THE KING OF STREET FIGHTERS 作:本城淳
ピクリとも動かなくなる豪鬼。
リュウ「………」
ケン「やったな、リュウ!殺意の波動を使わなくてもお前自身の力で豪鬼を倒したんだ!」
リュウ「………………」
ケン「リュウ?おいリュウ!」
ユリ「な、何だか様子が変だよ!?まるで血の暴走を起こす直前の八神庵みたい!」
ケン「何だって………おいリュウ!まさかお前……」
リュウ「ぐおおおおおおおおおお!」
殺意の波動がリュウから吹き出る。
リュウ「豪鬼…………豪鬼ぃぃぃぃぃぃ!」
ベガ「くくく………チャンスだというのに体が動かん。ここは逃げるのが吉だろう」
ギース(本物・スピーカー)『ふ………逃げるかベガ』
ベガ「ふ……ギースよ。いずれは貴様とも決着を付ける。それまで首を洗って待っているのだな……」
ベガ逃亡
ケン「畜生………自分が逃げるだけの余力を残していたのかよ!」
ユリ「そんなことよりも今はリュウさんだよ!リュウさん!正気に戻って!」
リュウ(これは………あの時の……サイコドライブの時と同じ………やはり殺意の波動は………)
リュウ「豪鬼………豪鬼を殺せば………俺は真の格闘家に………」
倒れている真・豪鬼に向けて歩き出すリュウ。
ケン「やめろリュウ!豪鬼を殺せばお前は殺意の波動に完全に取り込まれる!二度と戻れなくなるぞ!」
リュウ「豪鬼ぃぃぃぃぃ!」
真・豪鬼との間にリョウが割り込む。
リョウ「この拳で目を覚ませリュウ!一撃ひっさぁぁぁぁつ!」
天地覇王拳をリュウにお見舞いするリョウ。
リュウ「この………拳は………」
リョウ「リュウ!お前の目指す真の格闘家の拳というのは、こういう拳じゃないのか!」
リュウ「魂を込めた正拳……」
ケン「あいつ……正拳突きで殺意の波動に取り込まれかけていたリュウを止めやがった………」
ユリ「あれは、ただの正拳突きじゃないッチ!お兄ちゃんのこれまでの全てを……力、技術、そして魂を乗せたお兄ちゃんの奥義中の奥義、天地覇王拳だよ!」
リュウ「空手家が一番最初に習う技、正拳突き。この正拳突きは誰もが最初に習う基本中の基本。その正拳突きに己の持つ力……技……魂の全てを使い、奥義まで昇華させたのがその拳か………奥義は基本にあり………天地覇王拳……見事な技だな」
リョウ「まだまだだ。天地覇王拳は……俺の正拳突きはまだまだ未熟。極限の正拳には至っていない」
リュウ「魂を込めた真なる正拳……それに至った時、もしかしたら真の格闘家になれるのかもな……お互い、更なる拳を極めなければな………」
ケン「お、おい!浸るのは良いけどよ!何かヤバイぜ!」
真・豪鬼に悪鬼の魂が集う。
殺意の波動『歩みを止めることは許さぬ……ただ前に、強さを求めよ………』
殺意の波動『休むことは許さぬ……ただひたすらに拳を極めよ………』
ケン「ヤバい!逃げるぞ!」
殺意の波動が螺旋を描き、エネルギーが暴発する。
逃げ遅れたルガール、偽ギース、クローン豪鬼が巻き込まれ、死亡。
ドオォォォォォォォン!
瓦礫となった旧ネスツの施設。
殺意の波動の螺旋の中に、ただ立つ豪鬼の影。
真・豪鬼「我は拳を極めし者なり………我を超える者はいずこ………」
影が揺らめき、消える。同時に殺意の波動の螺旋も徐々に収まり………しかし、豪鬼の姿はそこにはなかった。
時を同じくして、禍々しく空に浮かんでいた地獄門に光の矢が飛んでいく。
三種の神器を中心に、あらゆる力が纏められ、楓に送られていく。矢は地獄門を封印する「封印の儀式」で生み出された地獄門を封じる物だった。
ルガールを始めとした
廃ビルの瓦礫後
リョウ「死ぬことも許されない……それが殺意の波動に取り込まれた者の末路なのか………」
リュウ「ありがとう、リョウ。お前が止めてくれなければ、あの豪鬼のように俺はなっていたかも知れない。お前の正拳は効いた。体よりも、空手家としての俺の魂に響いた………いつかはあの正拳を超える拳を極め、今よりもずっと強くなってみせる。その時は……また戦ってくれるか?」
リョウ「いつでも来い!俺が極限の拳か、それとも真の格闘家となったお前の拳か、どちらが強いか勝負しようぜ!」
リュウ「ああ!」
互いに拳をぶつけ合い、ずだ袋を担いで正反対の方向へと歩き出すリュウとリョウ。
ケン「おいおい………骨折り損のくたびれ儲けだったってのに、あいつらはそれで満足みたいだぜ。似た者同士って訳だな。リュウもリョウも。ったく、時々付いていけねぇぜ。あんな兄貴を持って、ユリちゃんは大変だな?」
ユリ「最近、お父さんよりも拳を極めるのに一途なんだよね。近々、家を出るような事もいっているし………お兄ちゃん、本気かなぁ……出ていってもらいたくないなぁ……」
大会後………
リュウは元の当てのない流浪の旅に出る。
覇王丸「やっぱりあんた……俺と同じ種類の人間さ。強い奴と仕合うのが三度の飯より好きなバカ野郎なのさ」
京「で?真の格闘家ってのにはたどり着けたのかい?」
まだ見ぬ強敵との戦いに胸を踊らせ拳を交え
サガット「さすがだな……リュウ。それでこそ、この俺が全てを捨ててでも超えたいと認める男だ!」
春麗「あなたって、ホントにいつまでも変わらないのね」
さくら「次にあった時は……もっと強く!ですよね?」
ケン「まだだ!もう一本、やろうぜ!」
ある時は旧友達と腕比べをするべく拳を交え
テリー「お前もまた、呼ばれたのか……」
風○仁「異世界に行くと必ず会うな……あんた」
ハー○ン「オーケー、サスライファイター。同窓会と洒落込もうじゃないか」
ある時は異世界の事情に巻き込まれ、事件解決に拳を交え
豪鬼「リュウよ。今こそうぬの拳を我に見せい!」
時には己に眠る力と過去の因縁に決着を付けるべく拳を交える。
そんな毎日を送り、KOSFは徐々に……思い出の中に埋もれていき………
時は……流れる。
数年後……
セカンドサウス…山奥の修業場
リュウ(………………)
ジリジリ…………
波動拳を構えるリュウ。
リュウ「電刃………波動拳!」
長年、彼を蝕んできた殺意の波動。
リュウはその殺意の波動を克服しつつあった。
その成果が電刃波動拳。
この技には殺意の波動がわずかに込められている。
しかし、リュウは殺意の波動に惑わされてはいない。
リュウ「殺意の波動は……ほぼ完全に抑える事が出来ている………俺は………真の格闘家になれたのか……いや、本当に殺意の波動を克服出来ているのか。レオナのように、コントロール出来ていると思い込んでいるだけなのじゃないか………」
体内に波動を巡らせながら、思考を巡らせるリュウ
リュウ「真の格闘家とは何なのか………殺意の波動を完全に克服すれば、真の格闘家になれるのか………闘うということは……その意味は何なのか………若いときはそんな事ばかり考えていた………」
目を瞑るリュウの顔のすぐそばを、枯れ葉が一枚、舞う。
リュウ「!!!」
目を閉じた状態で、枯れ葉を掴もうとするリュウ。
しかし、その手には何もなく………
リュウ「まだまだだな。俺はまだ、落ち葉の流れ行く先でさえまだ知らない。真の格闘家への道はまだ遠いな」
??「極限の道もまた………な」
背後に現れる天狗の面を被った黒い胴着を着た男が立つ。
リュウ「来たか………リョウ・サカザキ……。いや、今はMr.KARATEだったか?」
Mr.KARATE「人の山籠り先に現れておいて来たかは無いだろう?久しぶりだな?リュウ。お互い、目指している頂きにはまだまだ遠いようだな」
リュウ「互いに歳だけは一丁前になったがな。何年ぶりか?」
Mr.KARATE「もう十年以上は経つな。ギースは倒され、門下生達も今やKOFに出場するほどにまで力を付けてきた」
リュウ「格闘技界が惜しんでいるぞ。目ぼしい大会にも最近は出ていないそうだな」
Mr.KARATE「そういうのは若い者達が経験を積む場所だ。俺みたいなロートルがでしゃばる場所じゃない」
リュウ「それもそうだな」
Mr.KARATE「…………」
リュウ「…………」
Mr.KARATE「懐かしい話をしに来たわけじゃ無いだろ?」
リュウ「ああ。Mr.KARATE。天地覇王拳は極めたのか?」
Mr.KARATE「いや。まだだな。だが、あの時の天地覇王拳とは同じに思わない方が良い。生半可な者が受けたならば、体に風穴が開く。あれはもう、大会とかでは使える技じゃない。だが………お前になら使えそうだ」
リュウ「それでこそだ。俺もあの時の俺じゃない。今こそ、あの時の続きをやる時に相応しい。そうは思わないか?」
Mr.KARATE「……………やるか」
リュウ「来い!Mr.KARATE!」
ぶつかり合う二人の拳。
至福の時が今、始まった………。
FIN
リュウ編のエンディングです。
ストリートファイター3のエンディングが少し入っています。
そして、Mr.KARATEとなったリョウと決着を付ける…。
それがリュウのエンディングに相応しいと思い、こういう形にいたしました。
それでは次回もよろしくお願いいたします。