THE KING OF STREET FIGHTERS 作:本城淳
ベガ2「フッフッフ……よく頑張ったが、ここまでのようだな!」
ユリ「ハァ……ハァ……」
ベガ2「まだしぶとく意識を保っているか。だがそこまでよ!今度こそとどめだ!そして我がサイコパワーの洗礼を受け、我が軍門に下るがいい!サイコクラッシャー!」
(サイコクラッシャーで突進してくるベガ2)
ユリ「いや………洗脳されて親父の趣味全開のハイレグ変態戦闘服はイヤー!」
(根元で芯・ちょうアッパー(滅鬼斬空牙)炸裂!)
ベガ2「な、何ぃぃぃぃぃ!」
ユリ「極限流奥義!龍虎乱舞!」
浮き上がったベガに対し、これまでの龍虎乱舞とは比べ物にならない速度で突進するユリ。
リョウ「ま、まさかユリがあの龍虎乱舞を使うとは!いや、使えるとは!」
ユリ「オラオラオラオラオラオラオラオラァ!」
リュウ「確かに手数とかは多い。だが、龍虎乱舞は今までもユリは使っていただろう?」
リョウ「今までの龍虎乱舞は言わば形だけを真似ていただけの未完成の龍虎乱舞!今のユリは体力と気力が限界に達し、自我を忘れた状態!あれこそ真の龍虎乱舞!とうとうそこまで至ったか………ユリ」
ユリ「いやー!あの親衛隊の制服はいやぁぁ!」
ヒップアタック(燕翼)→百烈ビンタ
ケン「よっぽどあのハイレグが嫌だったんだな……」
再び乱舞
ユリ「オラオラオラオラオラオラオラオラ!えい!や!チェストォォォォォ!」
止めに飛燕烈吼→芯・ちょうアッパー!
吹き飛び、壁を突き破ってギースのように落下するベガ。
ベガ2「バカな!その程度の攻撃で……この私が、この私がぁぁぁぁ!」
落下しながら、サイコパワーが暴走し、体が崩壊するベガ。
ベガ2「ヌハハハハ!今回は私の負けだ!しかし、私は死なぁぁぁぬ!悪の心が人の中にある限り……私は何度でも……復活………ぐはぁぁぁぁ!」
ストリートファイターゼロ3のようにベガ、爆発。
時を同じくして地獄門に光の矢が吸い込まれ、地獄門がきえる。封印の儀式だ。
楓「これで本当にさようならだ……。義姉さん……」
ルガールを始めとした死者達が浄化され、禍々しく荒れていた空が嘘のように雲1つなく、青空が澄み渡っていた。
へたり込むユリ。
ユリ(なに?今の龍虎乱舞は………あれが本当の龍虎乱舞?じゃあ、今までの私は………)
色々と愚痴りながらも立ち上がるリョウ。
それを助け起こすリュウとケン。
ユリ(私は一丁前のつもりでいたけど、今までは然り気無くお兄ちゃんやリュウさん達が私を守っていてくれていたんだ……。ううん、今までのKOFだって……お父さん、ロバートさん、キングさん、舞さんが……)
脳裏に浮かぶタクマ達の姿。
リョウ「大丈夫か、ユリ?無我夢中で放った龍虎乱舞は疲れただろ?帰るぞ、ユリ」
手を貸すだけのリョウ。普段なら背中を貸し、ふらつくユリをおぶってくれていたリョウ。
ユリ(今まではそれが当たり前だったけど、きっとお兄ちゃんは私の事を………)
リョウの手を取り、立ち上がるユリ。
ユリ(もう、私は………。恥ずかしかったけど、今……あの広い背中におぶさるの、好きだったんだなってわかっちゃった……少し寂しい………かな)
ユリ「大丈夫。1人で歩けるよ……もう、
リョウ「そうだな。もうお前は、1人で歩けるな……」
極限焼肉・本店
祝勝会が催される極限焼肉。
席にはチームメンバーと、特別招待されたイライザ、店主のタクマと兄弟子のロバート、リョウが目をかけているマルコが焼肉をつついている。
ロバート「先生。今回の優勝でまた、お客さんがぎょうさん押し寄せると思いまっせ?」
タクマ「うむ!家に入れてくれた優勝賞金で更に店を改装して………」
相変わらず商売の話しかしないロバートとタクマ。
リョウ「…………」ゴゴゴゴゴ………
マルコ「…………」ガタガタガタ……
ケン「ハハ……ハハハハ……」
前回のKOFの時と同様、怒りの形相のリョウと、隣で汗をダラダラとかいているマルコ。
ケンもリョウの様子に苦笑いを浮かべるしかない。
いつもだったらユリもタクマやロバートと一緒に商売話で盛り上がっていただろう。
だが、今は…………
黙って俯きながら肉を食べるユリ。
リュウ「おめでとう、ユリ」
そんなユリにリュウが声をかける。
ユリ「リュウさん………」
リュウ「これで君はもう、一人前だな」
ユリ「………」
リュウ「最後に放ったあの龍虎乱舞。初めて真空波動拳を撃った時を思い出す。あれを見て、あの頃の気持ちを思い出したよ。真の昇龍拳………今なら出来そうだ。思い出させてくれてありがとう」
ユリ(そうだね。あの龍虎乱舞が出来るようになってからが入り口なんだ。今の私じゃ、本当の龍虎乱舞に振り回されてる……あれをもっとお兄ちゃん達のように自在に使えるようになって、やっと龍虎乱舞を会得したことになるんだ………そして、お兄ちゃんの天地覇王拳のような私だけの本当の奥義を………)
リョウ「………」
いつの間にか、リョウは怒りの形相を消し、ユリに笑顔を向けていた。
ユリ(いつもなら口煩くあれがダメだった……とか言ってくるお兄ちゃんが、何も言ってこない……もう、これからは自分で考えろって事なんだね。そしてお兄ちゃんは………もぅ………)
翌朝
極限流空手サカザキ道場本部
タクマ「…………本気なのだな?リョウ」
リョウ「ああ………俺は今日、この街を出る」
ユリ(やっぱり…………)
リョウの表情にゆらぎはない。
ロバート「ユリちゃんも止めな!何を考えてるんや?」
ユリ「…………止めないよ、お兄ちゃん。お兄ちゃんはお兄ちゃんの目指す『極限の拳』を求めて」
ロバート「ユリちゃんまで!」
ユリの目に、少し涙が溜まる。
ユリ「今までありがとう。お兄ちゃん。もう、私は1人で歩けるよ……」
ユリ(そう、1人で歩ける。お兄ちゃんやロバートさんに守られていた私は、もういない………)
ユリ「1人で、私なりの極限の拳を追い求めて見せる。そして、いつかお兄ちゃんを超えてやるんだから」
リョウ「ああ。お前はもう一人前だ。俺が教える事は、もうない。今後はお前を妹としてじゃなく、1人の格闘家として……そして、ライバルとして見よう」
リョウがユリを優しく見る。
ユリ「いつまでもモタモタしてたら、私が先にMs.KARATEになっちゃうんだからね?何たって私は天才なんだから」
タクマ「………後継者が増えたな。子供というものはいつの間にか大きくなるものだ。良いだろう、リョウ。行け。そして極限の拳を極めて来い」
ロバート「………ハァ、極限親子は相変わらずやわ」
ユリ(行ってらっしゃい。お兄ちゃん……。今まで本当に守ってくれてありがとう)
無敵の龍、リョウ・サカザキ。
サウスタウンより姿を消す。
タクマ「ユリ!一人前となったからには、ワシももう娘としてではなく、師匠として本格的にお前を鍛える!これまでのように甘えられると思うな!」
ユリ「押忍!師匠!」
ユリ・サカザキ。
これまで以上に本腰を入れ、空手に取り組んで行くことになる。
いつしか、人は彼女の事を『三代目・無敵の龍』と称するようになった。
一年後
全米異種格闘技大会決勝
向き合うケンとユリ。
ケン「まさか、ユリちゃんがこの俺と全米格闘王の座をかけて争う事になるなんてな。大分、腕を上げたじゃないか」
ユリ「いつまでも極限流を差し置いて全米一を名乗らせませんよ。今日がケンさんの全米格闘王としての最後の日です!」
ケン「言うねぇ。確かにユリちゃんは一人前となって腕を上げた。顔付きもいっぱしの格闘家になったのは認めるぜ?けど、この俺と全米格闘王を争おうっていうのは流石に気が早いと思うぜ?『桂馬の高上がり』って言う言葉は、確か日本の諺で合っていたよな?将棋は良く知らねぇけど」
ユリ「全米格闘王を目指すのが私にとって前に出すぎた桂馬か、それとも龍王になりつつある飛車か、全米格闘王の座を賭けて戦えばわかると思いますよ?」
ケン「プロポーションしてクイーンになるポーンってわけかい?知ってるか?縦横無尽に動きすぎるクイーンってのは、あっさりやられちまうもんなんだぜ?今のユリちゃんはまさにそれさ。まだクイーンには、十年早いって」
ユリ「天才ですから。私は」
ケン「知らなかったか?俺も格闘技の天才なんだよ。一人前になったばかりの天才が、先に一人前になっていた天才に勝てると思っているのが、まだまだ達人には遠いって事を、わからせてやるぜ?」
ケンの顔から笑みが消え、構える。
ユリ「手始めに、全米格闘王を頂きます!そして…Ms.KARATEに、私はなる!」
今のユリに、去年までの甘えた顔はない。その名が示すような可憐で、少し幼さを残していた彼女の顔は、街中で誰もが振り返る程の凛とした美女にまで成長させていた。
ユリ・サカザキが全米格闘王、そしてMs.KARATEになれたかどうかはまた、別の話だ。
しかし、彼女なら、いつしかその顔に天狗か般若の仮面を被る事が出来るだろう。(般若の仮面を被ったユリの姿が。隣には天狗の仮面を付けたリョウ。背後に頭を抱えて泣いているロバートとマルコ)
その仮面が果たして似合うのか、そしてその整った顔が隠れてしまうのは人類の損失とも思わなくも無いが。
彼女の修羅道はまだ、始まったばかりだ。
FIN
はい、ユリ編のエンディングです。
若干、ギャグが混じりつつありましたが、本格的なギャグはタクマとロバート、キムに任せましょう。
タクマ&ロバート&キム「!?」
それではいつになるかわかりませんが、次回は三種の武神チームのデモを書きたいと思います。
それでは次回もよろしくお願いいたします。