フェアリー(のように穏やかな)ライフ(を送りたかった)   作:水生蟲

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二ターン目というと私の中ではジャスミンがサムズアップしながら「アイルビーバック」と言いながら墓地に沈んでいくイメージ




二話

 

 

 

 戦場の中心で突如として起きた大爆発、その余波の力だけでも相当なものであったが悪魔、天使、堕天使の中で最も少ない被害で済んだのは天使の軍勢であった。逆転のオーロラが放つ莫大なエネルギーを瞬時に察知し、防御を張り巡らせた事により最小限にまでリスクを抑えることが出来たのは流石といえよう。

 しかし、彼らは瞬時に後悔する。その身を引き裂くほどの激情に支配されながら────

 

「う、嘘でしょう……?そんな、そんなことは有り得ません………有り得ていいはずが、ないのです………有り得てはいけないのです……………!!」

 

「あ、あぁぁぁ、ぁぁぁ…………」

 

「そんな馬鹿な………!この僕が…!?」

 

「わた、わたしは、私は、私は私は私は私はわtaシは」

 

 一人、また一人と神に仕えし敬虔な天使達が防御を捨て、地に手をついてはまるで狂ったかのように身を捩り、涙を流し、天に向かって祈りを捧げる。否、懺悔とでも言うべきか。

 彼らは見てしまったのだ、感じてしまったのだ。己が仕えるべき主と同等かそれ以上に神聖な真なる神を、あまつさえ、この神に仕えたいとさえ考えてしまった。例え一瞬であろうとも、信仰が全てである天使にとって自身の信じるものが揺らいでしまったその衝撃は計り知れない。

 

そして今───荒れ狂う世界に一柱の神が降り立つ

 

 

「私は(G.O.D)だ────私こそが(G.O.D)なのだ………あの御方にとって私こそが唯一の下僕足り得る九極の神にならなくてはならない。さぁ……偽りの神に作られし哀れな子羊(天使)達よ。私に祈りを捧げなさい、迷うならば正しき道を教えよう、飢えること無き祝福をもたらそう、さぁ……祈るのです、このG.O.Dに、ひいては我が主の為に」

 

 

 その姿は正しく神というには相応しい姿をしていた。巨大ながらもスラリとした体躯。フルプレートアーマーのような鎧を着込み、手には巨大な戦鎚が何らかの魔術だろうか、刻まれた青い紋章から零れる青い炎がその白い巨躯を彩る。背には3対6枚の鳥のような羽に加えて、鋭利な形をしている機械の様な同じく6枚の羽が生えている。

 しかしそんな高貴なる上位存在から投げかけられた言葉、それは天使からすれば死刑宣告に等しい。信仰深い上位の天使であればあるほどその姿に神を、仕える主を投影してしまう。それから引き起こされるのは最早組織とは言えないほどに崩壊した烏合の衆でしかない。

 

 されどそれは残っていたのが天使のみであればの話、彼らにはまだ信じるべき神が残っていた。

 

「そこまでです、それ以上この場で狼藉を働くのは控えてもらいましょう」

 

『ッ!!』

 

「……おやおや、親玉自らお出ましとは」

 

 一声、それだけで天使達は震える身体の自由を取り戻した。彼らにとっての唯一神、聖書の神の登場はまさに天の救い足りえた。されどその光景に納得いかない様子なのはG.O.D。先程まで出していた神々しさはなりを潜めて今度は剣呑な雰囲気を隠そうせずに手持ちのハンマーを肩にかけ、聖書の神へ話しかける。

 

「チッ、やはり偽りとはいえ模造品共の神ですか。何もせず大人しくしていればいいものを………まぁいいでしょう、どの道やることはさして変わらないのですから」

 

「……?あなたは、一体我々に何をしようと言うのです。既に私の配下である天使達は威勢を取り戻しています。そこそこの神格があるようですがこの軍勢相手にはさしものあなた一人では厳しいでしょう…何が目的で現れたのか知りませんがこれは私達の戦い……今この場で引くのであれば見逃して差し上げます」

 

 

 その言葉に今度こそ全ての力を取り戻し、自らの神を偽物呼ばわりした九極の神を睨みつける天使達。その眼には明らかに敵意が宿っており、主の一声があればすぐにでも目の前の愚者に嬉々として襲いかかるだろう。そんな敵意渦巻く中心に立つG.O.Dは頭をふり、いかにも面倒くさそうな態度で言い放った。

 

「はぁ………これだから面倒なんですよ、この世の真理も分からないような塵を説得するのは………潰した方が圧倒的に早い、全く、陰湿根暗野郎(水文明)共の言うことなんかまともに聞く必要もありませんでしたか……」

 

 

「何を言って……」

 

「私がいつからあなた達に自ら手を下すとでも?あいにく私は一人じゃないんです。あぁ、でも覚悟しなさい?聖書の神とやら、あなたは特別に私が相手をしましょう」

 

 

 

《九極侵略》開始──────

 

 

 

無慈悲な神の声が、新たな戦場を呼び起こした。

 

 

──────────────────

────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 九極の神と聖書の神、その戦いは同じように他勢力にも伸びていた『クリーチャー』のものと比べて早く、そして()()()()()()によって終わりを迎えた。

 

《九極侵略》────G.O.Dがその身を輝かせ、余りの光量に目が眩んだ天使達。再び目を開いた彼らの前に現れたのはG.O.Dを守るかのように現れた集団、九極の侵略者達だった。その数、九体。

 あるものはフリスビーを咥えた犬のような形を、またあるものは槍を構えた兵士の格好をした蜂の造形をしていた。一見コミカルな見た目をしているが本質というのは見た目にそぐわないのが世の常である。

 九体それぞれ違う姿のクリーチャーは天使の集団に突撃するとあたり構わず攻撃を仕掛け、反撃されてもヒラリヒラリとその身を躱し、あるいは防御して瞬く間に天使達を蹴散らしていった。

 

 

 

 そして、そんな天使と侵略者達の戦いの横ではG.O.Dと聖書の神の一騎打ちが行われていた。聖書の神はその場で大量の光の槍を生み出し、射出。タイミングをずらし、あるいは死角から放たれたそれらは一撃一撃が必殺の威力を持っていた。悪しき者であれば見ただけで浄化されそうな神聖さを放っているが、相手は仮にも(G.O.D)の名を冠する存在。決定打にはならずせいぜいが動きを鈍くする程度の効果しかなかった。

 その攻撃に対し、G.O.Dは戦鎚を振り回して光槍を破壊、背から生えている機械の羽からエンジンのようなものを噴出して避けていた。しかし、最初に空いていた距離は既に半分を切っている。僅かながら、けれど着実に詰められていく間に聖書の神は内心焦りを覚えていく。

 

「くっ……ッ!!なんとデタラメなパワーですか!」

「ほらほら、どうしました?その程度ですか?だとしたら期待外れもいい所ですよ、この世界の神とやらは」

 

 そして、互いの距離が十数メートルまで切った時に聖書の神は勝負に出た。

 

「ハァァァぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 周囲に浮かんでいた光の槍を一つに纏め、巨大化。

その大きさは巨体を誇るG.O.Dですら思わず見上げる程であった。

 

「これは……なるほど、最後の賭けというやつですか」

 

賭博野郎(べカスダラー)が好きそうな展開だ、と呟いたG.O.Dは戦鎚を構え直すと同時に突進────それを見た聖書の神は全身全霊を込め、槍を放った。G.O.Dの突撃と光槍、二つの距離は瞬時に縮まり次の瞬間にはG.O.Dの体は槍によって貫かれる姿を周囲の天使達は幻視した。

 

 

攻撃(アタック)時、《九極侵略》発動ッ!!」

 

「なっ!?」

 

「来なさい、我が九極の同胞!チュートピア!!」 

 

 

 しかし、槍が胸を穿とうする寸前に再び発動された《九極侵略》。効果でG.O.Dが呼び出したのは【超九極 チュートピア】、能力は────味方への破壊耐性(置換効果)付与─────

 

「ふんっ……この程度か、他愛ない」

 

「そんな…………」

 

「それでは──────死ね、偽神」

 

 先程の九体のクリーチャーと同じくG.O.Dの体が発光すると同時に、突然現れると致死へと至る必殺の攻撃を無効化したチュートピア。

 そして、その光景に固まる聖書の神への目の前へと現れるG.O.D。

 最期に天使の創造主が見た光景は、自身へと迫る巨大な戦鎚に印された青い紋章であった。

 

 

 

 

 

 

「ハッ、つまらない。こんなものですか、この世界の神というのは。なんと弱いんでしょう、まぁ神帝(四バカ)破壊神(阿呆トリオ)ほど面倒くさくなくて大変結構。チッ……にしてもあいつら今思い返しても腹が立ちますね、主にとって仕える神は私だけでいいというのに」

 

 一仕事終え、聖書の神の血がついた愛用の武器を肩に担ぐG.O.D。その姿は、天使達にとって有り得ないものであって欲しかった。

 

「嘘だろ、そんな馬鹿な…………!」

「主が……聖書の神が………敗けたっ!?」

 聖書の神の死骸の側に立ち尽くすG.O.Dの元へ召喚されたクリーチャー達が集い始める。

 

「G.O.D様、雑兵共は如何様に?」

「放っておきなさい、どうせもう何も出来ませんよコイツらは」

「はっ、御意に。けれど……宜しいのですか?」

「コイツらには後で我らが主の為に働き、奉仕する役目があります。拒否権なんか有りません、私によって首領が倒されたのならこの鳥擬き共は既に私の、ひいては主の所有物となりました」

 

 しかし、とG.O.Dは一旦話を区切り辺りを見渡す。そこには、配下の九体の神に近い存在感を放つ自身の下僕達によって蹂躙された天使達。

 その中でもまだ息があるものは数えられるほどしかいなかったがそれでも、だ。

 

「何匹か活きのいい奴が交じってるようで……運がいいやら悪いのやら」

 

 今日何度目か分からない憂鬱を抱えながら、一人の女天使に向き直る。そこには、満身創痍と呼ぶにふさわしい傷を負った美女が未だ戦場に立っていた。

 

「私は………負けない……ッ!あなたのような下賎な侵略者なんかには………絶対に………ッッ!!!!!」

 

「ほう………威勢だけは一丁前ですね、小娘。そんなにも命を捨てたいか、下等生物如きが」

 

「っ………!!」

 

 額から血を流しながらもその二本足で地に立ち、強気でいた女天使は、G.O.Dからの純粋な殺意をその身に受けて気絶しそうになった。

 

それでも、彼女は倒れる事だけは拒んだ。

 

 主が倒された今、その仇を討てるのは自分しかいない、そう訴えるかのように髪の下から覗く瞳はまだ諦めていなかった。

 

「ふむ……これを耐えますか、どうやらあなたはそこそこ出来るようだ。天使、あなたの名は」

 

「ガブリエル……私の名前は、ガブリエル」

 

「いいでしょう、ガブリエル。あなたには我が主に仕える事を許可します、ついて来なさい」

 

 その言葉に、目を見開いて叫ぶガブリエル。

 

「そんなの!断るに決まって────」

「あなたに、拒否権は無い」

 

 スッ──

 断ろうとするガブリエルの真上に据えられるG.O.Dの戦鎚。そしてあと少しで死んでいたという事実に言葉を失わせたガブリエルの顔へ、先程無残に潰され付着した聖書の神の血がポタ、ポタと垂れていく。

 

「………ッ!!」

 

「それとも、ここで無意味に無価値に無駄に死にますか?」

 

 

 

 

 

 

 とうとう心を折られた天使の答えに満足したG.O.Dは、召喚した下僕達を引き連れて戦場を後にした。

 

 

全ては、我らの主の為に──────

 

 

神でありながら主を持つ九極の神は、献上する手土産が一つ拾えたことに喜びを隠さなかった。

 

 

 

──────────────────

────────────

 

 

 

──戦場付近の海底で記録されたある会話ログ──

 

「あー!G.O.Dの野郎、あれほど穏便に解決しろよ?って言ったのにも関わらず!ちくしょう!これだから頭が固い奴は嫌いなんだ!」

 

「まぁまぁ、そう言うなって。あんなんでも俺らの商売相手………出来る限りのサポートはしてやらなくっちゃな」

 

「ちぇー……はいはい、分かりましたよ」

 

「さて……この戦争が終わってから実行される世界のシステムプログラムの再構築。すなわち、()()()()()()()()()()()()。何としてでも完遂させなければ……」

 




おかしい…こんな序盤で長引くはずでは……


~カード紹介~

《極まる侵略 G.O.D》

とにかく出すと大量展開が売りの侵略者。最高で36体ものクリーチャーを出す事が可能。能力で9コストのクリーチャー9体出せるが、これによって出てくるのは侵略者ですらないのがほとんど。しかし場に出す為の条件が厳しい事から15500と光文明の中でもかなりのパワーにも関わらず余り日の目を見る事が出来なかったロマンが過ぎるクリーチャー。この進化前であるGioの能力のせいでハンデスは永遠の敵。


《超九極 チュートピア》

G.O.Dの能力でポポーんと一緒に飛び出してくる子。味方のクリーチャーがバトルゾーンを離れる時時手札から9コストのカードを捨てることで置換効果を行う、また今回は使う機会がなかったが誰も手札からしかクリーチャーを出すことを出来なくさせる能力持ち。なお、シールドトリガーには負ける。


──────────────
以下、疑問に思われるかもしれない点について

※聖書の神ってこんな話し方なの?という方は、これは完璧に作者の妄想です。自分が考えてたのと違う!と言う方には大変申し訳ございません。

※G.O.Dが途中でクリーチャーを9体召喚したのは登場時(降り立った時)にまだ効果を使っていなかった、という風に捉えてください。あと、二回目の侵略時にチュートピアしか出さなかったのは仕様です。

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