THE KING OF STREET FIGHTERS   作:本城淳

53 / 57
エンディング…リョウ・サカザキ編

片膝を突いているギース。

しかし、その表情には笑みが………。

 

ギース「なるほど……ここまでやるとはな。影はともかく、ベガやルガール、そしてクローンとは言え、豪鬼すら退けただけはある。ここは素直に負けを認めるとしよう」

 

リョウ「やけに今回は素直に敗けを認めるじゃないか」

 

ギース「事実だ。負け惜しみを言ったところで結果が変わるわけではない」

 

ユリ「素直に負けを認めたんなら、観念して捕まって、罪を償うッチ!」

 

ギース「ふ……勘違いするな。負けを認めたからと言って、私はお前達に従うとは一言も言っていない」

 

リョウ「なにっ!覇王っ!」

 

室内の照明が消され、暗転。

 

リョウ「なっ!

バリィィィィン!バルバルバルバル!

音のした方に目を向けると………

ビルから転落していく男の姿が。しかし、それはルガールの姿………。

 

ルガール「くぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

ギースはヘリの縄梯子に掴まり、既に逃げ支度は万全に整えられていた。

 

ケン「おいおい。ルガールを落として自分は逃げるか?落ちるのはお前のお家芸だろ?」

 

ギース「ワハハハハハ!貴様らに落とされる程、私の命は安くはない!」

 

ベガ「逃げるか………ギース」

 

ギース「フンッ!ベガよ………影を唆して好き放題してくれたな………この借りは必ず返すぞ………必ずだ」

 

ベガ「良いだろう………いずれはその首、かっきる…」

 

消えるベガ。

 

リュウ「く………豪鬼のクローンとルガールは倒したけが、ベガとギースが!」

 

ギース「さらばだ………。極限流よ、リュウよ、ケンよ!縁があれば、再び会うこともあるだろう。その時はハッキリと決着を付けようではないか。フフフフフ……ハハハハハ………ハッハッハッハッハッ!」

 

ユリ「ギースが逃げちゃうよ!」

 

ケン「ダメだ………もう追跡不可能だ」

 

リョウ「ギース………」

リョウ(ギースが退いたのは、まだ時じゃないからか、それとも、アイツが真に決着を付けたいのは……)

 

地獄門に放たれる光の矢が……

 

楓「今度こそ…本当にさようなら。義姉さん…」

 

 

サウスタウン…メインストリート

 

リュウ「終わったな」

 

ケン「すっきりしない最後だったがな」

 

ユリ「一応は、ギースも主催者の義務だけは果たしたみたいだね。優勝賞金の小切手を四人分、部下に渡して来たんだから」

 

ケン「初代主催者の矜持って奴だろう。悪人なりのな」

 

ユリ「よし!今日は極限焼肉でお祝いだッチ!ほらほら、リュウさんも!」

 

リュウ「あ、ああ……」

 

リョウ「……………」

 

リュウ(リョウ?)

 

 

 

翌朝………。

極限流道場。

 

タクマ「本気なのか?リョウ」

 

リョウ「ああ………今日、俺はこの街を出ていく」

 

ユリ「そんな!前にもそんな事を言っていたけど、どうしてまた!商売に走っちゃったから!?嫌だよ!お兄ちゃんが出ていくなんて!」

 

リョウ「………今回の大会でわかった。今までのやり方じゃダメなんだ。本当に拳を極める為には……俺なりの極限を極める為には、今までのやり方では……」

 

ロバート「………旅に出るって事かいな?リョウ」

 

リョウ「ああ………リュウのように、世界を旅して、そしていつか、俺なりの極限を極めていく」

 

タクマ「…………良いだろう、リョウ。行け。しかし、その拳を極めるまでは、二度とこの道場に帰ってくる事は許さん」

 

リョウ「覚悟の上だ」

 

ユリ「お父さん!」

 

タクマ「いつかはこんな日が来るとは思っていた。ワシの元でぬくぬくしているようなお前では無いとな。ワシが若い頃、単身でこの街に来た頃を思い出す……持っていけ、リョウ。いつか来る、今日の為に、これまで貯めていた資金だ。ワシからの生前贈与だと思っておけば良い」

 

リョウ「ありがとう………親父」

 

そう言って立ち上がり、戸を開けるリョウ。

 

マルコ「お供致します。リョウ師範!」

 

そのリョウに付いていくマルコ・ロドリゲス。

 

リョウ「ああ、親父。1つだけ、ここに戻ってくるかも知れないな」

 

タクマ「何だ?」

 

リョウ「いつか、親父の名前をもらい受けに来る。Mr.KARATEの名前を」

 

タクマ「………Mr.KARATEの名は安くはない。その時は命を失うつもりで来るが良い」

 

ユリ「うう………お兄ちゃん」

 

ロバート「リョウ。お前がいない内に、ユリちゃんを貰うかも知れへんで?」

 

リョウ「好きにしろよ。後はお前とユリの問題だ」

 

去っていくリョウとマルコ。

 

タクマ「………いつの間にか、子供ではなくなっていたんだな………」

 

ロバート「あのアホが。先生、ワイもうかうかしてられへんで。次にアイツが帰って来たとき、ここに残らへんかった事を後悔するくらい、腕をあげたるんや!Mr.KARATEの名を継ぐんは、ワイや!」

 

その日、無敵の龍、リョウ・サカザキの姿がサウスタウンから消えた。

そしてリョウは、世界各地を回り、その極限の拳を高めていく。

 

そんな折………風の噂でギース・ハワードが己の居城であるギースタワーより転落し、死亡の報せが入る。

 

リョウ「ギースが死んだか………。やはりあの男が最後に決着を望んでいたのは………」

 

自分では無かった。

ギースはテリー・ボガードとの決着を望んでいたのだろう。

 

宿敵とも言えるギースの死。

リョウは一抹の虚しさを感じるものの、自分のやることは変わらない。

ただ、極限の拳を極めていくのみ。

己の拳を高めていくリョウを慕い、いつしかリョウの周りには、沢山の弟子が集まるようになっていった。

 

リョウ(そろそろ腰を落ち着けないとな)

 

セカンドサウス………

第2のサウスタウンと呼ばれる程に急成長を遂げていくこの街を、リョウは己の城を築く事に決めた。

ギース亡きサウスタウンよりも勢いが増してきたセカンドサウスと呼応するように、極限流空手サカザキ道場セカンドサウス支部は、今やタクマやロバートが盛り立てる本部道場と同じくらい規模を大きくしていた。

しかし、リョウはそれに奢ることは決してない。リョウが目指す頂きは、まだまだ遠い。

 

数年後………

リョウの一番弟子、マルコ・ロドリゲスが数あるKOFで優勝を果たしたその日に、リョウはマルコを呼び出す。

 

リョウ「マルコ」

 

マルコ「はい、リョウ師範………」

 

リョウ「今日からお前が極限流の無敵の龍だ」

 

マルコ「し、師範!ま、まさか………」

 

リョウ「名を……受け継いで来る。二度と戻らないかも知れない。その時は………すべてをお前に託す」

 

マルコ「ご武運を………」

 

サウスタウン

極限流空手サカザキ道場本部

深夜

 

ロバート「待っておったでリョウ」

 

リョウ「ロバート………」

 

ロバート「多分、今日辺り来るんやないかと思っとったわ。どっちが先生に挑めるか……Mr.KARATEに挑戦出来るかをかけて、決着を付けようやないか」

 

待っていたロバートとの決着を着け………そして、後に控える天狗の面を被った父、タクマ………。

 

タクマ「リョウ………今、この時は貴様とワシは親でも子でもない。ただ一人の格闘家として、命を賭けよ!」

 

普段の試合では決して見せることのない、本気の本気を出したMr.KARATEとの死闘………。

そして………。

 

タクマ「今からお前が………Mr.KARATEだ……」

 

己の敗北を認め、その証である天狗の面をリョウに渡すタクマ。

 

リョウ改めMr.KARATE「…………」

 

長年、求めていた最強の証。Mr.KARATEの称号。

かつて無敵の龍の称号を得た時の達成感と高揚感は、その時のMr.KARATEには無かった。

 

ロバート「なんや自分………もっと嬉しそうにせんかい」

 

Mr.KARATE「まだだ、ロバート。Mr.KARATEの名を継ぐのがゴールだったんじゃない。これは通過点に過ぎない。極限の拳は………まだ先にある」

 

ロバート「変わらへんな……自分。けど、忘れるんや無いで?リョウ。今はその名を自分に預けるだけや!いつか腕を上げて、その名を貰うさかい!」

 

Mr.KARATE「わかっているよ。ロバート……。俺は逃げも隠れもしない」

 

二代目Mr.KARATE誕生。

その称号は、瞬く間に格闘界に轟く。

Mr.KARATEの名は軽くは無かった。

第2のサウスタウンとなりつつあるセカンドサウス。

サウスタウン同様に格闘家達の集う街。

その街でMr.KARATEを名乗ると言うことは、日々闘いを挑まれると言うこと。

ストリートファイトや道場破りは日常茶飯事。

どんな手段でも彼を倒し、最強の名を奪おうとする跳ね返りも日常の一部。

時には父、タクマがそうであったように、裏社会の陰謀に巻き込まれかけた事も一度や二度ではない。

日常の中でも気が休まる事のないMr.KARATE。そんな生活は、より彼の拳を高めるには充分な日々だった。むしろ彼自身が望んでいた事だったのかも知れない。

今の彼の姿は、ありし日の先代、タクマ・サカザキの姿そのものだった。

 

そして更に数年後………

 

一日も休むことなく己を磨き続けてきた彼。

今ではMr.KARATEが当たり前に呼ばれ、本名であるリョウ・サカザキと呼ばれなくなって久しい。

だが、そんな彼も分かっていた。

格闘家が全盛期を……そして現役を続けることは難しい。まだまだ現役を退くつもりは無いが、自分も…そして周囲も理解していた。

今が二代目Mr.KARATEの円熟期だと……。

 

Mr.KARATE(そろそろか………)

 

そうなれば、あの頃に………KOFに出場していた頃、互いに切磋琢磨してきた者達も、自分と同じように衰えを感じる前に、これまで先伸ばしにしていた決着を…格闘家としてのけじめを付けようと考える頃である。

 

Mr.KARATE「マルコ」

 

マルコ「押忍!」

 

Mr.KARATE「明日から一足先に山籠りに入る。留守を頼んだぞ」

 

マルコ「押忍!」

 

Mr.KARATE「いつぞやみたいに留守中を襲われて看板が奪われる事が無いようにな」

 

マルコ「お、押忍……」

 

準備を整え、彼はあの山奥へと向かう。

彼と初めて出会い、数日間研鑽したあの修業場に……。

必ず現れる。

あれから出会う事の無かった彼等が………。

テリー・ボガード…草薙京…サガット…キング。

そして………。

 

???「待たせたか?」

 

あの頃と変わらない、ボロボロの白い胴着に赤い鉢巻。

 

Mr.KARATE「いや。定刻通りだ。考えている事は同じだったようだな。リュウ。真の格闘家に、辿り着く事は出来たか?」

 

リュウ「恥ずかしながらまだまだだ。そっちこそ、お前の噂を聞かない日はない。立派になったものだな。リョウ・サカザキ……いや、二代目Mr.KARATE」

 

Mr.KARATE「大層な名前が付けられても、結局俺もまだまだ極限の片鱗すらも掴めてはいない。情けない限りさ。世間で騒がれているほど、俺は大した事はない。もしかしたならば、極限も真の格闘家も、永遠に辿り着ける物では無いのかも知れないな」

 

リュウ「だが、それでも追い求めずにはいられない。辿り着く事が出来たと思ったならば……それは格闘家を止める時なのかも知れないな」

 

Mr.KARATE「………それでも、俺は拳を極める事をやめはしない。いつか、倒れるその日まで……俺は追い求める」

 

リュウ「そうだな………さて………」

 

Mr.KARATE「ああ。俺達は果てのない道を目指す格闘家だ。口で語るよりも、もっと確実に相手と分かり合う方法は1つ」

 

リュウ「ああ………あれからどう成長したか、俺とお前のこれまでを語るのは………互いの拳をぶつけ合うのみ!」

 

Mr.KARATE「存分に語ろうか。邪魔をする者は今日はいない。さあ!やろうか!今日の俺はMr.KARATEじゃない!ただの空手家、リョウ・サカザキだ!」

 

天狗の面を脱ぎ捨てるリョウ。

 

リュウ「いくぞ!リョウ・サカザキ!互いの拳を試すぞ!」

 

待ち望んでいた闘い。

邪魔をするものは一人としていない。

己の人生でもっとも心・技・体が最高潮となった二人のぶつかり合いが………始まった。

 

FIN




はい、リョウ・サカザキのエンディングです。

リョウがサウスタウンを出るという話は、KOF14のエンディングで語られていたところを流用しました。
あのエンディングでは空手そっちのけで焼肉屋の発展ばかりを考え、愛想を尽かしたリョウがぶちギレ顔の勢いで言っていたギャグエンディングでしたが……。
ただ、餓狼WABやKOFMI2、ネオジオバトルコロシアムに登場したMr.KARATEとしてのリョウ。
渋みを増したリョウが、その名を継承するにあたってあったであろうエピソードを想像し、それをリョウのエンディングとして持ってきましたが、如何だったでしょうか?
それでは次回もよろしくお願いいたします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。