THE KING OF STREET FIGHTERS 作:本城淳
K´「またテメエにいっぱい食わされた…いつかはぶっ殺す」
どこで知ったのか、いつもK´は居所を鎮に掴まれ、そして良いように利用される。クーラにもいい加減に縁を切るように言っているのだが、改造された時の副作用で精神が幼いクーラはお菓子を餌にされるとホイホイ鎮の思惑に乗ってしまう。
そして根が善人なK´は、結局は鎮に踊らされるがままに彼が用意したチームメイトと共に大会へと向かって行った。
鎮「これで少しは保険ができたかのう?じゃが、相手はルガールだけじゃのうて、あのギースやベガも絡んでおる。保険は多かれば多い程良いに越したことはないが…やはり儂自身が出場するしかないのかのう」
鎮はきたるべき災厄に向け、万全な状態に備えるべく、なるべくアテナ達を大会に関わらせたくなかった。その為にアイドル活動に集中させる為に過密スケジュールをアテナのマネージャーに頼み、大会に遠ざけたというのに、なんとアテナは現地でチームメイトを見つけて大会にエントリーしてしまったということをマキシマによって知ってしまった。
そこで例の如くK´を唆したものの、やはり不安は拭えない。
「ワシが頼れるのは……やはり旧知の仲に頼るしかないかのう。奴が応じてくれるかは分からんが……」
しかし、頼んでみないことには何も始まらない。
早速鎮は行動に移ることにした。
タンの庵
タン「頭を上げて下され。鎮先生」
鎮が最初に頼ったのは、若い頃から互いに切磋琢磨して技を磨きあった比較的頼みやすい、八極聖拳のタン・フー・ルーであった。
タンの方も今回のきな臭さを感じとったのか、二人の弟子をどこか遠くの山に籠らせて修行させているとのこと。シュンエイも明天も何やら重い宿命を負っている。
そして、秦の秘伝書に関係している秦兄弟もギースに関わらせる訳にはいかないので、自身の弟子である秦祟雷をシュンエイ達に同行させ、キム・カッファンに連絡を取って祟秀を大会に関わらせないように打診した。
こんなところで消耗させる訳にはいかないのだと。
鎮「ではタン先生……」
タン「わかっておりますじゃ。ワシが生み出してしまった汚点であるギースを止めるは我が使命。喜んで協力させていただきますぞ?鎮先生」
ギース・ハワードは元々タンの弟子であった。しかし、ギースの野心を見抜いたタンはギースを破門にし、ジェフ・ボガードを後継者に選んだ。
しかし、それが悲劇の始まり。野心を露にしたギースはジェフを殺害し、ボガード兄弟の宿命を生み出してしまった負い目がある。
鎮の申し出はタンにとっては渡りに船であった。
タン「して、残るメンバーはどうなさるおつもりですかな?」
鎮「山田十兵衛殿やリー・パイロン殿も考えておりましたが………あやつに頼んでみようかと思いますじゃ」
タン「なんと………思いきった事を考えましたのう。奴が素直に応じるとは思えませんがのぅ……」
鎮「じゃが、奴は腕が立つ。もしかしたら、ワシらと真逆をゆくやつならば……あるいは……」
上海
サウスタウンを代表するように、華のある町だとてそこには闇がある。
花街を一歩路地裏に踏み込めば、そこは裏の住人達が牙を剥く…。鎮達が求める人物はそこを根城に日々、暗躍していた。
鎮「いるとすればここなのじゃがな……」
タン「いつ来ても落ち着かぬ場所ですじゃ。サウスタウンと良い勝負じゃのう」
彼らの足元には二人を獲物と見たならず者達が転がっている。
「うう………このジジイ達……つえぇ……」
鎮「さて、お前さん達に聞きたい事があるんじゃが…元殿はどこにおるかのう?」
「じ、じいさん達、元さんの客人か!」
タン「うむ。そうじゃ。知っておるなら居場所を教えて頂けると助かるのう」
「元じいさんなら奥の方で誰かと戦っていたぞ?ミイラみたいなじいさんだったけどな」
なんと、目的の人物である元は誰かと戦っているのだという。
鎮「これは急がねばなりませんかな?」
タン「そうですな。元どの事ですから、やっているのは試合ではなく、死合いでしょうからな」
元が戦うということは命のやり取りをしているということだ。無益な殺生は止めねばならない。二人の老師の様子からはとてもそんな感じはしないのだが、口調や態度とは裏腹にその動きは機敏だった。
そして、ならず者達から聞いた地点にたどり着くと、件の人物が戦っていた。
元と………そして。
元「相変わらず、とんでもない化け物だな。これほど血が沸き、肉が踊る戦いは凶眼の男のみと思っておったがな。仙人よ」
??「あ~う~。若いのに大したものじゃのう?それで、誰じゃっかのう?」
一人は白髪に見事な口髭を生やし、カンフー胴着を着た老人で、眼からは有り余る殺気を放つ鎮達が探す達人の暗殺者、元。
もう片方は………
鎮「これはこれは懐かしい。まだ生きておられたとは」
タン「鎮先生もお会いされたことかおありでしたか。まさかオロ殿とは……いやはや、我々が若い頃とあまり変わりませんな……本当のバケモノとはあの方を指すのかもしれませんな」
オロ。アマゾンの奥地に隠れすむ仙人ということ以外はすべてが謎に包まれている人物で、鎮もタンも若い頃に戦いを挑み、敗れている。
鎮「これはこれはオロ殿。久しいですな」
タン「元どの相手に片手で渡り合うとは……相変わらずの強さに感服致しますぞ」
鎮とタンがオロに声をかける。
オロ「お~……久しぶりじゃのう?それで、誰だったかのぅ?」
本当に自分達の事を覚えているのかどうか、いささか怪しいところだ。
元「鎮元斎にタン・フー・ルー……死合いの邪魔を」
元はタンと鎮を睨む。
タン「元殿。ここは矛を収めて、ワシらの話を聞いてはくれんかのう?こんなものが近々開催されるのじゃが」
タンはKOSFの招待状を元に見せる。
元「巷で噂の大会か。ふん、そんな大会など、児戯に等しいわ」
鎮「じゃが、お前さんの追い求めている豪鬼が目を付けておるリュウも出るかも知れん。さすれば、奴が現れるやも知れんぞ?」
鎮の言葉に元が反応する。自らが追い求める殺意の波動を操る豪鬼。その豪鬼が生涯の最大のライバルと見ている元が反応しないわけがない。
オロ「ほう……あのハチマキの若者か。ワシもあのハチマキの男を探しておってのう。あーうー……どれ、ワシも出てみるかのう?KOSFに」
元「………ふん、良いだろう。だが、凶眼の男が現れなかった場合は………賞金はワシが貰うぞ?」
タン「好きにせい。ワシはギースを止めるのが目的じゃ。それぞれの目的の為に、しばらくは仲ようしようではないか」
鎮はルガールの阻止。
タンはギースの阻止。
元は豪鬼との死合い。
オロはリュウに会うため。
それぞれの異なる目的を持った四人のチームが結成された。
タン・フー・ルー…八極聖拳
餓狼伝説シリーズ
鎮元斎…酔拳
KOFシリーズ
元…中国拳法
ストリートファイターシリーズ
オロ…仙術
ストリートファイター3