THE KING OF STREET FIGHTERS   作:本城淳

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ナコルル…サムライスピリッツシリーズ


リムルル…サムライスピリッツシリーズ


モルガン…ヴァンパイアシリーズ


リリス…ヴァンパイアセイヴァー




異世界姉妹チーム

リムルル(姉様の声が聞こえる………)

 

以前の目覚めから、幾時の時が経ったのだろう。

眠りに就いたのはナコルルがカムイコタンの巫女としての使命を果たし、その身を大自然に捧げた時よりしばらく経った時(真サムライスピリッツ)。

次に目覚めたのはそれから50年以上も経った頃、江戸幕府が完全に安定した頃だろうか。

リムルルはかつて若かった覇王丸が、白髪だらけの姿で妖精となった姉、ナコルルと話していたのを見たときは驚いた事を覚えている(蘇りし蒼紅の刃~侍魂~)。

 

ナコルル(リムルル……目を覚まして…大自然は失われ、人は自然意思・オロチとも敵対するようになった…だけど、人の世はまだ続いているの…でも、再び世は凶事に襲われようとしている…あなたが守って!人の世を、アンブロジャから……)

 

カムイコタンの力が光となって守っていたリムルルを形作る。

 

そこは………

 

リムルル「何……これ………大自然の声が……まったく聞こえなくなっちゃった……」

 

そこは大自然が溢れていたかつてのカムイコタンでは無かった。リムルルが愛したアイヌの聖地は、今や北海道と名付けられ、すっかり開発され切った地と変わり果てていた。

馬が無くても走る鉄の馬車、江戸の民が使っていた文字や、姉に好意を持っていた金髪の忍者が使っていたエングリッシュと呼ばれる文字……そんな物が所狭しと書かれている街並み…。

 

リムルル「こんなものを守るために…姉様は……」

 

リムルルはへたり込み、その瞳には涙が溜まっていく。

 

リムルル「こんなになっちゃったカムイコタンを…ううん?人の世界を…守る必要なんてあるのかな……」

 

姉の遺志を継いで、リムルルはアイヌの巫女となった。そして、永い眠りへと就いた…。なのに、守りたかった大自然や、カムイコタンは……。

 

 

 

 

もう、ない。

 

そんな失意のリムルルに話しかける声があった。

 

???「純白な魂。綺麗で汚れのない魂……美味しそうだね?」

 

振り向くと、異形の者の姿があった。

 

リムルル「あなたは?」

 

リリス「リリスは、リリスだよ?夢魔なの」

 

リリス(この子は……完全な魂じゃない。だけど、魔物は魔物……)

 

リムルルは氷の精霊、コンルを出して構える。

だけど……

 

リムルル(今の人間の世界は……魔から守る価値があるのかな……姉様が愛した大自然を壊しちゃった世界に、あたしは守る意味を感じられない……)

 

リリス「どうしたの?遊ばないの?つまんないなぁ」

 

リムルル「もぅ……リムルルが戦う意味なんてないもん……こんなの、姉様が愛した世界じゃない……」

 

もう、どうなっても良い。

 

リムルル「好きにして……リムルルの魂をアンブロジャに捧げるなり、なんなりして」

 

もう、この世界に姉はいない。覇王丸や、ガルフォードもいない。リムルルは本当に独りぼっちだ。

 

???「あらあら。せっかくの綺麗な魂がどんどん汚れていってしまうわ?このまま朽ちていくなら、いっそのこと本当に闇に落としてしまおうかしら」

 

再び魔の気配が現れる。

振り返るとリリスを大人にしたような美女がリムルルの背後に立っていた。

またしても魔の者だ。

 

モリガン「初めまして。綺麗な魂のお嬢ちゃん。私はモリガン。モリガン・アーンスランド。魔界の貴族の当主よ」

 

リムルル「………リムルル。カムイコタンの戦士……でした」

 

モリガン「カムイコタン?そう言えば、毎度私がこの国にちょっかいをかけると邪魔してくる彼女も、そう言っていたわね」

 

この時代にも、カムイコタンの戦士はいる。ならばいっそ、その人に任せれば良いのかも知れない。これ以上自然を破壊された世界を見るのは……もう、耐えられそうもない。

 

リリス「ダメだよモリガン。この子はリリスが見つけたの。リリスが闇に落とすんだよ?」

 

モリガン「あら?しばらく見かけないと思ったら、こんなところにいたのね?」

 

リリス「だって、アーンスランドにいるだけなんて退屈だもの。リリスだってまだ楽しみたいじゃない?」

 

モリガン「そう。だけど、この子はダーメ。今の人間の世界に、これだけの純白な魂はないわ。こんなご馳走は滅多に見つからないもの」

 

モリガンはリムルルを背後から抱き、その首筋をペロッと舐める。ゾクゾクとした感触がリムルルを襲うが、それはまた、甘い感触も伴っていた。

 

リムルル「あなたも……アンブロジャの手下?」

 

モリガン「アンブロジャ?ああ、あの魔界村みたいに魔界の中でも独自の文化を持つ、あの閉鎖的な国の主ね?ビシャモンとかもそこの出身だったかしら?一緒にしないで。あんな下品な種族。あんなのと一緒にされるくらいなら、まだデミトリやジェダの方がましよ」

 

魔物にも色々あるらしい。確かにこの魔物たちは不知火幻庵や、羅生神ミズキ、壬生斬紅朗とは違う感じがする。元々人であった天草よりも、人間らしい。

 

モリガン「さぁ……私に身を委ねて……そして、快楽と一緒に……闇に落ちましょう?」

 

リリス「だめ!ねぇ、私と一緒に気持ちよくなろう?大丈夫。痛いのなんて、一瞬だから…ね?」

 

魔がリムルルを誘惑してくる。リムルルにとってはどっちでも良かった。こんな悲しい現実よりも、いっそ堕ちてしまった方が……。

 

ナコルル「ママハハ!」

 

ブォォン!

 

リムルル(この声は………姉様の……?)

 

自分は幻聴でも聞いているのだろうか?

もう二度と聞くことが無いだろうと思っていた一番大切な声が、リムルルの耳に届く。

 

モリガン「んもう!またあなたなの!?」

 

リリス「誰?良いところだったのに」

 

ナコルル「リムルルを……私の大事な妹を……好きにはさせません!退きなさい!魔の者!」

 

リムルル「姉…様………?」

 

魔に堕ちかけていたリムルルが目の焦点を合わせると、目の前には確かにナコルルの姿が……。

 

ナコルル「魔に堕ちてはダメよ!リムルル!確かに大自然は失われ、カムイコタンの血は失われつつあるわ!でも、それでも人はまだ、生きている!大自然は、まだ世界に息づいている!絶望してはダメよ!」

 

リムルル「姉様は……姉様は確かに大自然と1つになっちゃったはずなのに……何故?」

 

ナコルル「………私は、カムイの力で過去からやって来た私。大自然と1つになる前の私よ…覇王丸さんと一緒に、未来へやって来たの。アンブロジャや、地獄門の凶事から人の世を守る為に」

 

どんな理由でも良い。自分の前にナコルルがいる。その事実だけで、失っていた心の力が戻ってくる。

寂しさが嘘のように消えていく。

 

リムルル「姉様は……知っているんですか?この魔の者を」

 

ナコルル「ええ。これで何度めかわからないわ。アンブロジャとかに比べたら、彼女達は人と共存出来る存在。だけど、魔の者であることには変わらない」

 

ナコルルはモリガンとリリスを強く睨む。

モリガンはやれやれと言った感じで、その闘気を受け流す。

 

モリガン「安心しなさい。もう、あなたたちに興味は無いわ」

 

ナコルル「信用できると思いますか?」

 

リリス「本当だよ。だって、今あなたは言ったじゃん。アンブロジャや地獄門が関わってくるって」

 

モリガン「私達に取っても死人やアンブロジャの軍勢に物質界をメチャクチャにされたら困るのよ。言ったでしょ?品と刺激の無い世界は嫌いだって。たまにちょっかいをかけるのが楽しいからこそ、私達は退屈せずに済むのだもの」

 

リリス「それで何が起こるの?リリス達も協力するから、面白いことなら混ぜてよ」

 

少しは真面目な感じになったモリガンと、あくまでも遊び感覚のリリス。

 

ナコルル「何が目的ですか?」

 

モリガン「あら?本音よ?まぁ、刺激を求めてるってことも確かよ?あなた達の邪魔はしないから、安心しなさい?どうかしら?」

 

リリス「あなた達の目的は、これでしょ?」

 

リリスはKOSFのチラシをナコルル達に見せる。

 

ナコルル「そ、それは……あなた達はその武芸大会にツテがあるのですか!?」

 

それはナコルルがどうやって参加しようか迷っていた事だった。

 

モリガン「大会主催者とは縁……といっても因縁だけど、あるわ。もっとも、頼るツテは他にもあるけど。例えば……観月の力を頼るとか…ね」

 

かつてモリガンとリリスは観月財閥と協力して物質界や幻想界、魔界に未来に冥界を又にかけてこの世界を守った事がある。

その時に観月財閥とは浅くない縁を築いている(NAMCO X CAPCOMシリーズ)。

元々一つだったモリガンとリリスの存在も、個として強制的に別々に確立されたのもその時の話だ。

 

モリガン「あなた達は目的を果たせる。私達は刺激を得ることが出来る。どう?悪くない話じゃない?」

 

ナコルル「………不本意ですが」

 

リムルル「私は姉様と一緒ならそれで……」

 

モリガン「決まりね。よろしくお願いね?ナーコちゃん?」

 

ナコルル「気安くしないで下さい。魔の者と並び立つのは……今回で最初で最後です」

 

リリス「仲良くしようね?リムルル♪」

 

リムルル「あまり…近付かないで」

 

アイヌの巫女たちと魔界の貴族……

異色のチームが時や世界を超えて並び立つ!




ナムカプをベースにしているわりには死んでいたハズのローズが生きている事に関しては目を瞑って頂くと幸いです。
そうでないとモリガンとリリスが並び立つことは困難だったので(^_^;)

一方、リムルルは凶事が関わらなければカムイの意思で眠りに就いている…という真サムライスピリッツから数十年後の世界を描いた「侍魂」の設定を用いました。
既存のキャラは覇王丸のみ。
半蔵も出ていますが、その正体は真より天草から解放された息子の真蔵ですし、アスラもユダとして記憶を失った別の存在。色と反面のアスラは亡くなっており、その娘の命が中ボスとして登場しているゲームです。
PS1の家庭用としてしか存在しないゲームで、餓狼WAB以上にマイナーなので、知っている方は少ないかも知れません。
SNKキャラを恋愛ゲーム化した「Days of memory」シリーズの時代劇版では「侍魂」のキャラが一部出てきましたが。そう言えば「いろは」も出てきましたね?俺ガイルの一色いろはとは別キャラですよ?何度も言いますが、ジョジョは出しませんし、ましてや俺ガイルなんてなおのこと出しませんからね?

一方でナムカプですが、こちらは知名度が高いかと思います。後にスパロボシリーズとクロスした「無限のフロンティア」や鉄拳、さくら大戦、そしてストリートファイターシリーズやテイルズともクロスした作品の走りなので。

KOSFはたまにジョジョの合間の息抜きで書いてますから完全に不定期ですが、お付き合い頂けると幸いです。

それでは次回もよろしくお願いいたします。

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