THE KING OF STREET FIGHTERS   作:本城淳

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タクマ・サカザキ…龍虎の拳シリーズ、KOFシリーズ
(極限流空手)

草薙柴舟…KOFシリーズ
(草薙流古武術)

豪拳…ストリートファイター4
(空手をベースにした暗殺術)

忌野雷蔵…私立ジャスティス学園
(忌野流忍術)


新オヤジチーム

日本、とある人里離れた山に草薙柴舟とタクマ・サカザキの姿があった。

真吾の独り立ちを見守った後に、柴舟自身も大会に参加すべくメンバーを集める為である。

今回の大会出場にあたって柴舟は是非ともチームを組みたい人物がいた。

表向きには死んだことになっている人物ではあるが、柴舟はその人物がちゃっかり生きていて、今でも現役で武者修行をしていることを知っている。

 

柴舟「よろしかったのですかな?タクマ殿。リョウ君やユリさん達とチームをくまなんで」

 

タクマ「心配無用ですじゃ。ここでワシがおらんで早々に負けるようであれば、それはリョウ達がまだまだ未熟であるというもの。それにワシとて時には極限流の総帥としてではなく、ただの一格闘家として気楽にやりたいのですよ。柴舟殿もそうではないですかな?」

 

柴舟「いやいや、お恥ずかしながら草薙流の継承者の座は京に譲ってしまいましてな。今までも自由にやり過ぎておる次第でして…親子共々放浪癖がついてしまっておると妻には嫌味を言われ三昧ですよ」

 

タクマ「ハハハハ。自由気ままに武者修行。私にとっては憧れる限りです」

 

柴舟とタクマは談笑しながら険しい山をヒョイヒョイと登って行く。まるでピクニックか、もしくは軽いハイキングのような気楽さである。

その内、柴舟の目前に打ち捨てられた山寺の姿が見えてきた。古来より暗殺拳を伝承する修行場であり、そして数年前まではあのリュウやケンもこの寺で修行をしていた場所であるが、時代の移ろいにより今では誰も住んではいない半ば廃墟と化してしまっている寺である。

しかし、柴舟達はこの日に寺の主が帰ってきていることを知っている。

 

柴舟「失礼しますぞ」

 

柴舟はほぼ廃墟と化しているその古寺に、目的の人物は仏像に向かって座禅を組んでいた。

 

豪拳「これはこれはお珍しい。柴舟殿でありませんか」

 

目的の人物の名は豪拳。

リュウとケンの師であり、老齢になってもなお、現役を掲げて常に荒行を続けている豪傑である。

 

柴舟「これは心ばかりの品ですが…それと、お供え物も持ってきましたのでワシらにも供養をさせて貰えませぬかな?」

 

柴舟は豪拳に土産物を渡し、持ってきていた菊の花束を見せる。

 

豪拳「これはこれは……お気を遣わせてしまいましたかな?どうぞどうぞ。師も喜びましょう。師も柴舟殿のお父上とは互いに腕を磨きあった仲でございましたからな。草薙流の元継承者であられる柴舟殿に供養して頂けるなど、嬉しい限りですじゃ。そちらは極限流空手のタクマ殿ですかな?無敵の龍のご活躍はこの老骨の耳にも届いておりますぞ?」

 

タクマ「いやいや。無敵の龍の名は倅のリョウに譲りましてな。今のワシはただの空手家に過ぎず、お恥ずかしい限りです」

 

豪拳「ご謙遜を……聞いておりますぞ?Mr.KARATEのご活躍を」

 

タクマ「豪拳殿もお人が悪いですな。重ね重ねお恥ずかしい。良い歳をしてはしゃぎすぎであると反省しております所でして……」

 

豪拳「ハハハハハ!いやいや、このワシも未だに滾る闘志を抑えきれず、各地ではしゃいでおりお恥ずかしい。因果な商売ですな。おおっ!ワシとしたことが失礼を。師の眠る場所まで案内をせずに。ささっ、どうぞこちらへ。いささか場所が辺鄙な所にありますが」

 

柴舟「なんのなんの。これも修行ですよ。それでは案内をお願い申してよろしいですかな?」

 

豪拳の案内で彼の師の墓へと赴く柴舟達。

今日は豪拳の師である豪轍の命日である。

墓……といってもしっかりとした墓石があるわけでもなく、簡素な石を数段重ねた程度の物だ。

柴舟は仏花を供え、指から出した炎で線香に火を付ける。

 

柴舟「本来であれば、焚き火を焚いた火でお線香の火を付けるのが作法なのでしょうが、ワシが格闘家に捧げるお線香の火は、この草薙の火が相応しいのでしょうな」

 

豪拳「最高の手向けとなりましょうな。師に代わり、感謝申し上げます、柴舟殿」

 

柴舟とタクマは豪轍の墓に線香を供え、姿勢を低くして手を合わせて立ち上がる。

 

豪拳「して、柴舟殿、タクマ殿。本当のご用向きは他におありの用ですが、それは巷で噂になっている例の大会のお話ですかな?」

 

柴舟「ハハハハ。流石は豪拳殿ですな。いやいや、ご慧眼の通りです。流石ですな、感服致しました」

 

タクマ「柴舟殿。それは流石に慇懃無礼と言うものですぞ?白々しいにも程がありますぞ」

 

豪拳「タクマ殿の言うとおりですな。さすがにこの時期に柴舟殿が来られる理由など、それしか有りませんからな」

 

そう言って豪拳は髭をさする。

 

豪拳「普通ではワシは既に表舞台から姿を消したジジイに過ぎぬでしょうが……格闘家の性なのでしょうな。こうも血が騒いでしまうのは……」

 

柴舟「それが格闘家というものなのでしょう。豪拳殿。ワシらの誘いをお受けくださらぬか?」

 

柴舟とタクマが頭を下げる。

 

豪拳「……わかりました。頭を上げて下され、柴舟殿、タクマ殿。因果な商売ですな。格闘家というものは…強いものと戦えるやも知れない。そう思うだけで居ても立ってもいられぬのですから。して、かの大会は四人一組での参加が必須。あと一人は如何されるのですかな?」

 

タクマ「ジャスティス学園校長の忌野雷蔵殿とも既知でしてな。既にお約束を取り付けておりまして。ご多忙の身の故にここに来れずに申し訳ないと申しておりました」

 

豪拳「ほほう!あの雷蔵殿とも!やや、存じておりますとも。ハハハハ!流石はタクマ殿に柴舟殿!あの雷蔵殿ともお知り合いでしたとは!いやはや、これはなおのこと楽しみになりましたな!是非とも若い者達に我ら達人の戦いというものを見せてやらねばなりますまいな!」

 

タクマ「そうですな。若輩者の鼻っ柱を折り、若者たちを更なる高みに導くのが我ら親父の役目というもの」

 

柴舟「ふむ。では参りますか。一つチャンピオンベルトを携えて、豪轍殿の墓標に飾りませぬとなりませんな」

 

豪拳「ハッハッハッ!これは師への冥土の土産になりましょうぞ!親父の威厳を掛けて、優勝をもぎ取らねば師に顔向け出来ませんな!ワッハッハッハ!」

 

忘れられた古寺で、三人の親父達の笑い声がこだました。




はい、今回は真オヤジチームです。

KOF95、98の中ボスの草薙柴舟。
龍虎の拳のラスボス、SVCカオスの中ボスであるMr.KARATEことタクマ・サカザキ。
スト4の隠しボスである豪拳。
ジャスティス学園の中ボスである雷蔵。

渋い親父達で結成されたオヤジチームですが如何でしたでしょうか?

それでは次回もよろしくお願い致します。

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