フェアリー(のように穏やかな)ライフ(を送りたかった)   作:水生蟲

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デュエマってフレーバーテキスト最高にカッコいいの多いですよね。昔見た中で印象に残ってるのはニドギリ・ドラゴンとかですかね?

「今を戦えない者に次とか来世とかを言う資格はない」ーーーニドギリ・ドラゴン

はぁカッコいい…この言葉だけで一日頑張ろうと思えるものです。それでは、続きをどうぞ!


六話

 G.O.Dが白亜の空間──通称“超越の間”に帰還した時、ジェニー達三体のクリーチャーはその奔放さを杞憂したシャーロックの手により外に放り出されていた。しかし、その行動に当然のごとく納得がいかないのは彼女達だ。ジェニーに至ってはその武器である巨大なカッターを起動させ、装飾されている頭蓋骨は中が点滅し、そんな荒れる彼女の内心を表すようにギャリギャリと刃を出し入れしていた。

 

「ちょっと!シャーロック、なんでワタシ達が外にいなきゃいけないのよ!?」

 

「そうだよ!ご主人様の隣……とまではいかないけど同じ部屋にいるぐらい良いじゃない!」

 

「そうよそうよ、シャーロックのくせに生意気よ!この骨ヘビ!偽ピエロ!アンノウン!」

 

 それぞれが言いたいように言う中、シャーロックは困ったように顔でもある仮面の目を下げて言った。

 

「ヤホホホ……どうにも貴方達がいると騒がしくなりそうなので……あとメーテル嬢に至ってはただの罵倒ですよ。それよりもそのG.O.Dが拾ってきたという天使(エンジェル)、マスターにお仕えするに相応しいようにキチンと仕上げなければいけないでしょう?」

 

 シャーロックが見た先には、ビクビクと体を震わせながら廊下の柱の影に隠れて此方を────正確にはシャーロックの異形な姿とその溢れ出る“圧”に常時心臓を掴まれたような錯覚に陥っているガブリエルがいた。先程までG.O.Dに連れられていた時は戦闘の直後で頭に血が上っていたが、冷静になってよくよく考えると私はとてつもなく拙いことをしたのでは…?と今更ながら恐怖に駆られていた。

 

「ふんっ、誰がこんな外の下等生物(捨て犬)の面倒なんか見るもんですか!!」

 

『そうよそうよ!』

 

「おや?聞いた話ではマスターが外の生物のペットを欲しがっていたとか……世話をすればその分お褒めになられるかも知れませんよ?」

 

「なんですって……それホント!?」

 

『やるわ!任せて!』

 

「ヤホホホ、そうですか。では任せましたよ」

 

 見事に手のひらを返したジェニー達(騙され安い奴ら)に、満足そうに扉の奥へと踵を返すシャーロック。

 

 ギィィィィィ、バタン──────と閉ざされた扉の音を最後にしばしその場に静寂が訪れた。廊下の端に置かれた柱時計の時を刻む音が、城の中に敷かれた白い金色の刺繍が施された豪華な、されど下品さは微塵も感じられない絨毯へと静かに吸い込まれていく。

 

 そして、扉の方を向いていたジェニーがその首を後ろに少しずつ動かしていくのを皮切りにその空間の時は再び刻み始めた。

 

「ッハァァァァァァァ………!心底面倒臭いけど、マスターに褒められる可能性が少しでもあるなら世話をしてあげる………面倒臭いけど。ワタシはジェニーよ、利己的に死ぬまでの短い時間だけど宜しくね? 可愛い(哀れで)可愛い(憐れな)天・使・さ・ん?」

 

「……………っ!!」

 

 ジェニーの目は完全にいざとなったら殺してもいいか、と訴えていた。他二体も顔を俯かせ、ブツブツと何かを自分に言い聞かせるようにしている。

 

「そうだよね……ご主人様の為だもん………仕方ない、これは仕方ない事だよね」

 

「あぁもう、不自由に縛られるのは嫌だけどボスが喜ぶのなら……っ!」

 

 ユラユラと、その異形達は徐々に徐々にガブリエルへと近づいていく。

 

「い………いやっ、来ないで下さい………!!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──────それで私が、究極的に!完膚なきまでに!聖書の神を叩き潰してですね!全く、大人しく死ねばいいものを無駄に抵抗なんかするから時間が掛かってしまい………おや、主?主よ、どうされました?」

 

「………………………」

 

 

 その後、超越の間ではG.O.Dによる報告という名の武功話が延々とされていた。身振り手振りを加えながら大袈裟に語るその姿は演出家もさることながらであった。しかし、その肝心の語るべき主はその話の長さと退屈さにゆっくりと意識を微睡みの中へと落としていた。

 

「おやおやこれは………G.O.D、貴方はどうもマスターの事となると熱くなりすぎる節がある、それが例えマスター自身の前であってもというのは些か拙いのでは?」

 

 空間制御から戻り、再び玉座の上へと現れたシャーロックは呆れたようにため息をついて、現状を瞬時に把握するとG.O.Dに向き直り苦言を呈した。

 

「…………チッ、分かってますよ。私の悪い癖です…」

 

 

 苦虫を噛み潰したような顔をし、主からすれば退屈であった話を長々と続けてしまったことに対する負い目から見るからに落ち込むG.O.D。

 

「ヤホホホ、貴方の献身ぶりは他のクリーチャーに比べて顕著ですからね……気持ちは分かりますが。それよりも、早くマスターをお運びしましょう。なにせ今日だけでかなりのマナを消費しましたからね、かなりお疲れになられていたんでしょう」

 

 そして、シャーロックがその巨大な黒い左手で(マスター)の事を丁寧に持ち上げようとした時だった。シャーロックの手には掴むはずだった主人の姿が無くなっていた。

 

「おやおや……この空間に入るのにそんな裏技を使わなくても別に追い払ったりしませんよ────ザ・クロック」

 

 その人物は、いつの間にか手にこの空間の主を抱えて悠々と空中に浮かんでいた。

 

「悪いな、俺とて別に好き好んでお前みたいな胡散臭い奴とは関わりたくないんだが……他でもない同志(メーテル)からの頼みだ、テメェ(シャーロック)からボスの事を見守ってくれってな。そんで()()()()()()()()()()来たらどうだ?一体ボスに何しやがった、この腐れ外道」

 

 身体を改造し、手からは巨大な時計を模した歯車を生やしたそのアウトレイジ【終末の時計(ラグナロク) ザ・クロック】はシャーロックに対して敵意を剥き出しにして凄んだ。それに対してG.O.Dとシャーロックはというと──────

 

 

 

 

 

 

「はぁ…これだから脳筋のアウトレイジは嫌いなんですよ」

 

「ザ・クロック……マスターは単にお疲れなだけです、よく見てみなさい。私は何も手など出しておりませんよ」

 

 突如として現れて、唐突にキレる理不尽(ザ・クロック)に対して呆れ返っていた。

「なんだと?」

 

 言われるがままに片腕に抱えているボスの顔をのぞき込むクロック。するとスゥ、スゥと気持ちの良い寝息が腕の中から聞こえてくるだけで別に異常は見受けられなかった。

「…………」

 

 なんとも言えない微妙な表情になるクロック。

 

「ほら、言った通りでしょう?アウトレイジはやはり馬鹿ばかりですね」

 

 それに何故か勝ち誇ったようにして、クロックを馬鹿にするG.O.D。

 

「ですが、ちょうど良かった。貴方を呼ぼうと思っていたのです。マスターはこの通りなので、もうあの戦争(余興)をお見せする為にわざわざ長引かせる必要はありませんからね……貴方の力で適当な所まで終わらせておいて下さい。私はマスターを部屋までお送りするので」

 

 言うなりクロックの腕からマスターを取り返すとそのまま姿を消したシャーロック。消える直前、その仮面に覆われた顔は確かに楽しげな顔をしていた。

 

「あっ、おい待て!」

 

 クロックが慌てて静止の言葉をかけるも、既にその声は届かない。

 

「それでは私も失礼します……あぁ主よ、申し訳ございません……次こそは満足いくご報告を…」

 

「G.O.D、お前までっ!」

 

 そして、懺悔に駆られるG.O.Dにまでその場を離れられて一人ポツンと超越の間に取り残されたクロック。しばらく呆然としていた彼だったが、頭上からなおも聞こえてくる戦場の音にようやく意識を取り戻した。

 

 

 見据えるはこの戦争の終末────

 異なる世界から告げられるのは時のしらべ。刻まれた永劫を操ることが出来る唯一の存在は、その力を今解き放つ。

 

「ったく……あーあ、マジかよ、面倒くせぇ。けどまぁ、ボスの為になるならボランティアでも何でもやってやるか」

 

 

 その言葉を最後に、戦場の時間は次の場面(ターン)へと移ることを余儀なくされた。

 

 

────────────────────

──────────────

 

 

「グルルル……」

 

「ぐっ、が………っ!!この……化け、物が……っ!!」

 

 グールジェネレイドはドライグを早々に下すと、次はアルビオンへと狙いをつけた。その身体はドライグによって無残な姿と成り果てた筈なのに、どういうわけか再び登場時と同じ何ともない状態へと戻っていた。確かにグールジェネレイドは死んでいた、それなのに動いている。その有り得てはいけない矛盾がアルビオンにとって精神に重くのしかかる。彼にとってはまるで覗いてはいけない深淵を覗いてる気分であった。

 

(くっ……!!赤いのは……ダメか……っ!)

 

 アルビオンは、もはや虫の息となったドライグを一瞥した。両の腕は引きちぎられ、グールジェネレイドによって至る所を捕食されたその姿は見るからに痛々しい。いくら生命力が高い龍であっても、この様子では上下に動く胸もいつその鼓動を止めてもおかしくない。

 もはや死に体と化したそのドライグの周囲には、ダーク・ルピアがいつその新鮮な魂を刈り取れるかと不気味に飛び回っていた。

 

 

 しかし、その一瞬の隙であっても目にも止まらぬ動きでグールジェネレイドはアルビオンへと襲いかかった。現れた時とは違い、攻撃的なその行動に白龍皇と名高い1匹の龍は反応が遅れてしまった。やられた────!!そう思うも闘いでは一瞬の油断が命取りとなり得る。その細長い体を蛇のようにしならせ、地面を這うようにアルビオンへ接近したグールジェネレイドは、その勢いのまま相手の喉元へ噛み付こうとした。

 

「そう易々と……私を倒せると思うなぁァァァァァァァァァァ!!」

 

 身を翻し、その攻撃を危なげに避けるアルビオン。しかし、完全には避けられず僅かに顔に傷を負ってしまう。鱗から流れる血を感じつつ、アルビオンは口を歪める。

 

「………………」

 

 されど、それは痛みや屈辱からではなく、嬉々からくるものだった。

 

()()()()()()()()?」

 

 アルビオンの手には、グールジェネレイドの腕がしっかりと握られていた。今の攻防はこれが狙いでもあった。かの龍の能力は、触れた物の力を半減する────それにより体の力が抜けていくのを感じたグールジェネレイドはされど、驚く様子はなかった。

 

「グルルル……我に弱体(パワー低下)など……貴様らはどこまでも愚かだな」

 

「何?」

 

「こんなものは所詮死ぬまでの僅かな余韻に過ぎない、我が今一度死ねばすぐに解ける」

 

「ほう……試してみるか?名も知らぬ黒龍よ。ここからは我慢比べといこうか」

 

「望むところ、と言いたいところだが……残念だな…我らにそんな時間はもう残されていない」

 グールジェネレイドは感じていた、この世に存在する限り逃れることの出来ない力の波動を。その力を使う唯一の者を。そして、マスターはもうこの戦いに興味を無くしたと把握した。ならば遊ぶ必要も無い。グールジェネレイドは抵抗もせずに腕をアルビオンに預けたままにした。

 

「さらばだ……白き翼を持つ龍よ」

 

「待て!貴様らは一体どこまで私達を弄べば気が済むのだ!!いい加減にし────」

 

 

「時よ────終れ──────」

 

 

 戦場に響く鬨の声は、その刹那。二天龍、悪魔、天使、堕天使、クリーチャーでさえも、全ての時を置き去りにした。

 

 

 




やっぱりクロックの魅力(都合の良さ)には勝てませんでした……多少強引でもこれがこの小説の持ち味、そういうことにしましょう!(

あれ……それにしても主人公の出番、ほとんど無い気が…?どうしてこうなった……
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~カード紹介~
終末の時計(ラグナロク) ザ・クロック》
S(シールド)・トリガーに困ったらとりあえず入れとけ、と言われる程に有能な子。クリーチャーなので呪文封じは効かず、踏み倒しを許さない奴らもこの子の前では意味が無いものが多い。三コストパワー3000だが、見るべきはやはりアウトレイジの型破りさを存分に引き出した能力。即ち、ターン飛ばし。出したら即座にターンエンドすら言わせずに次の手番へと移させる。旧式ルールではW・ブレイクされても一枚目に見えたらその時点でそのターンを終了出来たが、新ルールとなってやや扱いにくさが出てしまったか。しかしそれを差し置いても優秀な事に違いはない、だからといってデッキには四枚以上入れることのないように。
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