フェアリー(のように穏やかな)ライフ(を送りたかった) 作:水生蟲
A ,知らんわボケェ!どうにかするわい!
という事で書かせてもらいました。反省と後悔?私の扱う文明(闇)にはそんな言葉ありませんとも、えぇはい(震え声)
「おい見ろ!なんだ……あれは…………?」
その時、その場に居合わせた者総ての時間が止まった。
ある者は、その神々しさすら感じる圧倒的な美しさに────
ある者は、暴力的なまでの波動から湧き上がる恐怖に────
ある者は、これから何が起こるのかと尽きる事のない興味を胸中に────
此処は戦場。空を飛び交う悪魔や堕天使、そして天使達は突如として現れた“オーロラ”に手にしていた武器を下ろし殺し合いを止めた。それは二天龍と名高い最強の龍達も例外ではない。後に、【逆転のオーロラ】と名づけられた現象に二匹の龍は戸惑いを隠せなかった。
「……一体何が起きているというんだ?」
「分からん、だが……
人外など歯牙にもかけないその巨体で取っ組み合っていた二龍は、乱れた呼吸を整えながらもオーロラから感じる圧倒的な力を感じて次に起こる出来事に身構えていた。
そして人外達の中にもいち早くその異常に気づき、驚愕から立ち直り部下へ指示を飛ばした者もいた。何れも名のある実力者であり、中には組織のリーダーさえもいた。戦いのさなかに起こった非常事態に対する適応力は流石と言うべきか、賞賛に値するものがある。
「馬鹿野郎!いいから撤退だ、早く逃げろ!動けるものは負傷者を抱えて即時退却の準備だ!」
「で、ですが今は……」
「責任なら後で俺が取る!さっさと行けっ!どうなっても知らねぇぞ!?」
「は、はいっ!」
「クソが……ッ!あんな‘モノ’俺らの手に負えるかってーの!」
悪魔の陣営では一部の上級悪魔による撤退を促す懸命な対応が迅速にとられていた。それにつられる様に各勢力も各々の対応を余儀なくされた。結界を張り巡らす者やどうしていいか分からず右往左往する者。その中でもこの時逃げることを選んだ悪魔達は正しく、また賢かった。
ただ一つ問題があったとするのであれば、
ドッ──────!!
各勢力の必死の対応を嘲るように、今度は戦場の中心で特大の爆発が起きた。その威力は凄まじく地表はひび割れ砕け散り、さらに大気は乱れ雷雲や暴風が吹き荒んだ。そしてトドメとばかりに地下からは溶岩が噴出して周囲へと被害を広げた。
「あぁ?────ッぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「な、何だこれは!?ぐっ────!」
まず最初に被害を受けたのは爆発の中心近くにいた二天龍であった。人外の攻撃をものともしない程の力を持つドラゴンであり、赤龍帝の二つ名を持つドライグはその爆発の余波で吹き飛び、白龍皇の二つ名を冠するアルビオンは吹き飛ぶことは無かったが、それでも決して少なくないダメージを負った。
しかし、災害はそれだけでは終わらなかった。大地が悲鳴をあげ、空は怒りを散らし、この世の終わりとも思える光景の中から響く声に、その姿に二匹の龍は戦慄を覚えた。
「グルルルルル……ふん、似たような気配を感じたと思えば我らが偉大なるマスターに創造されていない紛い物共か…」
『ッ!!!!』
────黒い、黒い龍であった。
二天龍に勝るとも劣らない大きさで、トゲが生え揃う長い胴に背から生えた鋭く歪な形をした羽。口からはこの世の物とは思えない程紅く、見る者の魂を溶かすような火を吐いている。
二天龍達は知らないが、その龍の名はグールジェネレイドという。遠い世界でかつて動く死と名付けられたその黒神龍は、先程の爆発の衝撃で動けない二匹の龍をその腐り落ちて何も無い目で暗く捉えていた。
(なんだ、コイツの禍々しい程の闇の力は──!?いやそれよりも……どうやってここに現れた、先程のオーロラといい何がどうなっている!?)
アルビオンは次から次へと起こる非常識な事態にただ困惑した。されどそこは長く生ける伝説の龍、目の前に急に出現した死を思わせる濃密な殺気を受けながらも、瞬時に切り替え冷静に思考を張り巡らせる。
コイツは一体?何が目的なのか?あのオーロラは何だったのか?様々なこの状況に対する問いが頭を支配する。しかし、アルビオンがそれらを問うことは出来なかった。目の前の黒龍に飛びかかる赤い影を見てしまったからだ。
「テメェ…黒いの、俺らの楽しみの邪魔をするんじゃねぇ!」
「待て、赤いの!」
アルビオンの静止にも耳を貸さず、ただ自分達の楽しみを邪魔された事に対する怒りをこの腐った龍にぶつけなければ気が済まない。そう思ったドライグは、山一つ程度なら軽々と吹き飛ばす剛腕と地を裂くほどの自慢の爪を用いてグールジェネレイドの細長い胴体を引き裂こうと飛びかかった。
「……………」
しかし、その攻撃に対し、グールジェネレイドは何もしなかった。ドライグとグールジェネレイドは確かに離れていたが、反応できないほどではないはずの速さで近づかれたにも関わらずだ。グールジェネレイドはただ自身の体が真っ二つにされようとするのを、じっと虚空の目で追っていた。
「──ッ!」
相手が何も反応を示さない事に驚きながらも振るった腕はその威力を落とさずに正確にグールジェネレイドの胴体をバターのように滑らかに上下へと引き裂く。
呆気ない、それがドライグが最初に感じた感想であった。一撃でこと切れた黒龍の姿を冷めた目で見つめ下ろした。ふん、所詮はぽっと出の雑魚か、と思わず口にしたところに今度は別の小さな声が聞こえてきた。
「殺した、殺した」
「殺したな、殺したな」
「殺された、殺された」
「殺す、殺す」
「ぁ?なんだコイツらは?変なオーロラ、雑魚い黒龍と来て今度はこんなチンケな鳥だと?ふざけてんのか?」
「赤いの!さっさと逃げろ!今の黒龍といいその鳥達といい何かおかしい!」
グールジェネレイドの亡骸の周りを円を描くようにぐるぐると飛び回る何かの髑髏を被る小さな鳥達、大きな鎌を携えてその数四羽。その身を染める紫の羽は不吉を運ぶ鎮魂歌。詩を歌うように、死を唄うように、怨嗟を
「ハッ、どうした白いの。何をそんなビビってる?お前の能力は自分の自信も下げるのか?」
「馬鹿野郎!そいつらは常識の通じるような相手ではない!いいから早く、とにかく、そいつらから離れろ赤いの!」
ドライグはそれすらも一笑に付し、なおも怖気付くアルビオンに問題が無い事を知らしめようと飛び回る鳥達の1匹を摘み、目の前で喰らってみせた。
「殺したな、殺し───ガブリ
最後まで友の死の怨みを吐いていた紫鳥はドライグの口の中に収まるとその小さな命を儚く散らした。
「…………は?」
「ッ赤いの!」
意味がわからなかった。ドライグの脳内は一瞬で戸惑いに変わる。俺の、俺の腕が腕が腕が腕が腕が何だこれは?どうして俺の腕が切れている?意味が分からない痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い………俺の腕は何処だ?
消えた腕を探すように辺りを見渡すドライグの右腕は肘から先までが無理やり引きちぎられたかのように切断されており、普通であればその切られた先端は重力に従い地面へと落ちているはずだがその落ちた先が問題であった。
ガリッ、ガリッ、ごキッ
それは、咀嚼音と言うには歪で。けれどそれ以外に言い表す言葉は無かった。
「グルルル……… よくやった、ダーク・ルピアよ。しかしなんともまぁ、不味いモノだな。生きていたモノの肉というのは」
死者の方がまだ味わい深い、と。
「!?テメェ、生きて……………!」
上半身だけの状態で横たわりながらも口の端からドライグの腕を見せつけるように噛み、砕き、しゃぶり、嬲るように生命を味わっていたグールジェネレイドが口を開く。
「先に言っておくが、これをやったのは我ではない。お前のせいではあるがな」
「はぁ?何を訳わかんねぇことを言ってやがる!んな事ァどうだっていい!どんな手品か知らねぇが、死んでねぇならもう一回殺すだけだ!今度こそくたばりやがれぇぇぇぇぇええええ!」
文句なしの全力だった、ドライグは残った左腕を限界まで振り絞りグールジェネレイドの残った上半身のさらに上、首を狙って大きく薙いだ。今までに感じた事の無い痛みに全身の血が沸騰しているかのように熱かったが、それ以上にドライグの頭は冷えていた。
「……………」
またも自身を確実に死に至らしめる攻撃に反撃どころかされるがままにされるグールジェネレイド。受けた攻撃の衝撃で、コロコロと転がっていく黒神龍の頭部が笑っているようにも見えてとても不気味であった。
「……はぁ!どうだ!この野郎、これでやっと……」
死んだだろ、と言う前にまたもや先程の鳥達がグールジェネレイドの周りに群がっていく。
「……………」
「殺した、殺した」
「殺された、殺された」
「殺す、殺す」
『二度もコロシタ』
「なっ、何だよこれは……!何が起きてんだこれは!」
もう一度物言わぬ死体となったはずの黒神龍の周りを飛び交い、先程から一羽減って三羽の鳥達。一度ならぬ二度も殺された友の妄執をさらにその翼に宿し、手に持つ鎌で再び力を振るう。三羽の鳥達が狙ったのは今度はドライグの左腕だった。さらに荒れる天候の中、龍から流れる血は確かに地面へと垂れ落ちた。
最強と名高い赤龍帝は自身の両腕を無くしそして、ようやく気付く。
「まさかこの鳥公共、この黒いのが傷ついたら俺にダメージを……!?」
「………………」
未だ動かぬ黒神龍の目は、両腕を失くした赤龍帝をしかと見据える。
一方、いや三方──
出来るだけ爆心地から離れていた三大勢力達もまた、二天龍と同じように未知の存在からの攻撃を許していた。
天使は不敬にも神の名を騙る九極の侵略者によって
悪魔は傲慢にも邪眼を持ちし闇の王によって
堕天使は残虐にも自由を愛する無法者によって
此度は戦場──────今、時空を超え、次元を超えた戦争の第二ラウンドが始まった。
二天龍からさほど離れていない爆心地にて──
いつの間にやら出来ていた白い球状の空間の中に一人の少年が真っ白な玉座に座っていた。さほど多くない装飾に、それでも散りばめられた宝石の数々が鮮やかに映えていた。
また、玉座に座る少年もその玉座に負けないほどの白さと美しさを持ち合わせていた。両の目は瞑られており、周囲の喧騒や被害の全てが球体でシャットアウトされているのかまるで何も聞こえてないかのように眠りについている──────
(やっべぇぇぇぇぇえ!完っ!全っに!やらかしたぁぁぁぁぁ!!)
────ように見えて実際は、狸寝入りで自分がした事の過ちのデカさに怖くて内心震えていた。
~カード紹介~
《逆転のオーロラ》
自然文明の5コストで自身のシールドを好きなだけマナに送るカード。一見防御を捨てにかかるように見えるが革命編ではこのカードとドキラゴンの革命0を使ってぶん殴るデッキがあった模様。背景ストーリー上では物語はこの現象から始まったと言っても過言ではない。
《黒神龍 グールジェネレイド》
言わずと知れたドラゴンゾンビ、墓地にいる時味方のドラゴンが死んだら復活するW(ダブル)・ブレイカー持ち。その使い勝手の良さに墓地使うデッキなら第三候補までには多分入る優秀な子、異論は勿論認める。過去に何度も再録されては蘇る姿に微笑む者も多いはず。ちなみに最初にこの子を出したのはただの筆者の趣味。
《ダーク・ルピア》
自分のドラゴンが死んだら相手のクリーチャーを一体選んで破壊する能力を持つという、数多くいるファイアーバードの中でも尖った能力持ち。しかし3コストパワー1000と今の大会の環境で出されることはまずないであろう性能。てか過去にも作者以外に出してるのも見た覚えがない。ちなみにこの子を出したのも作者の趣味。
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以下、疑問点に思われるかもしれない各所について
※ドライグとアルビオンの話し方が違う……と言う方はそれは作者が原作を読んでいない為です、すいません。
※グールジェネレイドが死んだのに喋っているのは闇文明の連中なら例え死んでも動けるだろうとの浅はかな考え。
※ダークルピア×4がドライグを能力で殺さなかった(破壊しなかった)のはわざとです。破壊出来るなら手加減も効くだろうとの浅はかな考え。