フェアリー(のように穏やかな)ライフ(を送りたかった) 作:水生蟲
ダーツデリートがまだ有情に思えました、不思議ですね。
完っ!全っに!やらかしたぁぁぁぁぁ!!
薄く目を開け、目の前に広がる阿鼻叫喚な光景を前に、俺は思わず内心で叫んだ。もし少しでも声に出していたのなら、次の瞬間にはこの全てが純白で出来ている空間に大量の彼らが来てしまうのは想像に難くない。
なにせ一度、俺がこの白い空間外に繋がっている
それにしても、いや、それだからこそ自分でも迂闊にも程があると思う。
「あっ……!!」
思わず呟いてしまったのは俺の目に黒い腐ったような形状の羽を持つドラゴン、グールジェネレイドが二体の龍を手を下さずに追い詰める様子に天使のような羽を持つ巨神のG.O.Dが人のような生物を潰し、残りの異形二体が羽の生えた人間の集団をいたぶる様子が映ったからであった。
「どうかされましたか?ご主人様?」
そして、その口から零れた小さな言葉一つであっても聞き逃さず、俺の座る白亜の玉座の前へと跪いて現れたクリーチャーを名乗る存在。見た目は可愛らしい女の子だが頭から鼻まである頭巾のようなものを被り、小首を傾げながらこちらの様子を窺っている為、どんな顔をしているかは完璧には分からない。
「い、いやなんでも……ない」
口調がしどろもどろになってしまうのは初めて目覚めたときに、ここにいるのは全て人間に見える者であっても人間でないと知った時からであろうか。
「そうですか……残念です。でもでも、御用の際は是非とも私にご命令を!攻めも守りもおまかせっですよ?」
それでは、とそう言ってクリーチャーはどこまでも人間と変わらない微笑みを最後に浮かべて、主のいる間から退出した。
それを見た俺は、今度は隠すこと無く胸中にあるわだかまりをそのまま口に出す。
「はぁ………一体お前らのなんだっていうんだよ、俺は………」
吐いた暗い言葉に、今度は誰もやってくることは無かった。
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「はぁ………んっ…!……っや……あっ…ッ!!」
玉座の間の
「あぁ…ご主人様ぁ……」
「ふぅ……やっと仕事終わった。って、うわっ……何してんのよアンタ、よりにもよってここで!」
「ぁ!……あっ、ジェニーちゃん」
「『あっ、ジェニーちゃん』じゃないわよ!いいから早く立ちなさいよ。ほらっ、はやくっ!」
「え、ちょっと待って……今腰が……」
「アァ?んなの知らないわよこの堕妖精、手足切り刻まれたいの?」
急かす声にもう、ジェニーちゃんはせっかちだなぁ。とどこか間延びしたような返答に、ジェニーと呼ばれた少女が手に持っているドクロマークがついた箱を起動させる。ギャリギャリと機械的な音と共にドクロの目が紫に光ったかと思うと、人間の首程度なら力を入れなくとも撫でるだけで切れそうな極細の長い刃が飛び出した。
「えぇっ!?ちょ、ちょっとちょっと、そこまで怒る必要なくなーい!?」
「うっさい!こちとらアンタの分までわざわざ自然文明の手伝いを、アンタの妹分と真面目に仕事してきたってのに当のアンタときたら猿みたいに廊下でマスターを想って────」
「ストォォォォップ!!ストップ!ゴメンね!私が悪かったからそれ以上は言わないでー!」
瞬く間に凶器と化した極細巨大カッターをブンブンと振り回すジェニー。激しい動きに翻るゴスロリ調のドレスから見える関節らは人形のような球体関節で、ジェニーもまた人間ではないことを示していた。
ちなみに、彼女らが主と慕う人物が御座す空間は特殊でこちらの世界とあちらの世界を繋げる唯一の空間となっている。あそこからこちら──超獣世界に来るのは普通に扉があるのでそこから入れるのだが、あちらの世界へ行くには莫大なエネルギーを要するので特別な方法が必要になる。なお、見るぶんには水文明の技術で余裕に行えた。
「はぁっ……はぁっ……ッ!ホンット妖精なだけあって身軽ねっ、アンタッ!力量は同じだってのに!まったく、死にたいわね。あぁほんと、殺したくなるほど死にたくなるわ!」
「ならもうやめようよー!ねっ?ジェニーちゃん?後でジャスミンちゃんにもちゃんと謝っておくから!」
必死の懇願にようやく切りつける手を止めたジェニー。
「ちっ……仕方ないわね、後で姉様に言いつけてやるから」
「解体ちゃんに言うのだけはやめてね?ホントに、私死んじゃうから!」
「別にいいじゃない、姉様含めて後でワタシ達もそっちに行ってあげるわよ」
「あー…この死への希薄感が私達の文明が根本的に相容れない理由なんだろうねー…」
そうボヤいた妖精は、あ、そうだ。と思い出したように箱へとカッターをしまい込むジェニーへと尋ねる。今度はなんだと思ったジェニーだったが相手の顔は先ほどまで巫山戯ていたとは思えないほどに引き締まっており、つい小言を言いそうになった口を噤んだ。
「今、外は────あちらの世界はどんな状況なの?」
「別にどうにも、よ。さっきこっちに残ってる水の連中から聞いたらマスターの言葉に先走って行った奴らの中でも特に早かった連中……黒神龍共にG.O.D達はそれぞれ目標決めて即行で終わりそう、なんだけど…」
そこで一度途切れるジェニーの言葉。
「え、それだけ?」
「いや、あとは………
「あー……」
目の前の妖精がその言葉に心底納得したように頷く姿に、ジェニーもまた無いはずの胃が痛むような気持ちになった。今あげた二体のクリーチャーは前者に関しては一度暴走したら手がつけられず、後者に関しては常時暴れてるせいで他のクリーチャーからは問題児扱いされている。
「けど意外だね。水と光と自然、あとゼロもか。それらが裏方に回ってサポート、
「あぁそれは簡単、マスターがあの赤と白の龍見た時に黒神龍達の方見て『これで三竦みが出来る…』って呟いちゃったせいでアイツらやる気に満ちて他の闇文明の奴らほとんど死なせて行ったからよ。火に関してもほとんど同様。そんでG.O.D?アイツはむしろいつも通り、マスター至上主義なのはいいけど他のゴッドとかエンジェル・コマンドが止める前に水文明の輩と相談するだけして勝手に《究極ゲート》開いて出てっちゃったの」
「なるほどねー。ま、ご主人様があんなこと言っちゃったら叶えたく…いや、捧げたくなっちゃうよね。
「えぇ、ホントに、マスターったらもう我儘なんだから。利己的な願いでワタシ達を犠牲にするんて…そんなのって……そんなのって……………あぁもう!サイッコーに!!闇文明らしいと思わない!?アハハハッ!!そんな所が大好きよ…マスター」
ジェニーは話している途中でトリップしたかのように一人狂った笑いをあげ、満面の笑みで主に対して愛を語る姿は恐ろしくもただただ尽くすべき相手に尽くせている、その悦びを言葉だけで表すには足りない。そう世界に対して訴えているようにも見えた。
「うーん…私も人のこと言えないけどジェニーちゃんもなかなかだよね」
「え、何がよ?」
何事も無かったかのようにクルリと直角に首を回してこちらを見る様子に苦笑いするしかない妖精。それが何故なのか分からなかったジェニーは、ある事を疑問に思って問を投げかけた。
「てかアンタ、マスターが外の世界を見つけた時居なかったの?珍しいわね、四六時中背後とかに隠れてそうなイメージあるんだけど」
てかむしろそれしかアンタの出来ること無いじゃない、との余りにもな言葉に反対の声が上がる。
「ち、違うのっ!あの時は、別に…ちょっとお腹の調子が…」
「さてはアンタその時も────」
「いやぁぁぁぁぁぁぁあ!だから言わないでって言ってるじゃない!誰かに聞かれたらどうしてくれるの!?」
「ハァ……まさかとは思ったけどね…天真妖精オチャッピィの名が聞いて呆れるわよ」
「うぅ……すいません」
ガックリと項垂れる天真妖精ことオチャッピィ。背の大きさ的にはジェニーの方が低いので、厳粛な妹に叱られるダメな姉のように見える。
「まったく、最初に来たのがワタシだったら良かったものの…次から気をつけなさいよ?」
「はい…以後見つからないよう気をつけます……」
すっかり意気消沈した様子のオチャッピィ、流石に少しは懲りたか。とジェニーが思った矢先だった。すぐ側にある主人が御座す場へと続く巨大な、純白の装飾が施してある扉。普段から固く閉ざされているその奥から意識しなければ気づかないほどの声で聞こえてきた声にオチャッピィは勿論、ジェニーでさえも激しく反応せざるを得なかった。
『ゲホッ、ゴホッ────痛ってぇ…』
「ッ!!ご主人様ぁぁぁぁ!!ご無事ですかぁぁぁあ!!!?あぁぁ…私が目を離したばっかりに…っ……」
「え、ちょっ、早っ、って待って私も!マスター、無事!?大丈夫?死んでない!?死んでもちゃんと生き返らせてあげるわ!《インフェルノサイン》でも《インフェルノゲート》でも何でも使うから!」
愛する主人の痛むような声に過剰に反応した二人は揃って扉の奥にいる主人の元へと消えていった。
今回はバトルは一旦お休み、癒し(キャラ崩)回です。イメージが崩れてしまった、気に入らなかった、もう綺麗な目で見れない、というオチャッピィ好き、ジェニー好きの皆様には心よりの謝罪申し上げます。
~主要カード紹介~
【天真妖精オチャッピィ】
昔から緑のマナを支える優秀なスノーフェアリー。
【特攻人形ジェニー】
デュエマでハンデスと言ったらジェニー!と言えるぐらいには有名な2コストの闇文明クリーチャー。バトルゾーンに出した時に任意効果で自壊、そしたら相手のカードをランダムで一枚捨てさせる効果を持つ。相手の場にティグヌスやベルリン等がいたら要注意。あとマッドネスにも。
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以下、疑問に思われるかもしれない点について
※ヒロイン未定じゃねぇの?という質問についてはまだこの二体のクリーチャーはヒロインになるかすら決まっておりません。作者の不甲斐なさのなせる業です。何卒ご容赦を…
※ちょっとーヤンデレタグつけ忘れてんよーという方へ、大丈夫です。これはヤンデレではなく純愛です。
※白の空間…一体どうなってるんだ…訳わからん…という方はプラネタリウムの部屋を想像してみてください。天井に映る星の光景が外の世界(ハイスクールDxD)の光景、プラネタリウムの部屋自体が主人公(名前不詳)がいる白の空間。そして、プラネタリウム室の外にある廊下が今回オチャッピィ達がいた部分に当たります。部屋の大きさや厳密な内容は違いますが解釈としてはそのように捉えていただきますようお願いします。