左手に掴まり、そのまま空高くまで連れて行かれる。
大空まで舞い上がり、そこから自分を地面へと叩き付けて殺す算段なのだろう。
ドラゴンがその手を取ると自分を捕まえて空高く舞い上がったのを見たパチは、必死で左手の拘束を解こうとするが、ドラゴンの握力は凄まじく、決して離れない。
だが、何度も全力で力を込めている内に拘束は解ける。
拘束が解ければパチはドラゴンの胸の辺りまで手を伸ばして分厚い皮膚になんとか掴まり、それから心臓の辺りまで飛んで一撃を見舞う。
「入った!」
結果は見事に命中!
心臓を守っていた皮膚がパチのパンチで敗れたドラゴンは、そのまま彼と共に地面へと落下していく。
飛べる術を持たないパチは、ドラゴンの巨体をクッション代わりにしようと思い、必死にしがみ付いて落下するのを待つ。
「のっ!? うがぁぁぁ!!」
物の数十秒後にドラゴンは侵略軍の本陣として使用されている闘技場の廃墟へと落下し、そこで指揮を取っていた将軍や参謀たち数名を巻き添えにした。
「な、何をしておる!? 早くやらぬか!」
侵略軍の指揮官は、恐れおののいている部下たちにパチやドラゴンへの攻撃を命じたが、ドラゴンが唱えた全体の光魔法、ゾーン・オブ・ザゴッドを短時間の詠唱で唱え、周囲に居た侵略軍の兵士たちを光の渦で排除する。
『さぁ、行くぞ!』
「応よッ!!」
これでまたも、立っているのはパチとドラゴンだけだ。
ポーンたちは侵略軍の怒涛の人海戦術に呑まれているのか、覚者であるパチの元へは来ない。
邪魔者の居ない広い決闘所、それもおあつらえ向けの闘技場の廃墟で、死闘を再開した。
その戦いぶりは、並の人間がここに入れば直ぐに挽き肉となる程の激しい戦闘であった。
パチは飛べないのにも関わらず、もはやジェット戦闘機の速度や、VTOLのような旋回性能、ハリアーと言っても過言ではないだろう。それと同等な飛行能力を持つ青いドラゴンと互角に戦っている。
周りの廃墟は戦いの盈虚で崩れ、地面には幾つものクレーターが出来上がり、更には山の一部が壊れる程だ。
もう最強の覚者であるパチと、青い鱗のドラゴンだけでこの地を破壊し尽せるだろう。
「ドラァッ!!」
空を飛んで全てを焼き尽くす程の青いブレスを吐くドラゴンに、パチは近くの瓦礫で防ぎながら接近し、ドラゴンの頭部にキツイ一撃を見舞って地面に叩き付ける。
「っ!?」
あの巨体では素早く動けないはずだが、ドラゴンは地面へブレスを吐き、その反動で体勢を立て直し、追撃を掛けて来るパチを尻尾で吹き飛ばす。
近くの廃墟に激突して崩壊した瓦礫の下敷きとなったパチに向け、ドラゴンは自信の最大火力のブレスをパチに向けて放つ。
既に炎では無く、ビームに近い。全てを消し去る物の破壊力だ。
そんな物を受けてしまえば、パチとで無事では済まないだろう。
自分が口から放ったビームで、パチが消え去ったのを確認したドラゴンは、勝敗は決したと思い、ビームを吐くのを止めて勝利を確信した。
だが、パチは呆気なく散る男では無い。ドラゴンがビームを放つ寸前に瓦礫から飛び出し、放っている間に懐へと近付き、自分の渾身の技をドラゴンの弱点がある心臓へと叩き込んでいる場であった。
「これで、最後だァァァッ!!」
パチの絶叫の元への全力の一撃、それがドラゴンの心臓へと打ち込まれた。
『見事…!』
既に反撃の余地が無いドラゴンは、パチの勝利を称えつつ、自分を一撃で粉砕する拳を受けた。
弱点がある胸部に打ち込まれたパチの右拳は傷口を抉り、分厚い肉の抵抗を受けて心臓の手前で止まったが、その破壊の衝撃波は届き、心臓を破壊した。
心臓を破壊されたドラゴンは、巨体をかつての闘技場の跡に横たわらせ、命の炎が刻一刻と消えゆく中、最後の力を振り絞って預かっていた心臓をパチに返す。
『良くやった覚者よ…我を斃すことにより、お前はこの世界に選ばれた…我を斃した褒美として、お前に預かりものを返そう…しかと久方の命の鼓動を感じると良い…!』
死にゆくドラゴンは奪った心臓をパチに返した。
パチは胸に手を触れ、人間としての命の鼓動を感じ、ようやく旅が終わったことに安堵する。
だが、戦いに勝利したその空は、とても世に平穏をもたらすような空では無い。まるで破滅をもたらすかのような空である。
それにドラゴンは「お前は世界に選ばれた」と言っていた。これが何であるかを、パチは死にゆくドラゴンに問い詰める。
「なぁ、お前は選ばれたって意味はなんだ…? これで終わりじゃないのか…?」
『我の役目はここまで…答えは直ぐに分かる…それまでに、この現世に何の未練も残さぬことだ…! では、さらばだ覚者よ…お前が我のような竜にならぬことを祈るぞ…!』
パチからの問いに、ドラゴンは後に分かることと返し、同時にこの世に未練を残さぬようにとも告げてから砂のように朽ち始める。
「お、おい! 待て! また色々と出過ぎて分からねぇぞ!!」
余りにも明確では無い答えに、パチはもっと分かるように問い詰めたが、青いドラゴンの肉体は砂のように朽ち果て、巨大な竜骨を残すのみであった。
かくして、覚者パチによる竜征伐の物語が終わった。
これで物語は終わり…では無く、新しい謎を残したままの終焉となってしまった。
そんな自分に久方の敗北感を味合わせ、さらに謎を残して朽ち果てたドラゴンに、パチは敬意を込めつつ、ポーンたちと合流するためにこの場を離れた。
新たなる物語の始まりを予見しつつ、パチはドラゴンに言われた通りにこの世に未練を残さないため、ポーンらを引き連れ、ドラゴン討伐の完了の報告を兼ねて王都へと向かった。
ネタバレになるんですけど、この竜を倒した辺りで漫画は終わります。
さらにネタバレになりますが、ゲームではもうちっとだけ続きます。
これも同様で、後少しだけ続きます。
今回、登場したポーンは、原作ドラゴンズドグマの最初のサポートポーン、ルーク。
ジョブは変わらずにメイジですが、常にLv6の呪いから脱しており、Lv100以上にまで成長しております。
二人目は漫画の主人公のメインポーンでヒロイン扱いなエリーゼ。
ジョブはストライダーのまんまであるが、原作最強の初期ジョブなだけであって、かなり強くて美人。この作中、唯一パチのパーティに加えたたれた女性ポーン。
次回はジョブについてか、登場した登場人物とポーンを纏めたいと思います。